【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!

みなはらつかさ

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エピソード21 ボクたちの初生手料理

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 今日は、宿題退治がてら、タケルくんちでお昼を作ります。

「悪いなあ」

「いーのいーの。お弁当ばっかじゃ、飽きちゃうでしょ? やっぱり、できたて食べてほしいし。せっかく、おばあさまの新鮮お野菜もあることだしね!」

「おう、ばーちゃんちの野菜は、うめーぞ~」

 冷蔵庫の中には、採れ採れの夏野菜が、どっさり! なに作ろうか、迷っちゃうな。

「今日は、なんの舌とかあるー?」

 在庫を確認しながら、希望を募る。

「そーさなー……。強いて言えば、洋食か中華かな? 昨日の晩が和食で、今朝がその残り物だったから」

「ほむほむ。ちなみに、どんなのが出たの?」

「えーっと……。ナスの煮浸しに、きゅうりの浅漬け、オクラのおひたしに、そぼろとかぼちゃの煮物、レタスの味噌汁……だったかな?」

「なるほどね。おばさま、仕事帰りによくそれだけ作ったねー」

「だな。すげーよ、おふくろは。頭上がんねえわ」

 ふむふむ。言われてみれば、使われなかったトマトがたくさん、冷蔵庫に入ってる。

 よし、トマトを中心に組み立ててみよう!

「……ん! 組み上がった! 軍資金として、例のお金から、二千円出してもらえる?」

「え! 二千円もなんに使うんだ」

「ああ、あくまでも保険。多分、千円しないと思うよ? サラダ用のオリーブオイルと、スパゲッティーってある?」

「ああ、えっと……ほい」

 棚から、オリーブオイルとスパゲッティーの乾麺を出してくる彼。量も十分じゅうぷんだね!

「うん、これがあるなら、安く済むはずだよ! スーパー、行ってきまーす!」

 ばたばたとお出かけ。そして、戻り!

「はい、おつりとレシート! ふあ~、すずし~」

「おつかれー。言ってくれれば、オレが行ってきたのに、さっさと行っちまうんだもん」

「んー? やっぱ、自分の目で見たかったから」

 エアコンの冷風を体いっぱいに浴びていると、タケルくんが麦茶をれてくれました。気が利く旦那さんだ~。

「よーし、じゃあ作っちゃうぞー!」

 三分でクッキングする脳内BGMを鳴らしながら、まず、カプレーゼ完成!

 続いて、ツナとレタスとオクラとトマトの、冷製パスタ!

「二品だけど、足りるかな?」

「いや、じゅ-ぶん、じゅーぶん! スパゲッティー、大盛りにしてくれたみたいだからさ。鮮やかなもんだなー」

「ありがと。じゃあ、いただきましょーか」

 ちょっとオシャレな、飲み物のボトルを取り出す。

「おい、まさか、酒……」

「まさかでしょ。シャンメリーだよ。気分だけでも、出そうかと思って」

「そか」

 配膳も整い、着席。

「いただきます!」

 うーん、カプレーゼ美味しい~! たしかに、いいトマトだー!

「美味しいねー」

「うん。お前の腕前と、ばーちゃんちの素材が両方備わって、最強だな」

「うふふ。褒められちゃった。スパゲッティーも、伸びないうちにどーぞ」

 ふたりで、くるくる巻いて食べる。

「おお、タケルくんも巻けるんだ」

「意外か?」

「正直。いつも、食べ方ワイルドだから」

「ふふん、ちょっとした隠し芸だぜ」

 スパゲッティーも、どんどん消えていく。

「ごっそさんでしたー!」

「ごちそうさま~。さーて、洗い物しますかー」

 仲良く合掌!

「ああ、それぐらいやるって。ていうか、やらせてくれよ。お前の綺麗な手を、荒らしたくない」

「きざ~。でも、そこが好き! じゃあ、お言葉に甘えて。ボクはなにしてようかな?」

「なんか、テキトーにポケモンでも見ててくれよ。後から入るからさ」

「じゃあ、お言葉に甘えて~」

 残りのシャンメリーを注ぎ、リビングへ。

 リビングに向かい、ディスクセット。ちょっとリモコンの使い方に迷ったけど、ポケモン上映~。

 ほどなくして、タケルくんもグラスを手に、やってきました。

「今ここか」

 ソファに、隣り合って座る。

「お前に、乾杯」

 グラスを差し出す彼。

「もー、ほんときざムーブ、好きだよねえ」

 苦笑して、グラス打ち鳴らし合う。

「そうそう。玉取りの件なんだけどね」

「やるのか!」

 驚いて、こっちを見る。

「両親は同意してくれた。それで、ボクの心が楽になるならって。ただ、もう一度だけ、主治医の先生の意見を訊こうって話にもなって」

「そか。前進するといいな」

「うん」

 肩を寄せ合う。

「自分で言っちゃうのもなんだけどさ。こんなに波長が合ってるカップルも、なかなかほかにいないと思うんだよね。でも、たった一つの要素が、ものすごい邪魔してて。十八歳になったら、一気に解決するのかな」

「するさ。するとも」

 肩を抱き寄せてくるので、体を預ける。

 画面の中では、カミツレのモデル体型が、とても映えていた。

 ボクも、あんな素敵な体になれるかな。
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