【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!

みなはらつかさ

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エピソード16 ボクたちの初幸せおかわり

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 爽やかな風に吹かれながら、タケルくんちにとーちゃーく!

「はー。今日も、幸せを満喫したよ~。名残惜しいけど、それじゃあ……」

「ちょい待ち。うち、両親帰って来るまで、だいぶ時間あるし、良かったら、寄ってかね?」

 自宅に向かおうとするボクを、呼び止めるタケルくん。

 なんと! 今日は、幸せのおかわりがいただけてしまうのですか!

「いいの?」

「いいから誘ってる。逆に、そっちの都合は?」

「んー。暗くなると、危ないけど……」

 空を見上げると、まだまだ陽が高い。腕時計を見れば、意外にも、まだ三時手前。結構、河川敷でまったりしてた気がするんだけどな。

「うん。お言葉に甘えちゃおっかな!」

「そうこなくちゃな! 一緒に、アイス食おうぜ」

 お庭に自転車を駐めさせてもらい、彼氏に誘われて、そのままうちへ……という、なんだか素敵なシチュエーションに突入しました。うきうき、どきどきしちゃうね!

 リビングに入ると、エアコンを入れるタケルくん。家の中が、まだ暑い。

「じゃ、アイスよそってくるな。テキトーに、くつろいでてくれ」

 そう言い残して、キッチンに行ってしまいました。

 そういえば、この家のリビングって、あんまり入ったことないな。ついこないだ、ストレッチしたけど。ボクら、いつも互いの自室で過ごすことが多いもんね。

「おまっとさーん」

 コーラのグラスと、ガラスの小鉢に入ったチョコアイスをトレイに載せて、戻ってきました。

「悪いな。カルピスソーダとバニラアイスは、切らしてて」

「ううん。ありがとう」

 配膳後、彼も着席して、いただきます!

「んー! おいしー!」

 暑い中、結構な距離を自転車漕いできたから、アイスがバツグンに美味しい!

「タケルくんって、チョコ好きなの? 公園でも、チョコソフトだったよね」

「そうだな。アイスのフレーバーでは一番好きだし、板チョコなんかも好物だ。なんてのかな。チョコ独特の、コクが好きなのかな?」

「へー。ボクは、アイスならバニラかなあ。なんか、基本! って気がして。あ、禁断の質問していい?」

 身を乗り出す。

「ん? なんぞなんぞ?」

 向こうも、身を乗り出してくる。

「チョコミント、あり、なし?」

「あり!」

「ボクもー! 気が合うねー!」

 「いえーい!」と、手の平を、ぺしーんと打ち合わせる。歯磨き粉なんて言われたら、泣くところだったよ!

「ねね、アレやろ! 相互あ~ん!」

 だって、バカップルだもの。

「ええー? これ、どっちも同じアイスだぜ?」

「そこはほら、気分ってやつで!」

「まあ、そこまで言うなら。別に、嫌ってわけでもないし」

 互いに、アイスの載ったスプーンを差し出す。ぱくっ!

「お? なんか、不思議とひと味、違う気がするな?」

「だね! ほんと不思議!」

 二人で、首を傾げる。

「なんだっけ、こういうの。プライバシー効果?」

「プラシーボ効果じゃね?」

「うん、多分それなんじゃないかな!」

「なるほどなー」

 そんな感じで、おやつを食べ進めていると……。

「あ! そうだそうだ。アイスとコーラで、思い出した! 体重の話、どうなった?」

 大声を出す、タケルくん。

「声大きいよ~。病院で診てもらったよ。単に、身長伸びて、成長したからだって。タケルくんの、言う通りだったよ」

「そか。良かったな」

「あと、ストレッチも、健康運動として、ちょこちょこやってるよ! あ、そうだ。ちょっと、訊きたいんだけど……」

 声をひそめる。

「タケルくん、身長の好みってどう?」

「んー? ことお前に関してなら、ちっこくても、長身でも、愛は変わらないぞ」

「やーん、きざ~! そこがいいんだけど!」

 思わず、ほっぺを両手で挟んで、照れてしまう。

「逆に、オレの身長はどう思う? 極端な話、二メートル超えたりとかさ」

「んー。ボクより背が高い分には、気にしないよ。で、ボクがタケルくんの身長を抜いちゃう事は、ないんじゃないかな?」

 現時点で、だいたい十センチ弱、タケルくんの方が、背が高いからねー。

「そか」

 ほっとして、頷く彼。

 そして、楽しい時間は、あっという間に過ぎていき……。

「あ、さすがにそろそろ、帰らないと」

「見送るよ」

 二人で玄関へ。

「じゃあ、またね」

「ちょい待ち! いつもの、お別れのキスは?」

「ごめん、ボク、今日は汗臭いから……」

 さすがに、気が引ける。

「じゃ、ハグとかなしで、ほんとに軽く、一瞬!」

「んー。それならまあ、なんとか……」

 ちゅっ。

 表まで見送られ、「また明日ー!」と言いながら、彼をちらっと見ると、「おう、また明日なー!」と、手を振り続けていた。名残惜しさと、愛しさを噛み締め、自転車を漕ぐ。

 幸せのおかわり、ごちそうさまでした!
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