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第十四章 ヘンゼルとグレーテル
235.ヘンゼルとグレーテル(その16)
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「魔女さん?」
わたしは魔女と名乗った女の人を見上げます。
この人に会うのは、わたしがこの森に来た目的の一つです。
ですが、わたしは魔女さんの顔も姿も、年齢すらも知りません。
ただ、森に魔女さんがいるということしか知らなかったのです。
女の人が着ている衣装は、黒いところは魔女っぽいです。
でも、ドレスなのは、あまり魔女っぽくありません。
魔女なら、ローブを着るものだと思います。
それに、女の人はとても若いです。
もっとお婆さんだと思っていました。
この女の人は、本当に魔女さんなのでしょうか。
「あの・・・」
わたしは魔女さんに話しかけようとします。
けれど、それより先に声が上がりました。
「グレーテル!」
お兄さまです。
わたしを心配して、こちらへ走ってきています。
お兄さまはわたしのところまで来ると、わたしにと魔女さんの間に立ちます。
わたしに背を向けて、わたしを護るように立っています。
その様子を見て、魔女さんがきょとんとします。
「グレーテル?じゃあ、あなたはヘンゼル?」
魔女さんが呟きます。
それを聞いて、わたしは不思議に思いました。
お兄さまは自分の名前を名乗っていません。
わたしもお兄さまのことは、名前では呼びません。
なぜ、魔女さんはお兄さまの名前を知っているのでしょうか。
「・・・確かに、ぼくの名前はヘンゼルですけど、あなたは・・・」
お兄さまも同じことを考えたようです。
警戒しながら、魔女さんの問いに答えます。
それを聞いた直後の魔女さんの動きは素早かったです。
気付いたら、わたしとお兄さまは、魔女さんに抱きしめられていました。
「きゃーーーっ!ヘンゼル、グレーテル、私に会いに来てくれたの!?」
魔女さんが歓声を上げて、ぎゅっと抱きしめてきます。
抑えつけるような抱きしめ方ではなく、包み込むような抱きしめ方です。
敵意は感じませんが、突然のことに、わたしとお兄さまは戸惑います。
「ちょっ!なんなんですか、あなたは!」
お兄さまが魔女さんの腕から逃れようと暴れますが、魔女さんの腕が絡みついてきて逃げられません。
お兄さまの顔がしだいに赤くなっていきます。
怒っているからではありません。
女の人に抱きしめられているからです。
なんということでしょう。
せっかく駆け落ちに来たというのに、森の中にまでお兄さまを狙う女がいました。
お兄さまの魅力は地の果てまで広がっているということなのでしょうか。
本来なら、すぐにでもお兄さまと魔女さんを引き剥がしたいところです。
ですが、さきほど命を救われたばかりなので、ためらってしまいます。
それに、魔女さんからは懐かしい香りがするのです。
どこで嗅いだ香りだったでしょうか。
思い出せません。
わたしが抱きしめられながら考え事をしている間も、お兄さまは暴れ続けています。
「吸血鬼が追ってくるかも知れないから、こんなことしている場合じゃないのに!」
お兄さまが暴れながら、そんなことを言います。
それを聞いて、魔女さんがあっさりとわたしとお兄さまと解放します。
「そうね。ここじゃ落ち着かないから、私の家に行きましょうか。お茶とお菓子をご馳走するわよ」
そして、わたしとお兄さまを、自分の家に招待してくれました。
わたしにとっては都合がよいのですが、お兄さまにとっては、そうではないようです。
お兄さまは魔女さんを警戒しているらしく、招待に応じません。
「ぼくたちはすぐに森を出ますから、けっこうです」
そう言いながら馬に跨り、わたしも馬の上に引き上げます。
それから、馬に話しかけます。
「森の外まで行って」
今までなら声をかければ言うことを聞いてくれました。
けれど、馬は動こうとしません。
「どうしたの?行って」
お兄さまが再び話しかけます。
けれど、馬は動こうとしません。
「頼むよ。ここは危険なんだ」
お兄さまが焦った様子で話しかけます。
それでも、馬は動きません。
急に言うことを聞いてくれなくなってしまいました。
わたしの言うことなら、聞いてくれるでしょうか。
話しかけてみようとしたところで、魔女さんが先に話しかけます。
「ちょうどいいわ。二人はそのまま乗っていて。私の家まで行きましょう」
魔女さんがそう言うと、馬は魔女さんに寄り添うようにして歩き始めます。
魔女さんが馬を引きずっているわけでも、馬が魔女さんの後をついていっているわけでもありません。
魔女さんと馬は横に並んで歩いています。
どうやら、馬は魔女さんの言うことなら聞くようです。
初めて会った相手の言うことを素直に聞くなんて不思議です。
・・・・・
初めて、なのでしょうか。
もしかして、魔女さんと馬は知り合いなのではないでしょうか。
そういえば、わたしも魔女さんにあって懐かしい感じがしました。
わたしも、魔女さんに会ったのは初めてではないのかも知れません。
でも、心当たりがありません。
わたしは思い出そうとしますが、結局、魔女さんの家に着くまでに思い出すことはありませんでした。
*****
魔女さんの家は、家というよりも洞窟でした。
洞窟の入口付近には畑があります。
魔女さんが育てているのでしょうか。
洞窟の近くには川がありました。
水を汲むのに便利そうです。
魔女さんが暮らしているのは、そんな場所でした。
魔女が暮らす場所というのは、もっと暗くてじめじめしているところかと思っていました。
やはり、魔女さんは魔女っぽくないです。
「さあ、どうぞ」
家に着くと、魔女さんはお茶とお菓子を用意してくれました。
お茶は紅茶でも緑茶でもありません。
変わった香りのお茶です。
「ハーブティーよ」
わたしが疑問に思っていることがわかったのでしょう。
魔女さんが教えてくれました。
「お菓子はクッキーとイチゴくらいしかなくて、ごめんなさいね。卵や生クリームが無いから、ケーキは作れないのよ」
「いえ、いただきます」
わたしはクッキーをひとつ口に入れます。
甘さは控えめですが、サクッとした食感でおいしいです。
「森の中なのにイチゴが手に入るのですか?」
「手に入るというか、育てているのよ」
お兄さまはイチゴに手を伸ばします。
魔女さんを警戒していたお兄さまですが、お茶とお菓子に目が奪われたのか、警戒が緩んでいるようです。
「甘酸っぱくて、おいしい」
お兄さまの頬が緩みます。
それを見ているだけで和みます。
魔女さんも同じなのか、お兄さまを見て微笑んでいます。
「気に入ってもらえて、よかったわ」
魔女さんは機嫌がよさそうです。
ハーブティーを飲みながら、すっかりくつろいでいます。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
にこにこ。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
にこにこにこにこ。
魔女さんは機嫌がよさそうです。
微笑みながら、わたしとお兄さんを眺めています。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・あの」
魔女さんは本当に、わたしとお兄さまを眺めているだけです。
沈黙に耐えきれずに、お兄さまが口を開きます。
「なにか、訊いてきたりしないんですか?」
「なにか?」
「その・・・ぼくたちが、どうしてここにきたとか」
「どうして?私に会いにきてくれたんじゃないの?」
どうやら魔女さんは、わたしとお兄さまがお茶会にきたくらいの感覚のようです。
詳しく事情を訊いてくるわけでも、追い返して家に帰らせようとするわけでもありません。
近所の子供にお茶とお菓子を振る舞うかのように、のんびりしています。
「なにか願い事でもあるの?ヘンゼルとグレーテルのお願いなら、なんでも聴いちゃうわよ♪」
魔女さんは、にこにこと尋ねてきます。
子供が一緒に遊んで欲しいとお願いしてきたのを叶えるような気軽さです。
けれど、わたしは今の言葉で思い出しました。
わたしがもともとここへ来ようとした目的のことです。
「あのっ!」
「なぁに?」
わたしは魔女さんに願い事を言います。
「わたし、お兄さまと結婚したいんです!」
同じ願い事を言ったとき、お父さまとお母さま、そして本人であるお兄さまは無理だと言いました。
同じ願い事を訊いた魔女さんの答えは、
わたしは魔女と名乗った女の人を見上げます。
この人に会うのは、わたしがこの森に来た目的の一つです。
ですが、わたしは魔女さんの顔も姿も、年齢すらも知りません。
ただ、森に魔女さんがいるということしか知らなかったのです。
女の人が着ている衣装は、黒いところは魔女っぽいです。
でも、ドレスなのは、あまり魔女っぽくありません。
魔女なら、ローブを着るものだと思います。
それに、女の人はとても若いです。
もっとお婆さんだと思っていました。
この女の人は、本当に魔女さんなのでしょうか。
「あの・・・」
わたしは魔女さんに話しかけようとします。
けれど、それより先に声が上がりました。
「グレーテル!」
お兄さまです。
わたしを心配して、こちらへ走ってきています。
お兄さまはわたしのところまで来ると、わたしにと魔女さんの間に立ちます。
わたしに背を向けて、わたしを護るように立っています。
その様子を見て、魔女さんがきょとんとします。
「グレーテル?じゃあ、あなたはヘンゼル?」
魔女さんが呟きます。
それを聞いて、わたしは不思議に思いました。
お兄さまは自分の名前を名乗っていません。
わたしもお兄さまのことは、名前では呼びません。
なぜ、魔女さんはお兄さまの名前を知っているのでしょうか。
「・・・確かに、ぼくの名前はヘンゼルですけど、あなたは・・・」
お兄さまも同じことを考えたようです。
警戒しながら、魔女さんの問いに答えます。
それを聞いた直後の魔女さんの動きは素早かったです。
気付いたら、わたしとお兄さまは、魔女さんに抱きしめられていました。
「きゃーーーっ!ヘンゼル、グレーテル、私に会いに来てくれたの!?」
魔女さんが歓声を上げて、ぎゅっと抱きしめてきます。
抑えつけるような抱きしめ方ではなく、包み込むような抱きしめ方です。
敵意は感じませんが、突然のことに、わたしとお兄さまは戸惑います。
「ちょっ!なんなんですか、あなたは!」
お兄さまが魔女さんの腕から逃れようと暴れますが、魔女さんの腕が絡みついてきて逃げられません。
お兄さまの顔がしだいに赤くなっていきます。
怒っているからではありません。
女の人に抱きしめられているからです。
なんということでしょう。
せっかく駆け落ちに来たというのに、森の中にまでお兄さまを狙う女がいました。
お兄さまの魅力は地の果てまで広がっているということなのでしょうか。
本来なら、すぐにでもお兄さまと魔女さんを引き剥がしたいところです。
ですが、さきほど命を救われたばかりなので、ためらってしまいます。
それに、魔女さんからは懐かしい香りがするのです。
どこで嗅いだ香りだったでしょうか。
思い出せません。
わたしが抱きしめられながら考え事をしている間も、お兄さまは暴れ続けています。
「吸血鬼が追ってくるかも知れないから、こんなことしている場合じゃないのに!」
お兄さまが暴れながら、そんなことを言います。
それを聞いて、魔女さんがあっさりとわたしとお兄さまと解放します。
「そうね。ここじゃ落ち着かないから、私の家に行きましょうか。お茶とお菓子をご馳走するわよ」
そして、わたしとお兄さまを、自分の家に招待してくれました。
わたしにとっては都合がよいのですが、お兄さまにとっては、そうではないようです。
お兄さまは魔女さんを警戒しているらしく、招待に応じません。
「ぼくたちはすぐに森を出ますから、けっこうです」
そう言いながら馬に跨り、わたしも馬の上に引き上げます。
それから、馬に話しかけます。
「森の外まで行って」
今までなら声をかければ言うことを聞いてくれました。
けれど、馬は動こうとしません。
「どうしたの?行って」
お兄さまが再び話しかけます。
けれど、馬は動こうとしません。
「頼むよ。ここは危険なんだ」
お兄さまが焦った様子で話しかけます。
それでも、馬は動きません。
急に言うことを聞いてくれなくなってしまいました。
わたしの言うことなら、聞いてくれるでしょうか。
話しかけてみようとしたところで、魔女さんが先に話しかけます。
「ちょうどいいわ。二人はそのまま乗っていて。私の家まで行きましょう」
魔女さんがそう言うと、馬は魔女さんに寄り添うようにして歩き始めます。
魔女さんが馬を引きずっているわけでも、馬が魔女さんの後をついていっているわけでもありません。
魔女さんと馬は横に並んで歩いています。
どうやら、馬は魔女さんの言うことなら聞くようです。
初めて会った相手の言うことを素直に聞くなんて不思議です。
・・・・・
初めて、なのでしょうか。
もしかして、魔女さんと馬は知り合いなのではないでしょうか。
そういえば、わたしも魔女さんにあって懐かしい感じがしました。
わたしも、魔女さんに会ったのは初めてではないのかも知れません。
でも、心当たりがありません。
わたしは思い出そうとしますが、結局、魔女さんの家に着くまでに思い出すことはありませんでした。
*****
魔女さんの家は、家というよりも洞窟でした。
洞窟の入口付近には畑があります。
魔女さんが育てているのでしょうか。
洞窟の近くには川がありました。
水を汲むのに便利そうです。
魔女さんが暮らしているのは、そんな場所でした。
魔女が暮らす場所というのは、もっと暗くてじめじめしているところかと思っていました。
やはり、魔女さんは魔女っぽくないです。
「さあ、どうぞ」
家に着くと、魔女さんはお茶とお菓子を用意してくれました。
お茶は紅茶でも緑茶でもありません。
変わった香りのお茶です。
「ハーブティーよ」
わたしが疑問に思っていることがわかったのでしょう。
魔女さんが教えてくれました。
「お菓子はクッキーとイチゴくらいしかなくて、ごめんなさいね。卵や生クリームが無いから、ケーキは作れないのよ」
「いえ、いただきます」
わたしはクッキーをひとつ口に入れます。
甘さは控えめですが、サクッとした食感でおいしいです。
「森の中なのにイチゴが手に入るのですか?」
「手に入るというか、育てているのよ」
お兄さまはイチゴに手を伸ばします。
魔女さんを警戒していたお兄さまですが、お茶とお菓子に目が奪われたのか、警戒が緩んでいるようです。
「甘酸っぱくて、おいしい」
お兄さまの頬が緩みます。
それを見ているだけで和みます。
魔女さんも同じなのか、お兄さまを見て微笑んでいます。
「気に入ってもらえて、よかったわ」
魔女さんは機嫌がよさそうです。
ハーブティーを飲みながら、すっかりくつろいでいます。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
にこにこ。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
にこにこにこにこ。
魔女さんは機嫌がよさそうです。
微笑みながら、わたしとお兄さんを眺めています。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・あの」
魔女さんは本当に、わたしとお兄さまを眺めているだけです。
沈黙に耐えきれずに、お兄さまが口を開きます。
「なにか、訊いてきたりしないんですか?」
「なにか?」
「その・・・ぼくたちが、どうしてここにきたとか」
「どうして?私に会いにきてくれたんじゃないの?」
どうやら魔女さんは、わたしとお兄さまがお茶会にきたくらいの感覚のようです。
詳しく事情を訊いてくるわけでも、追い返して家に帰らせようとするわけでもありません。
近所の子供にお茶とお菓子を振る舞うかのように、のんびりしています。
「なにか願い事でもあるの?ヘンゼルとグレーテルのお願いなら、なんでも聴いちゃうわよ♪」
魔女さんは、にこにこと尋ねてきます。
子供が一緒に遊んで欲しいとお願いしてきたのを叶えるような気軽さです。
けれど、わたしは今の言葉で思い出しました。
わたしがもともとここへ来ようとした目的のことです。
「あのっ!」
「なぁに?」
わたしは魔女さんに願い事を言います。
「わたし、お兄さまと結婚したいんです!」
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