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第十四話 九月十一日(日) 犬の散歩と、食堂「トマラン」名物料理
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「はぁっ……アユ……ム、スゲー、な……はっ、ついてく、ので、精いっぱ……いっ」
背後から、ククの息も絶え絶えな声が聞こえてくる。
「無理して、喋んなくていいよ~。もっと、ペース落とそうか?」
一方ボクは、マイペースそのもので、トットットッと、まだ低い朝日差す中、軽快に走行中。これでも、かなり抑えてるんだけどな。
「悪、い。落として……」
隣まで下がると、それはもう、バテバテなククがおりまして。片や、お供のワンちゃんのほうは、元気そのもの。
「ごめんね。もっと、気を使うべきだったよ」
対するククは、返事する元気も無い様子。途中、自販機の前を通りかかり、ククが「止まって」と、手でジェスチャー。
二人で、そばのベンチに腰掛け、スポドリを飲みます。
「ぷはーっ! 生き返ったぁーっ! あたしのほうこそ、自分の体力のなさナメてたわ。もっと、動けるつもりだったんだけどなあ」
深く、ため息を吐く彼女。幸せが逃げちゃうよ?
「クゥ~ン」
しっぽを振り振り、甘えた声を出すホリンの頭を、「よーしよし」と撫でる飼い主。
ホリンは長毛種で垂れ耳。黄金色の毛並みがきれい。
そして、何といっても大きい。この子が全力出したら、ククはもとより、ボクもきっと、引きずられちゃうなあ。
「やっぱり、ペットの世話って大変?」
「そりゃね。特にこいつ、体大きいし。まあ、大きいほうがかっこいいからって、おねだりしたの、あたしなんだけどさ。まさか、ここまでデカくなるとはねー」
愛犬とじゃれ合いながら、答える彼女。
「特に犬ってさ、上下関係きっちり教えてやらんと、変な行動しちゃうんだよ。シャロンに、その点猫は楽だよなーって言ったら、猫は猫で、躾ができなくて大変なんだと」
へー。やっぱ、生き物育てるって、大変なんだね。
「そろそろ行く?」
空き缶をゴミ箱に入れ、提案。
「だな」
ククも立ち上がり、空き缶を捨てる。
「今度は、早歩きぐらいで行くから」
というわけで、ペースに気を配りつつ、公園をぐるりと回ったのでした。
◆ ◆ ◆
ククと別れて、帰宅~!
シャワーの後においしい朝食をいただき、バーシたちに、どこで集まろうかと電話する。チャットがないって、不便だなあ。
「あ、ねえねえ。うちで、服見てかない?」
「それ、いいねえ!」
「シャロンにも、自分に合う服探してもらいたいしさ!」
さすが、オシャレさん。
というわけで、ボクはククに。バーシはシャロンに電話をかけ直し、お昼にボクの家に集まろうということに、なったのでした。
◆ ◆ ◆
「いやー、悪いっスねー。ゴチになっちゃって」
なんでお昼に集まってもらったかというと、うちの食堂でごちそうするため!
ククがシャロンみたいな口調で、感謝を述べる。
「はっはっはっ。アユムの大切なお友達だからね。たんとお食べ」
にこやかに促すお父さん。
ボクら四人の前には、おいしそうなクリームスパゲッティーが、置かれています。
「イクラとサーモンとほうれん草のスパゲッティーだよ。うちの人気商品なんだ」
「おおー」と、ククシャロコンビが声を上げる。
「いや、ほんとにキョーシュクっすね」
紛らわしいけど、こっちはシャロンの言葉。
ふむ。なんとなく、「す」がカタカナな気がするのがククで、ひらがなっぽいのがシャロンか。
「遠慮してると冷めちゃうよ? いただきます!」
ボクが音頭を取ると、みんなもそれに続く。
うんうん。イクラのプチプチ食感と、サーモンの旨味。そして、それを引き立てるほうれん草! スパゲッティーも、しっかりコシがある。さすが、お父さん。お見事!
三人も口々に、おいしいおいしいと絶賛。バーシは昔から、ちょくちょくこれ食べてるけどね。
ごちそうさま。みんなで、改めてお父さんにお礼を言う。
ボクはお皿を厨房の流しに下げ、三人には一足先に、バーシのお店へ行っていてもらうことにしました。歯も磨かなきゃだしね。
バーシ先生、今日はどんな見立てをするのかな?
楽しみですね~。
背後から、ククの息も絶え絶えな声が聞こえてくる。
「無理して、喋んなくていいよ~。もっと、ペース落とそうか?」
一方ボクは、マイペースそのもので、トットットッと、まだ低い朝日差す中、軽快に走行中。これでも、かなり抑えてるんだけどな。
「悪、い。落として……」
隣まで下がると、それはもう、バテバテなククがおりまして。片や、お供のワンちゃんのほうは、元気そのもの。
「ごめんね。もっと、気を使うべきだったよ」
対するククは、返事する元気も無い様子。途中、自販機の前を通りかかり、ククが「止まって」と、手でジェスチャー。
二人で、そばのベンチに腰掛け、スポドリを飲みます。
「ぷはーっ! 生き返ったぁーっ! あたしのほうこそ、自分の体力のなさナメてたわ。もっと、動けるつもりだったんだけどなあ」
深く、ため息を吐く彼女。幸せが逃げちゃうよ?
「クゥ~ン」
しっぽを振り振り、甘えた声を出すホリンの頭を、「よーしよし」と撫でる飼い主。
ホリンは長毛種で垂れ耳。黄金色の毛並みがきれい。
そして、何といっても大きい。この子が全力出したら、ククはもとより、ボクもきっと、引きずられちゃうなあ。
「やっぱり、ペットの世話って大変?」
「そりゃね。特にこいつ、体大きいし。まあ、大きいほうがかっこいいからって、おねだりしたの、あたしなんだけどさ。まさか、ここまでデカくなるとはねー」
愛犬とじゃれ合いながら、答える彼女。
「特に犬ってさ、上下関係きっちり教えてやらんと、変な行動しちゃうんだよ。シャロンに、その点猫は楽だよなーって言ったら、猫は猫で、躾ができなくて大変なんだと」
へー。やっぱ、生き物育てるって、大変なんだね。
「そろそろ行く?」
空き缶をゴミ箱に入れ、提案。
「だな」
ククも立ち上がり、空き缶を捨てる。
「今度は、早歩きぐらいで行くから」
というわけで、ペースに気を配りつつ、公園をぐるりと回ったのでした。
◆ ◆ ◆
ククと別れて、帰宅~!
シャワーの後においしい朝食をいただき、バーシたちに、どこで集まろうかと電話する。チャットがないって、不便だなあ。
「あ、ねえねえ。うちで、服見てかない?」
「それ、いいねえ!」
「シャロンにも、自分に合う服探してもらいたいしさ!」
さすが、オシャレさん。
というわけで、ボクはククに。バーシはシャロンに電話をかけ直し、お昼にボクの家に集まろうということに、なったのでした。
◆ ◆ ◆
「いやー、悪いっスねー。ゴチになっちゃって」
なんでお昼に集まってもらったかというと、うちの食堂でごちそうするため!
ククがシャロンみたいな口調で、感謝を述べる。
「はっはっはっ。アユムの大切なお友達だからね。たんとお食べ」
にこやかに促すお父さん。
ボクら四人の前には、おいしそうなクリームスパゲッティーが、置かれています。
「イクラとサーモンとほうれん草のスパゲッティーだよ。うちの人気商品なんだ」
「おおー」と、ククシャロコンビが声を上げる。
「いや、ほんとにキョーシュクっすね」
紛らわしいけど、こっちはシャロンの言葉。
ふむ。なんとなく、「す」がカタカナな気がするのがククで、ひらがなっぽいのがシャロンか。
「遠慮してると冷めちゃうよ? いただきます!」
ボクが音頭を取ると、みんなもそれに続く。
うんうん。イクラのプチプチ食感と、サーモンの旨味。そして、それを引き立てるほうれん草! スパゲッティーも、しっかりコシがある。さすが、お父さん。お見事!
三人も口々に、おいしいおいしいと絶賛。バーシは昔から、ちょくちょくこれ食べてるけどね。
ごちそうさま。みんなで、改めてお父さんにお礼を言う。
ボクはお皿を厨房の流しに下げ、三人には一足先に、バーシのお店へ行っていてもらうことにしました。歯も磨かなきゃだしね。
バーシ先生、今日はどんな見立てをするのかな?
楽しみですね~。
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姉妹作⇒https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/132755025(完結) 他長編「神奈さんとアメリちゃん」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/663488280(完結)「小市民魔導剣士、冒険しつつ異世界を食べ歩く!」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/440658351(完結)「〈社会人百合〉アキとハル」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/968690065(完結)「自称・漆黒の堕天使が異世界を改革するようです」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/635743463(完結)
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