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第二十五話 パジャマパーティー、再び! ―中編―
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「今日は焼きそばよ!」
「やったー! ヤキソーバ!!」
母の言葉に、歓喜するきいろ。今までを見てわかるように、彼女は焼きそばが大好物だ。
しかも、今日は佐武家名物・具沢山焼きそば!
「オー……具がたっぷりですねー」
「きいろのかーちゃんの焼きそばは絶品だぜ」
「いただきまーす!」
一同、焼きそばを食む。豚肉を中心に、人参、もやしなど入った、具だくさん焼きそば。
食べざかりの子供たちに、これはありがたい。
「おかーさん、おかわり!」
「よく食べるわねえ」
「育ち盛りだもーん」
その割には、実が伴っていないリーダーであるが。
成長期はあと一年ある。頑張れ。
ともかくも、皆ごちそうさま。食器を洗って歯を磨き、再び客間へ。
「エクスプだけどね」
きいろの切り出しに、一同の視線が集まる。
「物資の使い道思いついた。まず、武器の購入。最初は、ピストルぐらいしか持てないけど、パーティーが育つと、いいのが持てるようになる」
「なんだか、当たり前過ぎて、今までスルーしてたアイデアだな」
「うん。あとは、医薬品でFP上げたりとか」
皆、うなずいて茶を飲む。ちなみに無意識に相手と同じ行為をするのはミラーリングといって、波長が合っているときに出るもの。一同、気が合っているということだ。
「なんか、いろいろ使えそーだな」
「そだね。WW1の時代なら、場合によっては土木作業機なんかも、同行させられるかも」
「さすがに、探検って雰囲気じゃなくなるな、そりゃ」
「じゃー、やめとこう」
こんな感じで、話し合うことしばし。
「お風呂できたわよー。入っちゃいなさーい」
というわけで、お風呂タイム。光景は、各自のご想像にお任せする。
「いいお湯だったね~」
最後に上がったリーダーが、頬をほんのり桜色に染め、牛乳片手に着座。
すでに、みんなパジャマだ。
「寝る前に、何かゲームやりたいね」
「きーちゃん、ちょっといい?」
「なんぞ?」
「いいから」と、歌留奈に連れ出されるきいろ。そして、リビングで耳打ち。
「るうちゃん、にこちゃんの事好きなの気づいてた?」
「ん? ボクらみたいにでしょ?」
「そーじゃなくて、ライクじゃなくて、ラ・ヴ!」
「えぇーっ!?」というきいろの絶叫が響き渡り、皆がリビングに集まってくる。
「あー、なんでもないのー。ね、きーちゃん」
「え、うん。だいじょぶだから、戻って」
狐につままれた様な感じで、客間に戻る一同。
「ふう。でさ、私、るうちゃんの恋を応援したいんだ。どう、いっちょ噛み?」
「ほえー……。全然気づかなかった。ボクとしては賛成だけど、何すればいいの?」
「あのね……」
更に声を潜め、こしょこしょ耳打ちするのであった。
◆ ◆ ◆
「ただいまー」
客間に戻ってくる二人。
「おーう。枕投げ、終わっちまったぞ」
「うん、向こうまで聞こえてたよ。また、おばさまに怒られちゃうよ」
「だから、早めに切り上げたんだよ」
枕を抱え、あぐらでゆらゆらする、にこ。
「二人こそ、何してたんだよ」
「乙女のヒミツの会話! ねー?」
「あ、うん」
リーダー、キューピッドモードに入った歌留奈に、振り回されっぱなしである。
「お布団入っちゃいましょ」
もぞもぞと、一同潜り込む。
「さ・て。こーゆー時はアレよね、恋バナ!」
「あぇっ!?」
るうが、変な声を出す。
「どうした、るう」
「……いえ。なんでも無いデス……」
当のお相手に問われ、耳まで真っ赤になる、るうであった。
一同、恋バナを展開していくが……。
「全然、浮いた話ないのな、うちら。最後、るうだけど」
「は、はひっ!」
声が裏返る。
「誰か好きな人とかいんの?」
にこも、相当鈍感だ。
「えーと。いるはいるんですけど、あんまり、気づいてもらえていない感じで……」
「えー、そりゃ鈍感だなあ」
鈍感である。
「こういうのって、はっきり伝えたほうがいいんでしょうか……」
「私は、積極案に一票」
「ボクも」
示し合わせた二人が、背中を押す。
「ワタシは、ちょっとわかりません」
「大須先輩は、どう思いますか?」
「うーん、やっぱり、当たって砕けろって感じじゃね?」
まだ、他人事なにこ。
「じゃあ、砕けますね。……が好きなんです」
「ごめん、聞こえないよ」
「大須先輩が好きなんです!」
言った!
「えーっ!?」
にことノヴァルナ、絶叫。
「ちょっと、何騒いでるの? さっきといい……」
階上から母が降りてきたので、一同謝る。
母が去ったのを見計らい。
「……アタシ? マジで?」
こくんとうなずく、るう。
「えー……ええー……」
困惑。
「だめですよね、女同士とか」
「いや、だめじゃ、ねーよ。うん」
慌ててフォロー。歌留奈ときいろ、にまにまとそれを眺める。いい趣味である。
「あー……。少し、考える時間くれる?」
「はい」
「びっくりですねー……」
ノヴァルナだけが、なんだか蚊帳の外であった。
続く!
「やったー! ヤキソーバ!!」
母の言葉に、歓喜するきいろ。今までを見てわかるように、彼女は焼きそばが大好物だ。
しかも、今日は佐武家名物・具沢山焼きそば!
「オー……具がたっぷりですねー」
「きいろのかーちゃんの焼きそばは絶品だぜ」
「いただきまーす!」
一同、焼きそばを食む。豚肉を中心に、人参、もやしなど入った、具だくさん焼きそば。
食べざかりの子供たちに、これはありがたい。
「おかーさん、おかわり!」
「よく食べるわねえ」
「育ち盛りだもーん」
その割には、実が伴っていないリーダーであるが。
成長期はあと一年ある。頑張れ。
ともかくも、皆ごちそうさま。食器を洗って歯を磨き、再び客間へ。
「エクスプだけどね」
きいろの切り出しに、一同の視線が集まる。
「物資の使い道思いついた。まず、武器の購入。最初は、ピストルぐらいしか持てないけど、パーティーが育つと、いいのが持てるようになる」
「なんだか、当たり前過ぎて、今までスルーしてたアイデアだな」
「うん。あとは、医薬品でFP上げたりとか」
皆、うなずいて茶を飲む。ちなみに無意識に相手と同じ行為をするのはミラーリングといって、波長が合っているときに出るもの。一同、気が合っているということだ。
「なんか、いろいろ使えそーだな」
「そだね。WW1の時代なら、場合によっては土木作業機なんかも、同行させられるかも」
「さすがに、探検って雰囲気じゃなくなるな、そりゃ」
「じゃー、やめとこう」
こんな感じで、話し合うことしばし。
「お風呂できたわよー。入っちゃいなさーい」
というわけで、お風呂タイム。光景は、各自のご想像にお任せする。
「いいお湯だったね~」
最後に上がったリーダーが、頬をほんのり桜色に染め、牛乳片手に着座。
すでに、みんなパジャマだ。
「寝る前に、何かゲームやりたいね」
「きーちゃん、ちょっといい?」
「なんぞ?」
「いいから」と、歌留奈に連れ出されるきいろ。そして、リビングで耳打ち。
「るうちゃん、にこちゃんの事好きなの気づいてた?」
「ん? ボクらみたいにでしょ?」
「そーじゃなくて、ライクじゃなくて、ラ・ヴ!」
「えぇーっ!?」というきいろの絶叫が響き渡り、皆がリビングに集まってくる。
「あー、なんでもないのー。ね、きーちゃん」
「え、うん。だいじょぶだから、戻って」
狐につままれた様な感じで、客間に戻る一同。
「ふう。でさ、私、るうちゃんの恋を応援したいんだ。どう、いっちょ噛み?」
「ほえー……。全然気づかなかった。ボクとしては賛成だけど、何すればいいの?」
「あのね……」
更に声を潜め、こしょこしょ耳打ちするのであった。
◆ ◆ ◆
「ただいまー」
客間に戻ってくる二人。
「おーう。枕投げ、終わっちまったぞ」
「うん、向こうまで聞こえてたよ。また、おばさまに怒られちゃうよ」
「だから、早めに切り上げたんだよ」
枕を抱え、あぐらでゆらゆらする、にこ。
「二人こそ、何してたんだよ」
「乙女のヒミツの会話! ねー?」
「あ、うん」
リーダー、キューピッドモードに入った歌留奈に、振り回されっぱなしである。
「お布団入っちゃいましょ」
もぞもぞと、一同潜り込む。
「さ・て。こーゆー時はアレよね、恋バナ!」
「あぇっ!?」
るうが、変な声を出す。
「どうした、るう」
「……いえ。なんでも無いデス……」
当のお相手に問われ、耳まで真っ赤になる、るうであった。
一同、恋バナを展開していくが……。
「全然、浮いた話ないのな、うちら。最後、るうだけど」
「は、はひっ!」
声が裏返る。
「誰か好きな人とかいんの?」
にこも、相当鈍感だ。
「えーと。いるはいるんですけど、あんまり、気づいてもらえていない感じで……」
「えー、そりゃ鈍感だなあ」
鈍感である。
「こういうのって、はっきり伝えたほうがいいんでしょうか……」
「私は、積極案に一票」
「ボクも」
示し合わせた二人が、背中を押す。
「ワタシは、ちょっとわかりません」
「大須先輩は、どう思いますか?」
「うーん、やっぱり、当たって砕けろって感じじゃね?」
まだ、他人事なにこ。
「じゃあ、砕けますね。……が好きなんです」
「ごめん、聞こえないよ」
「大須先輩が好きなんです!」
言った!
「えーっ!?」
にことノヴァルナ、絶叫。
「ちょっと、何騒いでるの? さっきといい……」
階上から母が降りてきたので、一同謝る。
母が去ったのを見計らい。
「……アタシ? マジで?」
こくんとうなずく、るう。
「えー……ええー……」
困惑。
「だめですよね、女同士とか」
「いや、だめじゃ、ねーよ。うん」
慌ててフォロー。歌留奈ときいろ、にまにまとそれを眺める。いい趣味である。
「あー……。少し、考える時間くれる?」
「はい」
「びっくりですねー……」
ノヴァルナだけが、なんだか蚊帳の外であった。
続く!
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