たくげぶ!

みなはらつかさ

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第二十七話 バカ炸裂・賢さ発揮・テストプレイ!

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「いや~。昨日、外国の人に道案内する羽目になっちゃってさ……」

 きいろが、部室でそう切り出す。以下、彼女の回想。

 道を歩いていると、なにやら、手書きの地図を見せて、道を訪ねてくる外国人。T霊園に行きたいらしい。

 ところが英語で話しかけられ、英語が苦手なきいろはちんぷんかんぷん。

 ただ、父がやっているゲームで、一つだけ知っていた単語がある。

「T・グレイブヤード!」

 びっと、大雑把な方角を指差し伝えると、外国人は礼を言って去っていった。さすがにきいろにも、サンキューぐらいわかる。

「……とまあ、こうしてボクはピンチを切り抜けたのですよ! いや~、ボク賢い!」

「いや、賢かったら、よどみなく答えられたと思うよ?」

「かるかん厳しいなあ。テンパりながら、精一杯切り抜けたのに」

 口をとがらせ、カードをシャッフルするリーダー。

「MTG用語だっけ。きいろは、それやらんの?」

 マジック・ザ・ギャザリング。略称MTG。トレーディング・カードゲームの元祖といえる存在である。大変面白いゲームなのだが……。

「あれはお金がかかりすぎるから、お父さんだめだって。でも、カード借りて、何回か対戦したことあるよ」

「へー、いいなあ」

 羨ましがる、にこ。

「ああいう、システマチックな作品いいよねえ……」

 きいろ、うっとり。

「わたし、やってみたいです」

「ほんとだめらしいよ。万単位でお金が飛ぶって」

 それを聞いて、すくみ上がる一同。

「私たちは、大人しくUNOとかでいいや」

「だね」

 カードを配り、UNO開始。

「そーいやきいろよ。戦闘周りのルール、あれからどうなってる? 黄の6」

「んー? とりあえず、敵の回避は基本ゼロにしようと思って。黄のスキップ」

「どうしてですか? 青スキップ」

 にこ、少し考え。青4。

「んー? るーこ、照準定まった銃から、敏捷さで逃げられると思う? 赤4」

「無理ですね」

「でしょ? じゃあ、目標値上げる方法、遮蔽物しか無いよねって」

 歌留奈、小考して。

「色々考えるねえ。赤5」

「ふふん。ボク、バカだけど賢いのが取り柄だから!」

 るう、赤ドロー2。

「オー、きついです!」

 ノヴァルナ、引き撃ちドロー4で緑宣言。

「うげ。きっついなあ。まあ、戦闘周りも着々と進んでるよ」

 こうしてゲームは進んでいき……。

「勝ちましたー!」

 ノヴァルナ、一同から拍手を受ける。

「秋が終わるまでには、一応形にしたいね」

「うん。がんばる!」

 歌留奈の言葉を受け、気合が入るリーダー。

「また、ボクんちに集まらない? 今週中には、ざっくり遊べる程度にはする!」

 拳を握るリーダーに向けて、「おお~!」と声が上がる。

「今週中とか大丈夫?」

「頑張る!」

 こんな感じで部活は進み、解散。そして、土曜。

「というわけで、試作品をプレイしてみたいと思います!」

 おなじみ、佐武家客間。テーブルを囲み、一同拍手。

「これが、キャラクターシートね。で、ルール」

 きいろが、紙束を配っていく。

「えーと? 極上げと均等振り、どっちも対応だったな。アタシは、器用極振りガンマニアスタイルだぜ~」

「じゃあ、私は知力上げてみるね」

「じゃあ、わたしは均等に振ってみます」

「では、ワタシが接近戦係ですね」

 わちゃわちゃと、キャラを作っていく。

「でけた!」

「ちょっと拝見~。うん、にこちんのキャラも、問題なし! じゃ、始めてみよう~。君たちの探検隊は、ロレック王子から命を受け……」

 ゲームは進んでいく。

「鼻で歩いてる、変な生き物を見つけたよ」

「あ! 鼻行類! 出してくれたんだ~。捕まえる?」

「警戒心はないみたいだよ。でも写真撮って博物誌書くだけでも、報酬もらえる」

 眼の前の珍生物を、どうしようかと相談する一同。きいろは、充足感をもってその光景を眺めながら、茶を一服。

 ゲームデザイナー、冥利に尽きる。

 ゲームは進み……。

「おっと、ここでアーク語が聞こえるよ。アークの探検隊が、野営しているらしい。食事中だね」

「相手の武器、わかるか?」

「ピストルが、それぞれの腰に」

 自作シナリオを見ながら、回答する。

「ワタシ、気づかれないように近づいてみます」

「がんばー!」

 しかし、判定失敗!

「おっと、枯れ枝でも踏んだかな。戦闘開始~!」

 戦闘……終了。

「おっかねー。銃おっかねー!」

「このゲームの銃は怖いよー。近接はほとんどネタ武器だね」

「ネタ? お寿司の話ですか?」

「んー、あんま役に立たないってこと!」

 「オー……」と落ち込む、ノヴァルナ。

「まあ、デザイナーとしては、色々試してくれてありがたいよ」

「そう言ってもらって、良かったです」

 こうして、一同は敵のボスと遭遇。能力、FPともに高かったが、なんとか勝利。

 戦利品、エナジスト(エネルギー効率が非常にいい鉱石)を手に入れる。

「ほい。こんな感じで、報酬でーす」

 一同に、物資とCPが与えられる。

「レベリング~」

 上機嫌で、能力を成長させるプレイヤーたち。

「で、どうだった?」

「もうちょっと、接近戦強くならないですか?」

「んー。銃の方が、はるかにおっかないからねえ」

 感想会。

「ん。問題点も洗い出せたし、さらなるバージョンアップにご期待~!」

「おー!」

 こうして、初テストプレイは、まずまずの結果に終わった。
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