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3”ラッキースケベ?

20.予定外の暴走

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(哀香視点) 

 私はドアの隙間から玄関を覗き見していた。

 玄関には中年の小太りの配達員さんと私と同じ大学の友人、藤崎悠莉がいる。

「……」
「……」

 悠莉は今、玄関に立っている配達員さんの前でなんの服も着ずに全裸で立っていた。

 この光景を見た私の心臓はドキドキして止まらない。

 彼女の引き締まったお尻と、配達員さんの驚く顔がここから見える。

「えっ?!……えぇ?」

 彼の驚きは当然のことだった。いきなり全裸の女が目の前に飛び出してきたのだから。

 悠莉は今どんな気持ちなんだろう?

 一番恥ずかしいところも、乳首も全部見られちゃってるんだもんね……。

 ──見てもらえて、よかったね。

 私はすこし前の自分と彼女を重ねて彼女にエールを送った。

 さきほど私も別な配達員の男性に裸を晒した。その時の感情が蘇る。

 悠莉の姿を自分と重ねてあそこが疼く。まるで自分の姿を客観視しているみたいで……私もあんな感じだったのかなって考えて興奮した。

 配達員の男性は今どんな気持ちなんだろう?

 あの配達員の人もこの人も喜んでくれてるといいのだけど……。

 悠莉は乳首を隠すそぶりもなく、ずっと見せつけている。男性の目が何度もチラチラと乳首に向かっていた。

 たぶん悠莉は乳首を見てもらえて嬉しいんだと思う。だから下は隠してるのに、乳首はさらけ出しているのだ。

 悠莉は美人でモデルみたいな体型なのに、胸が小さいことを気にしていた。

 どんな服でも似合うし、私としては彼女の体型の方が羨ましくて嫉妬しているくらいなのに。

 男性の前に飛び出してから、一旦忘れた財布を取りに来た後もずっとあの男性に乳首を見てもらっている。

 部屋に一旦戻ってきた悠莉が私に向けた、口角の緩みを隠せない嬉しそうな顔が忘れられない。

 あの日、悠莉をヌードデッサンに巻き込んでからの彼女は、一番近くにいる私から見ても印象が変わってしまった。

 本来の彼女は、物事をはっきりいうタイプで、そのせいか少し怖がられることもあった。男勝りで、頼りになって、プライドが高い。そんなカッコいい女の子だったはず。

 それが今、見ず知らずの配達員さんに乳首を見せて喜んでいる。

 配達員の人は分かっているのかな?

 私の悪ふざけのせいで、悠莉がさっきイッたばかりだってこと……。

 しかも乳首だけで。

 私は隙間から悠莉と男性の様子をずっとドアの隙間から盗み見ていた。覗いているだけだというのに言いようのない興奮を感じていた。

 これからどうなるんだろうってワクワクと共に……。




 ***



「──私のおっぱい……触る?」

 悠莉が配達員の男性に放った言葉は信じられないものだった。

「「……えっ?」」

 私と配達員の中年のおじさんは、同時に疑問の声を上げた。

 勘違いかと思って耳をすましても悠莉の言っていることは誤解のしようもなかった。

「だからっ、私のおっぱい触ってもいいって言ってるの……褒められて嬉しかったから……特別に」

 そして、胸を抱えた悠莉は、そのまま上半身を反らせて、自分の乳房を見せつけるように突き出した。

『わざとかと思うくらい鈍感で察しが悪いラブコメ主人公にも、ひとかけらの誤解さえ与えない』みたいに、言葉と行動で示したのだ。

「え? え? いいの?」

 配達員のおじさんは混乱している様子だ。私も混乱している。

「うん……」

「本当に? 本当に? 警察とかに言わない!?」

 配達員さんは悠莉のおっぱいを見て、ゴクリと生唾を飲み込んだ。

「良いって言ってるじゃん。でも、警察には言うかも……私のおっぱいを揉んだ後で……それともやっぱり小さいから、嫌?」

 悠莉はいたずらっぽい笑みを浮かべてはにかんだ。嫉妬するくらい、あざとかった。

「君みたいな美少女のおっぱい揉めるなら、逮捕されたっていい!」

 鼻息を荒くして叫んだ配達員のおじさんは見て分かるくらい興奮していた。

「じゃあ早くして、私の気が変わらないうちに……」

「う、うん!」

 悠莉は腕を上げて自らの体へ触る権利を男に預けた。

 そして、中年のおじさんの両手が悠莉の生の膨らみに向かって伸びていく。

 ゆっくりと恐る恐る。

 私は驚いて混乱状態に陥っていた。

 ──ちょっと待って! どういう状況なのこれ!?

 私は頭の中を必死に整理しようとするけれど、目の前の状況があまりに衝撃的すぎて全く頭が働かない。

 ──襲われそうになったら助け合おうね。

 そう私たちは約束していた。 

 私達の計画はあくまで『裸を見られる』ことであって、それ以上は想定していなかった。

 まるで物語の基本設定が崩れて、登場人物が好き勝手な行動をとりはじめたように予想外で意味がわからなかった。

 ──どうしよう! 助けに行くべきなの?!

 でも悠莉の方からおじさんを誘惑した事実は火をみるよりも明らかだし、私が飛び出してもややこしくなるだけなんじゃ? 

 そう私が迷っている間にも、毛むくじゃらの手が悠莉の生のおっぱいに近づいていく。

 ──どうしたらいいの!?

 まさか、こんなことになるなんて考えもしなかった。

 もちろん私達がしている『露出』って行為が、モラルにも規律にも反することは分かっている。でもどうしようもなく興奮するから、やめられなくて止められない。

 いずれより強い刺激を求めて、暴走して大変なことになるのも必然だと覚悟していた。

 でも、それは私の方が先だと思っていた。

 暴走するのは私だったはずなのだ。まさか悠莉の方が先にタガが外れるなんて思わなかった。

 彼女は元々そういう素質があったのは間違いないけど、今になって考えてみれば、あの時ヌードデッサンの時からすでに彼女の中で何かが大きく変形していたのだろう。

 私と同じかそれ以上に、ぐにゃりと捻じ曲がってしまっていた。

 ──今ならまだ間に合う!

 急いで飛び出せば悠莉は胸を揉まれないで済んだかもしれない。

 でも、なぜか私は動けなかった。

 だから、手遅れになった。

「……あっ」

 中年の男性のゴツゴツした手が、包み込むように悠莉の胸に触れた。

「……あん♡」

 悠莉は胸を揉まれてしまった。

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