たくげぶ!

みなはらつかさ

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第四十五話 にこの誕生日!

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「いや~、あれから大変だったよ。お父さんたち、完全にできあがっちゃって」

 Zoomで、ため息をつくリーダー。両親ともにへべれけで、階段を登らせるのは危なかったため、客間の布団に寝かせてある。

「できあがる? なにか、完成しましたか?」

「あー。あーいう感じで、酔っ払って上機嫌な状態を、出来上がるっていうんだ。ノヴァ子も大変だったんじゃない?」

「ふらふらして、危なかったです」

 一同苦笑。このZoomは、現在にこ抜きで行っている。

「本題に入ろう。にこちんのプレゼント、何にしようか」

「わたしも、それとなく好みを尋ねたんですけど、面白ければなんでもいいとのことでした」

「だよねえ、にこちんは」

 唸る四人。好みが幅広すぎるのも困りものだ。

「逆に考えるんだ。面白ければ、本当になんでもいいのさって考えるんだ」

 ジョジョのパロディを唐突に披露するきいろ。

「にこちゃんがいたら、どうした急にって、ツッコまれるね、今の」

「はは。まあ、それはさておき。四人で候補一つ出してさ、じゃんけんで勝った人の買おうよ」

「それ、いいですね!」

「わたしも賛成です」

「私も」

 三人、好感触。

「それじゃーねー……」

 最新ゲームを調べ始めるリーダーたちであった。


 ◆ ◆ ◆


「ただいまー」

「おじゃましますー」

 当日。にこが、るうとノヴァルナを連れて自宅に戻る。

「おふぁへり」

「きいろは、食べるか喋るかどっちかにしろ」

「んぐ……。おかえり」

 にこちんも、おかんルートかなあ、などと思うきいろ。

 とはいえ、にこの目下のお相手は……。

「そういば、るーことはもう、自宅デートしてるのかと思った」

「あー……。まだなんだ、親父たちにカムアウトするのもちょっと気が引けて……。ノヴァっちみたいには勇気でねーや」

 ちなみに、当の両親は、ともに仕事中。

「先輩……。だったら、わたしのうちで自宅デートしましょう! 先輩のこと、打ち明け済みです!」

 おおっと! 工藤選手、ここでシュート!

「お、おう。じゃあ今度、よろしくな」

 これは、るうがペース握るねー。と、にやにや顔を見合わせる、きいろと歌留奈。

「ま、積もる話は、ケーキでも食いながらしようや」

 冷蔵庫から、ホールのショートケーキを取り出し、置くと、四人のハッピー・バースデイ・トゥー・ユーをBGMに、ろうそくを十四本立て、ライターで点火。

「じゃ、いくぜー!」

 ふうっと火を吹き消す。

「お誕生日、おめでとー!」

「あんがとなー! 十四歳になったぜー!」

 Vサイン。ケーキを切り分ける。

「五等分って、難しいな」

 苦戦しながらも、成功!

「いただきます!」

 紅茶をお供に、ケーキを食べながら歓談。

「おじさまたち、二人のこと認めてくれると思うけどなあ」

「アタシもそう思いたいけど、万が一別れろとか言われたらと思うと……」

 にこ、こう見えて、案外奥手なようだ。

「んー。にこちゃんちのことだから、私たちが口出す問題じゃないしねー」

「え!」

 リーダー、介入する気満々だったようだ。

「おまえ、ほんとデリカシーないのな」

「うにゅう……」

「まあまあ、楽しいお誕生会ですし、わたしは平気ですから」

 そう言って、美味しそうにケーキを食べる、るう。

「苦労をかけるねえ……」

「なはは。時代劇みたい」

 リーダー、相変わらず空気を読まない。もはやツッコミを、皆諦めたようだ。

「さーて、にこちんへのプレゼントだよ~。ズバリ! クトゥルフ第七版!」

「うお! 新しいやつか!」

「そだよー。るーこと末永く楽しんでね!」

「ありがとうなー!」

 るうも真っ赤だ。じつは、これをチョイスしたのは彼女。るうはまだ、にこのホラー苦手を知らないが、溝も埋まっていくことだろう。

「しかし、高いな、これ。よく買ってくれたなあ……」

「にひひ。お年玉をいっぱいもらったからね!」

「悪いなあ。この埋め合わせは、絶対するから!」

 義理堅いのが、にこの徳。

「うん。無理しなくていいけど、楽しみにしておく!」

 きいろとにこ、ハイタッチ。美しきかな、女の友情。

 シナリオはすぐにはできないので、リーダーとノヴァルナのヘボ将棋を観戦。

 ド素人同士、ある意味とてもいい戦いになった。

「じゃ、そろそろ帰るねー」

「おーう、二人は送っていくぜ」

「そのまま、るーこのおうちにお邪魔しちゃえばいいのに」

「お前ねえ……」

 リーダー、どこまでも野暮天である。ため息をつき、靴を履くにこであった。
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