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4 マンモロ大好きな彼女
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「あたしさー、マンモロめっちゃ好きなのよねー」
会社の同僚である友人と私の家で女二人の宅飲み中、相当酔いが回ったのか、相方がビール片手にとんでもないことを言い出す。
唐突かつぶっ飛んだ発言に思わずむせ、ビールをぶほっと吹き出してしまった。
「ちょっとー、だいじょーぶ?」
いや、お前が大丈夫か。
「あんたは、マンモロって好き?」
「好きなわけないでしょ!? 好きだったら明らかにおかしいでしょ!」
「へ? あー、そっか。マンモロ未経験だからそんなことゆーんだなー」
何を一人合点したのやら、うんうんと頷く彼女。
「いやいやいやいや! 経験したら、人としておしまいでしょ!」
「ええ……イタリアの人に失礼じゃない?」
いや、こっちがええ……だよ! イタリアってそんなマンモロ率高いの!?
「よし! あんたも一度試してみなよ! 今度、一緒にやろう!」
はあッ!? いや、ちょっと待って。何ナチュラルにぶっ飛んだこと言ってんの、この人!
「あ、そうだ。せっかくだから、どんなもんだか画像見る?」
嬉々としてスマホをいじり始める彼女。
「出てきた、出てきた。ほら、これなんだけどさ」
「いやいやいや! 見せなくていいです! ひいいいいいい!」
画面を見せようとしてくる彼女から必死に身と視線を逸らす。
「えー? 何でそんなに嫌がるかなー。なんか、意地でも見せたくなってきたぞ」
悪ノリは彼女の悪癖の一つだ。嫌がる私に、無理やりスマホを押し付けてくる。
一進一退の攻防が続き、ついに力負けして画面を直視するはめになってしまった。そこに映っていたのは……。
ワインボトル。
「へ? ナニコレ?」
「だから、マンモロだって。ラベルにそー書いてあるっしょ。イタリアのワインだよ」
たしかに、ラベルには「MAMMOLO」と書かれている。
自分の最低な勘違いに気づき、顔から火を吹きそうになってしまう。
「あんた、顔真っ赤じゃん。飲み過ぎじゃない?」
「ダイジョウブ。ナンデモナイデス……」
恥ずかしさが限界突破した私は、ロボットのようにカクカクとした喋りで返す。明らかに様子がおかしくなった私に首を傾げつつ、飲酒を再開する彼女。
私も、羞恥心を上書きするようにビールを一気飲み! あー、もう! ホント恥ずかしい!
なんだかへんてこな空気のまま、しばらくして今日の飲み会はお開きとなりました。
追記。後日彼女に飲ませてもらったマンモロ、とても美味しかったです。
会社の同僚である友人と私の家で女二人の宅飲み中、相当酔いが回ったのか、相方がビール片手にとんでもないことを言い出す。
唐突かつぶっ飛んだ発言に思わずむせ、ビールをぶほっと吹き出してしまった。
「ちょっとー、だいじょーぶ?」
いや、お前が大丈夫か。
「あんたは、マンモロって好き?」
「好きなわけないでしょ!? 好きだったら明らかにおかしいでしょ!」
「へ? あー、そっか。マンモロ未経験だからそんなことゆーんだなー」
何を一人合点したのやら、うんうんと頷く彼女。
「いやいやいやいや! 経験したら、人としておしまいでしょ!」
「ええ……イタリアの人に失礼じゃない?」
いや、こっちがええ……だよ! イタリアってそんなマンモロ率高いの!?
「よし! あんたも一度試してみなよ! 今度、一緒にやろう!」
はあッ!? いや、ちょっと待って。何ナチュラルにぶっ飛んだこと言ってんの、この人!
「あ、そうだ。せっかくだから、どんなもんだか画像見る?」
嬉々としてスマホをいじり始める彼女。
「出てきた、出てきた。ほら、これなんだけどさ」
「いやいやいや! 見せなくていいです! ひいいいいいい!」
画面を見せようとしてくる彼女から必死に身と視線を逸らす。
「えー? 何でそんなに嫌がるかなー。なんか、意地でも見せたくなってきたぞ」
悪ノリは彼女の悪癖の一つだ。嫌がる私に、無理やりスマホを押し付けてくる。
一進一退の攻防が続き、ついに力負けして画面を直視するはめになってしまった。そこに映っていたのは……。
ワインボトル。
「へ? ナニコレ?」
「だから、マンモロだって。ラベルにそー書いてあるっしょ。イタリアのワインだよ」
たしかに、ラベルには「MAMMOLO」と書かれている。
自分の最低な勘違いに気づき、顔から火を吹きそうになってしまう。
「あんた、顔真っ赤じゃん。飲み過ぎじゃない?」
「ダイジョウブ。ナンデモナイデス……」
恥ずかしさが限界突破した私は、ロボットのようにカクカクとした喋りで返す。明らかに様子がおかしくなった私に首を傾げつつ、飲酒を再開する彼女。
私も、羞恥心を上書きするようにビールを一気飲み! あー、もう! ホント恥ずかしい!
なんだかへんてこな空気のまま、しばらくして今日の飲み会はお開きとなりました。
追記。後日彼女に飲ませてもらったマンモロ、とても美味しかったです。
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