13 / 49
第十三話 夏だ! 休みだ! プールだ!! ―前編―
しおりを挟む
「お~……。焼けたねー、にこちん」
夏休みも少し過ぎた頃、いつもの四人は、Zoomでチャットしていた。
「まーなー。日焼け止め、もっとしっかり塗っときゃ良かったな」
「日焼け肌も、かっこいいと思いますよ! わたし、赤くしかならないんですよ~」
「はは、サンキュな」
るうのキラキラした視線に、少し照れるにこ。
「海から帰ってきたばかりのにこちんだけど、今度、ボクらでプール行かない?」
「いいぜー。遊びの誘いは、何だって大歓迎だ!」
にこ、サムズアップ。
「お。快諾いただきましたー! 二人は?」
「いいよ」
「わたしも、OKです」
「おっけー! 場所はちょっと遠いんだけど……」
レジャープールの、場所や日程を、話し合う四人。
こうして、楽しい予定が立つのであった。
◆ ◆ ◆
女子更衣室にて。
「じゃーん! どう?」
きいろは、名前だからというわけではないが、黄色が好きで、黄のチューブトップと、同じく黄のショートパンツを併せたビキニ。
「いいねー。可愛いよ~。私は?」
歌留奈は、赤基調に、両横脇に白のラインが入ったワンピース。髪は上げている。
「似合ってるぜー。アタシはこんな感じだぜ」
にこは、青地で、Vの字に白のラインが入ったワンピース。
「かっこいいです~。わたしはどうでしょう?」
るうは、胸部にフリルの付いた、ピンクのビキニ。
「おお、可愛い! じゃー、みんな着替え終わったことだし、行こーか!」
ぺたぺたと、プールへ向かう一同。
「入るぞー!」
「ちょいまち!」
プールに入ろうとするきいろを、制止するにこ。
「何?」
「準備運動。足攣ったら、遊ぶどころじゃなくなるぜ」
「あー、そだね」
というわけで、学校でやっている通りの準備運動をする一同。
「終わり! まず何やる?」
「やっぱ、アレだろ!」
きいろの問いに、にこが指さしたのは、ウォータースライダー。
「うんうん。やっぱり、レジャープールといえばあれだよね」
順番待ちの列に、加わる一同。
「ひゃ~っ!」
順番が来て、滑るるう。ざぱーんと、着水。
「う~、おしりが食い込む~」
ボトムを直しながら、移動。
残りの三人も、次々に滑り落ちてきて、ボトムを直す。
「食い込むね~」
「なー」
せっかくだからともう一回堪能して、お昼ごはんを取ることに。
「やっきそっば、やっきそっば~」
売店で買った焼きそばを手に、上機嫌なきいろ。
「およ?」
不意に、変な声を上げる。
「あれ、ギンコせんせーじゃない?」
一同がきいろの視線を追うと、たしかに鈴木教諭と思しき人物が、カレーを食べていた。
「ギンコせんせー?」
きいろがぺたぺたと近寄り、声をかけると、件の人物がむせる。
「佐武さん!? それに、みんなも……」
「どもーっす。せんせも遊びに来たんスか?」
「ええ、まあね」
にこの問いに、曖昧に答える。
女のプライドにかけて、言えなかった。彼氏なし、友達も誘ったが予定合わず。一人寂しくプール遊びしているなどと。
「一緒していいですかー?」
「あ、ええ」
困ったことになったなと思う、鈴木教諭。
「わーい、ギンコせんせーありがとー!」
「前々から思ってたんだけど、きーちゃん、鈴木先生にすごく懐いてるよね」
「たしかに」
席について食べ物を置きながら、歌留奈とにこが、疑問を呈する。
「だって、卓ゲ部の設立を認めてくれたんだよ!? 他の先生は、顧問引き受けてくれなかったのに! だから、ほんと大好き!」
「佐武さん……」
ちょっと、じーんとなる。
「たしかに、純粋に遊ぶための部を認めてくださるなんて、懐が広いですよね」
得心がいった、歌留奈。
「やだ、褒めても何も出ないですよ?」
ちょっと照れる本人。
「ボクたち、ほんとーに感謝してます!」
にこーっと、お日様笑顔になるきいろ。
「ありがとうね。早く食べないと、冷めちゃいますよ」
照れくささを隠すように、食事を急かす。
「そーでした! ……うーん、こういうところで食べる焼きそばは、美味しいねえ!」
「だな! アタシはラーメンだけど」
「この後、ご予定あるんですか?」
歌留奈が、尋ねる。
「特にないけど……ごめんなさいね。今日は一人で過ごしたいの」
「ざんねーん!」
本当に残念がるきいろ。
「あの、鈴木先生はお一人で過ごすとして、わたしたちはこの後、何しましょうか?」
「るーこは何したい?」
「波のプールで遊びたいですねえ」
遠くに見える、波のプールに目をやる、るう。
「じゃー、そうしよ!」
一同、談食。
「ごちそうさまでした。じゃあね、みんな」
そう言って、先に食事していた鈴木教諭は席を立った。
「はーい! また登校日に~!」
きいろが、ぶんぶんと手を振る。皆も、別れの挨拶をする。
「ごちそーさまでした! それじゃ、行こっか!」
「おー!」
食器を戻しに行く一同。
後半へ続く!
夏休みも少し過ぎた頃、いつもの四人は、Zoomでチャットしていた。
「まーなー。日焼け止め、もっとしっかり塗っときゃ良かったな」
「日焼け肌も、かっこいいと思いますよ! わたし、赤くしかならないんですよ~」
「はは、サンキュな」
るうのキラキラした視線に、少し照れるにこ。
「海から帰ってきたばかりのにこちんだけど、今度、ボクらでプール行かない?」
「いいぜー。遊びの誘いは、何だって大歓迎だ!」
にこ、サムズアップ。
「お。快諾いただきましたー! 二人は?」
「いいよ」
「わたしも、OKです」
「おっけー! 場所はちょっと遠いんだけど……」
レジャープールの、場所や日程を、話し合う四人。
こうして、楽しい予定が立つのであった。
◆ ◆ ◆
女子更衣室にて。
「じゃーん! どう?」
きいろは、名前だからというわけではないが、黄色が好きで、黄のチューブトップと、同じく黄のショートパンツを併せたビキニ。
「いいねー。可愛いよ~。私は?」
歌留奈は、赤基調に、両横脇に白のラインが入ったワンピース。髪は上げている。
「似合ってるぜー。アタシはこんな感じだぜ」
にこは、青地で、Vの字に白のラインが入ったワンピース。
「かっこいいです~。わたしはどうでしょう?」
るうは、胸部にフリルの付いた、ピンクのビキニ。
「おお、可愛い! じゃー、みんな着替え終わったことだし、行こーか!」
ぺたぺたと、プールへ向かう一同。
「入るぞー!」
「ちょいまち!」
プールに入ろうとするきいろを、制止するにこ。
「何?」
「準備運動。足攣ったら、遊ぶどころじゃなくなるぜ」
「あー、そだね」
というわけで、学校でやっている通りの準備運動をする一同。
「終わり! まず何やる?」
「やっぱ、アレだろ!」
きいろの問いに、にこが指さしたのは、ウォータースライダー。
「うんうん。やっぱり、レジャープールといえばあれだよね」
順番待ちの列に、加わる一同。
「ひゃ~っ!」
順番が来て、滑るるう。ざぱーんと、着水。
「う~、おしりが食い込む~」
ボトムを直しながら、移動。
残りの三人も、次々に滑り落ちてきて、ボトムを直す。
「食い込むね~」
「なー」
せっかくだからともう一回堪能して、お昼ごはんを取ることに。
「やっきそっば、やっきそっば~」
売店で買った焼きそばを手に、上機嫌なきいろ。
「およ?」
不意に、変な声を上げる。
「あれ、ギンコせんせーじゃない?」
一同がきいろの視線を追うと、たしかに鈴木教諭と思しき人物が、カレーを食べていた。
「ギンコせんせー?」
きいろがぺたぺたと近寄り、声をかけると、件の人物がむせる。
「佐武さん!? それに、みんなも……」
「どもーっす。せんせも遊びに来たんスか?」
「ええ、まあね」
にこの問いに、曖昧に答える。
女のプライドにかけて、言えなかった。彼氏なし、友達も誘ったが予定合わず。一人寂しくプール遊びしているなどと。
「一緒していいですかー?」
「あ、ええ」
困ったことになったなと思う、鈴木教諭。
「わーい、ギンコせんせーありがとー!」
「前々から思ってたんだけど、きーちゃん、鈴木先生にすごく懐いてるよね」
「たしかに」
席について食べ物を置きながら、歌留奈とにこが、疑問を呈する。
「だって、卓ゲ部の設立を認めてくれたんだよ!? 他の先生は、顧問引き受けてくれなかったのに! だから、ほんと大好き!」
「佐武さん……」
ちょっと、じーんとなる。
「たしかに、純粋に遊ぶための部を認めてくださるなんて、懐が広いですよね」
得心がいった、歌留奈。
「やだ、褒めても何も出ないですよ?」
ちょっと照れる本人。
「ボクたち、ほんとーに感謝してます!」
にこーっと、お日様笑顔になるきいろ。
「ありがとうね。早く食べないと、冷めちゃいますよ」
照れくささを隠すように、食事を急かす。
「そーでした! ……うーん、こういうところで食べる焼きそばは、美味しいねえ!」
「だな! アタシはラーメンだけど」
「この後、ご予定あるんですか?」
歌留奈が、尋ねる。
「特にないけど……ごめんなさいね。今日は一人で過ごしたいの」
「ざんねーん!」
本当に残念がるきいろ。
「あの、鈴木先生はお一人で過ごすとして、わたしたちはこの後、何しましょうか?」
「るーこは何したい?」
「波のプールで遊びたいですねえ」
遠くに見える、波のプールに目をやる、るう。
「じゃー、そうしよ!」
一同、談食。
「ごちそうさまでした。じゃあね、みんな」
そう言って、先に食事していた鈴木教諭は席を立った。
「はーい! また登校日に~!」
きいろが、ぶんぶんと手を振る。皆も、別れの挨拶をする。
「ごちそーさまでした! それじゃ、行こっか!」
「おー!」
食器を戻しに行く一同。
後半へ続く!
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由
棚丘えりん
青春
(2022/8/31)アルファポリス・第13回ドリーム小説大賞で優秀賞受賞、読者投票2位。
(2022/7/28)エブリスタ新作セレクション(編集部からオススメ作品をご紹介!)に掲載。
女子短距離界に突如として現れた、孤独な天才スプリンター瑠那。
彼女への大敗を切っ掛けに陸上競技を捨てた陽子。
高校入学により偶然再会した二人を中心に、物語は動き出す。
「一人で走るのは寂しいな」
「本気で走るから。本気で追いかけるからさ。勝負しよう」
孤独な中学時代を過ごし、仲間とリレーを知らない瑠那のため。
そして儚くも美しい瑠那の走りを間近で感じるため。
陽子は挫折を乗り越え、再び心を燃やして走り出す。
待ち受けるのは個性豊かなスプリンターズ(短距離選手達)。
彼女達にもまた『駆ける理由』がある。
想いと想いをスピードの世界でぶつけ合う、女子高生達のリレーを中心とした陸上競技の物語。
陸上部って結構メジャーな部活だし(プロスポーツとしてはマイナーだけど)昔やってたよ~って人も多そうですよね。
それなのに何故! どうして!
陸上部、特に短距離を舞台にした小説はこんなにも少ないんでしょうか!
というか少ないどころじゃなく有名作は『一瞬の風になれ』しかないような状況。
嘘だろ~全国の陸上ファンは何を読めばいいんだ。うわーん。
ということで、書き始めました。
陸上競技って、なかなか結構、面白いんですよ。ということが伝われば嬉しいですね。
表紙は荒野羊仔先生(https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/520209117)が描いてくれました。

おてんばプロレスの女神たち ~男子で、女子大生で、女子プロレスラーのジュリーという生き方~
ちひろ
青春
おてんば女子大学初の“男子の女子大生”ジュリー。憧れの大学生活では想定外のジレンマを抱えながらも、涼子先輩が立ち上げた女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスで開花し、地元のプロレスファン(特にオッさん連中!)をとりこに。青春派プロレスノベル「おてんばプロレスの女神たち」のアナザーストーリー。
息絶える瞬間の詩のように
有沢真尋
青春
海辺の田舎町で、若手アーティストを招聘した芸術祭が開催されることに。
ある絵を見て以来、うまく「自分の絵」がかけなくなっていた女子高生・香雅里(かがり)は、招聘アーティストの名前に「あの絵のひと」を見つけ、どうしても会いたいと思い詰める。
だけど、現れた日本画家・有島はとてつもなくガラの悪い青年で……
※喫煙描写があります。苦手な方はご注意ください。
表紙イラスト:あっきコタロウさま
(https://note.com/and_dance_waltz/m/mb4b5e1433059)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる