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休日5
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女番長さんは、ツインテールでした。
そして、ゴスロリ衣装を着ていました。
思いのほか、似合っています。
私がしてあげたのは制服にフリルを縫い付けるところまでだったのですが、あれから衣装について研究したようです。
気の強い女番長さんに似合う、すっきりした感じのフリルが施された、黒いゴスロリ衣装です。
「ちょっと、声をかけてみましょうか」
女番長さんと不良達は単に言い争いをしているだけなので、助けるかどうかは微妙な状況でした。
ですが、知り合いとなれば話は別です。
知り合いに声をかけるのは普通のことです。
私は女番長さんに近付いていきます。
すると、こちらに気付いた女番長さんが、こちらが声をかける前に、声を上げます。
「あっ! てめえは!」
ひさしぶりに会ったというのに、女番長さんは目を吊り上げて、こちらを睨んできます。
不良達と言い争いをして、気が立っているのでしょうか。
これでは、ゆっくりと話をすることができそうにありません。
「なんだ、てめえは?」
さらに、不良達が私とソラ子に絡んできます。
「おい! そいつらは関係ないだろ!」
女番長さんが止めますが、不良達はかまわずこちらに絡んできます。
誰彼かまわず襲い掛かる野犬のようです。
これはいけません。
野犬に芸術は理解できないでしょう。
このままでは、ソラ子が汚されてしまうかも知れません。
魔女っ子(代理)として、将来の魔女っ子であるソラ子を護ることにします。
「マジカルサンダー×2」
「「ぎゃっ!」」
街中でマジカルフレイムは、テロの容疑をかけられてしまう可能性があります。
なので、今回はマジカルサンダーを使うことにしました。
ただし、前回のようにステッキに仕込んだものではありません。
両腕の袖に隠した小型のスタンガンを使います。
疑似魔法は日々進化しているのです。
「マジカルサンダー×2」
「「ぎえっ!」」
最初の二人が倒れると、私は即座に次の二人を処理します。
同じ魔法を何度も使うのは、本来は褒められた行為ではありません。
魔女っ子としての見せ場が地味になってしまうからです。
ですが今回は、目立たないこと、そして早さを優先しました。
本物の魔女っ子であれば、もっと華麗に処理するのでしょうが、私は魔女っ子(代理)なので、このくらいが限界なのです。
悔しいですが、仕方ありません。
「お、覚えてろ!」
不良達がテンプレの台詞を吐いて逃げていきます。
私はその姿をスマホで写真に撮ります。
不良達の望み通り、覚えておくためです。
あとで、お巡りさんにも見せてあげようと思います。
「助けられちまったな」
不良達の姿が見えなくなった頃、女番長さんが話しかけてきました。
なんだか、気まずそうな表情です。
「大丈夫でしたか?」
「ああ」
私が無事を尋ねると、女番長さんが、しおらしい姿で返事をしてきます。
不良に絡まれたのに不謹慎かも知れませんが、ちょっと可愛いと思ってしまいます。
「その格好、似合ってますね」
私が褒めると、女番長さんが、キッ!とこちらを睨んできます。
「おまえな! この格好のせいで、他校の不良達に絡まれるようになって、大変だったんだぞ!」
女番長さんが話してくれたところによると、先ほどのような状況は今回だけではないそうです。
いわゆる、893の足抜けのようなものなのでしょう。
不良みたいな格好からゴスロリ衣装に変わったせいで、不良を辞めたと思われて、他校の不良から絡まれるようになったようです。
気の毒だとは思いますが、それを私に文句を言われても困ります。
私はツインテールにはしてあげましたが、ゴスロリ衣装は着せていません。
それに、ツインテールも、気に入らないなら元の髪型に戻せばいいのです。
それを指摘すると、女番長さんが、うっ!と言葉を詰まらせます。
「だって……」
女番長さんが、指をもじもじさせながら告白してきます。
「だって、あっくんが似合っているって言うから」
「…………」
「…………何だよ?」
「いえ、別に」
『あっくん』というのは、たしか女番長さんの弟さんです。
どうやら、ツインテールにしたことによって、弟さんと仲良くできたようです。
おそらく、弟さんのリクエストで、服も髪型に合うものにしたのでしょう。
私は生暖かい目で女番長さんを見てあげます。
「…………違うからな」
「わかってますよ」
何が違うのかわかりませんが、そう答えておきました。
なんにせよ、姉弟の仲が良好なのはよいことです。
そして、ゴスロリ衣装を着ていました。
思いのほか、似合っています。
私がしてあげたのは制服にフリルを縫い付けるところまでだったのですが、あれから衣装について研究したようです。
気の強い女番長さんに似合う、すっきりした感じのフリルが施された、黒いゴスロリ衣装です。
「ちょっと、声をかけてみましょうか」
女番長さんと不良達は単に言い争いをしているだけなので、助けるかどうかは微妙な状況でした。
ですが、知り合いとなれば話は別です。
知り合いに声をかけるのは普通のことです。
私は女番長さんに近付いていきます。
すると、こちらに気付いた女番長さんが、こちらが声をかける前に、声を上げます。
「あっ! てめえは!」
ひさしぶりに会ったというのに、女番長さんは目を吊り上げて、こちらを睨んできます。
不良達と言い争いをして、気が立っているのでしょうか。
これでは、ゆっくりと話をすることができそうにありません。
「なんだ、てめえは?」
さらに、不良達が私とソラ子に絡んできます。
「おい! そいつらは関係ないだろ!」
女番長さんが止めますが、不良達はかまわずこちらに絡んできます。
誰彼かまわず襲い掛かる野犬のようです。
これはいけません。
野犬に芸術は理解できないでしょう。
このままでは、ソラ子が汚されてしまうかも知れません。
魔女っ子(代理)として、将来の魔女っ子であるソラ子を護ることにします。
「マジカルサンダー×2」
「「ぎゃっ!」」
街中でマジカルフレイムは、テロの容疑をかけられてしまう可能性があります。
なので、今回はマジカルサンダーを使うことにしました。
ただし、前回のようにステッキに仕込んだものではありません。
両腕の袖に隠した小型のスタンガンを使います。
疑似魔法は日々進化しているのです。
「マジカルサンダー×2」
「「ぎえっ!」」
最初の二人が倒れると、私は即座に次の二人を処理します。
同じ魔法を何度も使うのは、本来は褒められた行為ではありません。
魔女っ子としての見せ場が地味になってしまうからです。
ですが今回は、目立たないこと、そして早さを優先しました。
本物の魔女っ子であれば、もっと華麗に処理するのでしょうが、私は魔女っ子(代理)なので、このくらいが限界なのです。
悔しいですが、仕方ありません。
「お、覚えてろ!」
不良達がテンプレの台詞を吐いて逃げていきます。
私はその姿をスマホで写真に撮ります。
不良達の望み通り、覚えておくためです。
あとで、お巡りさんにも見せてあげようと思います。
「助けられちまったな」
不良達の姿が見えなくなった頃、女番長さんが話しかけてきました。
なんだか、気まずそうな表情です。
「大丈夫でしたか?」
「ああ」
私が無事を尋ねると、女番長さんが、しおらしい姿で返事をしてきます。
不良に絡まれたのに不謹慎かも知れませんが、ちょっと可愛いと思ってしまいます。
「その格好、似合ってますね」
私が褒めると、女番長さんが、キッ!とこちらを睨んできます。
「おまえな! この格好のせいで、他校の不良達に絡まれるようになって、大変だったんだぞ!」
女番長さんが話してくれたところによると、先ほどのような状況は今回だけではないそうです。
いわゆる、893の足抜けのようなものなのでしょう。
不良みたいな格好からゴスロリ衣装に変わったせいで、不良を辞めたと思われて、他校の不良から絡まれるようになったようです。
気の毒だとは思いますが、それを私に文句を言われても困ります。
私はツインテールにはしてあげましたが、ゴスロリ衣装は着せていません。
それに、ツインテールも、気に入らないなら元の髪型に戻せばいいのです。
それを指摘すると、女番長さんが、うっ!と言葉を詰まらせます。
「だって……」
女番長さんが、指をもじもじさせながら告白してきます。
「だって、あっくんが似合っているって言うから」
「…………」
「…………何だよ?」
「いえ、別に」
『あっくん』というのは、たしか女番長さんの弟さんです。
どうやら、ツインテールにしたことによって、弟さんと仲良くできたようです。
おそらく、弟さんのリクエストで、服も髪型に合うものにしたのでしょう。
私は生暖かい目で女番長さんを見てあげます。
「…………違うからな」
「わかってますよ」
何が違うのかわかりませんが、そう答えておきました。
なんにせよ、姉弟の仲が良好なのはよいことです。
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