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第十章 はだかの女王様
161.はだかの行進
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「アーサー王子、面白い報告が届いておるぞ」
ジャンヌさんに呼ばれて行ってみると、そんなことを言われた。
「シルヴァニア王国が降伏宣言を出したらしい。しかも、プラクティカル王子とエリザベート王女は、バビロン王国に逃げたようじゃ」
それは、兄上からの連絡だった。
「戦争が終わった、ということですよね」
それはよいことだけど、肩透かしを食らったのも確かだ。
結局、シルヴァニア王国の軍とは一度も戦闘を行わなかった。
でも、それは今はどうでもいい。
他に、もっと気になることがある。
「シンデレラは?」
「戻ってきたとは書いてないのう」
「戻ってきていない?」
どういうことだろう。
シンデレラが行った工作で、シルヴァニア王国が降伏宣言を出したのなら、戻ってくるはずだ。
工作の成果は、もう出ている。
なのに、戻ってきていないという。
嫌な予感がする。
まさかとは思うが、戻ってこれないような状況になっているのではないだろうか。
例えば、捕らえられて、逃げるための人質にされているとか。
僕はそう考えたのだが、ジャンヌさんは違うことを考えたようだった。
「迎えに行った方がよさそうじゃのう」
気楽な様子で、そう呟く。
遊びに行ったまま帰ってこない孫を心配するような呑気さだ。
けど、僕はそんな気楽ではいられない。
「迎えに行くと言っても、居場所がわからないですよね」
人海戦術で捜索した方がいいだろうか。
そんなことすら考えてしまう。
しかし、ジャンヌさんが前提を覆すことを口にする。
「居場所なら、本人が言っておったじゃろ?」
そんのことだろう。
そう考えて記憶を辿ると、心当たりに辿り着いた。
「本人って・・・もしかして、『温泉に入りに行く』と言っていた件ですか?まさか、そんな・・・」
「そんな?」
「そんなことあるわけ・・・」
「あるわけ?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・ありますかね?」
「むしろ、なぜ無いと思うのじゃ?」
こちらが尋ねたのに、逆に尋ねられてしまった。
なぜ無いと思ったか。
それは戦争という非常事態だからだ。
では、それを抜いて考えたら、どうだろうか。
シンデレラは行き先を告げた。
その通りに行動するかしないか、重要なのはそこだ。
彼女の過去の行動を振り返ってみる。
・・・・・
彼女はたまに予想外のことをする。
彼女はたまに信じられないことをする。
彼女はたまに常識では考えられないことをする。
けれど、嘘をついたことはあまりないような気がする。
それを前提に考え直してみる。
今回の場合、『温泉には行ったけど、その後で別の場所に行った』ということだろうと考えていた。
だけど、『温泉に行って、その後、別の場所に行かなかった』という可能性もあるわけだ。
ジャンヌさんが言いたいのは、そういうことだと思う。
「迎えに行きましょう」
「温泉か。楽しみじゃのう」
すっかり旅行気分のジャンヌさんとともに、かつて訪れた村にシンデレラを向かうことになった。
*****
シルヴァニア王国が降伏宣言をした以上、大勢の兵士達を連れていく訳にはいかない。
念のため、シンデレラがメイドにしたシルヴァニア王国出身の娘達を護衛に、目的地へ向かう。
この娘達であれば地理的にも詳しいし、もしシンデレラが目的地にいなかったとしても、捜索の助けになると考えての人選だ。
けど、そんな心配は不要だった可能性が高い。
まだ遠くに目的地を視認しただけだが、すでに異変が起きていることが分かった。
間違いない。
あそこで何かがあったのだ。
「あの村って、あんなに大きかったでしょうか?」
「わしの記憶違いでなければ、あんなに大きくなかったのう」
同じ馬車に乗っているジャンヌさんに聞くが、同じ感想だった。
あんなに大きくは無かった。
「ちょっとした街くらいありますよね」
「冬なのに畑を耕している連中がいるのう」
もちろん村を広げたという可能性はある。
けど、その可能性は限りなく低い。
なにせ、つい先日まで戦争中だったのだ。
そんな余裕があるわけがない。
軍事拠点を作っていたというのならまだ分かる。
しかし、目の前に広がるのは農村だ。
村に近づき、畑を耕している連中の横を通り過ぎる。
止められることは無かった。
こちらを見てはくるが、すぐに畑仕事に戻る。
「なるほどのう」
ジャンヌさんが感心したように呟く。
「何か気づいたのですか?」
「いや。なかなか見事な畑じゃと思ってのう」
何か違うことに気付いた様子だったのだけど、それを話すつもりは無いようだ。
なら、それは尋ねないでおく。
まずは、シンデレラのことだ。
「村長に話を聞いた方がいいじゃろう」
「そうですね。あの大きな建物がそうでしょうか?」
「宿屋のように見えるが・・・とりあえず、行ってみるか」
村の中に建っている、ひときわ大きな建物に向かうことにする。
その建物も、前回来たときは見たことがないものだった。
・・・・・
近づいてみると、その建物はできたばかりのように見えた。
それどころか、ところどころ作りかけのところもある。
「冬になる前に建てきれなかった?いや、最近建て始めた?」
なんだろう。
色々と不自然な点がありすぎる。
でも、なぜかどれも警戒する気が起きない不自然さだ。
「入ってみればわかるじゃろ」
ジャンヌさんが促してくる。
「そうですね」
特に反対する理由もなく、その建物の扉を開けて中に入る。
すると、こちらが挨拶をするまでもなく、中から声が響いてきた。
「いらっしゃいませ!」
「・・・・・えーっと」
建物の外見から予想していたように、中の作りも宿屋のようだった。
それはいい。
それはいいのだが、
「ヒルダ・・・だよね?なにやっているの?」
そこにいたのは、シルヴァニア王国の政治を取り仕切っているはずの人物だった。
本意では無かったかも知れないが、アヴァロン王国に宣戦布告をしてきた一人とも言える。
それが何故こんな村にいるのだろう。
というより、宿屋の受付をしているのだろう。
さっぱり、訳がわからない。
「ようこそ、温泉宿へ!」
何かが吹っ切れたような、とてもいい笑顔で、歓迎の挨拶をされた。
以前はもっとクールな表情を保っていたのだけど。
「現地妻か?アーサー王子もやるのう」
「違います!?」
ジャンヌさんが言いがかりをつけてくるので、慌てて否定する。
それで気づいた。
そういえば、ジャンヌさんは、ヒルダに会ったことが無かった。
紹介した方がいいだろうか。
そう考えたところで、先にヒルダが口を開く。
「アーサー王子、おひさしぶりです。今は副女将をしています。女将を呼んできますね」
「え?ちょっと・・・」
ヒルダに会ったのは予想外だったけど、今はシンデレラの方が重要だ。
だから、シンデレラの居場所を知らないか聞きたかったのだが、ヒルダはさっさと奥に行ってしまう。
どうやら、女将という人物を連れて戻ってくるのを待つしかなさそうだ。
しばらく、待つことにする。
それにしても、副女将ってなんだろう。
もしかして、転職したのだろうか。
そんなことを考えていると、さして時間をかけずに、ヒルダが戻ってきた。
隣にいるのが女将なのだろう。
・・・・・女将?
女将というか、
「あら、アーサーと師匠じゃない。どうしたの?温泉に入りにきたの?」
シンデレラだった。
心配して、捜しに来て、迎えに来た、その当人だった。
「どう!私の温泉宿は!温泉はもちろん、料理も自慢なのよ!」
どうだ!とでも言わんばかりに、シンデレラが言い放った。
ジャンヌさんに呼ばれて行ってみると、そんなことを言われた。
「シルヴァニア王国が降伏宣言を出したらしい。しかも、プラクティカル王子とエリザベート王女は、バビロン王国に逃げたようじゃ」
それは、兄上からの連絡だった。
「戦争が終わった、ということですよね」
それはよいことだけど、肩透かしを食らったのも確かだ。
結局、シルヴァニア王国の軍とは一度も戦闘を行わなかった。
でも、それは今はどうでもいい。
他に、もっと気になることがある。
「シンデレラは?」
「戻ってきたとは書いてないのう」
「戻ってきていない?」
どういうことだろう。
シンデレラが行った工作で、シルヴァニア王国が降伏宣言を出したのなら、戻ってくるはずだ。
工作の成果は、もう出ている。
なのに、戻ってきていないという。
嫌な予感がする。
まさかとは思うが、戻ってこれないような状況になっているのではないだろうか。
例えば、捕らえられて、逃げるための人質にされているとか。
僕はそう考えたのだが、ジャンヌさんは違うことを考えたようだった。
「迎えに行った方がよさそうじゃのう」
気楽な様子で、そう呟く。
遊びに行ったまま帰ってこない孫を心配するような呑気さだ。
けど、僕はそんな気楽ではいられない。
「迎えに行くと言っても、居場所がわからないですよね」
人海戦術で捜索した方がいいだろうか。
そんなことすら考えてしまう。
しかし、ジャンヌさんが前提を覆すことを口にする。
「居場所なら、本人が言っておったじゃろ?」
そんのことだろう。
そう考えて記憶を辿ると、心当たりに辿り着いた。
「本人って・・・もしかして、『温泉に入りに行く』と言っていた件ですか?まさか、そんな・・・」
「そんな?」
「そんなことあるわけ・・・」
「あるわけ?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・ありますかね?」
「むしろ、なぜ無いと思うのじゃ?」
こちらが尋ねたのに、逆に尋ねられてしまった。
なぜ無いと思ったか。
それは戦争という非常事態だからだ。
では、それを抜いて考えたら、どうだろうか。
シンデレラは行き先を告げた。
その通りに行動するかしないか、重要なのはそこだ。
彼女の過去の行動を振り返ってみる。
・・・・・
彼女はたまに予想外のことをする。
彼女はたまに信じられないことをする。
彼女はたまに常識では考えられないことをする。
けれど、嘘をついたことはあまりないような気がする。
それを前提に考え直してみる。
今回の場合、『温泉には行ったけど、その後で別の場所に行った』ということだろうと考えていた。
だけど、『温泉に行って、その後、別の場所に行かなかった』という可能性もあるわけだ。
ジャンヌさんが言いたいのは、そういうことだと思う。
「迎えに行きましょう」
「温泉か。楽しみじゃのう」
すっかり旅行気分のジャンヌさんとともに、かつて訪れた村にシンデレラを向かうことになった。
*****
シルヴァニア王国が降伏宣言をした以上、大勢の兵士達を連れていく訳にはいかない。
念のため、シンデレラがメイドにしたシルヴァニア王国出身の娘達を護衛に、目的地へ向かう。
この娘達であれば地理的にも詳しいし、もしシンデレラが目的地にいなかったとしても、捜索の助けになると考えての人選だ。
けど、そんな心配は不要だった可能性が高い。
まだ遠くに目的地を視認しただけだが、すでに異変が起きていることが分かった。
間違いない。
あそこで何かがあったのだ。
「あの村って、あんなに大きかったでしょうか?」
「わしの記憶違いでなければ、あんなに大きくなかったのう」
同じ馬車に乗っているジャンヌさんに聞くが、同じ感想だった。
あんなに大きくは無かった。
「ちょっとした街くらいありますよね」
「冬なのに畑を耕している連中がいるのう」
もちろん村を広げたという可能性はある。
けど、その可能性は限りなく低い。
なにせ、つい先日まで戦争中だったのだ。
そんな余裕があるわけがない。
軍事拠点を作っていたというのならまだ分かる。
しかし、目の前に広がるのは農村だ。
村に近づき、畑を耕している連中の横を通り過ぎる。
止められることは無かった。
こちらを見てはくるが、すぐに畑仕事に戻る。
「なるほどのう」
ジャンヌさんが感心したように呟く。
「何か気づいたのですか?」
「いや。なかなか見事な畑じゃと思ってのう」
何か違うことに気付いた様子だったのだけど、それを話すつもりは無いようだ。
なら、それは尋ねないでおく。
まずは、シンデレラのことだ。
「村長に話を聞いた方がいいじゃろう」
「そうですね。あの大きな建物がそうでしょうか?」
「宿屋のように見えるが・・・とりあえず、行ってみるか」
村の中に建っている、ひときわ大きな建物に向かうことにする。
その建物も、前回来たときは見たことがないものだった。
・・・・・
近づいてみると、その建物はできたばかりのように見えた。
それどころか、ところどころ作りかけのところもある。
「冬になる前に建てきれなかった?いや、最近建て始めた?」
なんだろう。
色々と不自然な点がありすぎる。
でも、なぜかどれも警戒する気が起きない不自然さだ。
「入ってみればわかるじゃろ」
ジャンヌさんが促してくる。
「そうですね」
特に反対する理由もなく、その建物の扉を開けて中に入る。
すると、こちらが挨拶をするまでもなく、中から声が響いてきた。
「いらっしゃいませ!」
「・・・・・えーっと」
建物の外見から予想していたように、中の作りも宿屋のようだった。
それはいい。
それはいいのだが、
「ヒルダ・・・だよね?なにやっているの?」
そこにいたのは、シルヴァニア王国の政治を取り仕切っているはずの人物だった。
本意では無かったかも知れないが、アヴァロン王国に宣戦布告をしてきた一人とも言える。
それが何故こんな村にいるのだろう。
というより、宿屋の受付をしているのだろう。
さっぱり、訳がわからない。
「ようこそ、温泉宿へ!」
何かが吹っ切れたような、とてもいい笑顔で、歓迎の挨拶をされた。
以前はもっとクールな表情を保っていたのだけど。
「現地妻か?アーサー王子もやるのう」
「違います!?」
ジャンヌさんが言いがかりをつけてくるので、慌てて否定する。
それで気づいた。
そういえば、ジャンヌさんは、ヒルダに会ったことが無かった。
紹介した方がいいだろうか。
そう考えたところで、先にヒルダが口を開く。
「アーサー王子、おひさしぶりです。今は副女将をしています。女将を呼んできますね」
「え?ちょっと・・・」
ヒルダに会ったのは予想外だったけど、今はシンデレラの方が重要だ。
だから、シンデレラの居場所を知らないか聞きたかったのだが、ヒルダはさっさと奥に行ってしまう。
どうやら、女将という人物を連れて戻ってくるのを待つしかなさそうだ。
しばらく、待つことにする。
それにしても、副女将ってなんだろう。
もしかして、転職したのだろうか。
そんなことを考えていると、さして時間をかけずに、ヒルダが戻ってきた。
隣にいるのが女将なのだろう。
・・・・・女将?
女将というか、
「あら、アーサーと師匠じゃない。どうしたの?温泉に入りにきたの?」
シンデレラだった。
心配して、捜しに来て、迎えに来た、その当人だった。
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