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第一章 灰かぶり
009.訪問
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私は、いつものように屋敷の雑用に精を出していた。
こっそり参加した舞踏会が終わって、何かが変わったかといえば、何も変わっていない。
当然だ。
義理の母親や姉妹は、私が舞踏会に参加したことすら知らないのだから。
いや、一つだけ変わったことがある。
以前よりも忙しくなった。
その理由はわかっている。
人手が足りないのだ。
舞踏会の夜、この屋敷では、ある事件が起こっていた。
大勢の使用人達が忽然と姿を消したのだ。
残っているのは、舞踏会に同行していた数人のみ。
屋敷を管理できる最低限の人数だ。
町では色々と噂されているようだ。
いわく、あの屋敷は使用人への虐待が酷く、使用人達が一斉に逃げ出した 。
いわく、強盗が押し入って、使用人達が虐殺された。
いわく、あの屋敷は呪われている。
真実を知っている私からすれば、二番目と三番目を足して二で割った内容が一番近いと思う。
そして、そんな噂がある屋敷に働きに来たがる人間がいるわけがない。
義理の母親は代わりの使用人を探しているようだが、見つかっていない。
だから、私はずっと忙しいままだ。
「ふぅ」
さすがに疲れた。
自業自得なのはわかっているから、文句を言うつもりはないけれど。
私がここに残っているのは、別に罪滅ぼしのつもりというわけじゃない。
こんなことをしていても罪滅ぼしになるはずもないし、そもそも罪滅ぼしをするつもりもない。
私が残っている理由は、私のしたことの結果を見定めるためだ。
そこから目を逸らしたら、前に進むことも、ここで終わることもできない。
そんな気がする。
「これから、どうしようかなぁ」
だけど、私は目的を失っていた。
この境遇について思うところがないわけじゃないけど、復讐したいほど義理の母親や姉妹を恨んでいるわけではない。
ちょっとした仕返しをするつもりが、少しばかり大事になってしまったが、それも中途半端に終わった。
魔女からもらった魔術書は、まだ手元にある。
何かをしようと思えば、することはできるだろう。
けど、今度は間違いなく命をかけることになると思う。
命をかけて地獄に堕ちるなら、それもいいかなと思うけれど、あの老執事を侮辱することになるのは避けたい。
あの老紳士は誠実な態度で、こちらに接してくれた。
なら、こちらも誠実な態度を返すべきだ。
やるなら、しっかりと目的を決める必要がある。
そんなことを考えながら雑用をしていると、見かけない馬車が近づいてくることに気づいた。
お客様が来たようだ。
でも、私には関係がない。
義理の母親は、私を人前に出すことを避けたがる。
だから、私は雑用を続ける。
*****
「ようこそ、おいで下さいました」
母が極上の笑顔で、お客様を出迎えている。
それも無理は無い。
お客様は本来なら、こんなところに来るはずがない人物だった。
「突然の訪問にも関わらず、ありがとうございます」
礼儀正しく、挨拶を返してくるのは、一人の青年だった。
私も妹もよく知っている人物だ。
「ようこそ、おいで下さいました!」
妹も嬉しそうに挨拶をする。
訪ねてきたのは、王子だった。
純粋に王子に憧れている妹なら、当然の反応と言えた。
「どうぞ、こちらへ」
母が自ら案内し、扉を開けて部屋へ招き入れる。
使用人達がいないから、こんなことも自分達で行わなければならない。
人手不足は深刻だった。
この屋敷は一見すると普段と変わらないように見える。
しかし、実際には少しずつ変化していた。
よくない方向へだ。
私達が舞踏会から帰ってきた日。
出迎えたのはシンデレラ、ただ一人だった。
他の使用人達は、どこかへ消えた。
そう、消えたのだ。
あれから、屋敷を調べた結果、いくつかのことがわかった。
まず、使用人達は、直前まで生活していたような形跡のまま姿を消していた。
私物はおろか、飲みかけのティーカップまで、残されていた。
屋敷が荒らされた形跡はなかったので、強盗が入ったということもないだろう。
翌日の朝食の仕込みまで終わっていたから、計画的に逃げ出したということもなさそうだ。
逃げ出すなら、そんな意味のない仕事はしないだろう。
近くの街や森へも捜索に出させたが、使用人達を見かけたという証言は得られなかった。
そんな中、たった一人残っていたシンデレラ。
当然、彼女に使用人達の行方を聞いたが、知らないの一点張りだ。
忽然と姿を消したという、その証言に矛盾はないし、嘘をついている様子もない。
ただ、一つ不思議なのは、彼女が全く動揺していないことだ。
形跡がないとはいえ、強盗が入った可能性もあるのだ。
身の危険を感じることもあるだろう。
神隠しを疑って、不安に思うこともあるだろう。
それなのに、全く動揺する気配がない。
その様子に、母や妹は彼女を詰問することを止めた。
彼女が動揺していないのに、自分達が動揺しているのは、プライドが許さなかったのだろう。
それはそれでよいのだが、状況が変わるわけではない。
人が消えた不気味な屋敷。
そのような噂の屋敷に働きにきてくれる人がいるはずがない。
もしいるとしても、金銭目当てのろくでもない人間だろう。
さらに、家族を働きに行かせていた側からすれば、家族が事件か事故に巻き込まれたと考えるのは当然の流れだ。
その問い合わせを無視するわけにもいかない。
ここ最近は、それらの対応に追われ、気が休まる暇もなかった。
いずれ管理責任を問われ、消えた使用人達の家族に、慰謝料を払うことになる可能性もある。
逆に勝手にいなくなった責任を問うこともできるかも知れないが、できればそれはやりたくない。
我が家の評判は地に落ちるだろうし、屋敷に働きにきてくれる人間はますます減るだろう。
「すぐにお茶を用意させます」
そんな状況の中での王子の来訪だ。
強い権力を持つ人間が助けてくれるかも知れないという根拠のない希望が、母と妹を最近では見かけなかったほど生き生きとさせている。
しかし、私はあの夜に会話した内容を覚えている。
おそらくは、何か決定的なことが起きようとしている。
そんな気がしてならない。
「そういえば・・・」
慣れていない者が入れた香りの薄いお茶を飲んでから、王子が切り出してきた。
「もう一人、ご息女がいると伺ったのですが、姿が見えないようですね」
シンデレラのことだ。
その言葉に怪訝そうな表情を浮かべる母だが、すぐに笑顔を取り繕う。
「いえ、私には娘は二人しかいません」
母がそのように答えた。
母とシンデレラに血の繋がりはないから、嘘をついているわけではない。
娘を使用人のように扱っているというのは世間体がよくないので、誤魔化そうと考えたのだろう。
事前に知っていれば、シンデレラに言い含め、普段よりも上等な服を着せることもできただろうが、完全に予想外だったに違いない。
もし、王子がシンデレラのことを知らず、ただの世間話のつもりで話題を振っただけであれば、この試みは成功したかも知れない。
シンデレラのことだとは気付かなかったと言い張り、時間を稼ぐこともできただろう。
しかし、この試みが成功することはない。
なぜなら、私が王子に既にシンデレラのことを話しているからだ。
母はそのことを知らない。
「おかしですね。この家には、三人のご息女がいると伺ったのですが」
私から話を聞いておいて白々しい言い方だとは思うが、母が気づかなかったということにしてくれているのだろう。
王族に意図的に情報を隠したとなれば、下手をすれば罪になることすらある。
私は、このまま母に喋らせてはマズいと察して口を開く。
「お母様、シンデレラのことじゃないかしら?」
「お姉さま!」
母の意図に気づいていたらしい妹が、私を非難するような声を上げるが無視する。
下手なことを言わせると、妹まで巻き込むことになる。
「え、ええ、そうね。シンデレラは前妻の娘なのです。それで気づくのが遅れたしまいましたわ」
私の言葉に動揺しながらも、母がシンデレラの存在を認める。
母からすれば、私が裏切ったように思えたのだろう。
実際には助けているわけなのだが。
「話したいのですが、呼んでいただくことはできますか?」
王子が尋ねてくる。
疑問形だが相手は王族。
ほぼ命令だと思っていい。
「それは・・・」
「シンデレラを呼んできてちょうだい」
この期に及んで、シンデレラのことを誤魔化そうとする母の言葉を遮って、私は使用人にシンデレラを呼びにいかせる。
この後にどんな状況になるかは予想がつく。
悪あがきだとわかっているが、できるだけ心証はよくしておきたい。
できれば、肌を重ねた相手に、多少なりとも情が湧いてくれる人物だといいのだけれど。
祈るようにそんなことを考えていると、扉をノックする音が聞こえてきた。
「入りなさい」
扉を開いてシンデレラが部屋に入ってくる。
「お呼びと伺いましたが・・・」
シンデレラは部屋の中を見回し、王子の顔を見ると不思議そうな表情を見せる。
それに対して王子は、目的の人間に会えて嬉しそうな表情だ。
「もう一度話がしたくて、会いに来てしましました」
「え、あの・・・」
少し興奮した様子の王子に対して、シンデレラは戸惑い気味だ。
「えっと、お話をさせていただいたことはありませんよね?」
嘘をついているようには見えない。
王子が一方的に知っているということだろうか。
だけど、それ以前に王子の様子がおかしい。
私を抱いた人物と同一人物とは思えない。
「え?ああ、すみません」
シンデレラの反応に気付いた王子が、懐から何かを取り出す。
そして、それを顔にかけると、せっかく整えられている髪型まで、くしゃくしゃと乱してしまう。
分厚い眼鏡をかけた王子(?)は、一目見ただけでは、先ほどと同じ人物には見えなかった。
「あっ!あのときの!」
その姿を見て、シンデレラは自分が知っている人物だと気付いたようだ。
その様子を見て、私は自分の祈りが届かなかったことを悟った。
こっそり参加した舞踏会が終わって、何かが変わったかといえば、何も変わっていない。
当然だ。
義理の母親や姉妹は、私が舞踏会に参加したことすら知らないのだから。
いや、一つだけ変わったことがある。
以前よりも忙しくなった。
その理由はわかっている。
人手が足りないのだ。
舞踏会の夜、この屋敷では、ある事件が起こっていた。
大勢の使用人達が忽然と姿を消したのだ。
残っているのは、舞踏会に同行していた数人のみ。
屋敷を管理できる最低限の人数だ。
町では色々と噂されているようだ。
いわく、あの屋敷は使用人への虐待が酷く、使用人達が一斉に逃げ出した 。
いわく、強盗が押し入って、使用人達が虐殺された。
いわく、あの屋敷は呪われている。
真実を知っている私からすれば、二番目と三番目を足して二で割った内容が一番近いと思う。
そして、そんな噂がある屋敷に働きに来たがる人間がいるわけがない。
義理の母親は代わりの使用人を探しているようだが、見つかっていない。
だから、私はずっと忙しいままだ。
「ふぅ」
さすがに疲れた。
自業自得なのはわかっているから、文句を言うつもりはないけれど。
私がここに残っているのは、別に罪滅ぼしのつもりというわけじゃない。
こんなことをしていても罪滅ぼしになるはずもないし、そもそも罪滅ぼしをするつもりもない。
私が残っている理由は、私のしたことの結果を見定めるためだ。
そこから目を逸らしたら、前に進むことも、ここで終わることもできない。
そんな気がする。
「これから、どうしようかなぁ」
だけど、私は目的を失っていた。
この境遇について思うところがないわけじゃないけど、復讐したいほど義理の母親や姉妹を恨んでいるわけではない。
ちょっとした仕返しをするつもりが、少しばかり大事になってしまったが、それも中途半端に終わった。
魔女からもらった魔術書は、まだ手元にある。
何かをしようと思えば、することはできるだろう。
けど、今度は間違いなく命をかけることになると思う。
命をかけて地獄に堕ちるなら、それもいいかなと思うけれど、あの老執事を侮辱することになるのは避けたい。
あの老紳士は誠実な態度で、こちらに接してくれた。
なら、こちらも誠実な態度を返すべきだ。
やるなら、しっかりと目的を決める必要がある。
そんなことを考えながら雑用をしていると、見かけない馬車が近づいてくることに気づいた。
お客様が来たようだ。
でも、私には関係がない。
義理の母親は、私を人前に出すことを避けたがる。
だから、私は雑用を続ける。
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「ようこそ、おいで下さいました」
母が極上の笑顔で、お客様を出迎えている。
それも無理は無い。
お客様は本来なら、こんなところに来るはずがない人物だった。
「突然の訪問にも関わらず、ありがとうございます」
礼儀正しく、挨拶を返してくるのは、一人の青年だった。
私も妹もよく知っている人物だ。
「ようこそ、おいで下さいました!」
妹も嬉しそうに挨拶をする。
訪ねてきたのは、王子だった。
純粋に王子に憧れている妹なら、当然の反応と言えた。
「どうぞ、こちらへ」
母が自ら案内し、扉を開けて部屋へ招き入れる。
使用人達がいないから、こんなことも自分達で行わなければならない。
人手不足は深刻だった。
この屋敷は一見すると普段と変わらないように見える。
しかし、実際には少しずつ変化していた。
よくない方向へだ。
私達が舞踏会から帰ってきた日。
出迎えたのはシンデレラ、ただ一人だった。
他の使用人達は、どこかへ消えた。
そう、消えたのだ。
あれから、屋敷を調べた結果、いくつかのことがわかった。
まず、使用人達は、直前まで生活していたような形跡のまま姿を消していた。
私物はおろか、飲みかけのティーカップまで、残されていた。
屋敷が荒らされた形跡はなかったので、強盗が入ったということもないだろう。
翌日の朝食の仕込みまで終わっていたから、計画的に逃げ出したということもなさそうだ。
逃げ出すなら、そんな意味のない仕事はしないだろう。
近くの街や森へも捜索に出させたが、使用人達を見かけたという証言は得られなかった。
そんな中、たった一人残っていたシンデレラ。
当然、彼女に使用人達の行方を聞いたが、知らないの一点張りだ。
忽然と姿を消したという、その証言に矛盾はないし、嘘をついている様子もない。
ただ、一つ不思議なのは、彼女が全く動揺していないことだ。
形跡がないとはいえ、強盗が入った可能性もあるのだ。
身の危険を感じることもあるだろう。
神隠しを疑って、不安に思うこともあるだろう。
それなのに、全く動揺する気配がない。
その様子に、母や妹は彼女を詰問することを止めた。
彼女が動揺していないのに、自分達が動揺しているのは、プライドが許さなかったのだろう。
それはそれでよいのだが、状況が変わるわけではない。
人が消えた不気味な屋敷。
そのような噂の屋敷に働きにきてくれる人がいるはずがない。
もしいるとしても、金銭目当てのろくでもない人間だろう。
さらに、家族を働きに行かせていた側からすれば、家族が事件か事故に巻き込まれたと考えるのは当然の流れだ。
その問い合わせを無視するわけにもいかない。
ここ最近は、それらの対応に追われ、気が休まる暇もなかった。
いずれ管理責任を問われ、消えた使用人達の家族に、慰謝料を払うことになる可能性もある。
逆に勝手にいなくなった責任を問うこともできるかも知れないが、できればそれはやりたくない。
我が家の評判は地に落ちるだろうし、屋敷に働きにきてくれる人間はますます減るだろう。
「すぐにお茶を用意させます」
そんな状況の中での王子の来訪だ。
強い権力を持つ人間が助けてくれるかも知れないという根拠のない希望が、母と妹を最近では見かけなかったほど生き生きとさせている。
しかし、私はあの夜に会話した内容を覚えている。
おそらくは、何か決定的なことが起きようとしている。
そんな気がしてならない。
「そういえば・・・」
慣れていない者が入れた香りの薄いお茶を飲んでから、王子が切り出してきた。
「もう一人、ご息女がいると伺ったのですが、姿が見えないようですね」
シンデレラのことだ。
その言葉に怪訝そうな表情を浮かべる母だが、すぐに笑顔を取り繕う。
「いえ、私には娘は二人しかいません」
母がそのように答えた。
母とシンデレラに血の繋がりはないから、嘘をついているわけではない。
娘を使用人のように扱っているというのは世間体がよくないので、誤魔化そうと考えたのだろう。
事前に知っていれば、シンデレラに言い含め、普段よりも上等な服を着せることもできただろうが、完全に予想外だったに違いない。
もし、王子がシンデレラのことを知らず、ただの世間話のつもりで話題を振っただけであれば、この試みは成功したかも知れない。
シンデレラのことだとは気付かなかったと言い張り、時間を稼ぐこともできただろう。
しかし、この試みが成功することはない。
なぜなら、私が王子に既にシンデレラのことを話しているからだ。
母はそのことを知らない。
「おかしですね。この家には、三人のご息女がいると伺ったのですが」
私から話を聞いておいて白々しい言い方だとは思うが、母が気づかなかったということにしてくれているのだろう。
王族に意図的に情報を隠したとなれば、下手をすれば罪になることすらある。
私は、このまま母に喋らせてはマズいと察して口を開く。
「お母様、シンデレラのことじゃないかしら?」
「お姉さま!」
母の意図に気づいていたらしい妹が、私を非難するような声を上げるが無視する。
下手なことを言わせると、妹まで巻き込むことになる。
「え、ええ、そうね。シンデレラは前妻の娘なのです。それで気づくのが遅れたしまいましたわ」
私の言葉に動揺しながらも、母がシンデレラの存在を認める。
母からすれば、私が裏切ったように思えたのだろう。
実際には助けているわけなのだが。
「話したいのですが、呼んでいただくことはできますか?」
王子が尋ねてくる。
疑問形だが相手は王族。
ほぼ命令だと思っていい。
「それは・・・」
「シンデレラを呼んできてちょうだい」
この期に及んで、シンデレラのことを誤魔化そうとする母の言葉を遮って、私は使用人にシンデレラを呼びにいかせる。
この後にどんな状況になるかは予想がつく。
悪あがきだとわかっているが、できるだけ心証はよくしておきたい。
できれば、肌を重ねた相手に、多少なりとも情が湧いてくれる人物だといいのだけれど。
祈るようにそんなことを考えていると、扉をノックする音が聞こえてきた。
「入りなさい」
扉を開いてシンデレラが部屋に入ってくる。
「お呼びと伺いましたが・・・」
シンデレラは部屋の中を見回し、王子の顔を見ると不思議そうな表情を見せる。
それに対して王子は、目的の人間に会えて嬉しそうな表情だ。
「もう一度話がしたくて、会いに来てしましました」
「え、あの・・・」
少し興奮した様子の王子に対して、シンデレラは戸惑い気味だ。
「えっと、お話をさせていただいたことはありませんよね?」
嘘をついているようには見えない。
王子が一方的に知っているということだろうか。
だけど、それ以前に王子の様子がおかしい。
私を抱いた人物と同一人物とは思えない。
「え?ああ、すみません」
シンデレラの反応に気付いた王子が、懐から何かを取り出す。
そして、それを顔にかけると、せっかく整えられている髪型まで、くしゃくしゃと乱してしまう。
分厚い眼鏡をかけた王子(?)は、一目見ただけでは、先ほどと同じ人物には見えなかった。
「あっ!あのときの!」
その姿を見て、シンデレラは自分が知っている人物だと気付いたようだ。
その様子を見て、私は自分の祈りが届かなかったことを悟った。
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