みせたいふたり〜変態美少女痴女大生2人の破滅への幸せな全裸露出〜

冷夏レイ

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1”恥辱のヌードモデル

01.始まりのヌードデッサン(哀香の場合)

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「ここだよね……」

 静かな住宅街の一角にひっそりと建つアトリエ。

 黒髪の女が扉の前で、自信なさげにオドオドしていた。

 3週間前、この女は地方から大学進学のため都心に引っ越してきた。1◯歳の大学生。

 女の名前は綾瀬哀香あやせ あいか

 つまり、私。



「よかった……間に合った」

 我ながらよくここまで1人で来れたと思う。

 慣れない交通機関に戸惑って時間ギリギリでなんとか到着。

 遅刻するかと思って走ってきたから、ばるんばるんと胸は揺れ、ドキドキと動悸していた。

 おっぱいが大きいのが思春期からのコンプレックスだった。重いし、視線は感じるし、恥ずかしいし、メリットなし。

 地味な長袖ブラウスと丈の長いスカートは、目立ちたくない精神の表れ。なのに自己主張が激しい胸の脂肪が、シャツを押し上げる。

 そんな、私はこのアトリエでモデルの仕事を頼まれていた。

 ちなみに、これが人生初のアルバイト。

 親が厳しくて勉強か、習い事か、の二択しか放課後やらせてもらえなかったから、世間知らずの自覚あり。

 でも、私だってもう大学生なのだから1人でなんだってできる……はず。このバイトは自分を変えるための第一歩……かも。自信は……ない

 バイトの内容は『美術のデッサンモデル』らしい。初めての経験だからちょっと緊張している。

 我ながら引っ込み思案だと思う。これまでの人生で人前に立つのを極力避けてきたタイプの人間なのだ。

 そんな私にモデルなんて務まるのだろうか? 

 不安が増加中で、憂鬱成分の割合多め。
 
 それに実はあまり乗り気じゃない。自分で選んだバイトではなくて、突発的に決まった仕事だったのだ。

 嫌々ってわけじゃないけど、積極的ってわけじゃない……っていう中途半端な気持ち。

 なのにここにいるのは『友達に頼まれた』っていうありふれた理由があるから。

 あれは昨日の事だった……。


***


 いつもと同じ大学のベンチで本を読んでいると、女友達の藤崎悠莉ふじさき ゆうりが声をかけてきた。

「ねぇ!」

 悠莉は、すらっとしたモデル体型で、ボーイッシュって表現が似合うカッコいい系の女子。ショートカットのくすんだ金髪を小さく揺らす勝気な子。

 おとなしくて根暗な私と違って、明るく社交的。育ちのいいギャルって雰囲気。

 そんな、性格は正反対の彼女だけど、不思議と気が合った。最近は2人っきりで遊びに行ったり、キャッキャとお泊まりするほど仲良し。

 悠莉は私を発見した途端、ぱあっと嬉しそうな表情を浮かべて駆け寄ってきた。

「哀香! 明日、暇?!」

 突然の質問に戸惑った。

「えっと……特に予定はないけど」

 深く考えずに答えると彼女は目を輝かせた。

「じゃあさ! 私の代わりにバイトしない?」

「バ、バイトって……何するの?」

「哀香にぴったりの仕事なの。美術のデッサンモデルだよ!」

「デッサン? 美術ってよく分からないし……それにモデルなんて……」

「大丈夫! 立ってるだけでいいらしいから。私ね、急用で行けなくなっちゃって」

「え、うーん……」

 どうやら彼女の親戚の叔父さんが運営しているアトリエでの仕事らしい。やだなぁ人前に立つなんて……と、その時は思った。

「おねがーい! このとおり! ぜひあなたにやって欲しいの! お願い! お願い!」

「でも……」

「哀香がやってくれなきゃダメなの! でなきゃ私……困っちゃう。ね? いいでしょ?」

「……」

「……ダメ?」

「……わかった、いいよ。私なんかで良ければ手伝わせてもらうよ」

 彼女の勢いに押されて断りきれず、軽い気持ちで了承してしまった。

 それは、なんの伏線にもならない、ありふれた会話……だと思っていた。


***


 そんなわけで今、このアトリエにいる。

 ここまで来てしまったからには、引き返す方が面倒かも。それに、初めてのバイト代で何を買おうかなっていうささやかな楽しみも生まれていた。

 これが私の初仕事! っていう大人ぶったドキドキ感でドアをノックすると、すぐに中から男性の声が聞こえてきた。

「はーい。お待ちしてました」

 扉が開くと背の高い男性が立っていた。年齢は20代後半ほど。

「あ、こんにちは。モデルをさせていただく綾瀬です。本日はよろしくお願いします……」

「こちらこそよろしくね。早速、準備を始めようか、開始時間を過ぎてて生徒さんも待ってるから」

 ──え、過ぎてる?

 確かに思っていたより遅れてしまったけれど、集合時間には間に合ったはず……? 疑問に思った。でも、挨拶をした男性はニコニコと微笑んでいたから、深く考えずにペコリと頭を下げた。

 彼に案内されて、新築の香りが残る小綺麗なアトリエの中を進んで行く。

 途中、ガヤガヤと雑談の声がする部屋を通り過ぎた。

 数人の男性達が談笑しているのがチラッと見えた。私をモデルに絵を描く人たちだ。

「あのぅ生徒さんは何人ほど、いらっしゃるんですか?」

「えー15人ですね」

「あ、意外と大勢なんですね……」

「大丈夫だよ。自然体でいてくれればいいから」

「は、はい。頑張ります」

 私の緊張を見透かして、彼は優しく微笑んでくれた。優しい人だと思ってほっとした。

「ここで着替えてもらえるかな」

 通されたのは小さな更衣室だった。ロッカーがひとつ置かれているだけの簡素な作り。

「服はその籠に入れて。終わったら声をかけてくれればいいから。じゃあよろしく」

 それだけ言って彼はそそくさと部屋を出ていこうとする。

「え? あ、あの……待ってください」

 ふと疑問に思って彼の背中に声をかけた。

 着替えてと言われたのにロッカーには何も掛かっていないし、籠は空っぽだったのだ。

「なにかな?」

「い……衣装とかってどこにあるんですか?」

「衣装?」

 彼は不思議そうな顔をして言葉を聞き返した。ポカンとした表情。何か変な事を言ってしまったんじゃないかと不安になる。

「あ、私服のままでいいのでしょうか……?」

「は?」

「え?」

 何か重要な事実が噛み合っていない。

 とても恐ろしい出来事への予兆のようで、心がざわざわした。

 そして、彼は平然と衝撃的な言葉を口にした。

「裸なんだからいらないでしょ?」

「えっ……ふぇ!?」

 一瞬で思考が停止して、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。

「なに驚いてるの? ヌードデッサンのモデルなんだから、全裸なのは当然ですよね?」

「えっ……え!? ヌード……? 裸って服を脱ぐって意味ですよね!? 」

「はい。そうです」

 当然だろ? 何言ってんだお前? って彼の目を見て背筋が凍った。

 この人は何を言っているの???

 たしかに『裸婦画』ってモノが美術館とかにあって、美術の教科書や資料集で見た記憶はあるけれど……それを私が? 今から? ここで?

 頭が真っ白になった。

 なのに彼は私の動揺などお構いなしの様子で、あとは勝手に着替えろと見捨てるように、部屋から去ろうとする。

「では。皆さんお待たせしておりますので、よろしくお願いします」

 急かす様に促されて、ハッとした。

「え、あ、あの、私……ヌードなんて出来ません! 聞いてません!」

 慌てて言い訳をすると、振り返った彼はあからさまに不機嫌な顔に豹変していた。

「はぁ? 今さら何いってんの? 」

「友達に誘われて来ただけで……ヌードモデルだなんて知らなくて……人前で裸になるなんて……」

 ごにょごにょと黙り込んだ私に向かって、再び「はぁ?」っと息を吐いた彼は、侮蔑の感情を隠さずに語気を強めた。

「聞いてないで済まされないでしょ! こっちは時給払うんだから。とりあえず早く脱いで下さい。ほら、急いで。みなさん待たせてるんだから、早くして!」

 彼は私を突き放して、要求を突きつけた。冷たい口調。人当たりの良さそうだった彼はもういない。

「そ、そんな。いきなり言われても……」

「なに? 金? 立ってるだけで数万円も貰えると思ったの? 遅れたくせにゴネて報酬上げるつもり?」

「ち、違います。そんなつもりじゃ……」

 ──え? 脱ぐの? 私が? 人前で? 嘘だよね?

 心の準備なんて整うはずがなかった。

 ぐるぐると頭の中で思考が渦巻いて、硬直する私。男性の目が、どんどん冷ややかになっていく。

 やがて彼は呆れて、ため息をついた。

「はぁ……じゃあ、帰ります?」

「え、いいん……ですか?」

 バン! っと壁が叩かれた。

「ダメに決まってるだろ! でも無理やり脱がすわけにはいかないしさぁ。 軽い気持ちで仕事受けるなよ。めんどくさいなぁ」

「す、すみません……」

 罵声と冷徹な視線が浴びせられ、ビクッとした。大きい声に驚いて涙が出そう。帰れるならすぐにでも帰りたい。走って逃げ出そうかとも思った。

「これだから、学生は……」

 男性のあきらかに軽蔑する目つきで呟いた言葉が、グサリと心に刺さった。

 たしかに私は世間知らずの学生かもしれなくて、これが初めてのバイトだ。でもお金をもらうっていう責任の重さは感じるし、ドタキャンがいけない事だっていうのは分かっている。

 でも、何をすれば許してくれるのか分からず、ただ立ち尽くす。慰めが欲しくてオロオロしても、誰も助け舟を出してはくれない。

 気まずい沈黙で針のむしろにされていると、隣の部屋から声が聞こえてきた。

「先生ー! まだー?」

「はい! すぐ行きます!」

 急かされた男性は大声で返事をすると私の方に向き直った。

「君、もういいよ。さっさと帰って。説明しなきゃいけないから」

 まるで邪魔な虫を追い払うみたいな仕草で手をはらった。彼には焦りと苛立ちが浮かんでいる。

 とても気まずかった。

「この件はちゃんと抗議するから。当然、お金は払わないからね。いいね?」

「え、あ。はい……」

 お金なんていらない。帰りたい。

 でも、お願いしてきた友達の顔、事情を知らずに待っている人たちが浮かんだ。

 ──私のせいで迷惑がかかるんだ……。

 元はと言えば内容も確認しなかった私の安請け合いが悪いのかもしれない……。

 ──私が脱げば……私だけが恥ずかしい思いをすれば……迷惑はかからないのかな?

 もう私も1◯歳なのだから大人としての責任を取らなければいけない。もう子どもじゃないんだから。

 早く何か言わなきゃ……。

 後から考えれば自責の念と焦りで、おかしくなっていたと思う。

「……あのあの、えっと」

「なに?」

 ──これは仕事なんだ。いやらしい目で見てくる人なんていないはず……。

 意を決して、口を開く。一瞬で喉がカラカラになってゴクリと唾を飲み込んだ。

「あ。や、やります……。ヌードモデルのお仕事……」

 私は言ってしまった。

 自分の口から出た言葉をうまく理解できていない。

 どうやら私は服を脱ぐことになった、らしい……?

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