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お花見3
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桜の下でコスプレをした女の子達(+男の娘)がお花見をしています。
周囲の人達の目には、きっと華やかに映ることでしょう。
そのお花見をしている集団である私達は、レジャーシートに座って、お菓子を食べたりジュースを飲んだりしています。
高校生なのでアルコールはありません。
健全なお花見です。
「ソラは桜の花のようね」
「そう? えへへ」
私の言葉にソラがはにかみます。
ソラは小さな頃からお花が好きですから、お花のようだと言われて嬉しいのでしょう。
ソラが桜の花ようだという私の言葉は本心です。
桜の花はチェリーブロッサムと言います。
チェリー。
つまり、童貞。
桜は童貞を象徴する花なのです。
「キララちゃん。その衣装で座ると下着が見えちゃいそうだから、気を付けてね」
先輩が声をかけてきます。
私のぴちぴち魔女っ子衣装は、中学のときに作ったものなので、今の体形にとっては布地が少ないです。
それを気にしてくれたのでしょう。
ですが、問題ありません。
「大丈夫です」
私には絶対領域があります。
おへそやふとももがギリギリの位置まで見えたとしても、下着が見えることは無いのです。
鉄壁のガードです。
ですが、その鉄壁のガードでも防げないものがあります。
「ソラ君、ジュース飲む?」
「あ、いただきます」
「ソラ君、これ美味しいよ。あーん」
「あの、自分で食べられますから」
傍から見ている分には、仲のよい女の子達がじゃれ合っているように見えることでしょう。
そうだとしたら、微笑ましい光景だと思います。
ですが、違います。
一人は男の娘なのです。
「むぅ」
おかしいです。
ソラを男の娘にすれば、ソラに女の子が近づくのを防げると思ったのですが、逆効果だったようです。
ですが、全く効果が無かったわけではありません。
「キララさんの衣装って何年か前に流行ったアニメのだよね。よくできてるけど、そんなの売ってた?」
ソラの周囲を先輩達が囲んでいるので、おっぱいお化けはソラに近寄ることができていません。
代わりに私に話しかけてきています。
「モデルのお仕事で作ってもらったの」
「へぇ、いいなぁ」
私はおっぱいお化けを引き付けておくために会話に応じます。
こうしておけば、おっぱいお化けをソラから引き離すことができるからです。
小さな危険は排除できませんでしたが、大きな危険は排除できました。
とりあえず、今日はこれで満足しておきましょう。
ソラを男の娘に改造する計画は、まだまだ改善が必要なようです。
*****
「あ、ジュースなくなっちゃうね」
お花見が中盤になった頃、そんな言葉が聞こえてきました。
見ると、ペットボトルの残りが少なくなっています。
本数はたくさんあったのですが、予想以上に消費してしまったようです。
「近くのコンビニで買ってくるわ」
「僕が行ってきますよ」
先輩が立ち上がろうとしますが、それより先にソラが立ち上がります。
「でも、重いわよ?」
「女の人よりは力がありますから」
「?」
ソラの言葉に先輩が首を傾げます。
意味が分からなかったようです。
「あの、僕、男で……」
「え? ああ、そうだったわね!」
困ったようにソラが言うと、先輩はじっくり考えた後、ようやく言葉の意味を理解します。
どうやら、ソラの性別に対する認識が、すっかり逆転していたようです。
納得した先輩は、ソラにお金を渡して買い物を頼みます。
確かにソラならペットボトルの数本くらいは持てるでしょう。
ですが、新入部員は三人いるのに、一人に押し付けるわけにはいきません。
「私もいくわ」
「あ、私も」
私とおっぱいお化けが立ち上がりますが、ソラはそれを止めてきます。
「いいよ。ついでに、その……お花も摘んでくるから……」
ソラがもじもじとしながら、恥ずかしそうに言います。
その姿はどこからどうみても、女の子です。
先輩の認識が誤作動を起こすのも無理はありません。
それに、もしかしたら、ソラ自身の認識も誤作動を起こしているかも知れません。
ソラが『お花を摘む』なんて言葉づかいをしているのは初めて聞きました。
「わかったわ。気を付けてね」
「うん。ありがと」
ソラを見送ります。
ちょっと心配ですが、まあ、今のソラなら大丈夫でしょう。
間違えて女子トイレに入っても、誰も違和感を感じることはないと思います。
周囲の人達の目には、きっと華やかに映ることでしょう。
そのお花見をしている集団である私達は、レジャーシートに座って、お菓子を食べたりジュースを飲んだりしています。
高校生なのでアルコールはありません。
健全なお花見です。
「ソラは桜の花のようね」
「そう? えへへ」
私の言葉にソラがはにかみます。
ソラは小さな頃からお花が好きですから、お花のようだと言われて嬉しいのでしょう。
ソラが桜の花ようだという私の言葉は本心です。
桜の花はチェリーブロッサムと言います。
チェリー。
つまり、童貞。
桜は童貞を象徴する花なのです。
「キララちゃん。その衣装で座ると下着が見えちゃいそうだから、気を付けてね」
先輩が声をかけてきます。
私のぴちぴち魔女っ子衣装は、中学のときに作ったものなので、今の体形にとっては布地が少ないです。
それを気にしてくれたのでしょう。
ですが、問題ありません。
「大丈夫です」
私には絶対領域があります。
おへそやふとももがギリギリの位置まで見えたとしても、下着が見えることは無いのです。
鉄壁のガードです。
ですが、その鉄壁のガードでも防げないものがあります。
「ソラ君、ジュース飲む?」
「あ、いただきます」
「ソラ君、これ美味しいよ。あーん」
「あの、自分で食べられますから」
傍から見ている分には、仲のよい女の子達がじゃれ合っているように見えることでしょう。
そうだとしたら、微笑ましい光景だと思います。
ですが、違います。
一人は男の娘なのです。
「むぅ」
おかしいです。
ソラを男の娘にすれば、ソラに女の子が近づくのを防げると思ったのですが、逆効果だったようです。
ですが、全く効果が無かったわけではありません。
「キララさんの衣装って何年か前に流行ったアニメのだよね。よくできてるけど、そんなの売ってた?」
ソラの周囲を先輩達が囲んでいるので、おっぱいお化けはソラに近寄ることができていません。
代わりに私に話しかけてきています。
「モデルのお仕事で作ってもらったの」
「へぇ、いいなぁ」
私はおっぱいお化けを引き付けておくために会話に応じます。
こうしておけば、おっぱいお化けをソラから引き離すことができるからです。
小さな危険は排除できませんでしたが、大きな危険は排除できました。
とりあえず、今日はこれで満足しておきましょう。
ソラを男の娘に改造する計画は、まだまだ改善が必要なようです。
*****
「あ、ジュースなくなっちゃうね」
お花見が中盤になった頃、そんな言葉が聞こえてきました。
見ると、ペットボトルの残りが少なくなっています。
本数はたくさんあったのですが、予想以上に消費してしまったようです。
「近くのコンビニで買ってくるわ」
「僕が行ってきますよ」
先輩が立ち上がろうとしますが、それより先にソラが立ち上がります。
「でも、重いわよ?」
「女の人よりは力がありますから」
「?」
ソラの言葉に先輩が首を傾げます。
意味が分からなかったようです。
「あの、僕、男で……」
「え? ああ、そうだったわね!」
困ったようにソラが言うと、先輩はじっくり考えた後、ようやく言葉の意味を理解します。
どうやら、ソラの性別に対する認識が、すっかり逆転していたようです。
納得した先輩は、ソラにお金を渡して買い物を頼みます。
確かにソラならペットボトルの数本くらいは持てるでしょう。
ですが、新入部員は三人いるのに、一人に押し付けるわけにはいきません。
「私もいくわ」
「あ、私も」
私とおっぱいお化けが立ち上がりますが、ソラはそれを止めてきます。
「いいよ。ついでに、その……お花も摘んでくるから……」
ソラがもじもじとしながら、恥ずかしそうに言います。
その姿はどこからどうみても、女の子です。
先輩の認識が誤作動を起こすのも無理はありません。
それに、もしかしたら、ソラ自身の認識も誤作動を起こしているかも知れません。
ソラが『お花を摘む』なんて言葉づかいをしているのは初めて聞きました。
「わかったわ。気を付けてね」
「うん。ありがと」
ソラを見送ります。
ちょっと心配ですが、まあ、今のソラなら大丈夫でしょう。
間違えて女子トイレに入っても、誰も違和感を感じることはないと思います。
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