【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!

みなはらつかさ

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エピソード22 ボクたちの初……でもない、進路談義。それと

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「ねえねえ。前さ、大学での進路に話が及んだじゃない?」

 今日も今日とて、宿題退治。その休憩中、手作りプリンを食べながら、話を切り出す。

「ああ、そういえば」

 タケルくんも、プリンをいただきながら、お返事。

「色々調べたんだけどね、スポーツメンタルトレーナーってのになれば、タケルくんと仕事できるかなって思って」

「なにする仕事なんだ? もやっとは、わかるが」

「えーとね、たとえば、タケルくんがスランプになったとするよね? そんな時、精神的にケアするお仕事! あとは、士気を高めたり、自信を持たせたり」

「ほー」

 この裏方仕事、彼も知らなかったようで、関心を持ったみたい。

「どうすればなれるんだ、それ?」

「なんか、基本的には、誰でもなれるらしいよ? でも、いい働き口が欲しかったら、大学や専門学校で学んだ方がいいって」

「へえ~」

 二人で、プリンをもぐもぐ。同じ動作をするのはミラーリングっていって、気が合ってる証拠なんだって!

「これなら、タケルくんのお手伝いができるなって」

「お前に、励まされるのかー。無敵街道、爆進しちゃうじゃんか」

「も~、このおだて上手!」

 照れくさくて、もじもじしてしまう。ほんともう、このたらしさんめ!

「お前の力添えで、世界大会の金メダル取れたら、サイコーだろうな~」

 感慨深げに、目をつぶり、うんうん頷く。その光景を、想像してるのでしょう。

「とりあえず、ボクも、将来の目標できたよ! 二人で、世界取ろうね!」

「おう!」

 がっしり握手!

「で、もう一つ話があるんだけど、玉取りの話ね」

「やるのか!」

「うーん。それが、主治医の先生によると、単純な話じゃないらしくて」

 目をつぶり、眉をひそめる。

「玉を取って時間が経つとね、袋がすごく萎縮するんだって。でね、そうなると、女の子のアレをきちんと作るのが、難しくなるんだってさ」

「その話を受けた上で、お前としては、どうしたいんだ?」

「ボク的には、やっぱりなるべく、きちんと女性の体に近づきたいから、泣く泣く我慢の子かな……。でもね、吉報も一つあって」

 人差し指立てて、笑顔を向けると、「ほうほう?」と、身を乗り出してくる彼。

「去年まではね、女性ホルモン打てるの、十八歳が下限で、それで先生も難色を示してたわけだけど、これが今年、十五歳にまで引き下げられたらしくてね! ボクの、女性化にかける覚悟をがっつり理解してもらえたこともあって、疑いようもなくGIDだって診断されてね! 『十五歳になったら、ホルモン療法始めましょう』って、約束してくれたの!」

 体をギューッと縮めて、喜びを噛みしめる。

「おおー! やったじゃん!」

「うん! やったよー!」

 二人で手を取って、喜びのモード!

「胸が膨らんだら、女子更衣室とか、普通に使わせてもらえるのかなー?」

「五月生まれで、十五歳ってことは、高一か。理解ある高校だといいなー」

「うん!」

 もう、二人でるんたった状態! ハッピーモード!

「あ」

 突然、様子が変わったボクを見て、タケルくんが、あまりいい話ばかりでもないと悟ったらしく、手をゆっくり離す。

「今のリアクションで、気づいたと思うんだけど、いい話ばかりでもなくてね」

「うん」

 再び、着席。

「ボク、抗男性ホルモンやってるから、ただでさえアレが小さいんだけど、女性ホルモンやったら、さらに縮んじゃうのね。そうなると、女性化手術の時に、十分じゅうぷんな深さの穴が、造れないんだって」

 真剣な表情で、話に聞き入るタケルくん。

「そうすると、S字結腸法っていう術式をするわけなんだけど……」

「前言ってた、難しい方のやつか」

「うん。で、そっちだと、無事成功しても、お腹にずいぶん目立つ傷跡が残っちゃうんだって。だから……ビキニ着たりとか、へそ出しルックとか、実質できなくなるの」

 大きくため息。

「ボク、へそ出しルックなんて似合うとは思えないけど、せっかく女性化しても、ビキニ着れないのは、すごく残念だなって」

 ボクの手を取り、額を当ててくるタケルくん。

「オレが、気にしなければいい……って問題じゃないんだよな」

「うん……。残念ながら。浜辺とかで、色んな人に、傷跡チラチラ見られるのは、さすがにね」

「そか。そうだな」

 よりぎゅっと、力を込める彼。

「オレ一人しかいなかったら、大丈夫か?」

「実際、やってみないとわからないな」

 タケルくんの頭に、額を当てる。

「お前さ。ビニールプールで、結構喜んでくれたじゃん。お腹がきれいなうちに、いっぱい、ビキニの写真撮ろうな」

「うん」

 しばらく、そのままの姿勢で、じっとしていたボクたちでした。
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