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不良退治3
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モデルのお仕事を辞めると言って、カメラマンさんや先輩モデルさんに引き留められてから、数日が経ちました。
私の都合を優先してくれるという言葉に嘘は無く、私は部活とモデルのお仕事を両立する生活を送っています。
そして、今日も私は学校へ向かいます。
「おはよう、キララ。一緒に学校へ行こう」
「おっす、キララ。一緒に行こうぜ」
家を出ると、ちょうどソラとリクも隣の家から出てきたところでした。
朝の挨拶をしてきます。
「おはよう、ソラ。一緒に行きましょう。ヤリチンは先に行け」
私は挨拶を返し、ソラと並んで歩き始めます。
「なあ、俺、おまえに何かしたか?」
ついでに、リクも並んで歩き始めました。
がっくりしているようですが、先に行くつもりはないようです。
そして、リクは私の横で首を捻って、ぶつぶつ言いながら唸っています。
横で唸られていると鬱陶しいので、私は親切に教えてあげることにします。
「私には何もしていないわね。けど、私以外の女にしているのでしょう?」
その言葉を聞いて、リクは私の顔色を窺うように尋ねてきます。
「おまえ、もしかして……俺が他の女子といるからヤキモチ焼いているのか?」
とんでもない勘違いです。
私がリクにヤキモチを焼くことなどあり得ません。
なぜなら、リクは童貞ではないからです。
童貞でない以上、リクが魔法使いになることは不可能です。
ようするに、用無しです。
何かを期待するような視線をこちらに向けてきていますが、それに対して私は哀れみを込めた視線を返します。
「はぁ……あのね、リク。あなたは快楽の代償に、すでに資格を失っているの。だから、せいぜい他の女と肉欲に溺れているといいわ」
「そんなもんに溺れてねえよ!?」
「我慢しなくていいのよ。なぜなら、失った資格は二度と手に入らないのだから」
「違うって言ってるだろ!?……だいたい、資格ってなんのだよ」
「夢を叶える資格よ」
「訳わかんねえよ……」
リクは納得いかない顔をしていますが、これ以上は説明しても時間の無駄でしょう。
私に説明するつもりが無いことを察したのか、リクは拗ねた顔をしながらも、それ以上は聞いてきませんでした。
「まあまあ、二人とも仲良くしなよ」
私とリクが険悪な雰囲気だとでも思ったのか、ソラが仲裁に入ります。
でも、それは気のせいです。
なぜなら、私は険悪に思うほどリクに興味がないからです。
リクが誰と肉欲に溺れようが、好きにしたらよいと思っています。
けど、仲裁に入るソラの優しさを否定するつもりはないので、素直にその言葉を受け入れます。
「ソラ、心配いらないわ。リクには仲良くしてくれる女が大勢いるから」
「えっと……」
ソラを安心させるために行ったのですが、なぜかソラは困った顔をします。
「あのね、キララ。リクは――」
「ソラ、余計なことを言うな」
ソラが何かを言いかけますが、リクがそれを遮ります。
ソラはさらに困った顔になりますが、言いかけた言葉は続けませんでした。
代わりに話題を変えてきます。
「ところで、キララ。鞄に荷物がいっぱい入っているみたいだけど、今日ってそんなに荷物が必要な授業ってあった?」
ソラは私が持つ荷物に気付いたようです。
ソラの言葉通り、今日の私は荷物が多いです。
普段、学校には教科書を入れる鞄と、体操着を入れる鞄の二つを持っていきます。
今日は、そのうちの体操着を入れる方の鞄がパンパンなのです。
それには理由があります。
「衣装が完成したの」
「衣装?」
そう。
私の鞄の中には、完成したばかりの新しい魔女っ子衣装が入っているのです。
私がモデルを辞めない条件として作ってもらった衣装です。
昨日、試着してみたのですが、なかなかの出来でした。
お花見のときの衣装のような、子供向けのデザインとはとは一味違います。
かわいらしさとセクシーさが共存する、今の私が着ても違和感がないデザインです。
着心地もそうです。
露出はお花見のときの衣装と同じくらいなのに、動きやすさが段違いです。
それだけではありません。
疑似魔法を行使するための仕掛けも色々と組み込んでいます。
これなら、正義の執行も捗ることでしょう。
「あとでソラに見せてあげるね」
けれど、魔女っ子としての姿は、気軽に見せてよいものではありません。
それに見合ったシチュエーションというものがあります。
だから、あとのお楽しみということにしておきます。
「うん、楽しみにしているね」
私は具体的に衣装の説明をしませんでしたが、ソラは素直にそう言いました。
顔に浮かぶのは、本当に楽しみにしている笑顔です。
これは期待に応えなければなりません。
「モデルの衣装か? 俺にも見せてくれよ」
私とソラのやりとりを聞いていたリクが、図々しくもそんな要求をしてきます。
それに対して、私は答えます。
「ヤリチンはビッチの裸でも見てろ」
「そ、そんなの見ねえよ!?」
リクはきっと本心では衣装よりも、中身の方が見たいのだと思います。
だから幼馴染の義理で親切に言ってあげたというのに、なぜか不満そうです。
もしかしたら、服を着たままするのが好きなのかも知れません。
そう思いましたが、リクの性癖に興味はありませんので、わざわざ聞いたりはしません。
「ちぇ、子供の頃は無理やり見せようとしてきたのによ」
ぶつぶつ言っているリクを放っておいて、私はソラと楽しくお喋りしながら、学校への道を進みました。
私の都合を優先してくれるという言葉に嘘は無く、私は部活とモデルのお仕事を両立する生活を送っています。
そして、今日も私は学校へ向かいます。
「おはよう、キララ。一緒に学校へ行こう」
「おっす、キララ。一緒に行こうぜ」
家を出ると、ちょうどソラとリクも隣の家から出てきたところでした。
朝の挨拶をしてきます。
「おはよう、ソラ。一緒に行きましょう。ヤリチンは先に行け」
私は挨拶を返し、ソラと並んで歩き始めます。
「なあ、俺、おまえに何かしたか?」
ついでに、リクも並んで歩き始めました。
がっくりしているようですが、先に行くつもりはないようです。
そして、リクは私の横で首を捻って、ぶつぶつ言いながら唸っています。
横で唸られていると鬱陶しいので、私は親切に教えてあげることにします。
「私には何もしていないわね。けど、私以外の女にしているのでしょう?」
その言葉を聞いて、リクは私の顔色を窺うように尋ねてきます。
「おまえ、もしかして……俺が他の女子といるからヤキモチ焼いているのか?」
とんでもない勘違いです。
私がリクにヤキモチを焼くことなどあり得ません。
なぜなら、リクは童貞ではないからです。
童貞でない以上、リクが魔法使いになることは不可能です。
ようするに、用無しです。
何かを期待するような視線をこちらに向けてきていますが、それに対して私は哀れみを込めた視線を返します。
「はぁ……あのね、リク。あなたは快楽の代償に、すでに資格を失っているの。だから、せいぜい他の女と肉欲に溺れているといいわ」
「そんなもんに溺れてねえよ!?」
「我慢しなくていいのよ。なぜなら、失った資格は二度と手に入らないのだから」
「違うって言ってるだろ!?……だいたい、資格ってなんのだよ」
「夢を叶える資格よ」
「訳わかんねえよ……」
リクは納得いかない顔をしていますが、これ以上は説明しても時間の無駄でしょう。
私に説明するつもりが無いことを察したのか、リクは拗ねた顔をしながらも、それ以上は聞いてきませんでした。
「まあまあ、二人とも仲良くしなよ」
私とリクが険悪な雰囲気だとでも思ったのか、ソラが仲裁に入ります。
でも、それは気のせいです。
なぜなら、私は険悪に思うほどリクに興味がないからです。
リクが誰と肉欲に溺れようが、好きにしたらよいと思っています。
けど、仲裁に入るソラの優しさを否定するつもりはないので、素直にその言葉を受け入れます。
「ソラ、心配いらないわ。リクには仲良くしてくれる女が大勢いるから」
「えっと……」
ソラを安心させるために行ったのですが、なぜかソラは困った顔をします。
「あのね、キララ。リクは――」
「ソラ、余計なことを言うな」
ソラが何かを言いかけますが、リクがそれを遮ります。
ソラはさらに困った顔になりますが、言いかけた言葉は続けませんでした。
代わりに話題を変えてきます。
「ところで、キララ。鞄に荷物がいっぱい入っているみたいだけど、今日ってそんなに荷物が必要な授業ってあった?」
ソラは私が持つ荷物に気付いたようです。
ソラの言葉通り、今日の私は荷物が多いです。
普段、学校には教科書を入れる鞄と、体操着を入れる鞄の二つを持っていきます。
今日は、そのうちの体操着を入れる方の鞄がパンパンなのです。
それには理由があります。
「衣装が完成したの」
「衣装?」
そう。
私の鞄の中には、完成したばかりの新しい魔女っ子衣装が入っているのです。
私がモデルを辞めない条件として作ってもらった衣装です。
昨日、試着してみたのですが、なかなかの出来でした。
お花見のときの衣装のような、子供向けのデザインとはとは一味違います。
かわいらしさとセクシーさが共存する、今の私が着ても違和感がないデザインです。
着心地もそうです。
露出はお花見のときの衣装と同じくらいなのに、動きやすさが段違いです。
それだけではありません。
疑似魔法を行使するための仕掛けも色々と組み込んでいます。
これなら、正義の執行も捗ることでしょう。
「あとでソラに見せてあげるね」
けれど、魔女っ子としての姿は、気軽に見せてよいものではありません。
それに見合ったシチュエーションというものがあります。
だから、あとのお楽しみということにしておきます。
「うん、楽しみにしているね」
私は具体的に衣装の説明をしませんでしたが、ソラは素直にそう言いました。
顔に浮かぶのは、本当に楽しみにしている笑顔です。
これは期待に応えなければなりません。
「モデルの衣装か? 俺にも見せてくれよ」
私とソラのやりとりを聞いていたリクが、図々しくもそんな要求をしてきます。
それに対して、私は答えます。
「ヤリチンはビッチの裸でも見てろ」
「そ、そんなの見ねえよ!?」
リクはきっと本心では衣装よりも、中身の方が見たいのだと思います。
だから幼馴染の義理で親切に言ってあげたというのに、なぜか不満そうです。
もしかしたら、服を着たままするのが好きなのかも知れません。
そう思いましたが、リクの性癖に興味はありませんので、わざわざ聞いたりはしません。
「ちぇ、子供の頃は無理やり見せようとしてきたのによ」
ぶつぶつ言っているリクを放っておいて、私はソラと楽しくお喋りしながら、学校への道を進みました。
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