上 下
37 / 49

第三十七話 六月二十三日(土) 映画館デートで幸せ!

しおりを挟む
「ねえ、ユー。映画観に行かない?」

 そんな電話が、エレンちゃんから、朝かかってきました。

「いいけど、わたし、ちょっとおサイフ厳しいよ?」

「私の奢り。一日早いけど、これが誕生日プレゼント」

 ほむ。

「アニメでも見るの?」

「恋愛映画よ? それも女同士の」

 ひょわ!? また、前衛的な!

「ちょっと……観たいかも。でも、小学生だけで見れるのかなあ?」

「いざとなったら、私が中学生ってことにしとく。少し高くなっちゃうけど」

 さすが、エレンちゃん。策士だな~。

「わかった。メイクしてから行くね。お昼はどうしよう?」

「ポップコーンぐらいだったら、それも奢っちゃうよ」

「わあ、ありがとう!」

 そんなわけで、駅ビルの映画館でデートとなりました!


 ◆ ◆ ◆


「待った?」

 エレンちゃんが先に来ていたので、まずはお約束の言葉。

「ううん。せいぜい五分ぐらい。ユー、メイク決まってるね」

 そこは「いま来たとこ」じゃないのね。それはさておき、許してくれてるみたいで良かった。

「エレンちゃんも、きれいだよ」

「ありがと。入ろ」

 特に視聴制限とかはないようで、小学生だけでも見れるよう。

 ポップコーンとコーラっぽい飲み物を片手に上映を待っていると、照明が暗くなってきました。

 予告編や注意事項のあと、ついにはじまりはじまり~!

「私、好きな人がいます。でもそれを打ち明けていいのか、いつも悩むんです」

 そんなモノローグから開始。

 どうやら、親友を好きになってしまった少女の物語みたい。

 恋心を打ち明けたら、今の良好な関係が壊れてしまうかもしれない。

 そんな恐れと、孤独な戦いをする主人公。

 やがて、別の級友も主人公への想いを打ち明けてきて……。

 なんだか、わたしたちみたいだな。ユシャンちゃんも、こんな葛藤を抱えてたんだな……。すごい勇気が必要だったんだろうな。

 ごめんね。

 そんなことを考えていると、エレンちゃんが手を握ってきたので、きゅっと握り返す。

 恋心を打ち明ける決心をし、それが無事受け入れられて、二人は幸せなキスをして終了。

 どうしよう。感動で涙出てきちゃった……。

 余韻を残すスタッフロールも終わったので、わたしたちも席を立つ。

「感動で、思わず泣いちゃった」

「メイク、崩れてる」

「えっ、ちょっと直してくる」

 せっかくなので、エレンちゃんもお付き合い。

「ユー。私、今すごく気分・・になってるの。キスしよ」

「えーっ? ここで!?」

「個室があるでしょ」

 まさかのトイレキス。いかがわしい!

 でも、わたしもムズムズ。

「じゃあ、うん……」

「そうこなくちゃ!」

 個室で、ディープキスを交わすわたしたち。

 へ、変態チックでコーフンするぅ~……!

 思う存分キスすると、ちらっと様子を見て、誰もいないのを確認して、外に出る。

「あ~……ドキドキした~」

「私も」

 ミステリアスに微笑む彼女。

「ね、うち来ない? もっとしよ?」

 わたしも、まだ興奮冷めやらない。

「……うん」

 かくして、フェルマイん家へ。

 今日は土曜なので、ご両親ご在宅。

「こんにちは」

「こんにちは」

 ご挨拶を交わします。

「ユー、部屋行こ」

「うん」

 こうして、導かれるままに、彼女の部屋へ。

「じゃ、しよっか」

 囁かれる。

「えっ!? さっそく!?」

「気分がノッてるうちにやるから、いいんじゃない」

 恥ずかしいけど、ミステリアスな笑みに逆らえずうなずく。

 ちゅっ……。

 ご両親が入ってきたらどうしよう……。そんな背徳感が、より興奮を掻き立てる。

 結局、キスをし終えるまでノック一つなかったけど、すごくドキドキした……!

「ユー。良かったよ……」

 頬を愛撫される。

「エレンちゃんって、ほんとダイタンだよね……」

「そこが好きなんでしょ?」

「……うん」

 ああ、ほんとに彼女に、メロメロなのです。

 その後も、夕方前までいちゃついていたのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

なぜか女体化してしまった旧友が、俺に助けを求めてやまない

ニッチ
恋愛
○らすじ:漫画家志望でうだつの上がらない旧友が、社会人の主人公と飲んで帰ったあくる日、ある出来事をきっかけとして、身体が突然――。 解説:エロは後半がメインです(しかもソフト)。寝取りとか寝取られとかは一切、ナイです。山なし海なし堕ちなしの世界ではありますが、よければご覧くださいませ。

女の子なんてなりたくない?

我破破
恋愛
これは、「男」を取り戻す為の戦いだ――― 突如として「金の玉」を奪われ、女体化させられた桜田憧太は、「金の玉」を取り戻す為の戦いに巻き込まれてしまう。 魔法少女となった桜田憧太は大好きなあの娘に思いを告げる為、「男」を取り戻そうと奮闘するが……? ついにコミカライズ版も出ました。待望の新作を見届けよ‼ https://www.alphapolis.co.jp/manga/216382439/225307113

好きになった子は小学生だった⁈

はる
恋愛
 僕には好きな人がいる。勇気を出してデートに誘った。  待ち合わせ場所にいたのはまさかの小学生⁈  しかもその小学生がまたやばいやつすぎて僕には手に負えないよ……  高校生と小学生の禁断の恋

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

処理中です...