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第十一章 ハーメルンの笛
188.同行者の末路(その4)
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「それで、今度は何を作っているの?」
近づいて声をかけたところで、ようやくアーサー王子が私に気付く。
よほど集中していたようだ。
「あ、シンデレラ。これはね、『カリバーン』の改良版だよ」
「改良版?」
「グィネヴィアさんに硬度の高い金属の作り方を教えてもらったからね。それで銃身や弾丸を作ることで、飛距離や貫通力を向上させることができそうなんだ」
ハーメルン王国に行く前は武器や防具じゃない平和的なものを作っていたようなのに、今度はより凶悪なものを作ろうとしているようだ。
どんな心境の変化だろう。
私が疑問に思っていると、アーサー王子がその答えを教えてくれる。
「グィネヴィアさんが作った鎧を見て気づいたんだ。武器や防具は人を殺す道具ではあるけれど、使い方によっては人を救うこともできるんだって」
ハーメルン王国の王都で、野犬の駆除に鎧を利用していたことを言っているのだろう。
確かに、あの鎧がなければ、野犬に噛まれて死んでいた人間が出ていたかも知れない。
「ハーメルン王国で害獣の駆除に使われたのは身を護る鎧だけど、銃だって遠距離で攻撃できるという特性を活かせば、安全に害獣を駆除する道具として使えたと思うんだ」
「まあ、そうね」
建物にこもって、離れた場所から狙い撃つ。
身を護りながら野犬を駆除するという目的は、鎧の場合と同じように達成できるだろう。
「だから、準備はしておこうと思うんだ。グィネヴィアさんの鎧を相手にすることはないと思いたいけど、どうなるか分からないしね」
自分が作ったものが人を殺す。
そこに葛藤があったようだけど、どうやら自分の中で落とし所を見つけたようだ。
アーサー王子個人にとって、それがよいことなのかは分からないけど、きな臭くなってきた周辺国のことを考えると、今のこの国にはよいことなのだろう。
アーサー王子が悩んだ末に出した結論に、私が口を挟むことはできない。
私にできることは、アーサー王子が後悔することがないように祈ることだけだ。
「そうそう、それとね。貫通力を高めるだけじゃなくて、素早い獣を相手にするときのことを考えて、散弾式というのも考えていて・・・」
それはそれとして、悩みが無くなったせいか、ぞくぞくと凶悪なことを考えているようだ。
素早い獣を相手にするためと言っているけど、それは人間にも使えるのだということは分かっているのだろうか。
性能が向上すると言えば聞こえはいいが、ようは効率よく殺せるようになるということだ。
頑張って開発しているアーサー王子には悪いけど、それが使われる機会が訪れないことを祈るばかりだ。
「散弾式は射程距離は短くなるんだけど、その代わり広い面を・・・」
アーサー王子が説明を続けようとする。
どうも徹夜続きで妙なテンションになっているらしく、私が聞いているかに関係なく話しているようだ。
もうそろそろ寝かせないといけないな。
「アーサー」
「なに、シンデレラ?」
私が声をかけると、アーサー王子が反応する。
私はにっこりと微笑んで、一言だけ伝える。
「おやすみ」
「え・・・」
私が睡眠薬を嗅がせると、糸が切れた人形みたいに、意識を失うアーサー王子。
この睡眠薬は、そんなに短時間では効かないはずなんだけど、寝不足も手伝ったのだろう。
意識を失ったアーサー王子は、そのまま私の方に倒れ込んでくる。
「おっと・・・」
慌てて受け止めるけど、自分より重い肉の塊を止められるわけがない。
私は巻き込まれて床に転倒することになった。
「いてて」
私がクッションになったから、アーサー王子が怪我をすることは無かったようだ。
少し痛かったけど、問答無用で眠らせたのは私だから、我慢しておこう。
とはいえ重い。
私がアーサー王子を押しのけようとするのと、足音が聞こえてきたのは同時だった。
「お手伝いに参りました」
来たのはMMQのメイドだった。
そういえば、工房は機密情報が多いから、一般のメイドは入ることができないんだった。
だから、メアリーはMMQのメイドを、こちらに来させてくれたのだろう。
「ちょうどよかった、アーサーを・・・」
「お時間を空けてから来た方がいいですか?」
私がアーサー王子をどかせてくれるように頼もうとしたところで、メイドが妙なことを言う。
なぜ時間を空けようとするのだろう。
よく分からないけど、何やら気遣ってくれていることは分かった。
だから私は、自分の要望を伝える。
「気にしなくていいから、一緒にアーサーを・・・」
「え!?まさか一緒にお相手をしろというご命令ですか?」
お相手?
・・・・・
これも噂の影響かな。
確かに、私がアーサー王子に押し倒されているように見えなくは無いだろう。
けど、普通は朝っぱらから、そんな発想はしないと思う。
私とアーサー王子が工房で子供を作っているとでも思ったのだろうか。
「重いから早くどかせて」
「かしこまりました」
私が溜息混じりに要求すると、メイドは今度はあっさりと了解の返事を返してきた。
おそらく、からかってきただけなのだろう。
やれやれ。
*****
工房の外には数人のメイドがいたらしく、アーサー王子は寝室に運ばれて行った。
アーサー王子のことは彼女達に任せるとして、私は工房の戸締りをする。
そう思って、ぐるりと見渡すと、ある物が目に入った。
「コレ、完成しているのかな?」
それは、アーサー王子がハーメルン王国に行く前に作っていたものだった。
ガラスで作った温室で、冬でも作物を育てることができるものだそうだ。
小さくて作物を大量に作れないいう意味で実用化までは行っていないと言っていたけど、使えないわけではないと思う。
「使ってみようかな」
アーサー王子には事後承諾になるけど、今は別の物を作っているから、かまわないだろう。
というか、これの続きを作るつもりは、しばらく無さそうだ。
私が使い勝手を確認した方が、有意義だと思う。
「何を育てようかな」
薬草を育ててもいいんだけど、薬草は春になれば手に入るし、少量ではあまり役に立たない。
少量でも役に立ったり、楽しめるものがいいだろう。
私は、育てる植物を考えながら戸締りをして、工房を後にした。
*****
翌日。
食堂でエミリーと昼食を取っていると、そこへ通常はやってこないであろう人物が姿を現した。
「シーちゃん、昨日は助かったよ」
のんきな言葉を言いながら近寄ってきたのは、グィネヴィアだ。
挨拶をするように話しかけてきたけど、周囲の状況には気付いているのかな。
あり得ない人物の来訪にざわついている。
この食堂は兵士やメイドが食事を取る場所だ。
身分の高い者は、あまり来ない。
つまり、他国の王族であるグィネヴィアは、普通は来ない場所なのだ。
国家機密が置かれている場所というわけではないから、来るのを禁じられているということはないだろうけど、そもそも普通の王族はこんな場所に来ようとは思わない。
だから、わざわざ行くなとも言われない。
でも、グィネヴィアは普通では無かったようだ。
「私、席を外しますね」
エミリーが気を効かせて席を立とうとするけど、グィネヴィアがそれを止める。
「シーちゃんのお友達でしょ?一緒に食べましょうよ」
「そ、そうですか」
エミリーは若干迷惑そうにしながらも、席に戻る。
他国とはいえ王族に言われて、断ることができなかったのだろう。
でも、王族に失礼なことでもしたら罰せられる可能性もあるから、エミリーにとっては有難迷惑だと思う。
なるべく、私がグィネヴィアの相手をした方がよさそうだ。
「昨日はよく眠れましたか?」
私はグィネヴィアに尋ねる。
アーサー王子と違って共通の話題などないから、挨拶くらいしか話す内容がない。
「シーちゃんのおかげで、ひさしぶりに、ぐっすり眠れたよ」
「それはよかったです。アーサーは集中すると時間を忘れますから、無理に付き合わなくていいですよ」
「でも、楽しかったよ」
私とグィネヴィアが会話をしていると、エミリーが興味深そうに、それを聞いていた。
そして、意を決して、おずおずと会話に参加してくる。
「あの、アーサー王子って、やっぱり凄いんですか?」
そんなことを聞いてきた。
『何が』とは言わなかったけど、私には何のことかわかった。
初対面の相手に聞くようなことではないと思うのだけど、好奇心が抑えられなかったようだ。
私は話題を変えようとするけど、先にグィネヴィアが答えてしまう。
しかも、嬉しそうに。
「うん、そうだよ!情熱的でテクニックも凄くて、最後の方は私も付いていくのが大変だった!」
周囲で『おおっ!』という声が上がった。
どうも、聞き耳を立てられていたようだ。
それはいいのだけど、グィネヴィアの言葉の意味を、絶対に勘違いしていると思う。
工房での開発に『情熱的』で、開発する技術力が『凄く』て、徹夜を続けるから『付いていくのが大変』ということなのだけど、ここにいる人間にはそれは今さらのはずだ。
だけど、驚いた。
それはつまり、言葉の意味を別の方向に解釈しているということだ。
「シーちゃんが来てくれなかったら、身体がもたなかったかも」
また、『おおっ!』という声が上がった。
なんだか、私まで巻き込まれた気がするのだけど、気のせいだろうか。
でも、周囲の人間にどう解釈をしているかを確認したり、解釈が違っていたら訂正したりするのは面倒だ。
私はちらりとグィネヴィアの表情を窺う。
無邪気そうな顔をしているけど、箱入りでもない王女が無邪気なわけがない。
おそらく意図的に周囲に勘違いさせたのだろう。
狙いまでは分からないけど、対象は私かアーサー王子だと思う。
放っておくと、ろくでもないことになりそうだけど、私はこういう駆け引きが苦手だ。
「グィネヴィア様はこの食堂の料理はお口に合いましたか?体力仕事の人間向けに、濃い味付けだと思うのですが」
「おいしいよ。よく鍛冶師の人達と一緒に食事をしていたから、こういう味付けの料理は食べ慣れているの」
私にできるのは、話題を逸らすことくらいだった。
近づいて声をかけたところで、ようやくアーサー王子が私に気付く。
よほど集中していたようだ。
「あ、シンデレラ。これはね、『カリバーン』の改良版だよ」
「改良版?」
「グィネヴィアさんに硬度の高い金属の作り方を教えてもらったからね。それで銃身や弾丸を作ることで、飛距離や貫通力を向上させることができそうなんだ」
ハーメルン王国に行く前は武器や防具じゃない平和的なものを作っていたようなのに、今度はより凶悪なものを作ろうとしているようだ。
どんな心境の変化だろう。
私が疑問に思っていると、アーサー王子がその答えを教えてくれる。
「グィネヴィアさんが作った鎧を見て気づいたんだ。武器や防具は人を殺す道具ではあるけれど、使い方によっては人を救うこともできるんだって」
ハーメルン王国の王都で、野犬の駆除に鎧を利用していたことを言っているのだろう。
確かに、あの鎧がなければ、野犬に噛まれて死んでいた人間が出ていたかも知れない。
「ハーメルン王国で害獣の駆除に使われたのは身を護る鎧だけど、銃だって遠距離で攻撃できるという特性を活かせば、安全に害獣を駆除する道具として使えたと思うんだ」
「まあ、そうね」
建物にこもって、離れた場所から狙い撃つ。
身を護りながら野犬を駆除するという目的は、鎧の場合と同じように達成できるだろう。
「だから、準備はしておこうと思うんだ。グィネヴィアさんの鎧を相手にすることはないと思いたいけど、どうなるか分からないしね」
自分が作ったものが人を殺す。
そこに葛藤があったようだけど、どうやら自分の中で落とし所を見つけたようだ。
アーサー王子個人にとって、それがよいことなのかは分からないけど、きな臭くなってきた周辺国のことを考えると、今のこの国にはよいことなのだろう。
アーサー王子が悩んだ末に出した結論に、私が口を挟むことはできない。
私にできることは、アーサー王子が後悔することがないように祈ることだけだ。
「そうそう、それとね。貫通力を高めるだけじゃなくて、素早い獣を相手にするときのことを考えて、散弾式というのも考えていて・・・」
それはそれとして、悩みが無くなったせいか、ぞくぞくと凶悪なことを考えているようだ。
素早い獣を相手にするためと言っているけど、それは人間にも使えるのだということは分かっているのだろうか。
性能が向上すると言えば聞こえはいいが、ようは効率よく殺せるようになるということだ。
頑張って開発しているアーサー王子には悪いけど、それが使われる機会が訪れないことを祈るばかりだ。
「散弾式は射程距離は短くなるんだけど、その代わり広い面を・・・」
アーサー王子が説明を続けようとする。
どうも徹夜続きで妙なテンションになっているらしく、私が聞いているかに関係なく話しているようだ。
もうそろそろ寝かせないといけないな。
「アーサー」
「なに、シンデレラ?」
私が声をかけると、アーサー王子が反応する。
私はにっこりと微笑んで、一言だけ伝える。
「おやすみ」
「え・・・」
私が睡眠薬を嗅がせると、糸が切れた人形みたいに、意識を失うアーサー王子。
この睡眠薬は、そんなに短時間では効かないはずなんだけど、寝不足も手伝ったのだろう。
意識を失ったアーサー王子は、そのまま私の方に倒れ込んでくる。
「おっと・・・」
慌てて受け止めるけど、自分より重い肉の塊を止められるわけがない。
私は巻き込まれて床に転倒することになった。
「いてて」
私がクッションになったから、アーサー王子が怪我をすることは無かったようだ。
少し痛かったけど、問答無用で眠らせたのは私だから、我慢しておこう。
とはいえ重い。
私がアーサー王子を押しのけようとするのと、足音が聞こえてきたのは同時だった。
「お手伝いに参りました」
来たのはMMQのメイドだった。
そういえば、工房は機密情報が多いから、一般のメイドは入ることができないんだった。
だから、メアリーはMMQのメイドを、こちらに来させてくれたのだろう。
「ちょうどよかった、アーサーを・・・」
「お時間を空けてから来た方がいいですか?」
私がアーサー王子をどかせてくれるように頼もうとしたところで、メイドが妙なことを言う。
なぜ時間を空けようとするのだろう。
よく分からないけど、何やら気遣ってくれていることは分かった。
だから私は、自分の要望を伝える。
「気にしなくていいから、一緒にアーサーを・・・」
「え!?まさか一緒にお相手をしろというご命令ですか?」
お相手?
・・・・・
これも噂の影響かな。
確かに、私がアーサー王子に押し倒されているように見えなくは無いだろう。
けど、普通は朝っぱらから、そんな発想はしないと思う。
私とアーサー王子が工房で子供を作っているとでも思ったのだろうか。
「重いから早くどかせて」
「かしこまりました」
私が溜息混じりに要求すると、メイドは今度はあっさりと了解の返事を返してきた。
おそらく、からかってきただけなのだろう。
やれやれ。
*****
工房の外には数人のメイドがいたらしく、アーサー王子は寝室に運ばれて行った。
アーサー王子のことは彼女達に任せるとして、私は工房の戸締りをする。
そう思って、ぐるりと見渡すと、ある物が目に入った。
「コレ、完成しているのかな?」
それは、アーサー王子がハーメルン王国に行く前に作っていたものだった。
ガラスで作った温室で、冬でも作物を育てることができるものだそうだ。
小さくて作物を大量に作れないいう意味で実用化までは行っていないと言っていたけど、使えないわけではないと思う。
「使ってみようかな」
アーサー王子には事後承諾になるけど、今は別の物を作っているから、かまわないだろう。
というか、これの続きを作るつもりは、しばらく無さそうだ。
私が使い勝手を確認した方が、有意義だと思う。
「何を育てようかな」
薬草を育ててもいいんだけど、薬草は春になれば手に入るし、少量ではあまり役に立たない。
少量でも役に立ったり、楽しめるものがいいだろう。
私は、育てる植物を考えながら戸締りをして、工房を後にした。
*****
翌日。
食堂でエミリーと昼食を取っていると、そこへ通常はやってこないであろう人物が姿を現した。
「シーちゃん、昨日は助かったよ」
のんきな言葉を言いながら近寄ってきたのは、グィネヴィアだ。
挨拶をするように話しかけてきたけど、周囲の状況には気付いているのかな。
あり得ない人物の来訪にざわついている。
この食堂は兵士やメイドが食事を取る場所だ。
身分の高い者は、あまり来ない。
つまり、他国の王族であるグィネヴィアは、普通は来ない場所なのだ。
国家機密が置かれている場所というわけではないから、来るのを禁じられているということはないだろうけど、そもそも普通の王族はこんな場所に来ようとは思わない。
だから、わざわざ行くなとも言われない。
でも、グィネヴィアは普通では無かったようだ。
「私、席を外しますね」
エミリーが気を効かせて席を立とうとするけど、グィネヴィアがそれを止める。
「シーちゃんのお友達でしょ?一緒に食べましょうよ」
「そ、そうですか」
エミリーは若干迷惑そうにしながらも、席に戻る。
他国とはいえ王族に言われて、断ることができなかったのだろう。
でも、王族に失礼なことでもしたら罰せられる可能性もあるから、エミリーにとっては有難迷惑だと思う。
なるべく、私がグィネヴィアの相手をした方がよさそうだ。
「昨日はよく眠れましたか?」
私はグィネヴィアに尋ねる。
アーサー王子と違って共通の話題などないから、挨拶くらいしか話す内容がない。
「シーちゃんのおかげで、ひさしぶりに、ぐっすり眠れたよ」
「それはよかったです。アーサーは集中すると時間を忘れますから、無理に付き合わなくていいですよ」
「でも、楽しかったよ」
私とグィネヴィアが会話をしていると、エミリーが興味深そうに、それを聞いていた。
そして、意を決して、おずおずと会話に参加してくる。
「あの、アーサー王子って、やっぱり凄いんですか?」
そんなことを聞いてきた。
『何が』とは言わなかったけど、私には何のことかわかった。
初対面の相手に聞くようなことではないと思うのだけど、好奇心が抑えられなかったようだ。
私は話題を変えようとするけど、先にグィネヴィアが答えてしまう。
しかも、嬉しそうに。
「うん、そうだよ!情熱的でテクニックも凄くて、最後の方は私も付いていくのが大変だった!」
周囲で『おおっ!』という声が上がった。
どうも、聞き耳を立てられていたようだ。
それはいいのだけど、グィネヴィアの言葉の意味を、絶対に勘違いしていると思う。
工房での開発に『情熱的』で、開発する技術力が『凄く』て、徹夜を続けるから『付いていくのが大変』ということなのだけど、ここにいる人間にはそれは今さらのはずだ。
だけど、驚いた。
それはつまり、言葉の意味を別の方向に解釈しているということだ。
「シーちゃんが来てくれなかったら、身体がもたなかったかも」
また、『おおっ!』という声が上がった。
なんだか、私まで巻き込まれた気がするのだけど、気のせいだろうか。
でも、周囲の人間にどう解釈をしているかを確認したり、解釈が違っていたら訂正したりするのは面倒だ。
私はちらりとグィネヴィアの表情を窺う。
無邪気そうな顔をしているけど、箱入りでもない王女が無邪気なわけがない。
おそらく意図的に周囲に勘違いさせたのだろう。
狙いまでは分からないけど、対象は私かアーサー王子だと思う。
放っておくと、ろくでもないことになりそうだけど、私はこういう駆け引きが苦手だ。
「グィネヴィア様はこの食堂の料理はお口に合いましたか?体力仕事の人間向けに、濃い味付けだと思うのですが」
「おいしいよ。よく鍛冶師の人達と一緒に食事をしていたから、こういう味付けの料理は食べ慣れているの」
私にできるのは、話題を逸らすことくらいだった。
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