15 / 87
高校生活5
しおりを挟む
「ソラ、キララ、一緒に食べようぜ」
リクがずかずかと歩いてきます。
その後ろをぞろぞろと取り巻きがついてきます。
取り巻きは全員、女子です。
取り巻きの狙いがリクだということは知っていますが、私は警戒します。
なぜなら、リクはソラと双子だからです。
性格は違いますが、顔は同じです。
取り巻きの誰かが、狙いをリクからソラに変えないとも限りません。
だから、私は言います。
「帰れ、ヤリチン。迷惑だ」
「こんな場所で、ヤリチンって言うな! それに、俺はヤリチンじゃねえ!」
リクが周囲を気にしながら文句を言ってきます。
けど、私は気にしません。
なぜなら、リクがヤリチンであることは事実だからです。
私は何も嘘を言っていません。
「さっさと、そのビッチどもと、しけ込んだら? 体育倉庫とかオススメよ。薄暗くて音も漏れにくいから」
「しけ込まねえよ!」
せっかく私が親切にオススメの場所を教えてあげているというのに、リクはソラの隣に勝手に座ります。
どうやら、ここで昼食を食べるつもりのようです。
リクが座ったことで、取り巻き達も机や椅子を動かして周囲に座ります。
はっきり言って迷惑です。
「さっさと食べようぜ」
元凶であるリクが、購買で買ってきたと思われるパンを取り出します。
仕方ありません。
急いで食べてしまうことにします。
「おい、なんだそれ」
一口食べたところで、ふいにリクが言いました。
視線は私とソラのお弁当に向いています。
「もしかして、キララが作ったのか? 俺の分は?」
「あるわけないでしょう」
「なんでソラの分だけなんだよ。俺の分も作ってくれてもいいだろ」
「ヤリチンは摂取したタンパク質をすぐに射精してしまうのでしょう? プロテインでも飲んでいたらいいのよ」
「そんなことしねえ!」
せっかく私が親切に栄養バランスについて教えてあげているというのに、リクが否定してきます。
なんと、恩を仇で返してきたのです。
私が文句の一つでも言おうと口を開いたところで、隣からつんつんと突かれました。
突いてきたのはサチコです。
「あのー、キララ。食事中だし、その……保健体育的な単語は言わない方が……」
「?」
何のことか分からずサチコを見ると、彼女の頬が赤いことに気付きます。
周囲を見渡すと、取り巻き女子達も顔が赤いです。
なぜでしょう。
私は学術的な観点から栄養について語っただけなのですが、何かおかしな内容があったでしょうか。
まあ、いいです。
リクの精子が足りなくなったところで、私は困りません。
食事に戻ることにします。
「ねえ、リク。よかったら、一口食べる?」
すると、ソラがリクにそんなことを言っていました。
栄養バランスを無視した食事をするリクを哀れに思ったのでしょう。
ソラは優しいです。
本当は栄養バランスを計算したお弁当なので、人に分けてしまうとバランスが崩れてしまうのですが、ソラの優しさに免じてリクが一口食べることを黙認してあげることにします。
ソラの提案にリクは迷っていたようでしたが、興味があったのでしょう。
一口もらうことに決めたようです。
もらうオカズを選ぶべく、お弁当を覗き込みます。
「……変わったオカズが多いな」
リクがそんな感想を漏らします。
変わったとは失礼な表現ですが、ヤリチンはタンパク質が不足して脳が弱り語彙力が低いでしょうから、大目に見てあげることにします。
ソラのために希少な食材を使っているのは確かなのです。
「……これは何だ?」
「両生類の黒焼きね」
「……こっちは?」
「人型をした根菜類のきんぴらよ」
「…………」
満月の夜に収穫したハーブを味付けに使っていて、どれも味には自信があります。
それに魔力を高める効果もあります。
いずれ魔法使いになるソラのために、心を込めて作ったお弁当です。
「どれも美味しいよ。これなんか、どう?」
ソラがリクに勧めたのは、爬虫類の血を練り込んだ肉団子です。
鉄分が豊富で貧血にもオススメの一品です。
リクに食べさせるのは勿体ないですが、一つくらいならよいでしょう。
「……俺、今日はカツサンド買ってきたから遠慮しておく」
「そう?」
リクはそう言って、お弁当から目を逸らし、買って来たというカツサンドに噛り付きます。
ソラの優しさを断るなんて、リクは許せません。
けど、別にリクに食べさせたいわけではないので、ソラに食べてもらえれば私は満足です。
ソラはリクに勧めた肉団子を美味しそうに食べてくれます。
あーん!とかしてあげたくなります。
「ソラ、ハーブティーもあるわよ」
「ありがとう。もらうよ」
お邪魔虫はいますが、楽しい昼休みがすぎていきました。
リクがずかずかと歩いてきます。
その後ろをぞろぞろと取り巻きがついてきます。
取り巻きは全員、女子です。
取り巻きの狙いがリクだということは知っていますが、私は警戒します。
なぜなら、リクはソラと双子だからです。
性格は違いますが、顔は同じです。
取り巻きの誰かが、狙いをリクからソラに変えないとも限りません。
だから、私は言います。
「帰れ、ヤリチン。迷惑だ」
「こんな場所で、ヤリチンって言うな! それに、俺はヤリチンじゃねえ!」
リクが周囲を気にしながら文句を言ってきます。
けど、私は気にしません。
なぜなら、リクがヤリチンであることは事実だからです。
私は何も嘘を言っていません。
「さっさと、そのビッチどもと、しけ込んだら? 体育倉庫とかオススメよ。薄暗くて音も漏れにくいから」
「しけ込まねえよ!」
せっかく私が親切にオススメの場所を教えてあげているというのに、リクはソラの隣に勝手に座ります。
どうやら、ここで昼食を食べるつもりのようです。
リクが座ったことで、取り巻き達も机や椅子を動かして周囲に座ります。
はっきり言って迷惑です。
「さっさと食べようぜ」
元凶であるリクが、購買で買ってきたと思われるパンを取り出します。
仕方ありません。
急いで食べてしまうことにします。
「おい、なんだそれ」
一口食べたところで、ふいにリクが言いました。
視線は私とソラのお弁当に向いています。
「もしかして、キララが作ったのか? 俺の分は?」
「あるわけないでしょう」
「なんでソラの分だけなんだよ。俺の分も作ってくれてもいいだろ」
「ヤリチンは摂取したタンパク質をすぐに射精してしまうのでしょう? プロテインでも飲んでいたらいいのよ」
「そんなことしねえ!」
せっかく私が親切に栄養バランスについて教えてあげているというのに、リクが否定してきます。
なんと、恩を仇で返してきたのです。
私が文句の一つでも言おうと口を開いたところで、隣からつんつんと突かれました。
突いてきたのはサチコです。
「あのー、キララ。食事中だし、その……保健体育的な単語は言わない方が……」
「?」
何のことか分からずサチコを見ると、彼女の頬が赤いことに気付きます。
周囲を見渡すと、取り巻き女子達も顔が赤いです。
なぜでしょう。
私は学術的な観点から栄養について語っただけなのですが、何かおかしな内容があったでしょうか。
まあ、いいです。
リクの精子が足りなくなったところで、私は困りません。
食事に戻ることにします。
「ねえ、リク。よかったら、一口食べる?」
すると、ソラがリクにそんなことを言っていました。
栄養バランスを無視した食事をするリクを哀れに思ったのでしょう。
ソラは優しいです。
本当は栄養バランスを計算したお弁当なので、人に分けてしまうとバランスが崩れてしまうのですが、ソラの優しさに免じてリクが一口食べることを黙認してあげることにします。
ソラの提案にリクは迷っていたようでしたが、興味があったのでしょう。
一口もらうことに決めたようです。
もらうオカズを選ぶべく、お弁当を覗き込みます。
「……変わったオカズが多いな」
リクがそんな感想を漏らします。
変わったとは失礼な表現ですが、ヤリチンはタンパク質が不足して脳が弱り語彙力が低いでしょうから、大目に見てあげることにします。
ソラのために希少な食材を使っているのは確かなのです。
「……これは何だ?」
「両生類の黒焼きね」
「……こっちは?」
「人型をした根菜類のきんぴらよ」
「…………」
満月の夜に収穫したハーブを味付けに使っていて、どれも味には自信があります。
それに魔力を高める効果もあります。
いずれ魔法使いになるソラのために、心を込めて作ったお弁当です。
「どれも美味しいよ。これなんか、どう?」
ソラがリクに勧めたのは、爬虫類の血を練り込んだ肉団子です。
鉄分が豊富で貧血にもオススメの一品です。
リクに食べさせるのは勿体ないですが、一つくらいならよいでしょう。
「……俺、今日はカツサンド買ってきたから遠慮しておく」
「そう?」
リクはそう言って、お弁当から目を逸らし、買って来たというカツサンドに噛り付きます。
ソラの優しさを断るなんて、リクは許せません。
けど、別にリクに食べさせたいわけではないので、ソラに食べてもらえれば私は満足です。
ソラはリクに勧めた肉団子を美味しそうに食べてくれます。
あーん!とかしてあげたくなります。
「ソラ、ハーブティーもあるわよ」
「ありがとう。もらうよ」
お邪魔虫はいますが、楽しい昼休みがすぎていきました。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる