森の中のマンドラゴラ~異世界は平和だったので、おっぱいとたわむれることにする~

かみゅG

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第三章(裏) ホムンクルスの中のマンドラゴラ

075.みゃみゃみゃみゃみゃ!

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 これは夢だと思った。
 幸せな夢だ。

『メイ?』

 二度と会えないと思っていた。
 その人物が目の前にいる。
 私の記憶にある姿よりも成長しているけど、私が見間違うわけがなかった。

『あなたメイよね!メイーーーーーーーーーーッ!』

 なりふりかまわず駆け寄る。
 これが夢だとしてもかまわない。
 むしろ、夢だからこそ、この奇跡を手放したくない。

『メイ!メイ!メイ!メイ!』

 抱き着いて頬ずりする。

『こんなに大きくなって!』

 ぽわんぽわんと、心地よい感触が頬に伝わってくる。
 胸のことを言ったわけではないけど、胸も大きくなっている。
 私が同じ歳だったときより大きいんじゃないだろうか。
 ちょっとだけ嫉妬しなくもないけど、それよりも喜びの方が強い。
 私がいなくても、こんなに立派に成長してくれたのだ。
 そのことを少し寂しく思うけど、やはり喜びの方が強い。
 なにより、嫉妬や寂しさを感じることに、この奇跡の時間を費やしたくなかった。
 ただただ、この儚い喜びに浸っていたかった。

 *****

 おや?と思ったのは、後ろから抱えられて、メイから引き離されたときだった。
 ここが私の夢だとしたら、私の思い通りにならなくてはおかしい。
 なのに、私の意志に反して、メイから引き離される。
 だけど、悪夢というわけではない。
 すぐ近くにいる。

『メイ!メイ!』

 呼びかけると、メイがこちらを向いてくる。
 そのことに安心するけど、こちらに近寄ってきてはくれない。
 でも、遠ざかってもいかない。

「みゃ?」

 少し冷静になる。
 もしかして、これは夢ではない?
 だとしたら、これはどういう状況なのだろう。
 まさか、私は生き返ったのだろうか?
 不可能ではない。

 脳の損傷が少ないなら、本人の肉体を修復。
 記憶の記録が存在すれば、別の肉体へ移植。
 魂が無事なら、代替の肉体へ魂を宿らせる。

 死んだ人間を生き返らせる方法はある。
 だけど、方法によって条件や難易度は違う。

 一つ目の方法。
 これは無理だ。
 死の間際、私は自分の脳髄がこぼれるのを見た。

 三つ目の方法。
 これも無理だ。
 魂を代替の肉体へ宿らせたとしても、普通は記憶が戻ることはない。
 魂から記憶を再生するような奇跡は、アレを使いでもしない限り不可能だ。
 でも、私は生前の記憶があるし、アレが私のために使われることは無いだろう。

 だから、残る方法は二つ目だけ。
 何かの理由で私の記憶が残り、別の肉体へ移植されたのだ。

『別の肉体?』

 私は改めて自分の身体を見る。

「みゃ?」

 記憶にある自分の身体とは違う。
 それは想定内だけど、想定外のこともある。

『人間じゃない?』

 鏡がないので、全身を見ることはできない。
 だけど、視界に入る毛深い手足や、先ほどから聞こえてくる鳴き声が、ある推測をさせる。

みゃみゃみゃもしかして・・・みゃみゃネコ?」

 頭がくらりとする。
 再びメイに会えたことは嬉しい。
 生き返らせてくれたことにも感謝する。
 でも、猫はないでしょう!猫は!

『せめて、ホムンクルスに記憶を移植してよ!』

 これじゃ、メイと話をすることもできない。
 あまりの状況に絶望したくなるけど、それにはまだ早い。
 私だって、錬金術師のはしくれ。
 永遠の寿命についての研究だってしていた。
 研究は完成していないけど、私の遺伝子を使ったホムンクルスを作ってある。
 あれに私の記憶を移植すればいい。

『メイ!学校の地下に工房があるの!そこに私を連れて行って!』

 私はメイにお願いをする。

「こら、暴れちゃ駄目ニャ」

 しかし、私は抱えられていて、メイに近付くことができない。
 それに、私の言葉はメイに伝わっていないようだ。

「みゃみゃみゃみゃみゃ!」

 こうなったら、一人でも行くしかない。

「こら、外に出たら危ないニャ」

 しかし、外に出ようとすると、獣人の少女が私を連れ戻す。

「みゃみゃみゃみゃみゃーーーーー!!!」
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