たくげぶ!

みなはらつかさ

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第二十一話 きいろの誕生日!

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「なははー! みんな、今日はボクのために集まってくれて、ありがとー! 十四歳になりましたー!」

 お日様笑顔で、ダブルピースする、我らがリーダー。

 八月二十日のお昼。佐武家親子三人と、親友三人がリビングで揃い踏み。

「おめでとー!」

「おめでとーございます!」

 一同から、拍手を受ける。

「いやー、大人への一歩を、また踏み出しましたよ」

 うんうんとうなずく、当人。

 両親は、すくすくと育つ愛娘の姿に、目がうるんでいた。

「じゃ、ケーキ食べよう、ケーキ!」

 皆で、ダイニングに移動。

 父母がショコラケーキと飲み物を用意する間、歓談する少女たち。

「おー、ろうそく十四本!」

「今、火を点けるからね」

 ろうそくに火が灯ると、きいろの瞳の輝きが増す。

 ハッピーバースデー・トゥーユーの合唱の後。改めて「誕生日おめでとう!」と言われ、少しはにかんだ後、ふうっとろうそくを吹き消した。

 再度、拍手。

「ありがとー! ボク、幸せ者だね!」

 ケーキが切り分けられ、一同に配られる。

「じゃ、きいろ」

「いただきまーす!」

 父に促され、音頭取り。各々、フォークをつける。

「おいしいですね!」

 るう、思わず感嘆。

「だよね。シャトレーゼのケーキ、美味しいよね!」

 リーダーも、ご満悦。紅茶で、口をさっぱりさせる。

 濃厚な味わいと、洗浄。ケーキを、無限に続けられそうだ。

 しかし、ケーキは有限であり……。

「食べ終わっちゃった。でも、美味しかったー!」

 折よく、宅配ピザが届き、皆で取り分ける。

「ほんとは、手作りできたら良かったんだけど、ちょっと今日、忙しくて……。ごめんなさいね」

「気にしないで、お母さん! ボク、ピザも大好きだよ! ……うん、美味しい!」

 笑顔に包まれた食卓。まさに、幸福の光景。

「ごちそうさまでした!」

 一同、締めくくり。

「じゃあ、遊ぼ! いいよね?」

「ああ。今日ぐらい、片付けは父さんたちでやるから、遊んできなさい」

「ありがとー!」

 客間へ赴く、卓ゲ部の面々。

「きーちゃん、武器作成お疲れ様」

 甘いものは別腹とばかりに、一口羊羹ようかんを手に取る歌留奈。

「ありがとう! 大変だったけど、なんとか一段落だよ~。あとは、スキルと物資かな」

 きいろもお茶をれ、一息つく。

「で、遊びだけどさ」

「その前に。私たち共同のプレゼント。マーダーミステリー買ってきたよ」

 にこを制する歌留奈。

「わお、ありがとう! 今度遊ぼうね! 今日はなにする?」

「今日は、ゆうやけこやけ持ってきたんだけど、どう?」

 ゆうやけこやけ。童話めいた雰囲気の、平和なTRPGである。

「いいね! みんなは?」

 歌留奈の提案に同意するリーダー。

「無論、同意。ってか、今日きいろとやろうって、三人で話し合ってたんだ」

「おお! ボク、セキセイインコの変化へんげやりたい!」

「いいよー」

 各自、キャラを作り、セッション開始。

 歌留奈の用意したシナリオは、誕生日をテーマにしたものだった。

「わあ……! もしかして、今日に合わせて?」

「うん」

「ありがとう!」

 こうして、めでたくエンディング。

「楽しかったー! ありがとう、みんなー! ボク、みんなと親友で、本当によかった!」

「なんだよ、照れるじゃねーか」

 ぽりぽりと、人差し指で頬を掻くにこ。

「なはは! 照れるにこちんも、可愛いねえ!」

「激しく同意です!」

 何やら、テンション上げて同意するるうに、「お、おう……」となるきいろ。そんなやり取りを見て、歌留奈が微笑む。

「とにかく、最高の誕生日だったよ! みんな、ほんっとーに、ありがとう!」

「夜も、Zoomで話しましょ」

「うん!」

 まもなく夕方になり、帰っていく三人。

「幸せだなあ……」

 見送りながら、しみじみと噛みしめる、きいろ。

 その夜も、四人で楽しく話し、きいろの誕生日は、幸福に包まれたまま終わった。
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