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第十一話 九月八日(木) 新計画、始動!

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「そういえばさ」

 今日はいつもと逆に、ボクとバーシがククの机に集まって、休み時間に雑談。もちろん、シャロンも一緒。

「二人のお父さんお母さんって、お仕事何やってるの?」

 うちが食堂、バーシが服屋さんなことは、こないだ話したのだけど、そういえば、二人のほうは訊いていなかった。

「あー。うち、親父は会社員。かーちゃんは専業主婦」

「うちはパパが市役所の職員で、ママが小学校の先生っすね」

 へー。というか、シャロンのお母さんの職業が意外。

「シャロンは、やっぱり、お母さんのいる学校に通ったの?」

「いや。むしろ親子だと、ベンギを図っちゃう可能性があるってんで、ママは、うちの入学と入れ替わりに、学校変わったっす」

 なるほどねえ。

「学校の先生って、何時ぐらいに帰ってくるの?」

「遅いっすよー。七時に帰ってきたら、早いほうっす。生徒が帰った後も、色々やることあるんすよ」

 ひょえー。

「シャロンは、家帰って誰もいないって、寂しくない?」

「まー、慣れたっすねえ」

 ボクだったら、帰ったら誰もいなくて、一人モソモソ夕ご飯を食べるとか、耐えられないな……。

「じゃあさ、今度四人で遊ばない?」

「お、さんせー。シンボクを深めたかったしな!」

「この中で、一番家が広いの誰だろ?」

 各自のおうち事情を、突き合わせる。

 結果、ボクの家に集まろうという話になりました。

「でも、アユムとバーシは、火曜以外暇ないんだろ? どうすっかね」

「うーん。そこは、お父さんとお母さんに相談してみる」

 というわけで、詳しい打ち合わせは明日またすることになり、今日の授業もバリバリ楽しみ、下校となりました。


 ◆ ◆ ◆


「いいわよ」

 お父さんたちに相談すると、あっさりお母さんから、火曜以外の休みの許可がもらえました。

「ねえ、アルクお父さんさん?」

 お父さんも、うんうんうなずく。

「ほんとは、店の手伝いなんかさせず、自由にさせてあげたかったところだからな。適当に休んでもらって、かまわないよ」

「うわあ、ありがとう!」

 立ち上がって、背後から二人の肩を抱く。

「じゃあ、部活の日にちも増やしていいかな?」

「いいんじゃない? ねえ?」

 お母さんが、お父さんを見る。

「ん。青春は一度きり。アユムの好きなようにするといいよ」

「ありがとー!」

 肩を抱く力に、さらに力を込める。二人とも、大好き!

「バーシにも、様子を聞いてくるね!」

 もうパジャマなので、電話でコール。

「もしもし?」

「あ、おばさんですね? こんばんは、アユムです。バーシいますか?」

「待っててね」

 送話口を手で押さえているのだろう、「バーシー」という呼び声が、くぐもって聞こえる。

 ややあって。

「お待たせー。遊ぶ日のこと?」

「うん。うちはね……」

 さっき、大変太っ腹な許可をもらったことを告げる。

「おおー。うちも、そんな感じの許可もらったよー」

「おお、やった! これで、気兼ねなく遊んだり部活できるね!」

「だね。明日、ネコザキ先生に、部活動日の変更伝えないと」

 あとは雑談で盛り上がり、そろそろ宿題しないとってことで、通話を終わりました。


 ◆ ◆ ◆


「おー、やったじゃん! これで、気兼ねなく遊べるな!」

 休み時間、ククの机にたむろしながら、結果報告。早速、喜んでくれました。

「で、部活日だけどどうする?」

 火曜以外も放課後はフリーになったわけだけど。

「土日は、さすがにうちらが家族と、どっか行ったりしたいからなあ」

 ククがシャロンを見ると、「っす」とだけ言って、うなずく。

 うーん。勤め人と、自営業の溝。

「じゃあ、火はボクらが家族と何かする日にして、水木ぐらいにしとく?」

 月金は、月は週明けでだるいし、金は、ククたちが休み前でゆっくりしたいだろうから、この二日を挙げる。

「ん。いんじゃね? シャロンはどうよ?」

「問題ないっす」

 「バーシは?」と問うと、彼女も同意。

「じゃあ、お昼休みに、ネコザキ先生に変更を伝えてくるね」

 予鈴が鳴ったので、各自の席に戻る。


 ◆ ◆ ◆


「あら、今度は水木になったの?」

「ころころ変わって、すみません」

 職員室で、お茶を飲んでるネコザキ先生に、恐縮する。

「いえ、まだ書類作ってる最中だったから気にしないで。私も、それにスケジュール合わせないとね」

 お茶を飲み干し、コトリと茶碗を置く。

「来週水曜には、許可降りるかしら? 楽しみにしててちょうだいね」

「はい!」

 ペコリとお辞儀し、職員室を退出。

 ああ! ボクの第二の人生、充実してるなあ!!
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姉妹作⇒https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/132755025(完結)  他長編「神奈さんとアメリちゃん」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/663488280(完結)「小市民魔導剣士、冒険しつつ異世界を食べ歩く!」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/440658351(完結)「〈社会人百合〉アキとハル」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/968690065(完結)「自称・漆黒の堕天使が異世界を改革するようです」https://www.alphapolis.co.jp/novel/334326892/635743463(完結)
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