【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!

みなはらつかさ

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エピソード5 ボクたちの初プール

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「それにしても、お前の部屋って、ほんと『オンナノコ!』ってカンジだな~」

 今日は、ボクのおうちにお招き。宿題の休憩中に、そう言ってくれるタケルくん。

 先住と、タケルくんがくれた、おっきなマリルリぬい二つ、毛布は、女の子向けポケモン集合柄もの。

 サイドテーブルでは、ポトスの「ポトフ」を育ててます。

「ありがと」

「なんか、テンション低いな?」

「褒めてくれたのに、ごめんね。夏になると、いつも悩むことがあってさ」

 ため息。

「オレに話せること?」

「うん。ボク、レジャープールや海に行くのが、夢なんだー」

 学校では、女子更衣室こそ使わせてもらえないものの、女子用水着の着用は許可されてる。

 けれど、事情を知らない人だらけのレジャープールなんかじゃ、女子・男子どっちの更衣室を使っても、大騒ぎになることうけあいなわけで。

 かといって、事情を説明して、納得と許可をもらうのも難しそうだし、お医者さんの診断書があっても、効果があるのか……。

 そもそも、GID性同一性障害と、TV異性装愛者の診断が、まだついてないのだ。診断書、書いてくれないだろうな~。

「あー、確かに、着替えで結構な騒ぎになりそうだ」

「でしょ?」

 タケルくんも、合点に至ったらしい。

「あとね、やっぱり前がもっこりしちゃうのが、嫌で嫌で。パレオで隠せば誤魔化せそうだけど、そんな小細工しないで、堂々とビキニ着たい~」

 机に突っ伏す。

「ほんと、お前の人生悩みだらけだなー。オレにできること……。あ。なあ、女物のいい感じの水着買ったら、うち来ないか? 名案がある!」

「ほんと!? じゃあ、今日、さっそくおねだりしてみる!」

「よーし。そうと決まったら、プール遊びのために、宿題片付けっぞー!」

 というわけで、宿題バスターと化す、ボクたちでした。


 ◆ ◆ ◆


「こーんにーちわー!」

 水着はあっさり買ってもらえ、天気も快晴!

 タケルくんの「名案」が謎だけど、水着と着替えと、タオルを入れたバッグを持って、こんにちは。

「おー。こんー! じゃ、さっそく用意してくるから、着替えててよ。脱衣所は、ここな」

 案内を受け、「はーい」と、中に入ります。

 そして……。

 リビングに行くと、タケルくんがいない。

 で、庭向きの窓を見ると、なにか作業してました。

「タケルくーん。着替え、終わったよー」

「もうちょい……おー……綺麗だ~……」

 ボクに見惚れる、彼。素直に、嬉しい。

 ボクの格好は、青と白基調の、花柄のビキニとパレオ。

「ふふ、ありがと。惚れ直しちゃった?」

「うん」

 タケルくん、ストレートに褒めてくれるもんだから、かえって照れくさい。

「できた!」

 レジャー用の、白塗りの折りたたみ机と、同じく折りたたみ椅子。

 そして……。ビニールプール。

 うん、わかってた。過剰な期待は、しちゃいけないって。

「そんな、切なそうな顔するなよ~。今のオレには、これが精一杯なんだ~。将来、絶対、プール付きの豪邸に住まわせてやっから!」

「ごめん。せっかく、ボクのために用意してくれたのに。でも……一緒に入るのは無理そうだね」

 小柄なボク一人でも、ちょっときつそうだ。

「なんで、オレは専属カメラマンやるぜ。綺麗なお前、たくさん、撮ってやるからな! ちょっと、入りながら待っててくれ」

「うん」

 そう言って、屋内に戻っていく。

 プールの水に手を差し入れると、結構冷たい。

 入れたばかりだもんね。少しぬるくなるまで、椅子で待ってよ。

「あれ? 入らないの?」

 タケルくん、二つのグラスを手に、帰還。

「まだ、冷たくて」

「あ、そうか。それはそうと、どうぞ、お嬢様」

 カルピスソーダの入ったグラスを、渡してくれる。こないだのデート一回で、ボクの好み、覚えてくれたんだ! さっすが~!

 ちなみに、タケルくんはコーラ。

 水が温まるまで、雑談。

 そして、再度手を差し入れてみる。

「いい感じ」

「よし、さっそく! タイトルは、『水辺の天使』ってとこだな!」

「きざ~」

 苦笑しながら、ちゃぷん。

 んー! 気持ちいい~! さっそく、一枚パシャリ。

 グラス片手にピースしたり、シナを作ってみたり、女豹のポーズ&膝立ち女豹のポーズしたりと、悪ノリ半分で、写真を撮ってもらう。

 タケルくんも水着だったら、「やったな~! こいつぅ~!」のアレ、したかったんだけどな。スマホ使ってるから、駄目か。

「くしゅん!」

 不意に、ちょっと寒さを覚える。

 気づけば、結構陽が傾いていた。随分と、遊んでたらしい。

「あー、潮時だな。片付けっから、着替えてて」

「うん」

 その後は、二人で写真鑑賞。

 綺麗だと褒めまくられながら、照れまくるボクでした。

 ビニールプールも、悪くないもんだね!
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