森の中のマンドラゴラ~異世界は平和だったので、おっぱいとたわむれることにする~

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第三章 ホムンクルスの中のマンドラゴラ

074.おっぱいに触ってこようとするところとか

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「みゃ?みゃみゃみゃみゃみゃ!みゃあああああぁぁぁぁぁ!」

 タタタタタッ

「ひゃあ!」

 こちらに振り返った子猫がメイに向かって駆けてきて、そのまま跳びつく。
 具体的には胸元に。

「く、くすぐったいですよぅ!」

 黒い毛並みが谷間をくすぐっているようだ。
 メイがくすぐったそうにしている。

「みゃみゃみゃみゃみゃ!」
「おっぱい舐めないでくださいぃ!」

 子猫が鳴くたびにメイが悶える。
 舐めているわけではないようだが、鳴くたびに舌が触れるのだろう。

「成功か?」

 子猫の様子は明らかに先ほどまでとは違う。

「やぁん!」

 俺の記憶が宿ったのだろうか。

「あぁん!」

 ・・・・・

「ちょっと、ケイ!やめてくださいよぅ!」
「俺じゃねぇ!」

 そうだった。
 もし成功したのだとしたら、子猫は俺の分身に近いということになる。
 しかし俺は、女性の胸に興味が無いとは言わないが、あんな狂ったように跳びついたりはしない。

「失敗だな」

 どうやら、俺の記憶は宿っていないようだ。
 だが、子猫の様子が変わったのは確かだ。
 いったい、どういうことだろう。

「俺を材料に使ったから、惚れ薬の効果が出たのか?発情しているみたいな感じだしな」

 子猫はメイがくすぐったそうにしても離れる様子がない。
 胸に顔を埋めて張り付いている。

「けど、子猫が発情なんかするのか?」
「ケイ!冷静に分析していないで助けてくださいよぅ!」

 おっと、いけない。
 俺が子猫の様子を観察していると、メイが文句を言ってきた。

「ポチ、とりあえず、その子猫をメイからひっぺがしてくれるか」
「わかったニャ」

 ポチの手でメイから離される子猫を眺めながら考える。
 何かの効果はあったが、狙っていた効果ではなかった。
 そんなところだろう。

 *****

「ケイ、ひどいです」
「だから、俺じゃねぇ!」

 俺に濡れ衣を着せて来た子猫は、ポチに抱えられている。
 しかし、みゃあみゃあ鳴きながら、今もメイの方に行きたそうにしている。
 メイに執着しているのは間違いない。

「うーん、アレ、どう思う?」
「どうって、ケイ、そのものですよね」
「どこが?」
「おっぱいに触ってこようとするところとか」
「・・・・・」

 いや、否定はしないけど。
 でも、あんな発情した猫みたいに・・・というか、そのものだけど・・・見境なく跳びついたりはしない。

「舐めてこようとするところは、ポチの方が近いんじゃないか?」
「そうですか?」

 どちらかというと、惚れ薬の効果が出ていたときのポチに近かった気がする。
 あのときのポチは、狂ったようにメイを舐めまわしていた。
 しかし、メイはどうも腑に落ちていないようだ。
 まあ、俺もそのときと同じかと言われると、自信を持って断言できるわけではない。

「しまったな。よく考えたら、猫に記憶を移植しても、成功したか失敗したかわからないな」
「そういえば、そうですね」
「けど、人間に移植するわけにはいかないしなぁ」
「ホムンクルスが作れたらよかったんですけどねぇ」

 結論から言えば、子猫に俺の記憶を移植する試みは失敗だ。
 記憶が宿らなかったという意味ではなく、確認するすべがないという意味で。

「まぁ、この子猫は責任を持って飼うことにするか」
「そうですね」

 もし、俺の記憶が宿っているのだとしたら、放り出すのも気が引ける。
 こうして、新たな家族を迎えつつ、俺達の日常は過ぎていく。
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