たくげぶ!

みなはらつかさ

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第十六話 お楽しみ前日!

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「そういえば、ふと思ったんですけど」

 おなじみ、佐武家の客間。お茶を一服し終えて、るうが切り出す。

「なんで集まるときって、いつも佐武先輩のおうちなんでしょう?」

「あー、理由は簡単。まず、きいろんちが一番広いし……」

「おじさまの趣味もあって、ゲームも色々揃ってるからね」

 るうの疑問に、にこと歌留奈が答える。

「そゆことー。歌留奈とは小学校からの友達だから、よく来てもらったもんだよ。ボクからも、歌留奈んちに行ったこともあるけど」

 「なるほど」と言い、もなかを頬張る、るう。

「さて、ボクからだけど。物資は、セッションごとに割り振れるようにしようかと思ってる」

「ほうほう?」

 同じく、もなかを頬張るにこ。

「例えば、ファンブルで弾切れが起きたとするじゃん? 『弾薬』を取っておけば、それを、一回帳消しにできたり」

「へー」

 歌留奈も、もなかを頬張る。

「あ! ボクの分の、もなかがない! ちょっと、もらってくる!」

 「ごめーん」と謝罪する歌留奈の声を背に、中座するきいろ。

「しかし、きいろも大変だよな。システム一手に引き受けてさ。なんか、アタシらで手伝えることねーかな」

「船頭多くして、船山に上るってことわざがあってね。きーちゃんからヘルプ求められない限り、私たちは下手に手を出さないほうがいいと思う。引き続き、きーちゃんが苦手な、世界観関係をアシストしましょ」

「佐武先輩、大変ですね」

 一同、茶をすする。

「おまたせー! もなか、いっぱいもらってきたよ!」

 器いっぱいのもなかを手に、戻って来たきいろ。

「ん? なんか空気が変だね? どしたの?」

「いえ、佐武先輩、大変だなーって思って」

 先程のやり取りを語って聞かせる、るう。

「なはは! ボクなら、だいじょーぶ! 好きでやってるから!」

「なら、いーけど」

 さっそく、新たなもなかに手を付ける、にこ。

「ちょっとー、またボクの分なくなるー! ま、システム関係は任せて」

 もぐもぐと、待望のもなかを頬張る。

「世界班からは、なんかある?」

「あるよ。十九世紀の武器資料。第一次世界大戦の資料がいいかなって、そこを重点的に」

 どさっと、ファイルを置く歌留奈。

「わお! 助かる~。愛してるよー、かるかん~」

「もう、ふざけないの」

「なはは。あとはもうない?」

 二つ目のもなかを頬張る。

「とりあえず、三人で話し合って、大陸の名前はメガラニカにしようかってなった。んで、アタシがざっくり大陸の地図描いた」

「それはすごいお手柄だけど、メガラニカってのはなんで?」

「オーストラリアの、発見当初の名前なんだと」

 正確には、白人視点の発見であるが。

「へー。地図見せて……おお、熱帯雨林なんだね! いかにも、探検って感じ! 川とか、湖もちゃんと……。すごいなあ。ボク、こういうの不得意だからなあ」

 感嘆かんたんのため息をつく。

「……照れるじゃねーか」

 きいろの心からの称賛に、頬を赤くする。

「にこちん、照れちゃって、かーわーいーいー」

「もう、ほんとやめろってー」

 耳まで真っ赤だ。るうも、言葉に出さねど、照れるにこを可愛いと思って、頬を染めていた。

 そんなるうを見て、察した・・・歌留奈。きいろは気づかず、のんきにもなかを頬張っている。

「世界班、もうない?」

「NPCを作ろうと思うんだけど、いい?」

「おけおけ、好きにやっちゃってー」

 歌留奈の問いに、快諾。

「じゃあ、エクスプについては、こんなとこかな? じゃあ、遊ぼー!」

 シンプルにババ抜きで遊ぶ一同。

 不意に、にこが突拍子もないことを切り出した。

「あ、そだ。明日、BBQ行かね?」

「は!? 明日!?」

「やっぱ無理か」

 歌留奈の突っ込みに、しゅんとなる、にこ。るうも、一緒に気分が沈んでしまう。

「あの、わたし、明日だったら都合つきます! ただ、佐武先輩と奥野先輩のために、説明が必要かなって」

「そだな。サンキュ。うちの親父が、晴れが確定しているうちに行かないかつってさ。せっかくだからって、みんなも誘ったんだ。車出すよ」

 ニュースによれば、台風が近づいているらしい。

「私は、家族と相談かな。きーちゃんは?」

「今、相談してくる」

 中座するきいろ。

「なんか悪ぃな、唐突に」

「いえ、大須先輩とBBQとか楽しみすぎます!」

 その光景を見て、ふふ、となる歌留奈。

「おっけー!」

 両手で、大きなマルを作るきいろ。

「お。二人目確保! るうは、アタシが迎えに行くから、学校前で待ってて」

「は、はひ!」

 声が裏返る、るう。おやおや。

「今日中に、LINE送るから」

「ほーい。腰折って悪かったな。続きしようぜ!」

「うぇい。ボクの番だったよね」

 ゲームは、こういうのに強い、にこの勝ち。ドベはきいろ。

「楽しかった~!」

「きいろは、勝っても負けても、楽しそうだよな」

「なはは! ポジティブ思考だからね!」

 遊び終わると夕方になっており、一同帰ることに。

 夜、歌留奈からもOKの返事が来て、フルメンバーでBBQとなった。
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