たくげぶ!

みなはらつかさ

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第二十八話 歌留奈の誕生日!

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「ノヴァちゃん。私、一週間後誕生日なの。そういえば、話してなかったなーって」

 部室で、不意に切り出す歌留奈。

「オー! それは、お祝いですね!」

「うん。うちでパーティーやる予定なんだー。きーちゃんちほど、広くないけどね」

「ノヴァっちも、一緒に誕生日プレゼント買おうぜ」

 にこも、話に混ざってくる。

「かるかんー、なんか欲しい物ある?」

「んー。卓上ゲーム……猫グッズでもいいよ」

「りょーかーい!」

 リーダー、しゅびっと敬礼。

 本日は、ウィングスパンなどして解散となった。

「で、何買う?」

 夜。歌留奈抜きで、四人でZoom。

「通販で買えるものがいいよな」

「だね。ボクのときもそうだったんでしょ?」

「うん」

 にこときいろが、中心となっているようだ。

「あの、質問なんですけど、奥野先輩って、どういうゲームが好みなんでしょう?」

「んー……。割と雑食だけど、ストーリーもの好きかな」

「すると、やっぱり、TRPGでしょうか?」

 小首をかしげ、思案するるう。

「あの、ワタシは猫グッズがいいと思います」

「そっちもありだねー」

「いっそ、両方ってどうよ?」

 にこが、そんな提案をする。

「予算、足りるかなー」

「そこはなんとか。よし、ボクんちペットショップ近いし、何か見繕ってくる! 三人は卓ゲをお願い」

「りょーかーい!」

 こうして、方向はまとまった。

 誕生日当日。

 きいろとにこが奥野家でくつろいでいると、歌留奈がるうとノヴァルナを連れて帰宅した。

「おかえりー。自分ちと思ってくつろいでくんなー」

「にこちゃんは、くつろぎすぎ」

 歌留奈、苦笑。

「ほかふぇり~」

「きーちゃんは、喋るか食べるか、どっちかに」

「んぐ。お母さんみたいなこと言うねー」

 将来、おかんキャラ確実だなー、とか思うきいろであった。

「じゃあ、ケーキ持ってくるね」

「あの、ご両親は? ご挨拶がまだだなって」

「あー。うち、共働きだから」

 るうの質問に、そう答える。

「じゃーん、抹茶ケーキでーす」

 抹茶ケーキ一ホールを、テーブルに置く歌留奈。

「おお~、美味しそう!」

「ろうそく立てるね」

 きいろがよだれを垂らしそうだが、まずはろうそくを立て、点火する。

「じゃあ、いくよー!」

 勢いよく吹き消す。

「誕生日おめでとー!」

「ありがとう!」

 一同から、拍手とともに祝福され、照れる本日の主役。

 ケーキを取り分け、皆で食べる。

「おいしー!」

「良かった。美味しいよね、コージーコーナー」

 そして、間もなくお渡し会。

「ボクからは、これ」

 猫じゃらしをプレゼント。

「なんか、ベタでごめん」

「ううん! 嬉しいよ! 後で遊ぼうねー、彦太郎」

 飼っている白猫が、にゃあと返事する。

「で、アタシらからはこれ。現場は安全っていったじゃないですか! っていうカードゲーム」

「あの、現場猫と電話猫のカードゲームなんですよ」

「へえ!」

 現場は安全っていったじゃないですか!~仕事猫&電話猫カードゲーム。るうの説明は少し誤りで、現場猫ではなく、仕事猫である。

 ヨシ! カードを集めるのが目的。特殊カード(「どうして」)などを引いてしまうと、ヨシ! カードを捨てなくてはならない。

 役によって、ボーナス点がつくというのが味噌。

「ありがとう! みんなで遊ぼうね!」

「さっそくやってみねえ?」

「いいね!」

 みんなでルール確認。

「ヨシ! 大体覚えた!」

 猫のゲームとあって、歌留奈、やる気満々。

 ゲームは進んでいき……。

「あー!? どうして……」

 どうしてカードを引いてしまった歌留奈。

「これ、引き際が肝心っぽいですね。わたしはこれでやめときます」

 歌留奈の惨状を見て、みんなベタ降りしていく。

 結局勝ったのは……。

「なんだかすみません」

 るう!

「おめでとー。悔しいなあ。もっかいやろ。彦太郎、勝利の神として膝にお乗り」

 ポンポン膝を叩くと、猫がちょこなんと乗る。

「よーし、これで勝った!」

 こんな感じで、続いていき……。

「むう。一回も勝てなかった~。頼りないぞ、彦太郎」

 彦太郎、素知らぬ顔でグルーミング。

「まあまあ。そう言う日もあるって。じゃあ、かるかん。ボクら、そろそろ帰らないと」

「るうちゃんとノヴァちゃんは、学校まで送っていくね」

 一同、外に出る。

「きれいな夕焼け……」

 夕焼けが、とても美しい秋空。

 明日はきっといい天気だな、と思う歌留奈であった。
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