【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!

みなはらつかさ

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エピソード14 ボクたちの初メイク講座

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 今日も今日とて、我が家でタケルくんと宿題退治中。現在、手作りみかんゼリーを食べながら休憩中。「うまいうまい」と褒めてもらって、嬉しさひとしおだけれど……。

「ボク、顔にゼリーついちゃってる?」

 タケルくんが、ボクの顔をなにやらチラチラ、ときにはまじまじと見るものだから、気になって尋ねる。

「あー……いや、お前、もしかして、今日化粧してる?」

「気付いた!? やっと気づいてくれたー! うれしー!!」

 ハイテンション!

「お、おう。しかし、なんでまた今日だけ?」

「あ、それ違う。ボクね、小三ぐらいからかな? 学校ない日は、たいてい薄ーくメイクしてるんだ」

「えー! じゃあ、オレとこうやって会ってる時、いっつもメイクしてたのか!?」

 彼、驚愕。

「ピンポンピンポーン! ただね、薄すぎたのかなーって、少しずーつ、濃くしてたんだ。で、今やっと、気づいてもらえたってワケ!」

「はー……。今まで、気づかなくてゴメンな」

「いいよ。タケルくん、化粧濃いの苦手かなって、どこまでオッケーか、少しずつ試してたんだから。で、これは平気?」

「うん。逆に、お前の基準でケバくない程度にメイクしたら、どうなるのか見てみたい」

 おっと、意外なリクエスト!

「じゃあ、ちょっと今のメイク、落としてくるね」

 そう言って、洗面所に向かい、メイクを落としてくる。

「ただいまー」

「それがお前の、すっぴんってわけか。メイク要らないぐらい、十分じゅうぷんかわいいじゃん」

「ありがと。正確には、再スキンケア済みだけどね。なんていうかね。メイクは、オンナの身だしなみなのですよ。男の人の、ひげ剃りと同じ。さて……」

 化粧道具とミラーを、テーブルにセット!

「いきますよ~」

「なんか、わくわくするな」

「まず、日焼け止めを最初に塗るんだけど、今日は外出の予定ないから、今回は省くね」

 ふんふんと、頷かれる。

「続いて、化粧下地。文字通りのものね」

 チューブから適量絞り、塗り塗り。

「お次は、ファンデーション。これ、場所によって、薄くしないと駄目なんだ」

 これまた、濃淡に気をつけて、塗っていく。

「次は、目にクマなんかできてたら、コンシーラーっての使うんだけど、今日はおハダバッチリだからね。これも省略。で、フェイスパウダー」

 ぱたぱたと、つけていく。少しずつ仕上がっていくボクを、真剣に見つめるタケルくん。

「これで、ベースメイクは終わり。次に、目周りに移ります。アイブロウ……眉毛の濃さをと整えるものなんだけど、タケルくん、どのぐらいの濃さが好み?」

「お前基準でって言ったじゃん。おまかせ」

「りょーかーい」

 自分好みに、眉を引いていく。

「で、アイシャドウ。このあたりから、気をつけていかないと、ケバくなるからね。気を使うんだ」

 塗り塗り。

「アイライナー。これ引くと、目元くっきり。で、ビューラーでまつ毛を持ち上げまーす。これで、お目々パッチリ! で、マスカラ。これで、まつ毛クッキリ! これにて、目周りかんりょ~」

「はー……! 目だけでも、こんな手間かかんのか~」

「そだよ~」

「おふくろが出かける前、時間がかかるわけがわかったぜ……」

「まだまだ、序の口だよ。目が終わっただけだからね。で、チーク。これをしくじると、ほんとケバくなっちゃう」

 慎重に、濃さを見て、頬に塗っていく。

「メイクといえばこれ! ってな、リップ。これも、ケバくなる原因だから、注意」

 口紅を塗っていく。

「で、最後にグロス」

 唇に塗り、艶を出す。

「これにて完成でーす!」

「おー! すっげー大人っぽい! なんか、お姉さんって感じになった! すっげー綺麗だ!」

 拍手を送ってくる、タケルくん。

「うふふ、ありがと。濃さは問題ない?」

「バッチリだと思うぜ!」

 サムズアップ、いただきました!

「しかし、ひげ剃りとは、全然手間が違うなー。おふくろ、これ毎日やってるんだなあ。見る目変わるぜ」

 しきりに感心。

「おばさまにも、綺麗だよって褒めてあげると、とても喜んでもらえると思うよ」

「うん。今度からそうするよ。化粧って、色んな意味ですごいなー」

「そうだね。ほんとに、化けるってレベルの人もいるから」

 タクルくんが、真剣にボクを見つめてくる。

「ほんと、綺麗だな……」

「いつも、このぐらいやった方がいい?」

「んー……。大変さが伝わったし、お前、地がすでにいいし、なにより、綺麗なお前を独占したいから、普段はいつもの感じがいいかな」

「わ、きっざ~。タケルくんって、時々、しれっときざなこと言うよね」

 照れちゃうなあ、もう!

「そ、そうか? こういうの、やめた方がいいかな?」

「ううん。そういうところも含めて、大好きだよ。ね、せっかくだから……」

「ん」

 フルメイク状態で、初キス。新鮮で、照れくさかったけど、互いに大満足でした。
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