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3”ラッキースケベ?
14.宅配便
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(哀香視点)
『街を歩いているとえっちな風で女の子のスカートがめくれてパンツが見える。』
そんな神様から与えられたような偶然をラッキースケベと呼ぶならば、悪魔と計画した必然はどう呼ぶべきなのだろうか?
「……そういえば。叔父さんから連絡あって、あのアトリエならいつでも来ていいってさ」
友人の藤崎悠莉が私に言った。今日、彼女は私のアパートへ遊びに来ていた。
「そう。じゃあヌードデッサンには困らないね……」
「あの叔父さんキモいから返事はまだしてないけど。……今度、一緒に行く?」
あのヌードデッサン教室から2週間が経っていた。大勢の人間に裸を見られた経験は、今でも鮮明に思い出すことができる。
恥ずかしさと、気持ち良さ、混ざってはいけない感情なのは分かっているけれど、あの体験を思い出す度に身体が疼き出す。
「うん。行きたいかも……」
私は迷ったけど、同意した。あんな体験は初めてだったし、またしたいという欲求があったからだ。
「でも……今日は……」
だが、今日は行けない理由があった。
なぜならば、これから荷物が届くのだ。ネットで買ったあの商品が届いたら……。私はどんな商品を買っただろうか? そんなこと、どうでもいいから思い出せない。
「そ、そうだよね。もうすぐ届くんだもんね……」
悠莉も先ほどからソワソワしている。
分かりきったことを聞いたのは、ドキドキを抑えるためだろう。
彼女もこれから届く荷物を心待ちにしているのだ。荷物は2人それぞれ別で頼んで配送業者も被らないようにしたし、時間指定も1時間ずらした。
予定では私の方が早く届くことになっている。
指定した時間は10分ほど過ぎているため、いつインターフォンがなってもおかしくない。
「ほ、本当にやるの?」
「当たり前でしょ……ここまできて何言ってるの」
私だって不安はあるけれどこれから行うことを想像すると、そんなものは興奮を引き立てるスパイスでしかなかった。
「じゃあ、私からね」
私は笑顔を彼女に向けて、服に手をかけブラまで一気に脱ぎ捨てた。
スカートを脱いでショーツ1枚だけの姿になると、悠莉がムスッとしてこちらを見つめていることに気づく。
「やっぱり、おっぱい大きい。この爆乳女……」
突然の暴言。
彼女は私のと自身の胸とを比べて恨めしそうな目を向けた。
正直、私としては蒸れるし肩も凝るし邪魔だと思っているくらいだし、少し前まではこの乳に向く好奇の視線がコンプレックスでさえあった。
「別に普通だよ……」
なんなら、スレンダーでモデル体型の彼女の方が羨ましいと思うのだ。
でも悠莉は納得していない様子で頬を膨らませた。私の胸をジッと見ていると思っていたら、おもむろに両手を伸ばして鷲掴みにしてきた。
「きゃ! 何するの!?」
「こんないやらしいおっぱいが普通なわけない!」
そう叫けぶと、彼女は罰でも与えるように私の胸を揉みしだいた。
「やめて、くすぐったい……」
「私に謝って!『こんないやらしいおっぱいでごめんなさい』って謝りなさい!」
「ご、ごめんなさい……いやらしくてすみません……」
彼女の気迫に押されてすぐに謝ってしまった。
内心、乳房を直に他人に揉まれるなんて経験は今までなかったから、いくら同性の女友達といえども恥ずかしかった。
「許さない!」
「きゅう!?」
私は驚いて素っ頓狂な声をあげた。
調子に乗った彼女は意地悪く笑って、あろうことか私の乳首を摘んで引っ張ったのだ。
「痛っ、このっ」
流石の私もムッとして、仕返しとばかりに悠莉の胸を服の上から揉もうとする。
「あれ? 胸どこ?」
「なっ! 言ったな!」
私の見え透いた挑発に彼女は乗ってきた。
それからしばらくの間、私達はお互いの胸を揉み合って戯れあった。なぜだかいつのまにか楽しくなってきゃっきゃと笑い合っていた。
すると、突然
ピンポーン
とチャイムが鳴った。
一気に心拍数が上がった。
「わ、まだ着替え終わってないのに……揉むのやめてっ!」
私は焦りながら悠莉の腕を振り払って、ショーツを下げて足から抜いた。
インターフォンのモニターを確認すると、そこには帽子を被った配達員らしき人物が映っている。
「白猫運送です。荷物をお届けに来ました。着払いなので代金お願いします」
「は、はーい! 今いきまーす」
私は急いでバスルームへ駆け込んで、シャワーで軽く身体と髪を濡らした。
髪をタオルで乱暴に拭いていると、私を急かすように再びピンポーンと音が鳴る。
あせあせして慌てて玄関に向かった。
「す、すみません。お待たせしました」
ドアを開けると、20代くらいの男性の配達員さんがいた。
「えー、綾瀬さんで……っ!」
荷物に目を落としていた顔を上げた瞬間、彼は息を飲むようにして目を丸くした。
私はバスタオル1枚しか身に纏っていない姿で彼の前に姿を現した……。
濡れたバスタオルが張り付いてシルエットが浮かび上がり、私の身体を強調する。厚手の生地だから乳首までは透けていないはずだけれど、配達員さんの視線がはっきりと私の胸の谷間に向かったのが分かった。
「あっ……」
慌てて視線を外した彼に向かって、私はわざとらしく上目遣いで申し訳なさそうな顔をする。
「すみません。こんな格好で……ちょうどシャワー浴びてて……急がなくっちゃて思って」
「い、いえ……えっと。えー、代金引換で2200円です。さ、サインお願いします」
明らかに動揺している彼から用紙を受けとった。
バスタオルが落ちないようにギュッと力を加えながら、もう片方の手で玄関クロークに置いてあった財布に手を伸ばす。
少し手間取ったけれど財布を開けピッタリの金額を取り出した。そのお金を配達員さんに差し出したけれど、彼の反応は鈍かった。
「……あの?」
「えっ!? す、すみません」
私が声をかけると彼はハッとしておずおずとお金を受け取った。明らかに集中力を欠いている。
原因は分かっていた。
私のおっぱいだ。
先ほどから何度も彼の視線がチラチラと私の胸の谷間に向かっているのはバレバレだった。
思春期から感じていた視線。昔はこれがどうしようもなく嫌だった。いつからか他人の視線に敏感になってしまったのは、この無駄に大きい脂肪のせいだって恨んだこともある。
でも今は、その視線を感じて「この人はきっと私の胸に興味をもってくれてるんだ」って思えて嬉しくなっていた。
たとえ性的な好奇心からくるものだったとしても、欲望という名の真実に変わりはないのだ。私だって欲望の奴隷だから男性を否定する権利はない。
「では、サインを……」
ボールペンを渡そうとする彼の手にはじっとりとした汗が滲んでいた。必死に我慢しているようだけど、チラリ……チラリ……と谷間に視線が向く。
「は、はい」
ボールペンを受け取ろうと、私はドキドキと高鳴る鼓動を感じながらそっと手を伸ばした。
今にもずれ落ちそうなバスタオルを押さえる手に力が入る。
すこしタオルがズレただけで隙間から乳首が覗いてしまうんじゃないかって意識すると、タオルを抑える手が緊張でプルプルと震えてしまう。
私の緊張が伝わってしまったのか、彼の喉仏が大きく上下した。『ゴクリ』という生唾を飲み込む音さえ聞こえた気がする。
今、私はこのバスタオル1枚しか身につけていない姿で男性の前に立っている。
名前も知らない男の人の前で……。
──あっ、ネームプレートに『佐藤』と書いてある。
今、名前を知った。
このタオルの下を見たら、彼はどんな反応をするだろうか? 私の裸を見たらこの人は喜んでくれるかな?
──この人に見てほしいな。
そう思うと身体の一部が熱を帯びてくるのが分かった。身体の奥底から甘い疼きが込み上げてくる。
でも、そんなことはしちゃダメだと理性が必死にブレーキをかけている。
裸を見て欲しいだなんて異常だと常識では分かっている。
なにより……そんなこと『恥ずかしい』……。
私は配達員さんからボールペンを受け取り、代金と荷物の受け取り証に名前を書いた。
「た、たしかに……ありがとうござ──」
ペンと紙を彼に返そうとした時、私は我慢ができなくなった。
ばさりと音がした。
「──あっ!?」
配達員の男性が驚きの声を漏らした。
バスタオルが床に落ちた。
『街を歩いているとえっちな風で女の子のスカートがめくれてパンツが見える。』
そんな神様から与えられたような偶然をラッキースケベと呼ぶならば、悪魔と計画した必然はどう呼ぶべきなのだろうか?
「……そういえば。叔父さんから連絡あって、あのアトリエならいつでも来ていいってさ」
友人の藤崎悠莉が私に言った。今日、彼女は私のアパートへ遊びに来ていた。
「そう。じゃあヌードデッサンには困らないね……」
「あの叔父さんキモいから返事はまだしてないけど。……今度、一緒に行く?」
あのヌードデッサン教室から2週間が経っていた。大勢の人間に裸を見られた経験は、今でも鮮明に思い出すことができる。
恥ずかしさと、気持ち良さ、混ざってはいけない感情なのは分かっているけれど、あの体験を思い出す度に身体が疼き出す。
「うん。行きたいかも……」
私は迷ったけど、同意した。あんな体験は初めてだったし、またしたいという欲求があったからだ。
「でも……今日は……」
だが、今日は行けない理由があった。
なぜならば、これから荷物が届くのだ。ネットで買ったあの商品が届いたら……。私はどんな商品を買っただろうか? そんなこと、どうでもいいから思い出せない。
「そ、そうだよね。もうすぐ届くんだもんね……」
悠莉も先ほどからソワソワしている。
分かりきったことを聞いたのは、ドキドキを抑えるためだろう。
彼女もこれから届く荷物を心待ちにしているのだ。荷物は2人それぞれ別で頼んで配送業者も被らないようにしたし、時間指定も1時間ずらした。
予定では私の方が早く届くことになっている。
指定した時間は10分ほど過ぎているため、いつインターフォンがなってもおかしくない。
「ほ、本当にやるの?」
「当たり前でしょ……ここまできて何言ってるの」
私だって不安はあるけれどこれから行うことを想像すると、そんなものは興奮を引き立てるスパイスでしかなかった。
「じゃあ、私からね」
私は笑顔を彼女に向けて、服に手をかけブラまで一気に脱ぎ捨てた。
スカートを脱いでショーツ1枚だけの姿になると、悠莉がムスッとしてこちらを見つめていることに気づく。
「やっぱり、おっぱい大きい。この爆乳女……」
突然の暴言。
彼女は私のと自身の胸とを比べて恨めしそうな目を向けた。
正直、私としては蒸れるし肩も凝るし邪魔だと思っているくらいだし、少し前まではこの乳に向く好奇の視線がコンプレックスでさえあった。
「別に普通だよ……」
なんなら、スレンダーでモデル体型の彼女の方が羨ましいと思うのだ。
でも悠莉は納得していない様子で頬を膨らませた。私の胸をジッと見ていると思っていたら、おもむろに両手を伸ばして鷲掴みにしてきた。
「きゃ! 何するの!?」
「こんないやらしいおっぱいが普通なわけない!」
そう叫けぶと、彼女は罰でも与えるように私の胸を揉みしだいた。
「やめて、くすぐったい……」
「私に謝って!『こんないやらしいおっぱいでごめんなさい』って謝りなさい!」
「ご、ごめんなさい……いやらしくてすみません……」
彼女の気迫に押されてすぐに謝ってしまった。
内心、乳房を直に他人に揉まれるなんて経験は今までなかったから、いくら同性の女友達といえども恥ずかしかった。
「許さない!」
「きゅう!?」
私は驚いて素っ頓狂な声をあげた。
調子に乗った彼女は意地悪く笑って、あろうことか私の乳首を摘んで引っ張ったのだ。
「痛っ、このっ」
流石の私もムッとして、仕返しとばかりに悠莉の胸を服の上から揉もうとする。
「あれ? 胸どこ?」
「なっ! 言ったな!」
私の見え透いた挑発に彼女は乗ってきた。
それからしばらくの間、私達はお互いの胸を揉み合って戯れあった。なぜだかいつのまにか楽しくなってきゃっきゃと笑い合っていた。
すると、突然
ピンポーン
とチャイムが鳴った。
一気に心拍数が上がった。
「わ、まだ着替え終わってないのに……揉むのやめてっ!」
私は焦りながら悠莉の腕を振り払って、ショーツを下げて足から抜いた。
インターフォンのモニターを確認すると、そこには帽子を被った配達員らしき人物が映っている。
「白猫運送です。荷物をお届けに来ました。着払いなので代金お願いします」
「は、はーい! 今いきまーす」
私は急いでバスルームへ駆け込んで、シャワーで軽く身体と髪を濡らした。
髪をタオルで乱暴に拭いていると、私を急かすように再びピンポーンと音が鳴る。
あせあせして慌てて玄関に向かった。
「す、すみません。お待たせしました」
ドアを開けると、20代くらいの男性の配達員さんがいた。
「えー、綾瀬さんで……っ!」
荷物に目を落としていた顔を上げた瞬間、彼は息を飲むようにして目を丸くした。
私はバスタオル1枚しか身に纏っていない姿で彼の前に姿を現した……。
濡れたバスタオルが張り付いてシルエットが浮かび上がり、私の身体を強調する。厚手の生地だから乳首までは透けていないはずだけれど、配達員さんの視線がはっきりと私の胸の谷間に向かったのが分かった。
「あっ……」
慌てて視線を外した彼に向かって、私はわざとらしく上目遣いで申し訳なさそうな顔をする。
「すみません。こんな格好で……ちょうどシャワー浴びてて……急がなくっちゃて思って」
「い、いえ……えっと。えー、代金引換で2200円です。さ、サインお願いします」
明らかに動揺している彼から用紙を受けとった。
バスタオルが落ちないようにギュッと力を加えながら、もう片方の手で玄関クロークに置いてあった財布に手を伸ばす。
少し手間取ったけれど財布を開けピッタリの金額を取り出した。そのお金を配達員さんに差し出したけれど、彼の反応は鈍かった。
「……あの?」
「えっ!? す、すみません」
私が声をかけると彼はハッとしておずおずとお金を受け取った。明らかに集中力を欠いている。
原因は分かっていた。
私のおっぱいだ。
先ほどから何度も彼の視線がチラチラと私の胸の谷間に向かっているのはバレバレだった。
思春期から感じていた視線。昔はこれがどうしようもなく嫌だった。いつからか他人の視線に敏感になってしまったのは、この無駄に大きい脂肪のせいだって恨んだこともある。
でも今は、その視線を感じて「この人はきっと私の胸に興味をもってくれてるんだ」って思えて嬉しくなっていた。
たとえ性的な好奇心からくるものだったとしても、欲望という名の真実に変わりはないのだ。私だって欲望の奴隷だから男性を否定する権利はない。
「では、サインを……」
ボールペンを渡そうとする彼の手にはじっとりとした汗が滲んでいた。必死に我慢しているようだけど、チラリ……チラリ……と谷間に視線が向く。
「は、はい」
ボールペンを受け取ろうと、私はドキドキと高鳴る鼓動を感じながらそっと手を伸ばした。
今にもずれ落ちそうなバスタオルを押さえる手に力が入る。
すこしタオルがズレただけで隙間から乳首が覗いてしまうんじゃないかって意識すると、タオルを抑える手が緊張でプルプルと震えてしまう。
私の緊張が伝わってしまったのか、彼の喉仏が大きく上下した。『ゴクリ』という生唾を飲み込む音さえ聞こえた気がする。
今、私はこのバスタオル1枚しか身につけていない姿で男性の前に立っている。
名前も知らない男の人の前で……。
──あっ、ネームプレートに『佐藤』と書いてある。
今、名前を知った。
このタオルの下を見たら、彼はどんな反応をするだろうか? 私の裸を見たらこの人は喜んでくれるかな?
──この人に見てほしいな。
そう思うと身体の一部が熱を帯びてくるのが分かった。身体の奥底から甘い疼きが込み上げてくる。
でも、そんなことはしちゃダメだと理性が必死にブレーキをかけている。
裸を見て欲しいだなんて異常だと常識では分かっている。
なにより……そんなこと『恥ずかしい』……。
私は配達員さんからボールペンを受け取り、代金と荷物の受け取り証に名前を書いた。
「た、たしかに……ありがとうござ──」
ペンと紙を彼に返そうとした時、私は我慢ができなくなった。
ばさりと音がした。
「──あっ!?」
配達員の男性が驚きの声を漏らした。
バスタオルが床に落ちた。
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お読みいただき、ありがとうございます!少しでもエッチだと思っていただけましたら、お気に入り&感想などよろしくお願いいたします!
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