【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!

みなはらつかさ

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エピソード9 ボクたちの初公園デート・前編

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 あれから、ボクの体調もほぼ回復して、明日は夏にしては若干気温が低いので、タケルくんと、市民公園でデートしようって話になりました。

 こないだのアミューズメントセンターで、ボクら、お小遣いほとんど吐き出しちゃったからね。

 ただ、病み上がりなので、無理しないようにと、両親には結構心配されたけど。

 そんなわけで、自販機で飲み物を買えるぐらいの追加予算をもらい、いざ公園へ!

 今日のボクは、白のキャミソールワンピに、同じく青いリボンが巻かれた、白いキャプリーヌ。

 結構歩く予定なので、靴はサンダルではなく、水色と白のスニーカー。

 ボク、足小さいから、女物履けるんだー。うふふ。

 抗男性ホルモン、様々だね!

 さらに、今回のポイントは、白い日傘。日焼け止めも塗って、お肌の防御はバッチリ! 将来、シミ作りたくないもんね。

 なんてやってると、公園入口。お、あそこに見えるは、タケルくん。

「待ったー?」

「いや、早く来すぎただけだ」

 スマホを見ると、時間ピッタリ。

 タケルくん、そんなにボクと早く会いたかったのかなと、ちょっと嬉しくなる。

 タケルくんの格好は、サトシの帽子のレプリカ。そして、緑のタンクトップに、ブラウンの膝丈ハーフパンツ。ワイルドだね!

「じゃ、行こうか」

 差し出された手を握り返し、恋人繋ぎで、通称「カルガモ池」を目指す。

 そこの、ほとりのベンチで、お弁当をいただくのが、今日のプラン。

「それ、持つよ」

「ありがとー!」

 ボクが、手から下げている保冷バッグを、代わりに引き受けてくれる。やさし~!

 自販機用のお金は保険で、ボクたち、飲み物のボトルを、それぞれ持参しています。ボクのは、シンプルに麦茶。

 気温が低いといっても、「この時期にしては」なので、十分じゅうぷん暑い。熱中症に注意! 塩タブレットも完備だよ!

「昼間に来ると、雰囲気違うなー」

 色んなセミが、様々に鳴く中で、ポツリとこぼす彼。

「昼以外に、よく来るの?」

「早朝に、よく走ってるんだ」

「おー、俊足の秘訣は、それだったかー」

 そうやって、鍛えてたんだねー。

「ちょっと疲れちゃった。休んでいい?」

「もちろん。病み上がりだもんな」

 二人で、ベンチで小休止。

「オレの走り方は、ちょっと特殊でさ。いわゆるジョギングじゃないんだ」

「へー? じゃあ、どんな感じ?」

「十秒全力疾走して、休憩。それの繰り返し」

 彼も、ボトルの飲み物を飲む。

「なんで、そんな変わった走り方を?」

「オレが、スプリンターだからだな。百メートルまでなら誰にも負ける気しねーけど、四百になると、ぶっちゃけ怪しい。で、マラソンはもう、中盤からバテバテだ」

 肩をすくめる。

「無敵のタケルくんの、意外な弱点その二!」

 ボク、体力は女子レベルだから、体育は女子側で受けてて、タケルくんのそいういうとこ、知らなかった。

「意外ではないかな。ランナーにも、得意距離ってのがあるんだよ。ウサイン・ボルトって知ってる?」

 首を横に振る。

「だいぶ前に、百メートル走の世界記録出した人なんだけどさ。彼にマラソンやらせたら、同じ様になると思うよ」

「へー」

 素直に感心。

「短距離とマラソン選手、筋肉のつき方、ぜんぜん違うだろ? そういう点でも、違いが出るしな」

「博識だねー」

「そりゃま、中学入ったら、ガッツリ陸上やるつもりだかんな。今から勉強してるんだぜ」

 「おー」と、軽く拍手してしまう。

「と、結構長話しちゃったな。そろそろ、歩けそうか?」

「うん。行こ行こ!」

 お散歩、さいかーい!

 そして、とうちゃーく!

「ふー、疲れた~」

「ペース、早かったか?」

「ううん、大丈夫。それより、お楽しみのお弁当だよ~」

 お馴染み、マリルリお弁当箱を、保冷バッグから取り出す。

「いただきまーす!」

 蓋を開けると……。

「うお!? スパゲッティ弁当!?」

「うん。たまには、主役にしてあげようと思って」

 もちろん、ピーマンは赤ピーマン。輪切りの方が見栄えはいいんだけど、苦みを減らすため、縦切りに。

 それ意外は、ソーセージと玉ねぎを入れた、オーソドックスなナポリタン。

 副菜として、ミニハンバーグ、ミニオムレツ、プチトマトとブロッコリーを入れてます。

「ん! うま!」

 さっそく、好感触!

「どういたしまして。タケルくん、食べっぷりがいいから、ほんと作りがいがあるよ」

「いやー、こんな料理上手な恋人持ったオレは、マジで幸せモンだぜ~」

 笑顔を向け合う。

 眼の前の池では、カルガモがのどかに泳いでいる。

 ああ、平和だなあ。

 ボクたちの平和で幸せな時間が、いつまでも続きますように。

 やや低い気温と引き換えに、抜けるような青空じゃないのがちょっと残念だけど、そう、天に願うのでした。
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