32 / 49
第三十二話 六月十七日(日) レィナちゃんとユシャンちゃんがラブラブで幸せ!
しおりを挟む
今日は祝日。とは言っても、ケーキ屋さんである我が家は普通に営業中。
まだケーキをお客さんにお出しできるほどの腕前ではないので、店のお掃除で貢献!
お菓子作りに精を出すお父さんたちに代わり、窓の拭き掃除や、床の掃除。
「ユーちゃん」
お父さんが、ひょっこりこちらへやって来ました。
「そろそろ出ないと、レィナちゃんの試合、間に合わないんじゃない?」
うっかりしてた! 今日は、レィナちゃんの晴れ舞台!
急いで支度しないと!
「はい、お茶とお弁当」
「ありがと!」
お母さんから、それらと交通費を受け取り、慌ててバス停へGO!
◆ ◆ ◆
「レィナちゃん、遅くなってゴメン! ……って、ウォームアップ中か」
よく見ると、レィナちゃんはレーンの脇で準備運動をしていました。
「こんちゃ」
「こんにちは」
ユシャンちゃんとエレンちゃんから挨拶されるので、「こんにちは」とご挨拶返し。
それにしても、カーリング場は冷えるねえ。厚手の一枚羽織ってても、まだちょっと寒い。
「もうすぐ、始まるよ」
ユシャンちゃんが言うので見てみると、各選手、レーン中央に集まっている。
そして、それぞれ配置につく。
レィナちゃんチーム先手で第一投。後手を取れなかったのは辛いな。
ゲームはやはり後手有利に進んでいき、三点取れば勝ちだけど、と言う状態。
しかし、カーリングで三点はとても高い壁。
果たして、レィナちゃんチームは
一点差で敗北してしまいました。
「か~! 負けたー!」
健闘を称え合い、反省会を済ませると、悔しそうに天を仰ぎながら、レィナちゃんがこっちにやってきました。
さっそく、ホットレモネードで暖を取る彼女。
「お疲れ。負けたけど、かっこよかったよ」
「うんうん!」
みんなで励ます。
「あんがとな。腹減ったわ」
「あ、これ約束の……」
ユシャンちゃんがお弁当箱を出す。
「唐揚げと、ごはんは冷えるとあんまよくないから、サンドイッチにした」
あらま! 愛妻弁当!
「お、やっぱ、運動の後はチキンだよな! サンクス!」
美味しそうに食べる彼女。
「あたしたちも、いただこうぜ」
自分のお弁当を取り出し、提案する。
というわけで、もぐもぐタイム。
愛妻弁当か~。わたしも、エレンちゃんに作ろうかな~。
「ねえ、ユーに愛妻弁当、作っていいかな?」
ほえ!? 先手を打たれました!
「だったら、わたしも! 交換しよ!」
「いいね」
ミステリアスな笑みを浮かべる。はぅん、ほんとそれ弱いの~。
「あ、そうだ。ユシャン、勝利の女神のキスくれよ」
「食事中だぞ?」
「いいじゃん」
二人で、キス! ひょー! だいたーん!!
さすがに、ディープじゃないけど。
「サンキューな。これで、次は勝てる気がするわ」
ほえ~。なんともオープンな……。
「ユー、わたしたちもする?」
ひょわ!?
「あうー……そのー……」
ダメだ、ミステリアスな笑みに逆らえない。
「軽く、ね」
ちゅっ。
はうう、恥ずかしい~!
なんだかもったいなくて、しばらく飲み物で流すのがためらわれました。
その後、少しおしゃべりを楽しむものの、何分寒いので、引き上げることに。
レィナちゃんは試合で疲れているので直帰。わたしも、お店のお手伝いがあるので、名残惜しくもエレンちゃんとお別れ。くすん。
そんなわけで、ユシャンちゃんとバスで揺られています。
「なんていうか、ユシャンちゃんが幸せそうで良かった」
心からの気持ちを打ち明ける。
「ん。レィナがほんと良くしてくれてさ。気づいたら、失恋の痛みもなくなって、夢中になってた」
「ゴメン」
「謝んなし。結果オーライだよ。今じゃ、ユーに振られたおかげで、レィナとこんなにラブラブで、ありがたいなって思ってるし」
何か、フクザツな気分。
「人生って、読めないね」
「だな」
小学生にして、そんなことを悟り、バスを降りるのでした。
まだケーキをお客さんにお出しできるほどの腕前ではないので、店のお掃除で貢献!
お菓子作りに精を出すお父さんたちに代わり、窓の拭き掃除や、床の掃除。
「ユーちゃん」
お父さんが、ひょっこりこちらへやって来ました。
「そろそろ出ないと、レィナちゃんの試合、間に合わないんじゃない?」
うっかりしてた! 今日は、レィナちゃんの晴れ舞台!
急いで支度しないと!
「はい、お茶とお弁当」
「ありがと!」
お母さんから、それらと交通費を受け取り、慌ててバス停へGO!
◆ ◆ ◆
「レィナちゃん、遅くなってゴメン! ……って、ウォームアップ中か」
よく見ると、レィナちゃんはレーンの脇で準備運動をしていました。
「こんちゃ」
「こんにちは」
ユシャンちゃんとエレンちゃんから挨拶されるので、「こんにちは」とご挨拶返し。
それにしても、カーリング場は冷えるねえ。厚手の一枚羽織ってても、まだちょっと寒い。
「もうすぐ、始まるよ」
ユシャンちゃんが言うので見てみると、各選手、レーン中央に集まっている。
そして、それぞれ配置につく。
レィナちゃんチーム先手で第一投。後手を取れなかったのは辛いな。
ゲームはやはり後手有利に進んでいき、三点取れば勝ちだけど、と言う状態。
しかし、カーリングで三点はとても高い壁。
果たして、レィナちゃんチームは
一点差で敗北してしまいました。
「か~! 負けたー!」
健闘を称え合い、反省会を済ませると、悔しそうに天を仰ぎながら、レィナちゃんがこっちにやってきました。
さっそく、ホットレモネードで暖を取る彼女。
「お疲れ。負けたけど、かっこよかったよ」
「うんうん!」
みんなで励ます。
「あんがとな。腹減ったわ」
「あ、これ約束の……」
ユシャンちゃんがお弁当箱を出す。
「唐揚げと、ごはんは冷えるとあんまよくないから、サンドイッチにした」
あらま! 愛妻弁当!
「お、やっぱ、運動の後はチキンだよな! サンクス!」
美味しそうに食べる彼女。
「あたしたちも、いただこうぜ」
自分のお弁当を取り出し、提案する。
というわけで、もぐもぐタイム。
愛妻弁当か~。わたしも、エレンちゃんに作ろうかな~。
「ねえ、ユーに愛妻弁当、作っていいかな?」
ほえ!? 先手を打たれました!
「だったら、わたしも! 交換しよ!」
「いいね」
ミステリアスな笑みを浮かべる。はぅん、ほんとそれ弱いの~。
「あ、そうだ。ユシャン、勝利の女神のキスくれよ」
「食事中だぞ?」
「いいじゃん」
二人で、キス! ひょー! だいたーん!!
さすがに、ディープじゃないけど。
「サンキューな。これで、次は勝てる気がするわ」
ほえ~。なんともオープンな……。
「ユー、わたしたちもする?」
ひょわ!?
「あうー……そのー……」
ダメだ、ミステリアスな笑みに逆らえない。
「軽く、ね」
ちゅっ。
はうう、恥ずかしい~!
なんだかもったいなくて、しばらく飲み物で流すのがためらわれました。
その後、少しおしゃべりを楽しむものの、何分寒いので、引き上げることに。
レィナちゃんは試合で疲れているので直帰。わたしも、お店のお手伝いがあるので、名残惜しくもエレンちゃんとお別れ。くすん。
そんなわけで、ユシャンちゃんとバスで揺られています。
「なんていうか、ユシャンちゃんが幸せそうで良かった」
心からの気持ちを打ち明ける。
「ん。レィナがほんと良くしてくれてさ。気づいたら、失恋の痛みもなくなって、夢中になってた」
「ゴメン」
「謝んなし。結果オーライだよ。今じゃ、ユーに振られたおかげで、レィナとこんなにラブラブで、ありがたいなって思ってるし」
何か、フクザツな気分。
「人生って、読めないね」
「だな」
小学生にして、そんなことを悟り、バスを降りるのでした。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
なぜか女体化してしまった旧友が、俺に助けを求めてやまない
ニッチ
恋愛
○らすじ:漫画家志望でうだつの上がらない旧友が、社会人の主人公と飲んで帰ったあくる日、ある出来事をきっかけとして、身体が突然――。 解説:エロは後半がメインです(しかもソフト)。寝取りとか寝取られとかは一切、ナイです。山なし海なし堕ちなしの世界ではありますが、よければご覧くださいませ。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
マンガ喫茶でセフレとエッチする甘々な日々
ねんごろ
恋愛
ふとした思いつきでマンガ喫茶に足を運んだ高校生の男女。
はじめは楽しく漫画を読んでいたんだけど……
偶然聞いてしまったお隣さんの喘ぎ声が発端で、二人は目覚めてしまった。
そうして二人はセフレへと大人の階段を上ってしまうのだった……
マンガ喫茶のエロエロの側面をお届けできれば幸いです。
※当たり前のことですが、この小説の内容はあまり褒められたものではありません。そのあたりを理解した上でお楽しみいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる