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第十三章 シンデレラ
215.シンデレラ(その11)
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メフィの故郷も興味深くはあるけれど、今はそれについてゆっくり語り合っている暇は無い。
吸血鬼が襲い掛かってくるということもなく、王城の手前に到着した。
「王都の人間はみんな吸血鬼にされて、他の国を襲いにいっているみたいね」
「兵士も同様でしょうな」
王城の入口を見ても、警備の兵士すらいない。
暗殺に失敗して戻ってきた人間は隠し通路を使ったみたいだから、そのときはまだ警備の兵士がいたのだろう。
でも、今はそれすらいないのだ。
人間同士の戦争なら、そんなことはあり得ない。
「正真正銘の化け物になったのかしらね」
私はこの城の奥にいるであろう人物のことを考える。
今この国を支配しているのは彼女だ。
少なくとも王都のこの惨状は彼女がもたらしたものだ。
各領地には領主がいるだろうから、そちらはもっとマシな状況なのかも知れない。
いずれその連中が王都のこの状況を何とかするかも知れない。
でも、間違いなく、今現在この国の支配者は彼女なのだ。
「女王様に会いに行くのだから、正面から行きましょうか」
策を弄したり暗殺したりなんていうのは、人間に対してするものだ。
相手が策や暗殺を警戒するからこそ、その裏を突くことで高い効果が出る。
そういうものを警戒しない化け物に対しては、余計なことに労力を使うよりも正面から行った方がいい。
ただし、それは無策で行くという意味じゃない。
その分の労力を別のことに使うという意味だ。
*****
カツン・・・カツン・・・
足音が冷たく響く廊下を進む。
冷たいのは足音だけじゃない。
城の中は空気まで冷たい気がする。
「使用人もいないわね」
王都と同じく、城の中も誰もいない。
人間がいないから、人間が持つ体温もない。
だから、その分だけ空気の温度も低い。
冷静に分析するなら、そういうことになるのだろう。
けど、この肌寒さはそれだけではないと思う。
「誰もいない場所って、こんなに寒いのね」
森で暮らしていたときにも、こんな寒さは感じたことがない。
気温が低いことはあっても、服を着こんで布にくるまっていれば、温かくなる。
雪が降っていても、それは同じだ。
けど、ここにいると自分の温度が奪われていくような感覚がある。
「作りかけの料理や、片付けていない食器があるわね」
途中で食堂に寄り道をする。
別に深い理由があったわけじゃない。
ただ、人間がいるとしたら、食べ物のある場所だろうと考えただけだ。
でも、そこにあったのは、腐りかけの料理だけだった。
かつて人間がいた証拠、そして今は人間がいない証拠でもある。
「密室で忽然と人間が姿を消すというのは、ホラーやミステリーの定番ではありますが、それに近い状況ですな」
私と一緒に食堂を眺めていたメフィが、そんな感想を語る。
私も似たような感想だ。
けど、そういった物語と違うのは、いなくなった人間の行き先がはっきりしているということだ。
だから、これは物語じゃない。
現実だ。
「別の場所に行きましょうか」
*****
次に寄り道したのは、兵士がいるであろう場所だ。
訓練場。
武器庫。
備蓄庫。
色々な場所を回る。
でも、あいかわらず誰もいない。
「武器庫や備蓄庫に、こんなにすんなり入れるとはね」
防衛の要だ。
普通なら、無関係な人間が近づくだけで、罰せられるような場所だ。
昼夜を問わず、兵士が警備しているような場所だ。
それなのに、誰にも止められることなく、入ることができてしまった。
「兵士の吸血鬼が出たって話だったけど、補給をする予定はないようね」
兵士として武器を使う知能は残っていても、軍として補給をする知能は残っていないのだろうか。
だとすれば、アーサー王子達なら問題なく対処するだろう。
予想していたほど長引くことも無いかも知れない。
そう考えると気が楽になる。
私が失敗したとしても、何とかなるだろう。
なら、このまま何もせずに帰るという選択肢もあるけど、そうするつもりはない。
私は私のやりたいことをやらせてもらうことにする。
「せっかくだから、色々持って行きましょうか」
「泥棒ですよ」
「持っていかなかったのだから、忘れ物みたいなものでしょう」
「忘れ物を自分の物にするのも泥棒だと思うのですが」
「自分の物にするわけじゃないわ。持ち主に返しに行くだけよ」
「なら、問題ないですな」
「そうよ」
「そうですな」
ここでいう持ち主とは、武器を持つ兵士達のことじゃない。
武器を持つ兵士達、その持ち主のことだ。
私はここに残されている武器を、持ち主に返すだけだ。
返し方は好きにさせてもらうけど。
「そろそろ次に行きましょうか」
*****
次はいよいよ城の奥へ向かう。
進むにつれ、建物に施された装飾が豪華になっていく。
兵士や使用人がいるエリアから、王族や貴族がいるエリアに変わってきたのだ。
ガチャ
私は扉を開けて部屋の中を眺める。
ガチャ
私はまた扉を開けて部屋の中を眺める。
「そうしていると、まるで空き巣ですな」
各部屋の扉を開けながら廊下を進む私を見て、メフィがそんなことを言う。
「失礼ね。何も盗んでいないでしょう」
その言葉に嘘は無い。
私は部屋の中にあるものを取ったりはしていない。
ただ、部屋の中を確認しているだけだ。
「誰か残っていないか見ているだけよ」
「残っていたとしても、敵でしょう?」
「そうとは限らないわよ」
私は同じことを繰り返しながら、少しずつ廊下を進む。
異変を感じたのは、奥に近づいた頃だった。
「空気が変わったわね」
「そうですな」
敵の気配を感じた、というわけではない。
鍛えられた兵士であれば、敵の殺気を感じることができる場合もあるだろう。
けど、私にはそんなことはできない。
もっと、具体的に空気が変わったことを感じたのだ。
「異臭・・・いえ、腐臭ね」
物語であれば、魔王が放つ瘴気といったところだろう。
でも、そういうものじゃない。
血肉が腐る匂いだ。
奥に行くほど、それが強くなってきている。
「森の中で獣の死体がこんな臭いをさせていることはあるけど・・・」
城の中にそんなものがあるわけがない。
だから、臭いの発生源はある程度予想できる。
ガチャ
扉を開けたとき、その予想が正しいことが証明された。
「獣でもないし、死体でもないですな」
メフィが私の言葉との差異を指摘してくるけど、そんなものは些細はことだ。
そこには私が予想した通りのものが置かれていた。
「・・・ほら、メフィ。敵じゃなかったでしょう」
「ああ、確かに」
人間であれば、ベッドに寝かされていると表現するのだろう。
でも、そこに置かれていたのは、人間ではなかった。
なぜなら、人間にとって必要なものが、色々と欠けているからだ。
だから、人間ではない。
だけど、生きてはいる。
微かな呼吸音だけが、生きていることを伝えてくる。
「確かに、コレは敵ではありませんな。どうやら、コレは食材のようです」
想像したくないことを、メフィが遠慮なく口に出す。
一瞬、ソレが自分の口に入っている場面を想像してしまい。
軽い吐き気を覚える。
「肉を熟成させるのであれば、温度や湿度を管理しなければならないのですが、ここの料理人は腕が悪いようですな。切り口から腐り始めているようです」
メフィがソレを観察しながら、冷静に分析をする。
その目には何の感情もない。
ただ、捌いた魚の良し悪しを判断しているような目だ。
「・・・食材なら、火を通さなくちゃね」
私は武器庫から持ってきた油をソレにかける。
プラクティカルや任務に失敗した兵士には、どうしたいかを尋ねた。
だけど、今回は尋ねるようなことはしない。
目は口程に物を言う。
けど、目も口も無い場合は、相手の意志を知ることはできない。
耳も無い場合は、こちらの意志を伝えることはできない。
「室内で火は危ないですよ」
「ここは部屋じゃないわ。大きなかまどよ」
私はメフィの言葉には構わず、ソレに火を落とす。
すぐに漂ってくる肉の焼ける香り。
だけど、食欲は湧いてこなかった。
吸血鬼が襲い掛かってくるということもなく、王城の手前に到着した。
「王都の人間はみんな吸血鬼にされて、他の国を襲いにいっているみたいね」
「兵士も同様でしょうな」
王城の入口を見ても、警備の兵士すらいない。
暗殺に失敗して戻ってきた人間は隠し通路を使ったみたいだから、そのときはまだ警備の兵士がいたのだろう。
でも、今はそれすらいないのだ。
人間同士の戦争なら、そんなことはあり得ない。
「正真正銘の化け物になったのかしらね」
私はこの城の奥にいるであろう人物のことを考える。
今この国を支配しているのは彼女だ。
少なくとも王都のこの惨状は彼女がもたらしたものだ。
各領地には領主がいるだろうから、そちらはもっとマシな状況なのかも知れない。
いずれその連中が王都のこの状況を何とかするかも知れない。
でも、間違いなく、今現在この国の支配者は彼女なのだ。
「女王様に会いに行くのだから、正面から行きましょうか」
策を弄したり暗殺したりなんていうのは、人間に対してするものだ。
相手が策や暗殺を警戒するからこそ、その裏を突くことで高い効果が出る。
そういうものを警戒しない化け物に対しては、余計なことに労力を使うよりも正面から行った方がいい。
ただし、それは無策で行くという意味じゃない。
その分の労力を別のことに使うという意味だ。
*****
カツン・・・カツン・・・
足音が冷たく響く廊下を進む。
冷たいのは足音だけじゃない。
城の中は空気まで冷たい気がする。
「使用人もいないわね」
王都と同じく、城の中も誰もいない。
人間がいないから、人間が持つ体温もない。
だから、その分だけ空気の温度も低い。
冷静に分析するなら、そういうことになるのだろう。
けど、この肌寒さはそれだけではないと思う。
「誰もいない場所って、こんなに寒いのね」
森で暮らしていたときにも、こんな寒さは感じたことがない。
気温が低いことはあっても、服を着こんで布にくるまっていれば、温かくなる。
雪が降っていても、それは同じだ。
けど、ここにいると自分の温度が奪われていくような感覚がある。
「作りかけの料理や、片付けていない食器があるわね」
途中で食堂に寄り道をする。
別に深い理由があったわけじゃない。
ただ、人間がいるとしたら、食べ物のある場所だろうと考えただけだ。
でも、そこにあったのは、腐りかけの料理だけだった。
かつて人間がいた証拠、そして今は人間がいない証拠でもある。
「密室で忽然と人間が姿を消すというのは、ホラーやミステリーの定番ではありますが、それに近い状況ですな」
私と一緒に食堂を眺めていたメフィが、そんな感想を語る。
私も似たような感想だ。
けど、そういった物語と違うのは、いなくなった人間の行き先がはっきりしているということだ。
だから、これは物語じゃない。
現実だ。
「別の場所に行きましょうか」
*****
次に寄り道したのは、兵士がいるであろう場所だ。
訓練場。
武器庫。
備蓄庫。
色々な場所を回る。
でも、あいかわらず誰もいない。
「武器庫や備蓄庫に、こんなにすんなり入れるとはね」
防衛の要だ。
普通なら、無関係な人間が近づくだけで、罰せられるような場所だ。
昼夜を問わず、兵士が警備しているような場所だ。
それなのに、誰にも止められることなく、入ることができてしまった。
「兵士の吸血鬼が出たって話だったけど、補給をする予定はないようね」
兵士として武器を使う知能は残っていても、軍として補給をする知能は残っていないのだろうか。
だとすれば、アーサー王子達なら問題なく対処するだろう。
予想していたほど長引くことも無いかも知れない。
そう考えると気が楽になる。
私が失敗したとしても、何とかなるだろう。
なら、このまま何もせずに帰るという選択肢もあるけど、そうするつもりはない。
私は私のやりたいことをやらせてもらうことにする。
「せっかくだから、色々持って行きましょうか」
「泥棒ですよ」
「持っていかなかったのだから、忘れ物みたいなものでしょう」
「忘れ物を自分の物にするのも泥棒だと思うのですが」
「自分の物にするわけじゃないわ。持ち主に返しに行くだけよ」
「なら、問題ないですな」
「そうよ」
「そうですな」
ここでいう持ち主とは、武器を持つ兵士達のことじゃない。
武器を持つ兵士達、その持ち主のことだ。
私はここに残されている武器を、持ち主に返すだけだ。
返し方は好きにさせてもらうけど。
「そろそろ次に行きましょうか」
*****
次はいよいよ城の奥へ向かう。
進むにつれ、建物に施された装飾が豪華になっていく。
兵士や使用人がいるエリアから、王族や貴族がいるエリアに変わってきたのだ。
ガチャ
私は扉を開けて部屋の中を眺める。
ガチャ
私はまた扉を開けて部屋の中を眺める。
「そうしていると、まるで空き巣ですな」
各部屋の扉を開けながら廊下を進む私を見て、メフィがそんなことを言う。
「失礼ね。何も盗んでいないでしょう」
その言葉に嘘は無い。
私は部屋の中にあるものを取ったりはしていない。
ただ、部屋の中を確認しているだけだ。
「誰か残っていないか見ているだけよ」
「残っていたとしても、敵でしょう?」
「そうとは限らないわよ」
私は同じことを繰り返しながら、少しずつ廊下を進む。
異変を感じたのは、奥に近づいた頃だった。
「空気が変わったわね」
「そうですな」
敵の気配を感じた、というわけではない。
鍛えられた兵士であれば、敵の殺気を感じることができる場合もあるだろう。
けど、私にはそんなことはできない。
もっと、具体的に空気が変わったことを感じたのだ。
「異臭・・・いえ、腐臭ね」
物語であれば、魔王が放つ瘴気といったところだろう。
でも、そういうものじゃない。
血肉が腐る匂いだ。
奥に行くほど、それが強くなってきている。
「森の中で獣の死体がこんな臭いをさせていることはあるけど・・・」
城の中にそんなものがあるわけがない。
だから、臭いの発生源はある程度予想できる。
ガチャ
扉を開けたとき、その予想が正しいことが証明された。
「獣でもないし、死体でもないですな」
メフィが私の言葉との差異を指摘してくるけど、そんなものは些細はことだ。
そこには私が予想した通りのものが置かれていた。
「・・・ほら、メフィ。敵じゃなかったでしょう」
「ああ、確かに」
人間であれば、ベッドに寝かされていると表現するのだろう。
でも、そこに置かれていたのは、人間ではなかった。
なぜなら、人間にとって必要なものが、色々と欠けているからだ。
だから、人間ではない。
だけど、生きてはいる。
微かな呼吸音だけが、生きていることを伝えてくる。
「確かに、コレは敵ではありませんな。どうやら、コレは食材のようです」
想像したくないことを、メフィが遠慮なく口に出す。
一瞬、ソレが自分の口に入っている場面を想像してしまい。
軽い吐き気を覚える。
「肉を熟成させるのであれば、温度や湿度を管理しなければならないのですが、ここの料理人は腕が悪いようですな。切り口から腐り始めているようです」
メフィがソレを観察しながら、冷静に分析をする。
その目には何の感情もない。
ただ、捌いた魚の良し悪しを判断しているような目だ。
「・・・食材なら、火を通さなくちゃね」
私は武器庫から持ってきた油をソレにかける。
プラクティカルや任務に失敗した兵士には、どうしたいかを尋ねた。
だけど、今回は尋ねるようなことはしない。
目は口程に物を言う。
けど、目も口も無い場合は、相手の意志を知ることはできない。
耳も無い場合は、こちらの意志を伝えることはできない。
「室内で火は危ないですよ」
「ここは部屋じゃないわ。大きなかまどよ」
私はメフィの言葉には構わず、ソレに火を落とす。
すぐに漂ってくる肉の焼ける香り。
だけど、食欲は湧いてこなかった。
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