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部活見学4
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騒動が一段落して、お花畑の人達と、見学にきた新入生が、それぞれ自己紹介することになりました。
お花畑の人達の自己紹介が終わり、私とソラの自己紹介が終わり、次はおっぱいお化けの番です。
「は、はじめまして。加藤カオルです」
おっぱいお化けは、挨拶のつもりか勢いよく頭を下げ、ぽよんっ♪と二つの塊を元気に跳ねさせます。
「…………」
あざとい。
やっぱり、こいつは危険です。
的確に急所を狙って、童貞を殺そうとしてきます。
今だって、あんなに勢いよく頭を下げる必要なんか無かったはずです。
まるで暗殺者の如く、隙あらば攻撃してきます。
ソラも、お花畑の人達に取り囲まれたときは照れていただけだけど、おっぱいお化けには自分から視線を向けていました。
おそらく、童貞としての本能が反応してしまうのでしょう。
つまり、ソラがこの部に入部することになったら、一番の危険人物はおっぱいお化けということになります。
「それじゃあ、我がサブカルチャー研究部の活動を紹介するわね」
私が敵勢力を分析している間に、お花畑の人がこれまでの活動についての説明を始めます。
「これが昨年の文化祭で発表したものなんだけど……」
簡単に言えば、この部の活動は各自の裁量に任されているようです。
アニメを観ようが、漫画やラノベを読もうが、何をしようが自由。
ただし、文化祭で必ず何かしらの発表をすること。
それが入部の条件のようです。
例えば昨年の文化祭の場合、アニメを観ている人はコスプレ写真集を、漫画やラノベを呼んでいる人は同人誌を作ったらしいです。
そういう物を作らなかった人は、文化祭でメイド喫茶を出店したらしいです。
ソラは部の説明を興味深そうに聞いています。
どうやら、入る気満々のようです。
ちらりと見ると、おっぱいお化けも似たような反応をしています。
「むぅ」
私は思わず、唸ってしまいます。
童貞と童貞を殺そうとする危険人物が同じ部に入る。
途轍もなく危険な状況です。
ウサギとライオンを同じ檻に入れるようなものです。
パクリと美味しく食べられてしまうのは時間の問題でしょう。
なんとか阻止しなければなりません。
けど、ソラは入りたそうにしているし、入るなと言うのは心苦しいです。
「キララちゃん、何か気になるところがあった?」
お花畑の人は、私が唸ったのを、説明に疑問があるからだと捉えたようです。
そうではないのだけど、ちょうどいいから、もう一つ気になっていることを聞いてみることにします。
「先輩、質問があります」
「なに?」
私はぐるりとお花畑の人達を見回して尋ねます。
「この部って、男子はいないんですか?」
これが私が懸念している、もう一つのことです。
今のところ、この部の上級生は女子だけなのです。
女子の群れの中に男子を一人だけ放り込む。
もしそうだとしたら、ライオンの群れの中にウサギを一匹だけ放り込むようなものです。
危険度はさらに上がります。
けど、逆にこの部が女子しか入部できないなら、ソラに入部を諦めさせる理由になります。
だから、入部する前に、はっきりさせておかなければなりません。
私の質問に対して、上級生は困ったような顔で答えてきます。
「毎年、何人か入ってくるんだけど、途中で辞めちゃうのよ」
「それは、なぜ?」
どうやら入部条件に女子のみというのは無いようだけど、入部した男子には何かしらの不都合があったようです。
上手くいけば、ソラに入部を諦めさせることができるかも知れません。
そう考えて、上級生に先を促します。
「女の子とのキャッキャウフフを期待して入ってきたけど、現実にはそんなことは無いから辞めていくみたいね」
文化部に入ってくるような男子はインドア派が多いだろうから、女子との出会いも少ないのでしょう。
それで女子との出会いを求めて部活に入るけど、期待していたような甘い部活動は無いから辞めていくようです。
「でも、ソラ君は大丈夫よね? なにせ、彼女同伴で来ているくらいだから」
どうやらお花畑の人達の危険度は低いようです。
男子が入部してきても、カップルが出来なかった実績があります。
おそらく、ガチでサブカルチャーを愛している人達なのでしょう。
油断はできないけど、しばらくは様子見です。
だとすると、やはり警戒すべきは、おっぱいお化けです。
あの童貞の本能を刺激する二つの塊を、何とかむしり取れないでしょうか。
そうでもしないと、ソラを安心して入部させられません。
「ねえ、キララ、どうする? 入部する?」
でも、この明らかに入部したそうな顔を見ると、入部するなとは言えません。
私がソラの童貞を護りきるしかないでしょう。
「……いいわ。入りましょう」
「やった! キララと同じ部活は初めてだね!」
この笑顔と童貞を護るためなら手段は選びません。
私は決意を新たにします。
「ソラ君とキララさんは入部するんだね。私も入部しようと思うの。これから、よろしくね」
「よろしくね、加藤さん」
「よろしく、おっぱ……加藤さん」
「おっぱ?」
まずは目の前にいる、あざとく首を傾げるおっぱいお化けの対策を早急に考える必要があります。
お花畑の人達の自己紹介が終わり、私とソラの自己紹介が終わり、次はおっぱいお化けの番です。
「は、はじめまして。加藤カオルです」
おっぱいお化けは、挨拶のつもりか勢いよく頭を下げ、ぽよんっ♪と二つの塊を元気に跳ねさせます。
「…………」
あざとい。
やっぱり、こいつは危険です。
的確に急所を狙って、童貞を殺そうとしてきます。
今だって、あんなに勢いよく頭を下げる必要なんか無かったはずです。
まるで暗殺者の如く、隙あらば攻撃してきます。
ソラも、お花畑の人達に取り囲まれたときは照れていただけだけど、おっぱいお化けには自分から視線を向けていました。
おそらく、童貞としての本能が反応してしまうのでしょう。
つまり、ソラがこの部に入部することになったら、一番の危険人物はおっぱいお化けということになります。
「それじゃあ、我がサブカルチャー研究部の活動を紹介するわね」
私が敵勢力を分析している間に、お花畑の人がこれまでの活動についての説明を始めます。
「これが昨年の文化祭で発表したものなんだけど……」
簡単に言えば、この部の活動は各自の裁量に任されているようです。
アニメを観ようが、漫画やラノベを読もうが、何をしようが自由。
ただし、文化祭で必ず何かしらの発表をすること。
それが入部の条件のようです。
例えば昨年の文化祭の場合、アニメを観ている人はコスプレ写真集を、漫画やラノベを呼んでいる人は同人誌を作ったらしいです。
そういう物を作らなかった人は、文化祭でメイド喫茶を出店したらしいです。
ソラは部の説明を興味深そうに聞いています。
どうやら、入る気満々のようです。
ちらりと見ると、おっぱいお化けも似たような反応をしています。
「むぅ」
私は思わず、唸ってしまいます。
童貞と童貞を殺そうとする危険人物が同じ部に入る。
途轍もなく危険な状況です。
ウサギとライオンを同じ檻に入れるようなものです。
パクリと美味しく食べられてしまうのは時間の問題でしょう。
なんとか阻止しなければなりません。
けど、ソラは入りたそうにしているし、入るなと言うのは心苦しいです。
「キララちゃん、何か気になるところがあった?」
お花畑の人は、私が唸ったのを、説明に疑問があるからだと捉えたようです。
そうではないのだけど、ちょうどいいから、もう一つ気になっていることを聞いてみることにします。
「先輩、質問があります」
「なに?」
私はぐるりとお花畑の人達を見回して尋ねます。
「この部って、男子はいないんですか?」
これが私が懸念している、もう一つのことです。
今のところ、この部の上級生は女子だけなのです。
女子の群れの中に男子を一人だけ放り込む。
もしそうだとしたら、ライオンの群れの中にウサギを一匹だけ放り込むようなものです。
危険度はさらに上がります。
けど、逆にこの部が女子しか入部できないなら、ソラに入部を諦めさせる理由になります。
だから、入部する前に、はっきりさせておかなければなりません。
私の質問に対して、上級生は困ったような顔で答えてきます。
「毎年、何人か入ってくるんだけど、途中で辞めちゃうのよ」
「それは、なぜ?」
どうやら入部条件に女子のみというのは無いようだけど、入部した男子には何かしらの不都合があったようです。
上手くいけば、ソラに入部を諦めさせることができるかも知れません。
そう考えて、上級生に先を促します。
「女の子とのキャッキャウフフを期待して入ってきたけど、現実にはそんなことは無いから辞めていくみたいね」
文化部に入ってくるような男子はインドア派が多いだろうから、女子との出会いも少ないのでしょう。
それで女子との出会いを求めて部活に入るけど、期待していたような甘い部活動は無いから辞めていくようです。
「でも、ソラ君は大丈夫よね? なにせ、彼女同伴で来ているくらいだから」
どうやらお花畑の人達の危険度は低いようです。
男子が入部してきても、カップルが出来なかった実績があります。
おそらく、ガチでサブカルチャーを愛している人達なのでしょう。
油断はできないけど、しばらくは様子見です。
だとすると、やはり警戒すべきは、おっぱいお化けです。
あの童貞の本能を刺激する二つの塊を、何とかむしり取れないでしょうか。
そうでもしないと、ソラを安心して入部させられません。
「ねえ、キララ、どうする? 入部する?」
でも、この明らかに入部したそうな顔を見ると、入部するなとは言えません。
私がソラの童貞を護りきるしかないでしょう。
「……いいわ。入りましょう」
「やった! キララと同じ部活は初めてだね!」
この笑顔と童貞を護るためなら手段は選びません。
私は決意を新たにします。
「ソラ君とキララさんは入部するんだね。私も入部しようと思うの。これから、よろしくね」
「よろしくね、加藤さん」
「よろしく、おっぱ……加藤さん」
「おっぱ?」
まずは目の前にいる、あざとく首を傾げるおっぱいお化けの対策を早急に考える必要があります。
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