22 / 49
第二十二話 人狼と百合と
しおりを挟む
夏休みもすっかり最終盤。今日は、歌留奈の提案で「汝は人狼なりや?」をやろうということになった。
汝は人狼なりや? は、推理と騙し合いのゲームだ。
村人サイドと人狼サイドに別れ、人狼をすべて「吊る」か、人狼の数が村人を上回ったら決着。
人狼同士は夜に人狼同士で会話ができ、人数的不利をチームプレイでカバーし、村人を襲撃していく。
ただの村人以外にも役職持ちがおり、人狼の判定ができる占い師。死んだ人間が人狼かどうか分かる霊能者、人狼が勝ったら勝利になる村人・狂人などがいる。
これらがあやをなし、複雑怪奇な推理と騙しの展開が行われるわけだ。
ただ、プレイ人数が四人ではあまりにも少ないので、「人狼」系アプリで、野良を待つ。
やがて、人が揃い、挨拶の後プレイ開始。
(む。狂人引いたか。ほんじゃー、引っ掻き回しましょうか)
きいろ、狂人でプレイ。
「占いCO。かるにゃんさん●です」
狂人は、こうやって、役職に持ちになりすますことが多い。
ちなみに、きいろが言っていることの意味は、「占い師カムアウト。かるにゃんさん人狼です」という意味。
かるにゃんは歌留奈だ。親友だろうが容赦なく。これが「汝は人狼なりや?」の世界。
これに、占いの対抗COが出てくる。かるにゃん○。○は村人サイドの意。
きいろ視点。歌留奈は村人で決め打ちだ。後は徹底的に引っ掻き回して、自分も吊られて、人狼の勝利に貢献できれば勝ちである。
ゲームは進んでいき……。
「人狼の勝利!」
きいろ、スマホ片手にVサイン。
「やったぜ」
にこは、人狼だったらしい。
「いえろーさん、狂人だったかー。先に占いCOされたら、信頼度高いよねえ」
みんなで、感想会。
るうは、初体験だったが、共有 (テレパシーで繋がっている、二人一組の村人)を引けたおかげで、いろいろアドバイスしてもらったようだ。
「もう一回、やりましょう!」
るうが熱望するので、第二ラウンド。意外と負けず嫌いなのかもしれない。
二度目は、村人の勝ち。
「うにゃあ、序盤なのに吊られちゃった。まあ、吊りは人狼の華だよね」
きいろ、今度はただの村人だったが、グレラン(=グレー・ランダム=無作為吊り)で吊られてしまった。吊られてしまったら、冥界で観戦となる。
「ふー、今度は勝てた」
「同じく」
歌留奈、にこも村人サイド。
「負けちゃいました……人狼って難しいですね……」
「あー、慣れれば面白みわかるから。めげないで」
初心者が折れそうなので、にこ、フォロー
「はい。先輩がそう言うなら」
「おとと、先輩とか言っちゃだめ」
「あ、すみません」
仲間内でずっとやっていたせいか、ちょっと粗忽なところが目立つ、るう。
「もう一回、やらせてください!」
「お、そうこなくちゃ!」
にこの発破が効いたのか、やる気を出した模様。
今度は、るう含む村人サイド勝利。
「勝ちました!」
「おめでとー!」
初心者であることは言ってあるので、野良含めた一同から祝福を受ける。
「ありがとうございます!」
「みなさん、また機会があれば~」
こうして、夜も近づいてるので、野良さんたちとはお別れ。いつものZoomに移る。
「最後まで投げなくて、立派だったぜー、るう」
「ありがとうございます……!」
憧れのにこから褒められ、赤らむるう。それを見て、ふふとなる歌留奈と、相変わらず何も気づかない鈍感な二人。
(二人の仲、進展させたいなあ。よし!)
何やら企む、歌留奈。
「ねえ、明日は映画見に行かない?」
「映画?」
三人が首を傾げる。
「リリー・マルレーンっていう恋愛映画なんだけど」
「それ、おもろいん?」
「レビュー、☆4」
おおー、となるにこ。
「ちょっと面白そうだな! 行こうぜ!」
「さんせー!」
翌日、駅のTOHOシネマで見てみると……。
(お、女の子同士でキス……!?)
百合恋愛映画だったことにびっくりする、るう。
ごくりとつばを飲み、隣のにこに手を差し伸べてみる。
握り返された!
にこは無自覚であったが、手に手を重ねられた。
耳まで真っ赤になり、上映後もぽわぽわしながら、退館する。
そんなるうを見て、微笑む歌留奈であった。
「面白かったねー!」
一人蚊帳の外でも、にこやかな我らがリーダー。
(ふーむ、きーちゃんを巻き込んだものかしらね?)
ちょっと悩む、仕掛け人。四者四様で、バス停に向かうのであった。
汝は人狼なりや? は、推理と騙し合いのゲームだ。
村人サイドと人狼サイドに別れ、人狼をすべて「吊る」か、人狼の数が村人を上回ったら決着。
人狼同士は夜に人狼同士で会話ができ、人数的不利をチームプレイでカバーし、村人を襲撃していく。
ただの村人以外にも役職持ちがおり、人狼の判定ができる占い師。死んだ人間が人狼かどうか分かる霊能者、人狼が勝ったら勝利になる村人・狂人などがいる。
これらがあやをなし、複雑怪奇な推理と騙しの展開が行われるわけだ。
ただ、プレイ人数が四人ではあまりにも少ないので、「人狼」系アプリで、野良を待つ。
やがて、人が揃い、挨拶の後プレイ開始。
(む。狂人引いたか。ほんじゃー、引っ掻き回しましょうか)
きいろ、狂人でプレイ。
「占いCO。かるにゃんさん●です」
狂人は、こうやって、役職に持ちになりすますことが多い。
ちなみに、きいろが言っていることの意味は、「占い師カムアウト。かるにゃんさん人狼です」という意味。
かるにゃんは歌留奈だ。親友だろうが容赦なく。これが「汝は人狼なりや?」の世界。
これに、占いの対抗COが出てくる。かるにゃん○。○は村人サイドの意。
きいろ視点。歌留奈は村人で決め打ちだ。後は徹底的に引っ掻き回して、自分も吊られて、人狼の勝利に貢献できれば勝ちである。
ゲームは進んでいき……。
「人狼の勝利!」
きいろ、スマホ片手にVサイン。
「やったぜ」
にこは、人狼だったらしい。
「いえろーさん、狂人だったかー。先に占いCOされたら、信頼度高いよねえ」
みんなで、感想会。
るうは、初体験だったが、共有 (テレパシーで繋がっている、二人一組の村人)を引けたおかげで、いろいろアドバイスしてもらったようだ。
「もう一回、やりましょう!」
るうが熱望するので、第二ラウンド。意外と負けず嫌いなのかもしれない。
二度目は、村人の勝ち。
「うにゃあ、序盤なのに吊られちゃった。まあ、吊りは人狼の華だよね」
きいろ、今度はただの村人だったが、グレラン(=グレー・ランダム=無作為吊り)で吊られてしまった。吊られてしまったら、冥界で観戦となる。
「ふー、今度は勝てた」
「同じく」
歌留奈、にこも村人サイド。
「負けちゃいました……人狼って難しいですね……」
「あー、慣れれば面白みわかるから。めげないで」
初心者が折れそうなので、にこ、フォロー
「はい。先輩がそう言うなら」
「おとと、先輩とか言っちゃだめ」
「あ、すみません」
仲間内でずっとやっていたせいか、ちょっと粗忽なところが目立つ、るう。
「もう一回、やらせてください!」
「お、そうこなくちゃ!」
にこの発破が効いたのか、やる気を出した模様。
今度は、るう含む村人サイド勝利。
「勝ちました!」
「おめでとー!」
初心者であることは言ってあるので、野良含めた一同から祝福を受ける。
「ありがとうございます!」
「みなさん、また機会があれば~」
こうして、夜も近づいてるので、野良さんたちとはお別れ。いつものZoomに移る。
「最後まで投げなくて、立派だったぜー、るう」
「ありがとうございます……!」
憧れのにこから褒められ、赤らむるう。それを見て、ふふとなる歌留奈と、相変わらず何も気づかない鈍感な二人。
(二人の仲、進展させたいなあ。よし!)
何やら企む、歌留奈。
「ねえ、明日は映画見に行かない?」
「映画?」
三人が首を傾げる。
「リリー・マルレーンっていう恋愛映画なんだけど」
「それ、おもろいん?」
「レビュー、☆4」
おおー、となるにこ。
「ちょっと面白そうだな! 行こうぜ!」
「さんせー!」
翌日、駅のTOHOシネマで見てみると……。
(お、女の子同士でキス……!?)
百合恋愛映画だったことにびっくりする、るう。
ごくりとつばを飲み、隣のにこに手を差し伸べてみる。
握り返された!
にこは無自覚であったが、手に手を重ねられた。
耳まで真っ赤になり、上映後もぽわぽわしながら、退館する。
そんなるうを見て、微笑む歌留奈であった。
「面白かったねー!」
一人蚊帳の外でも、にこやかな我らがリーダー。
(ふーむ、きーちゃんを巻き込んだものかしらね?)
ちょっと悩む、仕掛け人。四者四様で、バス停に向かうのであった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由
棚丘えりん
青春
(2022/8/31)アルファポリス・第13回ドリーム小説大賞で優秀賞受賞、読者投票2位。
(2022/7/28)エブリスタ新作セレクション(編集部からオススメ作品をご紹介!)に掲載。
女子短距離界に突如として現れた、孤独な天才スプリンター瑠那。
彼女への大敗を切っ掛けに陸上競技を捨てた陽子。
高校入学により偶然再会した二人を中心に、物語は動き出す。
「一人で走るのは寂しいな」
「本気で走るから。本気で追いかけるからさ。勝負しよう」
孤独な中学時代を過ごし、仲間とリレーを知らない瑠那のため。
そして儚くも美しい瑠那の走りを間近で感じるため。
陽子は挫折を乗り越え、再び心を燃やして走り出す。
待ち受けるのは個性豊かなスプリンターズ(短距離選手達)。
彼女達にもまた『駆ける理由』がある。
想いと想いをスピードの世界でぶつけ合う、女子高生達のリレーを中心とした陸上競技の物語。
陸上部って結構メジャーな部活だし(プロスポーツとしてはマイナーだけど)昔やってたよ~って人も多そうですよね。
それなのに何故! どうして!
陸上部、特に短距離を舞台にした小説はこんなにも少ないんでしょうか!
というか少ないどころじゃなく有名作は『一瞬の風になれ』しかないような状況。
嘘だろ~全国の陸上ファンは何を読めばいいんだ。うわーん。
ということで、書き始めました。
陸上競技って、なかなか結構、面白いんですよ。ということが伝われば嬉しいですね。
表紙は荒野羊仔先生(https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/520209117)が描いてくれました。
執事👨一人声劇台本
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
執事台本を今まで書いた事がなかったのですが、機会があって書いてみました。
一作だけではなく、これから色々書いてみようと思います。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。


パラメーターゲーム
篠崎流
青春
父子家庭で育った俺、風間悠斗。全国を親父に付いて転勤引越し生活してたが、高校の途中で再び転勤の話が出た「インドだと!?冗談じゃない」という事で俺は拒否した
東京で遠い親戚に預けられる事に成ったが、とてもいい家族だった。暫く平凡なバイト三昧の高校生活を楽しんだが、ある日、変なガキと絡んだ事から、俺の人生が大反転した。「何だこれ?!俺のスマホギャルゲがいきなり仕様変更!?」
だが、それは「相手のパラメーターが見れる」という正に神ゲーだった
息絶える瞬間の詩のように
有沢真尋
青春
海辺の田舎町で、若手アーティストを招聘した芸術祭が開催されることに。
ある絵を見て以来、うまく「自分の絵」がかけなくなっていた女子高生・香雅里(かがり)は、招聘アーティストの名前に「あの絵のひと」を見つけ、どうしても会いたいと思い詰める。
だけど、現れた日本画家・有島はとてつもなくガラの悪い青年で……
※喫煙描写があります。苦手な方はご注意ください。
表紙イラスト:あっきコタロウさま
(https://note.com/and_dance_waltz/m/mb4b5e1433059)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる