たくげぶ!

みなはらつかさ

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第十三話 夏だ! 休みだ! プールだ!! ―前編―

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「お~……。焼けたねー、にこちん」

 夏休みも少し過ぎた頃、いつもの四人は、Zoomでチャットしていた。

「まーなー。日焼け止め、もっとしっかり塗っときゃ良かったな」

「日焼け肌も、かっこいいと思いますよ! わたし、赤くしかならないんですよ~」

「はは、サンキュな」

 るうのキラキラした視線に、少し照れるにこ。

「海から帰ってきたばかりのにこちんだけど、今度、ボクらでプール行かない?」

「いいぜー。遊びの誘いは、何だって大歓迎だ!」

 にこ、サムズアップ。

「お。快諾いただきましたー! 二人は?」

「いいよ」

「わたしも、OKです」

「おっけー! 場所はちょっと遠いんだけど……」

 レジャープールの、場所や日程を、話し合う四人。

 こうして、楽しい予定が立つのであった。


 ◆ ◆ ◆


 女子更衣室にて。

「じゃーん! どう?」

 きいろは、名前だからというわけではないが、黄色が好きで、黄のチューブトップと、同じく黄のショートパンツを併せたビキニ。

「いいねー。可愛いよ~。私は?」

 歌留奈は、赤基調に、両横脇に白のラインが入ったワンピース。髪は上げている。

「似合ってるぜー。アタシはこんな感じだぜ」

 にこは、青地で、Vの字に白のラインが入ったワンピース。

「かっこいいです~。わたしはどうでしょう?」

 るうは、胸部にフリルの付いた、ピンクのビキニ。

「おお、可愛い! じゃー、みんな着替え終わったことだし、行こーか!」

 ぺたぺたと、プールへ向かう一同。

「入るぞー!」

「ちょいまち!」

 プールに入ろうとするきいろを、制止するにこ。

「何?」

「準備運動。足ったら、遊ぶどころじゃなくなるぜ」

「あー、そだね」

 というわけで、学校でやっている通りの準備運動をする一同。

「終わり! まず何やる?」

「やっぱ、アレだろ!」

 きいろの問いに、にこが指さしたのは、ウォータースライダー。

「うんうん。やっぱり、レジャープールといえばあれだよね」

 順番待ちの列に、加わる一同。

「ひゃ~っ!」

 順番が来て、滑るるう。ざぱーんと、着水。

「う~、おしりが食い込む~」

 ボトムを直しながら、移動。

 残りの三人も、次々に滑り落ちてきて、ボトムを直す。

「食い込むね~」

「なー」

 せっかくだからともう一回堪能して、お昼ごはんを取ることに。


「やっきそっば、やっきそっば~」

 売店で買った焼きそばを手に、上機嫌なきいろ。

「およ?」

 不意に、変な声を上げる。

「あれ、ギンコせんせーじゃない?」

 一同がきいろの視線を追うと、たしかに鈴木教諭と思しき人物が、カレーを食べていた。

「ギンコせんせー?」

 きいろがぺたぺたと近寄り、声をかけると、件の人物がむせる。

「佐武さん!? それに、みんなも……」

「どもーっす。せんせも遊びに来たんスか?」

「ええ、まあね」

 にこの問いに、曖昧に答える。

 女のプライドにかけて、言えなかった。彼氏なし、友達も誘ったが予定合わず。一人寂しくプール遊びしているなどと。

「一緒していいですかー?」

「あ、ええ」

 困ったことになったなと思う、鈴木教諭。

「わーい、ギンコせんせーありがとー!」

「前々から思ってたんだけど、きーちゃん、鈴木先生にすごく懐いてるよね」

「たしかに」

 席について食べ物を置きながら、歌留奈とにこが、疑問を呈する。

「だって、卓ゲ部の設立を認めてくれたんだよ!? 他の先生は、顧問引き受けてくれなかったのに! だから、ほんと大好き!」

「佐武さん……」

 ちょっと、じーんとなる。

「たしかに、純粋に遊ぶための部を認めてくださるなんて、懐が広いですよね」

 得心がいった、歌留奈。

「やだ、褒めても何も出ないですよ?」

 ちょっと照れる本人。

「ボクたち、ほんとーに感謝してます!」

 にこーっと、お日様笑顔になるきいろ。

「ありがとうね。早く食べないと、冷めちゃいますよ」

 照れくささを隠すように、食事を急かす。

「そーでした! ……うーん、こういうところで食べる焼きそばは、美味しいねえ!」

「だな! アタシはラーメンだけど」

「この後、ご予定あるんですか?」

 歌留奈が、尋ねる。

「特にないけど……ごめんなさいね。今日は一人で過ごしたいの」

「ざんねーん!」

 本当に残念がるきいろ。

「あの、鈴木先生はお一人で過ごすとして、わたしたちはこの後、何しましょうか?」

「るーこは何したい?」

「波のプールで遊びたいですねえ」

 遠くに見える、波のプールに目をやる、るう。

「じゃー、そうしよ!」

 一同、談食。

「ごちそうさまでした。じゃあね、みんな」

 そう言って、先に食事していた鈴木教諭は席を立った。

「はーい! また登校日に~!」

 きいろが、ぶんぶんと手を振る。皆も、別れの挨拶をする。

「ごちそーさまでした! それじゃ、行こっか!」

「おー!」

 食器を戻しに行く一同。

 後半へ続く!
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