魔女っ子になるのはムリそうなので、幼馴染を魔法使いにします!~処女と童貞の焦らしプレイ~

かみゅG

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不良退治1

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「キララちゃん、笑って~」

 カメラマンさんの要求に応じて、私は笑顔を作ります。

 にこっ

 パシャッ

「もう少し笑って~」

 カメラマンさんが、さらに笑顔を要求してきます。

 にっこり

 パシャッ

 モデルのお仕事の撮影はスムーズに進みました。

 …………

「キララちゃん、今日は素敵な笑顔だったね。おかげで撮影も捗ったよ」

 撮影が終わると同時に、カメラマンさんが話しかけてきました。
 最近、魔女っ子になれないと知った私は、笑顔が上手く作れませんでした。
 だから、撮影に時間がかかっていました。
 けれど、ソラを魔法使いにするという新たな夢ができたので、今の私の笑顔には一点の曇りもありません。

「これからも、この調子で頼むよ」

 カメラマンさんが、機嫌良さそうに私に言います。
 しかし、私はその頼みを聞くことができません。
 そのことを伝えることにします。

「あ、私、モデル辞めます」
「えええぇぇぇ!?」

 カメラマンさんの機嫌良さそうな顔が、一瞬で驚きの顔に変わりました。
 ガッ!と肩を掴んで、私を揺さぶってきます。
 視界が激しくシェイクされて、乗り物酔いしたときみたいになりそうです。

「な、ななな、なんで辞めちゃうの!?」
「だって、モデルを続けても、魔女っ子になれないし」
「そんなに魔女っ子の衣装が着たかったの!? それなら、魔女っ子の衣装も着せてあげるから!?」

 辞める理由を質問されたので答えると、カメラマンさんが嬉しいことを言ってくれます。
 魔女っ子の衣装を着ることができるというのは、私にとって嬉しいことです。
 けれど、そういうことではないのです。

「いえ、魔女っ子の衣装を着るのが目的じゃなくて」
「なら、なに!? なにが着たいの!? なんでも着せてあげるから!?」
「そうじゃなくて、モデル自体が目的のための手段というか」
「キララちゃんがトップモデルになって、私がそれをカメラに収めるという、私達の夢はどうなるの!?」

 そんな夢は知りません。
 それは私とカメラマンさんの共通の夢ではなく、カメラマンさん単独の夢です。
 私の夢は、ソラを魔法使いにすることです。
 というか、私はカメラマンさんがそんな夢を持っていたこと自体を知りませんでした。
 だから、その夢が実現不可能であるということを、軽い感じで伝えてしまいました。
 失敗です。
 カメラマンさんの圧力が凄いです。
 カメラマンさんが私を揺さぶりながら大声を上げるものですから、他のモデル達が何事かと集まってきました。
 集まってきたモデルの中には、私にマジカルクラッシュを教えてくれた先輩モデルさんもいました。
 彼女はカメラマンさんをチョップで止めると、私に話しかけてきます。

「なになに? どうしたの? キラリンがカメラマンさんを振ったの?」

 彼女は私のことをキラリンと呼びます。
 なんだか効果音みたいで、とても人の呼び名とは思えませんが、私が止めて欲しいといっても、彼女は止めてくれません。
 親しみを込めて呼んでくれていることは分かっているので、私はこの呼び名を許容しています。
 それに彼女は先輩なので、逆らうことは許されません。
 モデルの世界は、体育会系より上下関係に厳しいのです。
 もし逆らいでもしたら、元祖マジカルクラッシュで、おっぱいをもぎ取られてしまうことでしょう。
 さっきのチョップも、ポコン♪という可愛らしい感じではなく、ゴスッ!という本気な感じでした。

「いいえ、違います。そもそも、付き合ってもいないし、告白もされていません。振るという行為は物理的に不可能です」
「あはは。まあ、そうだよね。カメラマンさん、ヘタレだから、告白なんかしないよね。でも、そんなカメラマンさんが絶叫するなんて、キラリン、なにを言ったの?」

 私が直立不動で質問に答えると、彼女は説明を求めてきます。
 先輩に対して隠し事などできるはずがありません。
 私は正直に答えることにします。
 それに、もともと隠すつもりはありません。

「自分が魔女っ子になるのはムリそうだと気付いたので、幼馴染を魔法使いにすることにしたんです。それで、モデルを続けることができなくなりました」

 当初は部活には入らず、モデルを続ける予定でした。
 けれど、おっぱいお化けが魔王として覚醒してしまった以上、部活動の時間はソラから片時も離れるわけにはいかなくなったのです。
 土曜日と日曜日は基本的に部活動はありませんが、この間のお花見のようなイベントがある可能性はあります。
 そんなときにモデルのお仕事が入ってソラを護衛することができないと、致命的な事態になることは目に見えています。

「? ごめん、ちょっと意味が分からなかった。幼馴染を魔法使いにするって、なに? もう少し詳しくお願い」

 私は正直に答えたのですが、なぜか首を傾げられてしまいました。
 ほんの少し説明が足りなかったでしょうか。
 私は補足することにします。

「幼馴染の童貞を三十歳まで護らないといけないんです」
「んー……ああ、あの都市伝説のことね。それで?」

 促されて、私は続けます。

「魔王が現れたので、幼馴染を護るためには、片時も離れるわけにはいかなくなったんです」
「ごめん、また分からなくなった。魔王って、なに?」
「おっぱいお化けが、魔王として覚醒したんです」
「童貞、おっぱい……あー、なんとなく分かった」

 説明には三十分くらいかかりました。
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