14 / 63
第十四話 九月十一日(日) 犬の散歩と、食堂「トマラン」名物料理
しおりを挟む
「はぁっ……アユ……ム、スゲー、な……はっ、ついてく、ので、精いっぱ……いっ」
背後から、ククの息も絶え絶えな声が聞こえてくる。
「無理して、喋んなくていいよ~。もっと、ペース落とそうか?」
一方ボクは、マイペースそのもので、トットットッと、まだ低い朝日差す中、軽快に走行中。これでも、かなり抑えてるんだけどな。
「悪、い。落として……」
隣まで下がると、それはもう、バテバテなククがおりまして。片や、お供のワンちゃんのほうは、元気そのもの。
「ごめんね。もっと、気を使うべきだったよ」
対するククは、返事する元気も無い様子。途中、自販機の前を通りかかり、ククが「止まって」と、手でジェスチャー。
二人で、そばのベンチに腰掛け、スポドリを飲みます。
「ぷはーっ! 生き返ったぁーっ! あたしのほうこそ、自分の体力のなさナメてたわ。もっと、動けるつもりだったんだけどなあ」
深く、ため息を吐く彼女。幸せが逃げちゃうよ?
「クゥ~ン」
しっぽを振り振り、甘えた声を出すホリンの頭を、「よーしよし」と撫でる飼い主。
ホリンは長毛種で垂れ耳。黄金色の毛並みがきれい。
そして、何といっても大きい。この子が全力出したら、ククはもとより、ボクもきっと、引きずられちゃうなあ。
「やっぱり、ペットの世話って大変?」
「そりゃね。特にこいつ、体大きいし。まあ、大きいほうがかっこいいからって、おねだりしたの、あたしなんだけどさ。まさか、ここまでデカくなるとはねー」
愛犬とじゃれ合いながら、答える彼女。
「特に犬ってさ、上下関係きっちり教えてやらんと、変な行動しちゃうんだよ。シャロンに、その点猫は楽だよなーって言ったら、猫は猫で、躾ができなくて大変なんだと」
へー。やっぱ、生き物育てるって、大変なんだね。
「そろそろ行く?」
空き缶をゴミ箱に入れ、提案。
「だな」
ククも立ち上がり、空き缶を捨てる。
「今度は、早歩きぐらいで行くから」
というわけで、ペースに気を配りつつ、公園をぐるりと回ったのでした。
◆ ◆ ◆
ククと別れて、帰宅~!
シャワーの後においしい朝食をいただき、バーシたちに、どこで集まろうかと電話する。チャットがないって、不便だなあ。
「あ、ねえねえ。うちで、服見てかない?」
「それ、いいねえ!」
「シャロンにも、自分に合う服探してもらいたいしさ!」
さすが、オシャレさん。
というわけで、ボクはククに。バーシはシャロンに電話をかけ直し、お昼にボクの家に集まろうということに、なったのでした。
◆ ◆ ◆
「いやー、悪いっスねー。ゴチになっちゃって」
なんでお昼に集まってもらったかというと、うちの食堂でごちそうするため!
ククがシャロンみたいな口調で、感謝を述べる。
「はっはっはっ。アユムの大切なお友達だからね。たんとお食べ」
にこやかに促すお父さん。
ボクら四人の前には、おいしそうなクリームスパゲッティーが、置かれています。
「イクラとサーモンとほうれん草のスパゲッティーだよ。うちの人気商品なんだ」
「おおー」と、ククシャロコンビが声を上げる。
「いや、ほんとにキョーシュクっすね」
紛らわしいけど、こっちはシャロンの言葉。
ふむ。なんとなく、「す」がカタカナな気がするのがククで、ひらがなっぽいのがシャロンか。
「遠慮してると冷めちゃうよ? いただきます!」
ボクが音頭を取ると、みんなもそれに続く。
うんうん。イクラのプチプチ食感と、サーモンの旨味。そして、それを引き立てるほうれん草! スパゲッティーも、しっかりコシがある。さすが、お父さん。お見事!
三人も口々に、おいしいおいしいと絶賛。バーシは昔から、ちょくちょくこれ食べてるけどね。
ごちそうさま。みんなで、改めてお父さんにお礼を言う。
ボクはお皿を厨房の流しに下げ、三人には一足先に、バーシのお店へ行っていてもらうことにしました。歯も磨かなきゃだしね。
バーシ先生、今日はどんな見立てをするのかな?
楽しみですね~。
背後から、ククの息も絶え絶えな声が聞こえてくる。
「無理して、喋んなくていいよ~。もっと、ペース落とそうか?」
一方ボクは、マイペースそのもので、トットットッと、まだ低い朝日差す中、軽快に走行中。これでも、かなり抑えてるんだけどな。
「悪、い。落として……」
隣まで下がると、それはもう、バテバテなククがおりまして。片や、お供のワンちゃんのほうは、元気そのもの。
「ごめんね。もっと、気を使うべきだったよ」
対するククは、返事する元気も無い様子。途中、自販機の前を通りかかり、ククが「止まって」と、手でジェスチャー。
二人で、そばのベンチに腰掛け、スポドリを飲みます。
「ぷはーっ! 生き返ったぁーっ! あたしのほうこそ、自分の体力のなさナメてたわ。もっと、動けるつもりだったんだけどなあ」
深く、ため息を吐く彼女。幸せが逃げちゃうよ?
「クゥ~ン」
しっぽを振り振り、甘えた声を出すホリンの頭を、「よーしよし」と撫でる飼い主。
ホリンは長毛種で垂れ耳。黄金色の毛並みがきれい。
そして、何といっても大きい。この子が全力出したら、ククはもとより、ボクもきっと、引きずられちゃうなあ。
「やっぱり、ペットの世話って大変?」
「そりゃね。特にこいつ、体大きいし。まあ、大きいほうがかっこいいからって、おねだりしたの、あたしなんだけどさ。まさか、ここまでデカくなるとはねー」
愛犬とじゃれ合いながら、答える彼女。
「特に犬ってさ、上下関係きっちり教えてやらんと、変な行動しちゃうんだよ。シャロンに、その点猫は楽だよなーって言ったら、猫は猫で、躾ができなくて大変なんだと」
へー。やっぱ、生き物育てるって、大変なんだね。
「そろそろ行く?」
空き缶をゴミ箱に入れ、提案。
「だな」
ククも立ち上がり、空き缶を捨てる。
「今度は、早歩きぐらいで行くから」
というわけで、ペースに気を配りつつ、公園をぐるりと回ったのでした。
◆ ◆ ◆
ククと別れて、帰宅~!
シャワーの後においしい朝食をいただき、バーシたちに、どこで集まろうかと電話する。チャットがないって、不便だなあ。
「あ、ねえねえ。うちで、服見てかない?」
「それ、いいねえ!」
「シャロンにも、自分に合う服探してもらいたいしさ!」
さすが、オシャレさん。
というわけで、ボクはククに。バーシはシャロンに電話をかけ直し、お昼にボクの家に集まろうということに、なったのでした。
◆ ◆ ◆
「いやー、悪いっスねー。ゴチになっちゃって」
なんでお昼に集まってもらったかというと、うちの食堂でごちそうするため!
ククがシャロンみたいな口調で、感謝を述べる。
「はっはっはっ。アユムの大切なお友達だからね。たんとお食べ」
にこやかに促すお父さん。
ボクら四人の前には、おいしそうなクリームスパゲッティーが、置かれています。
「イクラとサーモンとほうれん草のスパゲッティーだよ。うちの人気商品なんだ」
「おおー」と、ククシャロコンビが声を上げる。
「いや、ほんとにキョーシュクっすね」
紛らわしいけど、こっちはシャロンの言葉。
ふむ。なんとなく、「す」がカタカナな気がするのがククで、ひらがなっぽいのがシャロンか。
「遠慮してると冷めちゃうよ? いただきます!」
ボクが音頭を取ると、みんなもそれに続く。
うんうん。イクラのプチプチ食感と、サーモンの旨味。そして、それを引き立てるほうれん草! スパゲッティーも、しっかりコシがある。さすが、お父さん。お見事!
三人も口々に、おいしいおいしいと絶賛。バーシは昔から、ちょくちょくこれ食べてるけどね。
ごちそうさま。みんなで、改めてお父さんにお礼を言う。
ボクはお皿を厨房の流しに下げ、三人には一足先に、バーシのお店へ行っていてもらうことにしました。歯も磨かなきゃだしね。
バーシ先生、今日はどんな見立てをするのかな?
楽しみですね~。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
魔法少女になれたなら【完結済み】
M・A・J・O
ファンタジー
【第5回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】
【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】
【第9回ネット小説大賞、一次選考突破!】
とある普通の女子小学生――“椎名結衣”はある日一冊の本と出会う。
そこから少女の生活は一変する。
なんとその本は魔法のステッキで?
魔法のステッキにより、強引に魔法少女にされてしまった結衣。
異能力の戦いに戸惑いながらも、何とか着実に勝利を重ねて行く。
これは人間の願いの物語。
愉快痛快なステッキに振り回される憐れな少女の“願い”やいかに――
謎に包まれた魔法少女劇が今――始まる。
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。


切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる