ボク、女の子に生まれ変わったけど、元気です!

みなはらつかさ

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第二十七話 九月二十日(火) ヤマト街、再び ―後編―

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「着いたよ~!」

 以前、ネコザキ先生に案内されたお店に着きました!

「へえ。こりゃ、ラドネスブルグのお菓子とはぜんぜん違うね」

 色とりどりなお菓子に、感心するお父さん。

「面白いな。アユム、おすすめとかあるかい?」

「んー……。ボクもおすすめを選べるほど、食べ比べたわけじゃないからなあ。前世でも、食事制限で食べられなかったし」

 おじいちゃんにそう答えると、「ふむ」と考え込んでしまった。

「あの、こういうのはやっぱりお店の人に訊くのが、いいんじゃないでしょうか?」

 お。バーシ、ナイスアシスト!

「正論だね。店主さん、おすすめは何かな?」

「そりゃもう全部! ……なんて言ったら困らせちゃいますね。栗まんじゅうと栗羊羹が、この季節美味しいですよ」

「じゃあ、それもらおうか」

 というわけで、おじいちゃん決定。

 皆も、同じのにしたようです。ボクだけは前回、栗羊羹食べてるから、栗まんじゅうプラス、ククとシャロンが愉しんでた水まんじゅうをいただこう。

「いただきます」

 合唱し、木製ミニナイフ……本名があるんだろうけど、それを水まんじゅうに通す。

 プルプルしてて、おもしろーい。口の中に、ペタって付く感じが、また面白い。お味も良し! 今度、ククとシャロンに感想言おっと。

 ここで一服。

「へえ、ヤマトじゃこういうお茶飲むのか。面白いねェ」

 おじいちゃん、しきりに感心。

「この、黒いのなんだろうね。アユム、わかるかい?」

「あんこっていってね、小豆っていう豆を甘く煮て、ペーストにしたものだよ」

 「ほー」と、お父さん感心。こっちラドネスブルグじゃ、小豆なんて食べないもんね。

「ハーちゃん、和菓子美味しい?」

「うん!」

 お日様笑顔。やっぱり、ハーちゃんにはこういう表情が似合う。

 続いて、栗まんじゅう。おお、ホロホロしていて。同じ栗なのに、栗羊羹とは、ぜんぜん違う食感だ!

「チョコレートもいいけど、ヤマト菓子もいいもんだねー」

 バーシが、ほっこりした表情で感服。ラドネスブルグは、チョコレート菓子で有名だったりする。

「ごちそうさま。お土産、買っていこう。店主さん、家族六人用と五人用に、お任せで包んでくれるかな?」

「ありがとうございます」

「え? 五人って、ひょっとしてうちのぶんですか!? そんな、悪いです!」

 慌てて遠慮するバーシに、「いいから、いいから」と、包みを渡すお父さん。

 我が父ながら、快活だねー。

「あと、この緑茶ってのはどこで買えるかな?」

「お茶屋さんでしたら……」

 店主さんから、説明を受けるおじいちゃん。

 一同、お皿と茶碗を下げ、お茶屋さんへ。

「おう、香ばしいねェ」

「ほうじ茶っていうんだよ。緑茶を焙じたものなんだ」

「ヘェ。両方買ってくか」

 というわけで、お買い上げ。

「次は、どこ行ってみようか」

 地図を広げるお父さん。

「ごめん、少し疲れちゃった」

 ハーちゃん、ちょっと辛そう。十歳だもんね。

「ああ、気づかなくてごめんね。まあ、ヤマト街は逃げないし、駐車場への帰り道で、なんか適当に買っていこう」

 というわけで、タコを二匹とわさびを、買って帰りました。


 ◆ ◆ ◆


 ヤマト菓子は、お母さんたちにも好評で、晩は、ついにタコの出番。

「ええ……ヤマトでは、こんなの食べるんですか?」

 ちょっと薄気味悪そうに、タコを見るお母さん。

「お母さん、異国の食文化を悪く言うもんじゃないよ」

 お父さんがたしなめる。

「そうですね。失礼しました」

「さて。教わった通りに捌いてみるか……」

 お父さんの手で、タコぶつが出来上がっていく。

「これを、生で食べるんだそうだ」

「生!? 寄生虫とか大丈夫なんですか?」

「お母さんは、心配性だなあ。ヤマトの人たちが平気なんだし、平気だろう。さ、できたよ。あとは、このわさびってのを、すりおろすのか」

 今回は、日曜じゃないけどお米デー。

「いただきます」

 というわけで、本日の晩ごはんはタコ刺し!

「このわさびってのは、どのぐらいつけりゃいいんだろうね?」

「前世の家族は、このぐらいつけてたよ」

 ほんのひとすくい、醤油皿に落とす。

 前世のボク自身は、塩分制限で刺身を食べたことがない。

「へえ。どれどれ……うお! こりゃ痛烈!」

 鼻をつまむお父さん。

「からっ!」

 ハーちゃんと合唱してしまう。

「なんでえ、アルク、だらしねェな」

 とか言いつつ、おじいちゃんもちょっと涙目だ。

 おばあちゃんとお母さんも、悶絶してる。

「アユムの言った量は、初心者向けじゃないね。もったいないけど、お醤油を入れ替えよう」

 新しい醤油皿に、ちょびっとだけわさびを落とす大人組。ボクとハーちゃんは、わさび抜き。

 ふう。改めて、よく味わおう。

 おお……コリコリと弾力があって……! おいしい! タコって、こんなにおいしいんだ!

 わさびが適量になったら、みんなフォークが進む進む。

「おいしかったー!」

 タコを満喫!

「だな! 今度また、なにか向こう・・・らしいのを仕入れてこよう」

 お父さんも大満足。

 ちょっと、ハプニングがあった夕食だけど、みんな笑顔でごちそうさま!

 嬉しいな、念願の刺身が食べられるなんて。今夜は、より気分良く眠れそう!
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