デス・トレード

みなはらつかさ

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デス・トレード

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「この人の代わりに、こいつが死ねばよかったのに」

 自室で缶チューハイをやりながら、SNSの殺人事件のニュースに引用をつけて送信する女。

「ほう、その様にお思いで?」

 突如その様な声が、背後から聞こえ、振り返ると、いかにも死神ですといった感じの、大鎌持ちのフードローブ骸骨が立っていた。

「ひえっ!?」

 驚いて、缶チューハイを取りこぼす。

「ああ、警戒しないで。あなたにその力を差し上げましょう」

「……え? アタシ酔ってんのかな?」

「ははは……現実ですよ。で、いかがです?」

 死神の真っ暗な眼孔からは、意図が読み取れない。

「マジなら、その力くれる?」

「では、契約成立ということで」

「ねえねえ、次、どんな人が殺されるの?」

 酒の力も手伝ってか、強気だ。

「○○県××市の、何の罪もない親子ですよ」

「じゃあ、その二人助けて!」

「お安い御用で」

 ○○県××市で、歩道を歩いていた親子を、轢き殺す予定だった自動車が電柱に激突し、親子は死を免れた。

「でさ、次は誰が人殺すの?」

「あなたに決まってるじゃないですか」

「あ」

 理解したときには、女は絶命していた。続いて、○○県××市の事故車ドライバーも死んだ。

「これで、二対二の取引トレード。願いが叶ってよかったですね」

 死神は霞のように消え。あとには女の死体が残るのみであった。
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