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第二章 白雪
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「はぁ」
ドレスを脱ぎ、過ごしやすい服装に着替えると、私は溜めていた息を吐き出す。
「王への謁見はどうでしたかな」
部屋で待っていたメフィが尋ねてくる。
「とりあえず、城へ滞在する許可はくれたわ」
あの後、謁見の間が微妙な空気になったような気がしたが、すぐに何事も無かったかのように会話が再開され、私は城への滞在を許された。
思い返してみると、なぜか王様は話を早く終わらせようとしていたようにも思える。
やはり、なにか失言してしまったのだろうか。
「王子との婚約の話はどうなりました」
「そちらは話題にも出なかったわ。私を近くで観察して様子見ってとこじゃない?いきなり婚約者候補なんて認めると、色々と大事になるだろうし」
ストーカー王子が一年も私を捜していたせいで、とっくに噂にはなっているだろうけど、建前は重要だ。
公式の場で発言していなければ、大抵のことはどうとでもなる。
まあ、婚約者云々の話は今はどうでもいい。
そっちよりも、失言の内容が気になる。
後からマズいことにならないと良いけど。
「そうですか。ところで、なにやら心配事があるような顔をしていますが、なにかあったのですかな?」
メフィが私の表情を目ざとく見抜いて、質問してくる。
隙を見せたらいけない相手に、自分の失敗談を話すような気分だったが、私は師匠の若い頃の二つ名を口に出してしまったときのことを話す。
「ほう」
すると、何故かメフィは感心したような様子を見せる。
「やっぱり恥ずかしい厨二病を祖母に持つ娘って思われたかな?」
「いえ、そんなことはないでしょう」
「そう?年齢が上の人達が妙な顔をしたから気になって」
「まあ、英雄であり、魔女であり、既にこの世にいないはずの聖人である人物の弟子などと名乗れば、そうなるでしょうな」
「・・・・・英雄が・・・なんだって?」
なにか、おかしな言葉を聞いた気がする。
「良い手だと思いますよ。あなたは王の前で自分が只者ではないと宣言したようなものですからな。身分の違いを理由に追い出されることはないでしょう。只者でない大馬鹿だと判断されれば、生きて城を出ることはできないでしょうが」
「・・・・・」
「いや、感心しました。あなたに、そんな度胸があったとは」
「・・・・・まあね」
メフィの称賛を受けても、全く嬉しくなかった。
*****
「どうでしたか父上?」
シンデレラの謁見が終わった後、僕は父に尋ねた。
謁見は無事に終わったように見えたが、予定より早く終わったことが、少し気になっていた。
父も彼女を連れてくるように言っていたのだから、今さら追い出すようなことはしないだろうが。
「あれが、お前が一年もかけて追いかけた娘か」
父は何事かを考えているようだった。
「あの娘は、お前の手に負えるのか?」
「え?」
父の口から出てきたのは予想外の言葉だった。
何らかの理由で婚約者候補にふさわしくないと言われる可能性は考えていたが、手に負えるのかと言われる可能性は考えていなかった。
「それは、どういう意味でしょうか?」
分からなかったので素直に尋ねる。
すると父は、頭痛を堪えるように首を振ってから口を開く。
「あの場であのような名乗りを上げるとは・・・目論見があってのことなのか、考え無しなだけなのか、正直判断できん」
「シンデレラの発言に何か問題がありましたか?」
思い当たることが無い。
いや、シンデレラの最後の台詞。
あのとき、僅かに反応を見せた人間がいたような気がする。
だけど、その理由は分からない。
「まあ、よい。気にするな。それに度胸は認める。謁見の際の態度も堂々としたものだった」
「緊張して失敗しないか心配していましたが、杞憂でした。でも、よく考えたら、当然かも知れません。シンデレラは僕に対しても兄に対しても、自然体で接してくれますから」
「貴族の娘が王族を敬う態度を見せないのは、それはそれで問題があるのだがな」
「はは・・・最初に会ったときは、僕を王子と知らなかったようですから、そのためでしょう」
僕の疑問に対する答えは返してくれなかったが、どうやら父が彼女を追い出すつもりがないと分かって、ほっとする。
「あの娘のことは、お前に任せよう。手に負えなくなったら、言え」
それだけ言うと、父は今度は兄の方へ向かい。
今、この部屋には父と兄と僕、そしてもう一人がいる。
この部屋は、最後の一人に与えられた部屋だった。
「それで、こっちが問題の娘か」
「ああ、俺の命の恩人だ」
兄がベッドに横たわる女性を見ながら、父に答える。
「妃にしたいと思っている」
兄は単刀直入に父に申し出た。
女性はシンデレラの義理の姉だ。
城に戻ってきて、すぐに医者に見せたが、未だに目を覚ましていない。
あのメフィという子供の言う通りだった。
「眠ったままの娘を妃になどできないだろう。それに隣国の姫との婚約はどうするつもりだ?そちらを差し置いて、その娘を妃にすることなど、認められんぞ」
「起こす方法には伝手がある。それに隣国の姫のことは、報告を受けているんだろ?」
兄を襲ったのが、隣国の姫の手の者である可能性は、すでに王である父にも報告が行っているはずだ。
けど、明確な証拠がない以上、抗議をすることも、それを理由に婚約の話を無しにすることもできない。
このままだと、兄は自分を殺そうとしている相手を妃にしなければならない可能性がある。
「報告は受けているが、今の状況ではどうにもできん。護衛は増やすし、城の警備は厳重にするが、婚約の話は進めるしかない」
厳しいことを言いながらも、兄のことを心配する父に対し、兄は首を横に振る。
「護衛も警備も今のままでいい。婚約の話も進めてくれ。その方が都合がいい」
やはり、兄は自分を囮に使うつもりだ。
兄の真剣は顔を見て、父はベッドに眠る女性に視線を向ける。
「それほど、その娘が大切か?弟の婚約者候補に辛く当たっていた相手なのだろう?」
「父上、シンデレラはそれほど気にしていないようで・・・」
「お前は黙っていろ」
兄とその想い人を擁護しようと思ったのだが、口を塞がれてしまう。
僕もシンデレラに辛く当たっていた相手に思うところがないわけではない。
しかし、あの屋敷に何度か行って気づいたのだが、この女性はそれほどシンデレラに酷いことをしていたわけではないようだった。
シンデレラを助けなかったことを責めたい気持ちはあるが、トレメイン夫人やこの女性の妹に比べれば、その気持ちはそれほど大きいものではない。
シンデレラを捜すことにも協力的だったし、母親に逆らいづらかったであろうことを考慮すれば、僕個人としては許してもいいと思っている。
冷遇されていた本人であるシンデレラが許さないのであれば、その限りではないが、少なくともシンデレラに仕返しを考えているような様子はない。
「この女が目を覚ますまで、他の女を抱こうとは思えない程度には大切だな」
父の言葉に、兄はそんな言葉を返した。
どの程度、大切に思っているのか、分かりづらい。
この女性を最優先に考えているようにも思える台詞だが、他の女性を抱かないと言っているわけではない。
そもそも、妃でもない複数の女性を抱くこと自体が間違っているが、女癖が悪い兄上が他の女性を抱かないということ自体が大事のようにも思える。
どちらとも取れる、微妙な答えだ。
しかし、父には分かったらしい。
「よかろう。隣国の姫のことは、お前に任せる。そちらを対処した上でなら、その娘を妃とすることも認めよう」
「わかった。どちらにしろ、この女を起こすには、隣国の姫をどうにかする必要があるからな」
メフィが語った、解毒薬か毒そのものを手に入れろという話だろう。
自分を囮にしようとする危険な方法は止めたいが、僕の言葉では兄は止まらないだろう。
なら、できるだけ兄を護るために協力するしかない。
僕はそう心に決めた。
ただし、優先順位はシンデレラの次だ。
*****
「城の中を見て回ろうかな」
やらかしたことは、今さらどうしようもない。
一度口から出てしまった言葉は戻すことはできない。
それよりは、今後のことを考えよう。
「メフィも付いて来て」
「構いませんが、城の中を無断で歩き回ってよいのですかな?」
「滞在の許可はもらっているし、入っちゃダメなところは、止められるでしょ」
それに、別に気晴らしに見て回ろうというわけではない。
もちろん、その意味もあるのだけど、目的はちゃんとある。
城の構造を把握するためだ。
近々の予定としては、チャラ王子の襲撃者を捕まえるというイベントがありそうだ。
そのためには、襲撃者を迎え撃つであろう場所の情報を入手しておく必要がある。
そんなわけで、私は部屋を出ようとする。
「お出かけですか?」
「・・・えっと」
そこにいたのは、城へ来たときに私にドレスを着せてきたメイドだった。
私より1~2歳くらい年上だろうか。
地味な美人といった顔立ちの女性だ。
「お出かけするのでしたら、お供します」
「えーっと・・・悪いからいいわよ?」
「そういうわけには、まいりません。王子から身の回りのお世話をするように言われております。メアリーとお呼びください」
ストーカー王子め、余計なことを。
私が不便な思いをしないようにとの心遣いなんだろうけど、はっきり言って邪魔だ。
もしかしたら、監視の役目も兼ねているのかも知れない。
「その前に、その服装は城の中を歩くのには適していませんね」
ぐいぐいと私を部屋の中へと押し戻してくる。
意外と力が強い。
「え?ちょっと?」
「お着替えをお手伝いします」
「いえ、これでいいけど」
「よくありません。私が怒られてしまいます」
そんなに変な服かな。
動きやすいんだけど。
「どう思う、メフィ。そんなに変かな、この服?」
私はメフィに尋ねる。
そうではないという答えを期待してのことだ。
「そうですな」
すると、メフィは私の頭から足までを眺めて一言。
「城の中を歩くには向きませんな。森で狩りをするなら、よいでしょうが」
返ってきたのは、裏切りの言葉だった。
賛同者を得たメイド・・・メアリーのどや顔に腹が立った。
ドレスを脱ぎ、過ごしやすい服装に着替えると、私は溜めていた息を吐き出す。
「王への謁見はどうでしたかな」
部屋で待っていたメフィが尋ねてくる。
「とりあえず、城へ滞在する許可はくれたわ」
あの後、謁見の間が微妙な空気になったような気がしたが、すぐに何事も無かったかのように会話が再開され、私は城への滞在を許された。
思い返してみると、なぜか王様は話を早く終わらせようとしていたようにも思える。
やはり、なにか失言してしまったのだろうか。
「王子との婚約の話はどうなりました」
「そちらは話題にも出なかったわ。私を近くで観察して様子見ってとこじゃない?いきなり婚約者候補なんて認めると、色々と大事になるだろうし」
ストーカー王子が一年も私を捜していたせいで、とっくに噂にはなっているだろうけど、建前は重要だ。
公式の場で発言していなければ、大抵のことはどうとでもなる。
まあ、婚約者云々の話は今はどうでもいい。
そっちよりも、失言の内容が気になる。
後からマズいことにならないと良いけど。
「そうですか。ところで、なにやら心配事があるような顔をしていますが、なにかあったのですかな?」
メフィが私の表情を目ざとく見抜いて、質問してくる。
隙を見せたらいけない相手に、自分の失敗談を話すような気分だったが、私は師匠の若い頃の二つ名を口に出してしまったときのことを話す。
「ほう」
すると、何故かメフィは感心したような様子を見せる。
「やっぱり恥ずかしい厨二病を祖母に持つ娘って思われたかな?」
「いえ、そんなことはないでしょう」
「そう?年齢が上の人達が妙な顔をしたから気になって」
「まあ、英雄であり、魔女であり、既にこの世にいないはずの聖人である人物の弟子などと名乗れば、そうなるでしょうな」
「・・・・・英雄が・・・なんだって?」
なにか、おかしな言葉を聞いた気がする。
「良い手だと思いますよ。あなたは王の前で自分が只者ではないと宣言したようなものですからな。身分の違いを理由に追い出されることはないでしょう。只者でない大馬鹿だと判断されれば、生きて城を出ることはできないでしょうが」
「・・・・・」
「いや、感心しました。あなたに、そんな度胸があったとは」
「・・・・・まあね」
メフィの称賛を受けても、全く嬉しくなかった。
*****
「どうでしたか父上?」
シンデレラの謁見が終わった後、僕は父に尋ねた。
謁見は無事に終わったように見えたが、予定より早く終わったことが、少し気になっていた。
父も彼女を連れてくるように言っていたのだから、今さら追い出すようなことはしないだろうが。
「あれが、お前が一年もかけて追いかけた娘か」
父は何事かを考えているようだった。
「あの娘は、お前の手に負えるのか?」
「え?」
父の口から出てきたのは予想外の言葉だった。
何らかの理由で婚約者候補にふさわしくないと言われる可能性は考えていたが、手に負えるのかと言われる可能性は考えていなかった。
「それは、どういう意味でしょうか?」
分からなかったので素直に尋ねる。
すると父は、頭痛を堪えるように首を振ってから口を開く。
「あの場であのような名乗りを上げるとは・・・目論見があってのことなのか、考え無しなだけなのか、正直判断できん」
「シンデレラの発言に何か問題がありましたか?」
思い当たることが無い。
いや、シンデレラの最後の台詞。
あのとき、僅かに反応を見せた人間がいたような気がする。
だけど、その理由は分からない。
「まあ、よい。気にするな。それに度胸は認める。謁見の際の態度も堂々としたものだった」
「緊張して失敗しないか心配していましたが、杞憂でした。でも、よく考えたら、当然かも知れません。シンデレラは僕に対しても兄に対しても、自然体で接してくれますから」
「貴族の娘が王族を敬う態度を見せないのは、それはそれで問題があるのだがな」
「はは・・・最初に会ったときは、僕を王子と知らなかったようですから、そのためでしょう」
僕の疑問に対する答えは返してくれなかったが、どうやら父が彼女を追い出すつもりがないと分かって、ほっとする。
「あの娘のことは、お前に任せよう。手に負えなくなったら、言え」
それだけ言うと、父は今度は兄の方へ向かい。
今、この部屋には父と兄と僕、そしてもう一人がいる。
この部屋は、最後の一人に与えられた部屋だった。
「それで、こっちが問題の娘か」
「ああ、俺の命の恩人だ」
兄がベッドに横たわる女性を見ながら、父に答える。
「妃にしたいと思っている」
兄は単刀直入に父に申し出た。
女性はシンデレラの義理の姉だ。
城に戻ってきて、すぐに医者に見せたが、未だに目を覚ましていない。
あのメフィという子供の言う通りだった。
「眠ったままの娘を妃になどできないだろう。それに隣国の姫との婚約はどうするつもりだ?そちらを差し置いて、その娘を妃にすることなど、認められんぞ」
「起こす方法には伝手がある。それに隣国の姫のことは、報告を受けているんだろ?」
兄を襲ったのが、隣国の姫の手の者である可能性は、すでに王である父にも報告が行っているはずだ。
けど、明確な証拠がない以上、抗議をすることも、それを理由に婚約の話を無しにすることもできない。
このままだと、兄は自分を殺そうとしている相手を妃にしなければならない可能性がある。
「報告は受けているが、今の状況ではどうにもできん。護衛は増やすし、城の警備は厳重にするが、婚約の話は進めるしかない」
厳しいことを言いながらも、兄のことを心配する父に対し、兄は首を横に振る。
「護衛も警備も今のままでいい。婚約の話も進めてくれ。その方が都合がいい」
やはり、兄は自分を囮に使うつもりだ。
兄の真剣は顔を見て、父はベッドに眠る女性に視線を向ける。
「それほど、その娘が大切か?弟の婚約者候補に辛く当たっていた相手なのだろう?」
「父上、シンデレラはそれほど気にしていないようで・・・」
「お前は黙っていろ」
兄とその想い人を擁護しようと思ったのだが、口を塞がれてしまう。
僕もシンデレラに辛く当たっていた相手に思うところがないわけではない。
しかし、あの屋敷に何度か行って気づいたのだが、この女性はそれほどシンデレラに酷いことをしていたわけではないようだった。
シンデレラを助けなかったことを責めたい気持ちはあるが、トレメイン夫人やこの女性の妹に比べれば、その気持ちはそれほど大きいものではない。
シンデレラを捜すことにも協力的だったし、母親に逆らいづらかったであろうことを考慮すれば、僕個人としては許してもいいと思っている。
冷遇されていた本人であるシンデレラが許さないのであれば、その限りではないが、少なくともシンデレラに仕返しを考えているような様子はない。
「この女が目を覚ますまで、他の女を抱こうとは思えない程度には大切だな」
父の言葉に、兄はそんな言葉を返した。
どの程度、大切に思っているのか、分かりづらい。
この女性を最優先に考えているようにも思える台詞だが、他の女性を抱かないと言っているわけではない。
そもそも、妃でもない複数の女性を抱くこと自体が間違っているが、女癖が悪い兄上が他の女性を抱かないということ自体が大事のようにも思える。
どちらとも取れる、微妙な答えだ。
しかし、父には分かったらしい。
「よかろう。隣国の姫のことは、お前に任せる。そちらを対処した上でなら、その娘を妃とすることも認めよう」
「わかった。どちらにしろ、この女を起こすには、隣国の姫をどうにかする必要があるからな」
メフィが語った、解毒薬か毒そのものを手に入れろという話だろう。
自分を囮にしようとする危険な方法は止めたいが、僕の言葉では兄は止まらないだろう。
なら、できるだけ兄を護るために協力するしかない。
僕はそう心に決めた。
ただし、優先順位はシンデレラの次だ。
*****
「城の中を見て回ろうかな」
やらかしたことは、今さらどうしようもない。
一度口から出てしまった言葉は戻すことはできない。
それよりは、今後のことを考えよう。
「メフィも付いて来て」
「構いませんが、城の中を無断で歩き回ってよいのですかな?」
「滞在の許可はもらっているし、入っちゃダメなところは、止められるでしょ」
それに、別に気晴らしに見て回ろうというわけではない。
もちろん、その意味もあるのだけど、目的はちゃんとある。
城の構造を把握するためだ。
近々の予定としては、チャラ王子の襲撃者を捕まえるというイベントがありそうだ。
そのためには、襲撃者を迎え撃つであろう場所の情報を入手しておく必要がある。
そんなわけで、私は部屋を出ようとする。
「お出かけですか?」
「・・・えっと」
そこにいたのは、城へ来たときに私にドレスを着せてきたメイドだった。
私より1~2歳くらい年上だろうか。
地味な美人といった顔立ちの女性だ。
「お出かけするのでしたら、お供します」
「えーっと・・・悪いからいいわよ?」
「そういうわけには、まいりません。王子から身の回りのお世話をするように言われております。メアリーとお呼びください」
ストーカー王子め、余計なことを。
私が不便な思いをしないようにとの心遣いなんだろうけど、はっきり言って邪魔だ。
もしかしたら、監視の役目も兼ねているのかも知れない。
「その前に、その服装は城の中を歩くのには適していませんね」
ぐいぐいと私を部屋の中へと押し戻してくる。
意外と力が強い。
「え?ちょっと?」
「お着替えをお手伝いします」
「いえ、これでいいけど」
「よくありません。私が怒られてしまいます」
そんなに変な服かな。
動きやすいんだけど。
「どう思う、メフィ。そんなに変かな、この服?」
私はメフィに尋ねる。
そうではないという答えを期待してのことだ。
「そうですな」
すると、メフィは私の頭から足までを眺めて一言。
「城の中を歩くには向きませんな。森で狩りをするなら、よいでしょうが」
返ってきたのは、裏切りの言葉だった。
賛同者を得たメイド・・・メアリーのどや顔に腹が立った。
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