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第十四章 ヘンゼルとグレーテル
221.ヘンゼルとグレーテル(その2)
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「グィネヴィア、グレーテルが泣きそうだから、ヘンゼルを離してあげて」
声に振り向くと、そこにいたのは男の人でした。
凛々しい顔に、優しい笑みを浮かべて、わたしの頭を撫でています。
「アーちゃん、おはよう~!」
痴女がお兄さまから離れて、わたしの頭を撫でている男の人に正面から抱き着きます。
わたしはその隙を逃さず、お兄さまの腕に抱き着きます。
お兄さまはかわいいので、ちゃんと所有権を主張しておかないと取られてしまいます。
「グィネヴィア、おはよう」
「えへへ~」
男の人が抱き着いてきた痴女の頭を撫でると、痴女がとろけたようなだらしない笑顔になります。
それに対して、男の人は優しい笑みを返します。
お父さまと違って、お胸を押し付けられてもデレデレはしません。
お兄さまにも、このくらいクールになって欲しいものです。
「アーサーさま、おはようございます」
お兄さまが男の人に挨拶をします。
そういえば、わたしもまだ挨拶をしていませんでした。
「おはようございます」
わたしも男の人に挨拶をします。
お兄さまとわたしが挨拶すると、男の人はお兄さまとわたしの頭を優しく撫でます。
「ヘンゼル、グレーテル、おはよう」
頭を撫でてくれたのは、きちんと挨拶ができたご褒美だと思います。
この男の人に頭を撫でられると、わたしは温かい気持ちになります。
もし、お兄さまがいなかったら、お嫁さんになってあげてもいいくらいです。
でも、わたしにはお兄さまがいるので、お嫁さんにはなってあげられません。
それに、男の人はすでに結婚しています。
男の人のお嫁さんは、なんと痴女なのです。
男の人は素敵な人ですが、女の人の好みだけは悪いと思います。
男の人の名前はアーサー。
わたしたちが暮らす大陸全土に広がる統一国家の王様です。
わたしとお兄さまが生まれた頃、大陸はまだ複数の国に分かれていたそうです。
そんなとき、大陸の南の方から吸血鬼が溢れるという出来事がありました。
当時は地獄と繋がったという噂が流れたそうですが、真相はわかりません。
最初は吸血鬼のせいでたくさんの犠牲者が出たそうです。
けれど、人々も黙ってそれを見ていたわけではありません。
国々は一致団結し、吸血鬼に対抗しました。
そのおかげで吸血鬼の大半を駆除することができました。
けれど、吸血鬼は完全にいなくなったわけではありません。
今でもたまに現れて事件を起こします。
油断はできません。
そこで国々は国を一つにすることにしました。
統一国家の誕生です。
そして、吸血鬼の駆除にもっとも活躍した人物が王様になることになりました。
それが、アーサーさまです。
ちなみに痴女は、吸血鬼を駆除するときにアーサーさまに協力したご褒美に、ちゃっかりお嫁さんにしてもらったそうです。
痴女はアーサーさまの第二王妃です。
第一王妃がいないのに、なぜか第二王妃です。
不思議に思って聞いたことがありますが、誰に聞いても困った顔をして教えてくれませんでした。
お父さまに聞いても、お母さまに聞いても、アーサーさまに聞いても、痴女に聞いても同じでした。
きっと七不思議とかそういうものなのだと思います。
秘密を知ってしまったら、お化けが出るに違いありません。
だから、それ以上は聞いていません。
「それで、グィネヴィアはどうしてグレーテルを困らせていたんだい?」
「困らせていないよ~。ヘンゼルがテストで100点を取ったから、ご褒美にぎゅっとしてあげただけだよ~」
痴女が唇を尖らせて不満そうにします。
年甲斐のない、あざとい仕草です。
ですが、アーサーさまは痴女のあざとさに騙されたりはしません。
何があったのか察したらしく、痴女の頭をコツンと叩きます。
「ヘンゼルが赤くなったりグレーテルがやきもちを焼くのをわかっていて、からかっているだろう。褒めるのはいいけど、二人を困らせたらダメだよ」
「え~?」
痴女がアーサーさまに叱られています。
ざまあみろです。
わたしが気分よく痴女が叱られる様子を見ていると、隣でお兄さまがもじもじとします。
「あ、あの、ぼくはそんなに嫌じゃなかったので、グィネヴィアさんを叱らないであげてください」
なんということでしょう。
お兄さまが痴女を庇っています。
きっとお胸を押し付けられて魅了されてしまったに違いありません。
わたしはお兄さまを正気に戻すべく、自分のお胸を押し付けます。
けれど、お兄さまは気づいてくれません。
わたしのお胸が小さいからでしょうか。
わたしは、ぷくっと頬を膨らませて不満を表します。
それでも、お兄さまは気づいてくれません。
わたしは、ぷくぷくっと頬を膨らませます。
そんなわたしとお兄さまに、アーサーさまが声をかけてきます。
「ヘンゼルは優しいな。それに勉強を頑張っているみたいで偉いぞ」
アーサーさまがお兄さまを褒めます。
「グレーテルも兄思いで良い子だな。ヘンゼルの女癖が悪くならないように心配しているんだよな」
アーサーさまがわたしを褒めます。
「そんな二人に、僕からご褒美をあげよう」
そして、ご褒美をくれると言いました。
*****
「アーサーからおまえ達を北の街に招待したいと話があった」
夕食のとき、お父さまからそんな話題が出ました。
「それって、シンデレラ城や温泉があるテーマパークのことですか?」
お兄さまが尋ねると、お父さまが頷きます。
「そうだ。まあ、招待と言ってもアーサーが同行するわけではなく、移動手段や宿を手配するという意味だがな」
これがアーサーさまが言っていたご褒美なのでしょう。
テーマパークは人々に大人気で、宿の予約を取るために何ヶ月もかかると聞きます。
そんなところに招待してくださるなんて、アーサーさまは凄いです。
けど、アーサーさまは一緒には来てくれないみたいです。
お忙しい人なので無理はありませんが、少し残念です。
「俺が保護者として一緒に行くことにしよう」
アーサーさまと違い、お父さまは暇なようです。
わたしとお兄さまのご褒美に便乗して、旅行についてくるようです。
お兄さまと二人きりの旅行がよかったのですが、お父さまが拗ねるといけないので、同行を認めてあげることにします。
でも、お母さまは一緒に来ないのでしょうか。
同じことを考えたらしく、お兄さまがそのことを尋ねます。
「お母さまは行かないのですか?」
すると、お母さまは困ったように答えます。
「残念だけど、今は安静にしていないといけないのよ。あなた達で楽しんできて」
そう言ってお母さまは、そっと自分のお腹に手を当てます。
お腹が痛いのでしょうか。
顔色は悪くありませんが、お母さまは病気なのでしょうか。
心配です。
そんなふうに考えていると、お母さまが微笑みます。
「ごめんなさい、心配させちゃったわね。病気じゃないから大丈夫よ」
それを聞いて、わたしは安心します。
けど、病気じゃないのに安静にしていないといけないのは、なぜなのでしょう。
わかりません。
ですが、教えてくれるつもりはないようです。
「もうしばらくして安定期に入ったら、教えてあげるわね」
お母さまがそう言うので、わたしも尋ねるのをやめました。
教えてくれるのを待つことにします。
「ぼく、あの街に行くのはひさしぶりなので楽しみです」
お兄さまがそう言ったことで、話題は旅行のことに戻ります。
わたしとお兄さまは、小さい頃にあの街に行ったことがあります。
わたしは、温泉が気持ちよかったことを覚えています。
「また劇を観たいのですが、観られるでしょうか?」
お兄さまは、劇が楽しかったことを覚えているようです。
確かあのときは、有名な女優が主演をつとめる『シンデレラ』という舞台でした。
あの女優の名前はなんといったでしょうか。
「聞いてみるが、おそらく大丈夫だろう。おまえ達が観たいと言っていると伝えれば、よろこんで席を用意してくれると思う」
「ホントですか。なら、ぼく、ミシェルさんの劇が観たいです」
そうそう、女優の名前はミシェルでした。
どうやら、お兄さまはミシェルという女優がお気に入りのようです。
あの女優はお胸が大きくなかったと思うのですが、お兄さまはお胸が小さい女の人も好みなのでしょうか。
それなら、わたしもお兄さまの好みということになります。
嬉しいです。
でも、お兄さまがたくさんの女の人を好きということでもあるので、少し複雑です。
お兄さまをお部屋に閉じ込めて、女の人と会わせないようにした方がいいでしょうか。
けど、お兄さまはお外で遊ぶのも好きなので、お部屋に閉じ込めるのはやりすぎでしょうか。
お兄さまに嫌われたら意味がありません。
お兄さまを閉じ込めずに、女の人に会わせない方法はないでしょうか。
わたしが考え事をしている間にも、お兄さまとお父さまの会話は続きます。
「ミシェルか。しばらくあの街で公演していたはずだな。頼んでみよう」
あ兄さまの希望を聞いて、お父さまがそれを叶えようとします。
「お願いします」
その返事を聞いて、お兄さまが嬉しそうにします。
お兄さまが女の人に会えると聞いて嬉しそうにしているのを見ると、なんだかもやもやします。
やっぱり、さっきの計画を真剣に検討してみた方がよさそうです。
「グレーテルは何か希望はあるか?」
お父さまが、わたしの希望を聞いてきます。
「わたしはお兄さまと一緒に温泉に入りたいです」
わたしは、それに答えます。
「一緒にか。二人の歳なら男湯か女湯に一緒に入れても問題なさそうだが・・・城の温泉を借りるという方法もあるな」
お父さまが考え込みます。
どうやら、わたしの希望も叶えてくれるようです。
「まあ、なんとかしよう」
こうして、わたしとお兄さまは旅行に行くことになりました。
声に振り向くと、そこにいたのは男の人でした。
凛々しい顔に、優しい笑みを浮かべて、わたしの頭を撫でています。
「アーちゃん、おはよう~!」
痴女がお兄さまから離れて、わたしの頭を撫でている男の人に正面から抱き着きます。
わたしはその隙を逃さず、お兄さまの腕に抱き着きます。
お兄さまはかわいいので、ちゃんと所有権を主張しておかないと取られてしまいます。
「グィネヴィア、おはよう」
「えへへ~」
男の人が抱き着いてきた痴女の頭を撫でると、痴女がとろけたようなだらしない笑顔になります。
それに対して、男の人は優しい笑みを返します。
お父さまと違って、お胸を押し付けられてもデレデレはしません。
お兄さまにも、このくらいクールになって欲しいものです。
「アーサーさま、おはようございます」
お兄さまが男の人に挨拶をします。
そういえば、わたしもまだ挨拶をしていませんでした。
「おはようございます」
わたしも男の人に挨拶をします。
お兄さまとわたしが挨拶すると、男の人はお兄さまとわたしの頭を優しく撫でます。
「ヘンゼル、グレーテル、おはよう」
頭を撫でてくれたのは、きちんと挨拶ができたご褒美だと思います。
この男の人に頭を撫でられると、わたしは温かい気持ちになります。
もし、お兄さまがいなかったら、お嫁さんになってあげてもいいくらいです。
でも、わたしにはお兄さまがいるので、お嫁さんにはなってあげられません。
それに、男の人はすでに結婚しています。
男の人のお嫁さんは、なんと痴女なのです。
男の人は素敵な人ですが、女の人の好みだけは悪いと思います。
男の人の名前はアーサー。
わたしたちが暮らす大陸全土に広がる統一国家の王様です。
わたしとお兄さまが生まれた頃、大陸はまだ複数の国に分かれていたそうです。
そんなとき、大陸の南の方から吸血鬼が溢れるという出来事がありました。
当時は地獄と繋がったという噂が流れたそうですが、真相はわかりません。
最初は吸血鬼のせいでたくさんの犠牲者が出たそうです。
けれど、人々も黙ってそれを見ていたわけではありません。
国々は一致団結し、吸血鬼に対抗しました。
そのおかげで吸血鬼の大半を駆除することができました。
けれど、吸血鬼は完全にいなくなったわけではありません。
今でもたまに現れて事件を起こします。
油断はできません。
そこで国々は国を一つにすることにしました。
統一国家の誕生です。
そして、吸血鬼の駆除にもっとも活躍した人物が王様になることになりました。
それが、アーサーさまです。
ちなみに痴女は、吸血鬼を駆除するときにアーサーさまに協力したご褒美に、ちゃっかりお嫁さんにしてもらったそうです。
痴女はアーサーさまの第二王妃です。
第一王妃がいないのに、なぜか第二王妃です。
不思議に思って聞いたことがありますが、誰に聞いても困った顔をして教えてくれませんでした。
お父さまに聞いても、お母さまに聞いても、アーサーさまに聞いても、痴女に聞いても同じでした。
きっと七不思議とかそういうものなのだと思います。
秘密を知ってしまったら、お化けが出るに違いありません。
だから、それ以上は聞いていません。
「それで、グィネヴィアはどうしてグレーテルを困らせていたんだい?」
「困らせていないよ~。ヘンゼルがテストで100点を取ったから、ご褒美にぎゅっとしてあげただけだよ~」
痴女が唇を尖らせて不満そうにします。
年甲斐のない、あざとい仕草です。
ですが、アーサーさまは痴女のあざとさに騙されたりはしません。
何があったのか察したらしく、痴女の頭をコツンと叩きます。
「ヘンゼルが赤くなったりグレーテルがやきもちを焼くのをわかっていて、からかっているだろう。褒めるのはいいけど、二人を困らせたらダメだよ」
「え~?」
痴女がアーサーさまに叱られています。
ざまあみろです。
わたしが気分よく痴女が叱られる様子を見ていると、隣でお兄さまがもじもじとします。
「あ、あの、ぼくはそんなに嫌じゃなかったので、グィネヴィアさんを叱らないであげてください」
なんということでしょう。
お兄さまが痴女を庇っています。
きっとお胸を押し付けられて魅了されてしまったに違いありません。
わたしはお兄さまを正気に戻すべく、自分のお胸を押し付けます。
けれど、お兄さまは気づいてくれません。
わたしのお胸が小さいからでしょうか。
わたしは、ぷくっと頬を膨らませて不満を表します。
それでも、お兄さまは気づいてくれません。
わたしは、ぷくぷくっと頬を膨らませます。
そんなわたしとお兄さまに、アーサーさまが声をかけてきます。
「ヘンゼルは優しいな。それに勉強を頑張っているみたいで偉いぞ」
アーサーさまがお兄さまを褒めます。
「グレーテルも兄思いで良い子だな。ヘンゼルの女癖が悪くならないように心配しているんだよな」
アーサーさまがわたしを褒めます。
「そんな二人に、僕からご褒美をあげよう」
そして、ご褒美をくれると言いました。
*****
「アーサーからおまえ達を北の街に招待したいと話があった」
夕食のとき、お父さまからそんな話題が出ました。
「それって、シンデレラ城や温泉があるテーマパークのことですか?」
お兄さまが尋ねると、お父さまが頷きます。
「そうだ。まあ、招待と言ってもアーサーが同行するわけではなく、移動手段や宿を手配するという意味だがな」
これがアーサーさまが言っていたご褒美なのでしょう。
テーマパークは人々に大人気で、宿の予約を取るために何ヶ月もかかると聞きます。
そんなところに招待してくださるなんて、アーサーさまは凄いです。
けど、アーサーさまは一緒には来てくれないみたいです。
お忙しい人なので無理はありませんが、少し残念です。
「俺が保護者として一緒に行くことにしよう」
アーサーさまと違い、お父さまは暇なようです。
わたしとお兄さまのご褒美に便乗して、旅行についてくるようです。
お兄さまと二人きりの旅行がよかったのですが、お父さまが拗ねるといけないので、同行を認めてあげることにします。
でも、お母さまは一緒に来ないのでしょうか。
同じことを考えたらしく、お兄さまがそのことを尋ねます。
「お母さまは行かないのですか?」
すると、お母さまは困ったように答えます。
「残念だけど、今は安静にしていないといけないのよ。あなた達で楽しんできて」
そう言ってお母さまは、そっと自分のお腹に手を当てます。
お腹が痛いのでしょうか。
顔色は悪くありませんが、お母さまは病気なのでしょうか。
心配です。
そんなふうに考えていると、お母さまが微笑みます。
「ごめんなさい、心配させちゃったわね。病気じゃないから大丈夫よ」
それを聞いて、わたしは安心します。
けど、病気じゃないのに安静にしていないといけないのは、なぜなのでしょう。
わかりません。
ですが、教えてくれるつもりはないようです。
「もうしばらくして安定期に入ったら、教えてあげるわね」
お母さまがそう言うので、わたしも尋ねるのをやめました。
教えてくれるのを待つことにします。
「ぼく、あの街に行くのはひさしぶりなので楽しみです」
お兄さまがそう言ったことで、話題は旅行のことに戻ります。
わたしとお兄さまは、小さい頃にあの街に行ったことがあります。
わたしは、温泉が気持ちよかったことを覚えています。
「また劇を観たいのですが、観られるでしょうか?」
お兄さまは、劇が楽しかったことを覚えているようです。
確かあのときは、有名な女優が主演をつとめる『シンデレラ』という舞台でした。
あの女優の名前はなんといったでしょうか。
「聞いてみるが、おそらく大丈夫だろう。おまえ達が観たいと言っていると伝えれば、よろこんで席を用意してくれると思う」
「ホントですか。なら、ぼく、ミシェルさんの劇が観たいです」
そうそう、女優の名前はミシェルでした。
どうやら、お兄さまはミシェルという女優がお気に入りのようです。
あの女優はお胸が大きくなかったと思うのですが、お兄さまはお胸が小さい女の人も好みなのでしょうか。
それなら、わたしもお兄さまの好みということになります。
嬉しいです。
でも、お兄さまがたくさんの女の人を好きということでもあるので、少し複雑です。
お兄さまをお部屋に閉じ込めて、女の人と会わせないようにした方がいいでしょうか。
けど、お兄さまはお外で遊ぶのも好きなので、お部屋に閉じ込めるのはやりすぎでしょうか。
お兄さまに嫌われたら意味がありません。
お兄さまを閉じ込めずに、女の人に会わせない方法はないでしょうか。
わたしが考え事をしている間にも、お兄さまとお父さまの会話は続きます。
「ミシェルか。しばらくあの街で公演していたはずだな。頼んでみよう」
あ兄さまの希望を聞いて、お父さまがそれを叶えようとします。
「お願いします」
その返事を聞いて、お兄さまが嬉しそうにします。
お兄さまが女の人に会えると聞いて嬉しそうにしているのを見ると、なんだかもやもやします。
やっぱり、さっきの計画を真剣に検討してみた方がよさそうです。
「グレーテルは何か希望はあるか?」
お父さまが、わたしの希望を聞いてきます。
「わたしはお兄さまと一緒に温泉に入りたいです」
わたしは、それに答えます。
「一緒にか。二人の歳なら男湯か女湯に一緒に入れても問題なさそうだが・・・城の温泉を借りるという方法もあるな」
お父さまが考え込みます。
どうやら、わたしの希望も叶えてくれるようです。
「まあ、なんとかしよう」
こうして、わたしとお兄さまは旅行に行くことになりました。
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