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電車のサラリーマン
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「今日さ、電車でサラリーマンのオッサンに怒鳴られたんだよ」
A吉はサークルの部室に入ってくると、ソファーにどかっと座ってから言った。
僕はソファーから立ち上がると、冷蔵庫から個包装されたチョコレートを取り出して、「へえ、それは大変だったね」と言った。
「いやあーホントそれ! まさかよ、この歳になって人から怒鳴られるとは思わねえじゃん⁉ まじでビックリしたぜ。唖然としたな! 車内は騒然って感じだったし!」
この歳と言っても、僕らはまだ二十一の大学三年だし、人生の半分どころか、まだ四半分くらいしか生きていない。
とはいえ、小中学生じゃあるまいし、たしかに大学生になって人から怒鳴られるというのは、まあなかなかにある経験ではないだろう。――特に、電車という公共の場で。それも、初対面の人にだ。
「てかほんっと意味わかんねえ! 今でもあんなに怒鳴られたのが理解できねえわ!」
A吉は貧乏ゆすりをしながら言った。
「イライラする?」
僕がチョコを放ると、彼はキャッチして勢いそのままに口へ押し込んだ。
「そりゃするさ! 何で俺がこんな目にあわなきならねえ! ――あー! 思い出してきたらまたムカついてきた!!」
「はは、A吉は元気だなあ。――いきなり怒鳴られたのかい?」
「聞いてくれよ~。それがさあ……」
A吉はサークルの部室に入ってくると、ソファーにどかっと座ってから言った。
僕はソファーから立ち上がると、冷蔵庫から個包装されたチョコレートを取り出して、「へえ、それは大変だったね」と言った。
「いやあーホントそれ! まさかよ、この歳になって人から怒鳴られるとは思わねえじゃん⁉ まじでビックリしたぜ。唖然としたな! 車内は騒然って感じだったし!」
この歳と言っても、僕らはまだ二十一の大学三年だし、人生の半分どころか、まだ四半分くらいしか生きていない。
とはいえ、小中学生じゃあるまいし、たしかに大学生になって人から怒鳴られるというのは、まあなかなかにある経験ではないだろう。――特に、電車という公共の場で。それも、初対面の人にだ。
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