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ヴァルハラ
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(指一本、動かせねェ……)
男は、死を迎えようとしていた。
(でもこれで、俺もヴァルハラへ行ける……)
ヴァルハラ。戦場で勇敢に戦い、そして戦死したものだけが行けるとされている、ゲルマン神話の天国である。
(羽根兜の女が近づいてくる。ヴァルキリーのお出迎えだ)
主神オーディンの遣い、ヴァルキリー。戦死者の霊をヴァルハラへ導く存在である。
「男よ。あなたはヴァルハラに選ばれました」
「へへ。ありがたいことだぜ。お、普通に喋れるな。あんたも見えるし、そういうことか」
「そういうことです。あなたは死にました。……さて」
こほんと咳払いするヴァルキリー。
「なんですか、あのなっさけない死に方は! あんなラッキーヒットの直撃で死亡とか、あなた本当に使えませんね」
(え、ええ~っ!? 開幕暴言!?)
唐突なディスに、うろたえる男。
「いや、ちょっとその言い方はなくね!? 俺、歴戦の猛者よ!?」
「あなたみたいのを、無駄に歳を重ねたっていうんです。いいですか、これはあなたのためを思って言ってあげてるんですよ?」
「なんだよ! なんでそんな、なじるんだよ! あんた本当にヴァルキリーか!? いいから、さっさとヴァルハラに送れよ!」
男も、やってられるかとばかりにキレる。
「ヴァルハラなら、すでにやってますが?」
「へ? やってる? 行くの間違いじゃないのか」
「いいえ。ちゃんとヴァルキリー・ハラスメント。略してヴァルハラを行っているでしょう」
「ギャフン!」と、男はなんとも言えない声を上げた。
男は、死を迎えようとしていた。
(でもこれで、俺もヴァルハラへ行ける……)
ヴァルハラ。戦場で勇敢に戦い、そして戦死したものだけが行けるとされている、ゲルマン神話の天国である。
(羽根兜の女が近づいてくる。ヴァルキリーのお出迎えだ)
主神オーディンの遣い、ヴァルキリー。戦死者の霊をヴァルハラへ導く存在である。
「男よ。あなたはヴァルハラに選ばれました」
「へへ。ありがたいことだぜ。お、普通に喋れるな。あんたも見えるし、そういうことか」
「そういうことです。あなたは死にました。……さて」
こほんと咳払いするヴァルキリー。
「なんですか、あのなっさけない死に方は! あんなラッキーヒットの直撃で死亡とか、あなた本当に使えませんね」
(え、ええ~っ!? 開幕暴言!?)
唐突なディスに、うろたえる男。
「いや、ちょっとその言い方はなくね!? 俺、歴戦の猛者よ!?」
「あなたみたいのを、無駄に歳を重ねたっていうんです。いいですか、これはあなたのためを思って言ってあげてるんですよ?」
「なんだよ! なんでそんな、なじるんだよ! あんた本当にヴァルキリーか!? いいから、さっさとヴァルハラに送れよ!」
男も、やってられるかとばかりにキレる。
「ヴァルハラなら、すでにやってますが?」
「へ? やってる? 行くの間違いじゃないのか」
「いいえ。ちゃんとヴァルキリー・ハラスメント。略してヴァルハラを行っているでしょう」
「ギャフン!」と、男はなんとも言えない声を上げた。
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