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第十章 はだかの女王様
157.纏うもの
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私は頭を悩ませていた。
「うーん、温泉煎餅はいまいちかぁ」
試作品を作って食べてみたが、味がいまいちだった。
けっして、不味くは無い。
不味くはないのだが、
『どのあたりが温泉っぽい?』
と聞かれると、答えることができない。
そういう味だった。
それなら、温泉とは関係なく、味付けを工夫した方が売れると思う。
「あの、聖女様・・・」
そもそも、温泉は飲んで美味しいものじゃない。
味がないわけではない。
ただの水と飲み比べれば、味があることは分かる。
けど、それが『何の味か?』『美味しいか?』と聞かれると、答えられない。
これは、食材として直接使うのは無理だな。
温泉としての特徴を利用した方がいいな。
「聖女様・・・あの・・・」
熱を利用して冬に育てた野菜も名物になるだろうけど、温泉としての名物になるかと言うと、微妙な気がする。
夏になれば、別の土地でも同じものを食べることができるからだ。
季節という優位性だけでは少し弱い。
もう一押し欲しいな。
「冬に新鮮な野菜を、蒸し料理で提供するというのは、どうかしら?」
「聖女様、聞いてくださいよ!」
ヒルダがお湯の中から立ち上がろうとして、思いとどまる。
逆に、身体を隠すように、お湯の中に深く浸かっていく。
「なによ、ヒルダ。突然、大きな声を出して」
「ずっと、話しかけてましたよ」
恨みがましい視線を向けてくる。
そうだったろうか。
「ごめんなさいね。考え事をしていたから、聞き逃したみたい」
温泉の名物を作るというアイデアに行き詰っていたから、気分転換に温泉に入りに来たのだ。
ヒルダも一緒についてきたんだけど、どうも考え事に熱中してしまったようだ。
話を聞き逃したのは悪かったとは思う。
けど、大声を出さなくてもいいだろうに。
「・・・そうですか。いえ、そんなことはいいんです」
いいんだ。
まあ、話を聞いていなかったことを、気にしていないなら、よかったけど。
でも、どうやら、ヒルダが言いたいことは、そういうことじゃないみたいだ。
「それよりも、聖女様は気にならないんですか?」
「なにが?」
ヒルダも温泉に入るのは初めてでもないだろうに、今さら何が気になると言うのだろう。
私が首を捻っていると、ヒルダが焦れたように説明してくる。
「男性の視線が気にならないのかって言っているんです!なんで、ここ、混浴なんですか!最初からそうだと思っていたら、聖女様が仕切りを作らせなかったらしいじゃないですか!」
ああ、そのことか。
以前、王子達を引き連れてきて、温泉を拡張させたときの話だ。
「だって、男湯と女湯に仕切ったら、視界が狭くなるじゃない。景色を楽しめないでしょう」
「・・・もう、混浴を名物にしたらいいんじゃないですか?異性の裸を見放題なら、悦ぶ人間もいるでしょうよ」
なんだか、投げやりに、ヒルダが言ってくる。
でも、せっかくヒルダが出してくれたアイデアだ。
真面目に考えてみる。
「混浴か・・・名物になるかな?」
「まともに受け取らないでください!皮肉ですよ!」
なんだ、そうなのか。
せっかく、ヒルダも積極的にアイデアを出すようになったかと思って、ちょっと見直したのに。
「仕方ないなぁ。男湯と女湯に分ける?湯船をもっと広げれば、視界も確保できるだろうし」
「最初から、そうしてください!」
ヒルダはそう言うけど、前回は無理だった。
単純に人手が足りなかったのだ。
けど、今は大量の人手ある。
シルヴァニア王国の兵士達だ。
現在、兵士達は温泉の周辺を開拓して、畑を作っている。
地面から温泉が湧いてくるところは、それを利用して、湧いてこないところは、近くから温泉を引いてきて、冬でも作物を育てることができる畑を作っているのだ。
その人手を借りれば、湯船を広げることもできるだろう。
「でも、いいのかな?残念そうにしている人もいるみたいだけど」
私はそう言って、ヒルダの視線を促す。
その先には、仕事疲れを癒やすために温泉に浸かっている男性がいる。
周囲の景色を見ているようで、こちらに視線は向いていない。
けど、横顔を見ると、なんだか残念そうな表情だ。
先ほどまでは、そんな表情はしていなかったから、今の話を聞いた感想が顔に表れているのだろう。
「かまいませんっ!すぐに、分けてください!!!」
ヒルダが叫ぶ。
それが聞こえたのだろう。
男性の顔が絶望に染まったように見えた。
「この村には王都と違って娼館もないんだし、オカズくらい提供してあげたらいいのに」
「オカズってなんのですかっ!?」
「それは・・・」
「言わなくていいですっ!?」
自分で聞いておいて言わなくていいとか、理不尽だ。
まあ、私も積極的に提供したいわけではないから、いいんだけど。
私に露出して悦ぶような性癖はない。
「・・・聖女様って、男性の性欲に理解があるのか、羞恥心がないのか、どちらなんですか?」
「貴族の娘なら、そのくらいの教育は受けているでしょう。血を残すことが役目みたいなものなんだから」
「・・・聞いたことがありません」
あれ、そうなのだろうか。
私も幼い頃に教育を受けただけだから、自信はない。
その後は、使用人扱いで過ごしていたから、知識に偏りがあってもおかしくはない。
ドリゼラが母親に男をその気にさせる教えを受けていたみたいだから、てっきりそうだと思い込んでいた。
「でも、無防備すぎて、襲われないように気をつけてくださいよ」
ヒルダがこちらを心配する言葉をかけてくれる。
けど、そのくらいは、私にも分かっている。
「大丈夫。聖女に不埒なことをしようとすると呪いがかかるのよ。以前、ファイファー様が呪われていたんだけど、知らない?」
「・・・噂で聞いたことがあります。男性機能が役に立たなくなったとか・・・」
「ヒルダも呪いをかけたい人間がいたら言ってね。格安で売ってあげるから」
「それもう、呪いじゃなくて、人為的なものですよね。でも、そのときになったら、頼らせていただきます」
そんな感じで試行錯誤しながら、温泉を観光地にする計画は進んでいった。
*****
「エリザベート、ようやく教皇に同意させることができたよ」
プラクティカルが状況を報告してくる。
私は椅子に座ったまま、それを聞く。
「ずいぶんと渋っていたようだけど、聖女に対する信者達の評判も最悪だから、同意せざるを得なかったようだ」
その様子を思い出したのか、プラクティカルが愉快そうな顔をする。
よほど、聖女と聖女に協力するものが嫌いなのだろう。
「それはよかったです。順調ですね」
計画を次の段階へ進めるためには、議決権を持つ者の同意を得る必要がある。
教皇とヒルダに同意をさせることが難関だったのだが、その一つが解決したことになる。
「しかし、わざわざ聖女の定めた法律に従って手続きをする必要があるのか?そんなものは無視すればいいだろう?」
プラクティカルが短絡的な意見を言う。
いや、短絡的というよりは、聖女の定めたことに従うことを屈辱と考えているのかも知れない。
だが、どちらにしろ、その意見を取り入れる訳にはいかない。
「悪法も法ですもの。今はそれに従いましょう」
「だが・・・」
「法を破って計画を進めれば、そこにつけ込まれる可能性があります。きちんと法に従って進めましょう。そうすれば、私達は正当性を主張できて、他の人間は反論することができません」
「正当性か。そうだな」
私の説明に納得の反応を示し、私のお腹にそっと触れてくる。
私のお腹は、もうかなり大きくなっている。
「法的にも正当で、血統的にも正統。私と君の子供は、完璧な女王になるというわけか」
「その通りです」
もうすぐ産まれてくる子供を王位に就ける。
それが私とプラクティカルの計画だ。
もちろん、議決権の一部しか持たないお飾りの女王ではない。
国の全てを決める権利を持つ、本来の姿とするのだ。
法を改正することにより、それを実現することができる。
もともと、伝統を重んじる貴族の中には、王制の廃止を快く思っていない者もいる。
それらの貴族は、国の重職にこそついてはいないが、その影響は大きい。
上手く誘導すれば、反対する人間を抑えることは容易だろう。
「あとは、ヒルダが同意すれば完了なのだが・・・まだ、戻ってきていないのか?」
「ええ」
ヒルダに聖女を捕らえるように命じたのは、失敗だったかも知れない。
彼女は私の指示に従って、聖女が目撃された国境付近の戦場に向かったまま、戻ってきていない。
いっそ死んでくれれば簡単なのだが、定期報告が来るから、生きてはいるのだろう。
アヴァロン王国に援軍が来たことにより両軍の緊張状態が高まり、下手に動くことができないという報告がきていた。
ヒルダに軍の指揮ができるとは思えないが、軍の人間が先走るのを抑える役目をしているようなので、強引に連れ戻すこともできない。
「必要なのは、ヒルダ自身ではなく、ヒルダの持つ議決権だけだ。書面で同意させるか」
「・・・・・そうですね」
ヒルダは私に良い感情を抱いていないようだけど、感情を切り離して政治的な判断はできるようだ。
今の国の状況を考えれば、同意せざるを得ないだろう。
聖女に全ての責任を負わせて、新しい王が国を導く。
そうしなけば、暴動を抑えて、国民に言うことを聞かせることは難しいからだ。
だが、懸念もある。
王都から離れていることを利用して、同意するのを遅らせる可能性だ。
その間に食糧難や暴動が解決してしまえば、計画に支障をきたす可能性が出てくる。
自然にそうなる可能性は低いとは思うが、急ぐに越したことはないだろう。
「わかりました。プラクティカル様のおっしゃる通りにしましょう」
ヒルダが同意を遅らせようとするなら、それを理由にヒルダにも悪評を被ってもらうという方法もある。
私はプラクティカルの意見を取り入れることにした。
「うーん、温泉煎餅はいまいちかぁ」
試作品を作って食べてみたが、味がいまいちだった。
けっして、不味くは無い。
不味くはないのだが、
『どのあたりが温泉っぽい?』
と聞かれると、答えることができない。
そういう味だった。
それなら、温泉とは関係なく、味付けを工夫した方が売れると思う。
「あの、聖女様・・・」
そもそも、温泉は飲んで美味しいものじゃない。
味がないわけではない。
ただの水と飲み比べれば、味があることは分かる。
けど、それが『何の味か?』『美味しいか?』と聞かれると、答えられない。
これは、食材として直接使うのは無理だな。
温泉としての特徴を利用した方がいいな。
「聖女様・・・あの・・・」
熱を利用して冬に育てた野菜も名物になるだろうけど、温泉としての名物になるかと言うと、微妙な気がする。
夏になれば、別の土地でも同じものを食べることができるからだ。
季節という優位性だけでは少し弱い。
もう一押し欲しいな。
「冬に新鮮な野菜を、蒸し料理で提供するというのは、どうかしら?」
「聖女様、聞いてくださいよ!」
ヒルダがお湯の中から立ち上がろうとして、思いとどまる。
逆に、身体を隠すように、お湯の中に深く浸かっていく。
「なによ、ヒルダ。突然、大きな声を出して」
「ずっと、話しかけてましたよ」
恨みがましい視線を向けてくる。
そうだったろうか。
「ごめんなさいね。考え事をしていたから、聞き逃したみたい」
温泉の名物を作るというアイデアに行き詰っていたから、気分転換に温泉に入りに来たのだ。
ヒルダも一緒についてきたんだけど、どうも考え事に熱中してしまったようだ。
話を聞き逃したのは悪かったとは思う。
けど、大声を出さなくてもいいだろうに。
「・・・そうですか。いえ、そんなことはいいんです」
いいんだ。
まあ、話を聞いていなかったことを、気にしていないなら、よかったけど。
でも、どうやら、ヒルダが言いたいことは、そういうことじゃないみたいだ。
「それよりも、聖女様は気にならないんですか?」
「なにが?」
ヒルダも温泉に入るのは初めてでもないだろうに、今さら何が気になると言うのだろう。
私が首を捻っていると、ヒルダが焦れたように説明してくる。
「男性の視線が気にならないのかって言っているんです!なんで、ここ、混浴なんですか!最初からそうだと思っていたら、聖女様が仕切りを作らせなかったらしいじゃないですか!」
ああ、そのことか。
以前、王子達を引き連れてきて、温泉を拡張させたときの話だ。
「だって、男湯と女湯に仕切ったら、視界が狭くなるじゃない。景色を楽しめないでしょう」
「・・・もう、混浴を名物にしたらいいんじゃないですか?異性の裸を見放題なら、悦ぶ人間もいるでしょうよ」
なんだか、投げやりに、ヒルダが言ってくる。
でも、せっかくヒルダが出してくれたアイデアだ。
真面目に考えてみる。
「混浴か・・・名物になるかな?」
「まともに受け取らないでください!皮肉ですよ!」
なんだ、そうなのか。
せっかく、ヒルダも積極的にアイデアを出すようになったかと思って、ちょっと見直したのに。
「仕方ないなぁ。男湯と女湯に分ける?湯船をもっと広げれば、視界も確保できるだろうし」
「最初から、そうしてください!」
ヒルダはそう言うけど、前回は無理だった。
単純に人手が足りなかったのだ。
けど、今は大量の人手ある。
シルヴァニア王国の兵士達だ。
現在、兵士達は温泉の周辺を開拓して、畑を作っている。
地面から温泉が湧いてくるところは、それを利用して、湧いてこないところは、近くから温泉を引いてきて、冬でも作物を育てることができる畑を作っているのだ。
その人手を借りれば、湯船を広げることもできるだろう。
「でも、いいのかな?残念そうにしている人もいるみたいだけど」
私はそう言って、ヒルダの視線を促す。
その先には、仕事疲れを癒やすために温泉に浸かっている男性がいる。
周囲の景色を見ているようで、こちらに視線は向いていない。
けど、横顔を見ると、なんだか残念そうな表情だ。
先ほどまでは、そんな表情はしていなかったから、今の話を聞いた感想が顔に表れているのだろう。
「かまいませんっ!すぐに、分けてください!!!」
ヒルダが叫ぶ。
それが聞こえたのだろう。
男性の顔が絶望に染まったように見えた。
「この村には王都と違って娼館もないんだし、オカズくらい提供してあげたらいいのに」
「オカズってなんのですかっ!?」
「それは・・・」
「言わなくていいですっ!?」
自分で聞いておいて言わなくていいとか、理不尽だ。
まあ、私も積極的に提供したいわけではないから、いいんだけど。
私に露出して悦ぶような性癖はない。
「・・・聖女様って、男性の性欲に理解があるのか、羞恥心がないのか、どちらなんですか?」
「貴族の娘なら、そのくらいの教育は受けているでしょう。血を残すことが役目みたいなものなんだから」
「・・・聞いたことがありません」
あれ、そうなのだろうか。
私も幼い頃に教育を受けただけだから、自信はない。
その後は、使用人扱いで過ごしていたから、知識に偏りがあってもおかしくはない。
ドリゼラが母親に男をその気にさせる教えを受けていたみたいだから、てっきりそうだと思い込んでいた。
「でも、無防備すぎて、襲われないように気をつけてくださいよ」
ヒルダがこちらを心配する言葉をかけてくれる。
けど、そのくらいは、私にも分かっている。
「大丈夫。聖女に不埒なことをしようとすると呪いがかかるのよ。以前、ファイファー様が呪われていたんだけど、知らない?」
「・・・噂で聞いたことがあります。男性機能が役に立たなくなったとか・・・」
「ヒルダも呪いをかけたい人間がいたら言ってね。格安で売ってあげるから」
「それもう、呪いじゃなくて、人為的なものですよね。でも、そのときになったら、頼らせていただきます」
そんな感じで試行錯誤しながら、温泉を観光地にする計画は進んでいった。
*****
「エリザベート、ようやく教皇に同意させることができたよ」
プラクティカルが状況を報告してくる。
私は椅子に座ったまま、それを聞く。
「ずいぶんと渋っていたようだけど、聖女に対する信者達の評判も最悪だから、同意せざるを得なかったようだ」
その様子を思い出したのか、プラクティカルが愉快そうな顔をする。
よほど、聖女と聖女に協力するものが嫌いなのだろう。
「それはよかったです。順調ですね」
計画を次の段階へ進めるためには、議決権を持つ者の同意を得る必要がある。
教皇とヒルダに同意をさせることが難関だったのだが、その一つが解決したことになる。
「しかし、わざわざ聖女の定めた法律に従って手続きをする必要があるのか?そんなものは無視すればいいだろう?」
プラクティカルが短絡的な意見を言う。
いや、短絡的というよりは、聖女の定めたことに従うことを屈辱と考えているのかも知れない。
だが、どちらにしろ、その意見を取り入れる訳にはいかない。
「悪法も法ですもの。今はそれに従いましょう」
「だが・・・」
「法を破って計画を進めれば、そこにつけ込まれる可能性があります。きちんと法に従って進めましょう。そうすれば、私達は正当性を主張できて、他の人間は反論することができません」
「正当性か。そうだな」
私の説明に納得の反応を示し、私のお腹にそっと触れてくる。
私のお腹は、もうかなり大きくなっている。
「法的にも正当で、血統的にも正統。私と君の子供は、完璧な女王になるというわけか」
「その通りです」
もうすぐ産まれてくる子供を王位に就ける。
それが私とプラクティカルの計画だ。
もちろん、議決権の一部しか持たないお飾りの女王ではない。
国の全てを決める権利を持つ、本来の姿とするのだ。
法を改正することにより、それを実現することができる。
もともと、伝統を重んじる貴族の中には、王制の廃止を快く思っていない者もいる。
それらの貴族は、国の重職にこそついてはいないが、その影響は大きい。
上手く誘導すれば、反対する人間を抑えることは容易だろう。
「あとは、ヒルダが同意すれば完了なのだが・・・まだ、戻ってきていないのか?」
「ええ」
ヒルダに聖女を捕らえるように命じたのは、失敗だったかも知れない。
彼女は私の指示に従って、聖女が目撃された国境付近の戦場に向かったまま、戻ってきていない。
いっそ死んでくれれば簡単なのだが、定期報告が来るから、生きてはいるのだろう。
アヴァロン王国に援軍が来たことにより両軍の緊張状態が高まり、下手に動くことができないという報告がきていた。
ヒルダに軍の指揮ができるとは思えないが、軍の人間が先走るのを抑える役目をしているようなので、強引に連れ戻すこともできない。
「必要なのは、ヒルダ自身ではなく、ヒルダの持つ議決権だけだ。書面で同意させるか」
「・・・・・そうですね」
ヒルダは私に良い感情を抱いていないようだけど、感情を切り離して政治的な判断はできるようだ。
今の国の状況を考えれば、同意せざるを得ないだろう。
聖女に全ての責任を負わせて、新しい王が国を導く。
そうしなけば、暴動を抑えて、国民に言うことを聞かせることは難しいからだ。
だが、懸念もある。
王都から離れていることを利用して、同意するのを遅らせる可能性だ。
その間に食糧難や暴動が解決してしまえば、計画に支障をきたす可能性が出てくる。
自然にそうなる可能性は低いとは思うが、急ぐに越したことはないだろう。
「わかりました。プラクティカル様のおっしゃる通りにしましょう」
ヒルダが同意を遅らせようとするなら、それを理由にヒルダにも悪評を被ってもらうという方法もある。
私はプラクティカルの意見を取り入れることにした。
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