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第二章(裏) 七不思議の中のマンドラゴラ
067.これは非常に重要な情報だ
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「狩人の一族は、狩りをする一族なのニャッ」
ポチと名乗った獣人はそう言った。
「まあ、猫は狩りをするイメージがあるな」
主人格はポチに対して油断しきっている。
確かに惚れ薬と精神干渉の効果で身の安全は確保してある。
しかし、一族ということは仲間がいるということだ。
そいつらがどう行動するかわからない。
だから油断はできない。
そう忠告したかったが、自分が表に出ることはできない。
主人格とポチの会話から情報を得て対策をするしかない。
「大変だったんですねぇ。よしよし」
メイもポチに対して油断しきっている。
獣人は魔術師の成れの果てだ。
普通の魔術士であれば獣人を見下す。
もしくは憐れむ。
あるいは全く興味を持たない。
しかし、メイはポチに対する態度はいずれでもない。
姉が妹に接するように、獣人であるポチに接する。
メイはやはり普通の魔術士ではない。
「ニャ~~~♪」
だが、それはポチに対しても同じことが言える。
惚れ薬の効果があるとはいえ、ポチは姉に甘えるようにメイに甘える。
魔術士としての誇りも獣人としての矜持も、どちらも持っているようには見えない。
この地はどこかおかしい。
まるで異世界にでも迷い込んでしまったかのようだ。
この二人がおかしいだけの可能性もあるが、今のところ出会う人間全てがおかしい。
これから出会う人間がおかしくても不思議ではない。
そしておかしいのは、身体を共有している主人格もだ。
主人格は自分のことを異世界に転生した人間だと考えているようだ。
しかし、次元を渡る力など魔術師でさえ実現できていない。
だから、普通なら思い込みが激しい人間だと笑い飛ばす。
だが、主人格がときおり頭に思い浮かべる高度な技術を考慮すると、それができない。
いずれは主人格の正体も探りたいところだが、それは後回しだ。
今は主人格とポチの会話から情報を収集することに専念する。
「あの建物には鬼がいたのニャッ」
「鬼?」
会話の中に、ポチが学校で戦っていたゴーレムについての話題が出る。
錬金術師の宝を守る獣人が、錬金術師の兵器であるゴーレムと戦っていた理由は、興味があった。
錬金術師と獣人は協力関係にあったのではないだろうか。
それを知るために会話に耳を傾ける。
「人間の姿をしているけど、人間より怖い相手なのニャッ。群れの仲間が殺されることもあるのニャッ」
どうやらポチはゴーレムという存在を知らないらしい。
そして、それはポチが子供だからという理由ではないようだ。
あのゴーレムは他の獣人を殺しているらしい。
錬金術師と獣人が協力関係にないのであれば、魔術師が獣人と取り引きできる可能性がある。
これは非常に重要な情報だ。
しかし、それゆえに確証が取れるまでは安易に行動できない。
下手をすれば錬金術師と獣人の両方が敵に回る可能性もあるからだ。
聞き洩らすまいと会話に集中する。
だが、それ以上の詳しい情報を得ることはできなかった。
きゅ~~~~~
なぜなら、腹の音が聞こえてきて、そのまま食事になったからだ。
そして、食事が終わる頃には、主人格もメイもポチを疑ってはいなかった。
だから、ポチの身の上話を聞くことはなかった。
*****
情報収集は長期戦になることを覚悟していた。
しかし、事態は予想より早く動く。
主人格がポチを連れて学校に向かうと言い出したからだ。
「なら、メイの学校に行ってみないか?」
「にゃ?ダメなのニャッ。留守番しているように言われたのニャッ」
従順な猫と化したポチは拒否するが、主人格が言いくるめて最終的には学校に向かうことになった。
主人格は前回は邪魔が入って調べきれなかった七不思議について調べているようだった。
そして、それを見つけた。
七不思議が指し示す場所の一つ。
そこに、それがあった。
「鬼がいるニャッ!」
そこにあったのはゴーレムだった。
おそらくは前回メイが倒した相手だった。
治療を待つ患者のように、ゴーレムは横たわっていた。
「・・・調べるのはここまでにして帰るぞ」
ゴーレムを見た途端、主人格が調査を中断すると言い出した。
「鬼をこのままにしておくのかニャッ。あたし、こいつに襲われたニャッ」
「もう壊れて・・・死んでるよ。メイが仇を討ってくれたんだから、それでいいだろ」
調査の継続を訴えるポチをなだめて、主人格は調査を打ち切ろうとする。
身の安全を確保するなら、その判断は正しい。
しかし、少しだけ遅かった。
「メイに迷惑をかけるのは嫌だろ?」
「わかったニャッ・・・えいっ!」
ポチが最後の仕返しとばかりに、ゴーレムの顔を殴る。
それに反応したゴーレムが、マンドラゴラとしての自分の身体を、真っ二つに切り裂いた。
ポチと名乗った獣人はそう言った。
「まあ、猫は狩りをするイメージがあるな」
主人格はポチに対して油断しきっている。
確かに惚れ薬と精神干渉の効果で身の安全は確保してある。
しかし、一族ということは仲間がいるということだ。
そいつらがどう行動するかわからない。
だから油断はできない。
そう忠告したかったが、自分が表に出ることはできない。
主人格とポチの会話から情報を得て対策をするしかない。
「大変だったんですねぇ。よしよし」
メイもポチに対して油断しきっている。
獣人は魔術師の成れの果てだ。
普通の魔術士であれば獣人を見下す。
もしくは憐れむ。
あるいは全く興味を持たない。
しかし、メイはポチに対する態度はいずれでもない。
姉が妹に接するように、獣人であるポチに接する。
メイはやはり普通の魔術士ではない。
「ニャ~~~♪」
だが、それはポチに対しても同じことが言える。
惚れ薬の効果があるとはいえ、ポチは姉に甘えるようにメイに甘える。
魔術士としての誇りも獣人としての矜持も、どちらも持っているようには見えない。
この地はどこかおかしい。
まるで異世界にでも迷い込んでしまったかのようだ。
この二人がおかしいだけの可能性もあるが、今のところ出会う人間全てがおかしい。
これから出会う人間がおかしくても不思議ではない。
そしておかしいのは、身体を共有している主人格もだ。
主人格は自分のことを異世界に転生した人間だと考えているようだ。
しかし、次元を渡る力など魔術師でさえ実現できていない。
だから、普通なら思い込みが激しい人間だと笑い飛ばす。
だが、主人格がときおり頭に思い浮かべる高度な技術を考慮すると、それができない。
いずれは主人格の正体も探りたいところだが、それは後回しだ。
今は主人格とポチの会話から情報を収集することに専念する。
「あの建物には鬼がいたのニャッ」
「鬼?」
会話の中に、ポチが学校で戦っていたゴーレムについての話題が出る。
錬金術師の宝を守る獣人が、錬金術師の兵器であるゴーレムと戦っていた理由は、興味があった。
錬金術師と獣人は協力関係にあったのではないだろうか。
それを知るために会話に耳を傾ける。
「人間の姿をしているけど、人間より怖い相手なのニャッ。群れの仲間が殺されることもあるのニャッ」
どうやらポチはゴーレムという存在を知らないらしい。
そして、それはポチが子供だからという理由ではないようだ。
あのゴーレムは他の獣人を殺しているらしい。
錬金術師と獣人が協力関係にないのであれば、魔術師が獣人と取り引きできる可能性がある。
これは非常に重要な情報だ。
しかし、それゆえに確証が取れるまでは安易に行動できない。
下手をすれば錬金術師と獣人の両方が敵に回る可能性もあるからだ。
聞き洩らすまいと会話に集中する。
だが、それ以上の詳しい情報を得ることはできなかった。
きゅ~~~~~
なぜなら、腹の音が聞こえてきて、そのまま食事になったからだ。
そして、食事が終わる頃には、主人格もメイもポチを疑ってはいなかった。
だから、ポチの身の上話を聞くことはなかった。
*****
情報収集は長期戦になることを覚悟していた。
しかし、事態は予想より早く動く。
主人格がポチを連れて学校に向かうと言い出したからだ。
「なら、メイの学校に行ってみないか?」
「にゃ?ダメなのニャッ。留守番しているように言われたのニャッ」
従順な猫と化したポチは拒否するが、主人格が言いくるめて最終的には学校に向かうことになった。
主人格は前回は邪魔が入って調べきれなかった七不思議について調べているようだった。
そして、それを見つけた。
七不思議が指し示す場所の一つ。
そこに、それがあった。
「鬼がいるニャッ!」
そこにあったのはゴーレムだった。
おそらくは前回メイが倒した相手だった。
治療を待つ患者のように、ゴーレムは横たわっていた。
「・・・調べるのはここまでにして帰るぞ」
ゴーレムを見た途端、主人格が調査を中断すると言い出した。
「鬼をこのままにしておくのかニャッ。あたし、こいつに襲われたニャッ」
「もう壊れて・・・死んでるよ。メイが仇を討ってくれたんだから、それでいいだろ」
調査の継続を訴えるポチをなだめて、主人格は調査を打ち切ろうとする。
身の安全を確保するなら、その判断は正しい。
しかし、少しだけ遅かった。
「メイに迷惑をかけるのは嫌だろ?」
「わかったニャッ・・・えいっ!」
ポチが最後の仕返しとばかりに、ゴーレムの顔を殴る。
それに反応したゴーレムが、マンドラゴラとしての自分の身体を、真っ二つに切り裂いた。
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