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第一章(裏) 森の中のマンドラゴラ
063.あの胸部が失われてしまうのは少々惜しい
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どれほどの年月が経過したのだろうか。
どれほどの年月が経過しようと自我を失うことは無いが、人が訪れる気配が全く無い。
能動的に行動をした方がよいだろうか。
そう考え始めた頃、ようやくそのときが来た。
ずぼっ!
身体を地面から引き抜かれる。
それと同時に眠りが浅くなっていた人格が表に出てきた。
都合がよいので、その人格を利用して、引き抜いた人物を見極めることにする。
「魔法が使えないなら、なんでメイはそんな格好をしているんだ?魔女じゃないんだろ?」
主人格が引き抜いた人物に質問する。
まさに自分が確認したかったことだ。
「魔女ですよ」
引き抜いた人物が主人格に答える。
まさに待ち望んでいた人物だ。
歓喜したくなった。
すぐにでも主人格を押しのけて自分が表に出たいところだ。
しかし、まだ様子を見ることにする。
引き抜いた人物、メイに対して気になることがあるのだ。
「魔女が使うのは魔法じゃなくて魔術です」
これは間違いではない。
その通りだ。
「魔術は、根拠のある手順に従って現象を起こすものです。分野が異なるだけで、学術や技術と同じですね」
これも間違いではない。
その通りだ。
だから、メイが魔術の知識を持っていることは間違いない。
それなのに、メイから全く魔力を感じないのだ。
いったい、どういうことなのだろうか。
*****
ケイと名乗った主人格と、メイと名乗る魔女のやりとりを観察した。
その結果、どうやらメイは魔術の知識はあるが魔術師では無さそうだということが判った。
どうすべきだろうか。
メイに協力させても、役に立つとは思えない。
呪音を使えば、メイを始末することは可能だろう。
メイを始末して元の場所に戻り、再び魔術師に引き抜かれるのを待った方がよいだろうか。
そんな考えが頭をよぎるが、もう少し様子を見ることにする。
それには理由がある。
メイが持っていた魔術書。
あれは本物だ。
メイが本物の魔術書を持っているということは、それを与えた人間がいるということだ。
元の場所であても無く魔術師が来るのを待つより、メイに魔術書を与えた人物と接触する方がよい。
その人物が今もいる保証はないが、それでもあても無く待つよりは可能性が高いはずだ。
それに理由は他にもある。
メイの胸部は、なかなか魅力的だ。
挟まれた感触は極上と言ってよい。
メイを始末して、あの胸部が失われてしまうのは少々惜しい。
長い年月を待ったのだ。
もう少しくらい待つのは、さほど苦痛ではない。
*****
「やれやれ、散らかっているね」
メイの祖母らしい人物を見かける機会があった。
メイに魔術書を与えた人物かと期待したのだが、どうやら違うようだ。
魔力を感じない。
しかし、去り際に気になることを言っていた。
「あの子、まだこんなものを信じているのかね」
身体が土に埋められたことにより主人格が眠りにつきそうになっているが、自分には関係ない。
メイの祖母の言葉は聞き取ることができた。
「こんなものを持っていたって、両親が戻ってくるわけじゃないっていうのに・・・・・」
メイの祖母は確かにそう言った。
魔術書とメイの両親の関係性は分からないが、何かしらの繋がりはあるようだ。
もしかしたら、メイの両親が魔術師の可能性がある。
メイに魔力は無いが、片親が魔術士でないのなら、魔力が遺伝しなくても不思議なことではない。
しかし、メイの祖母は戻ってくるわけではないと言った。
その言葉から考えると、メイの両親に接触できる可能性は低そうだ。
方針を変えた方がよいだろうか。
だが、補足とも繋がりが切れてしまうのは避けたい。
考えた結果、もう少しだけ様子を見ることにした。
*****
メイが熱を出した。
魔術の素材集めで雨に打たれたからだ。
それ自体は大した出来事ではない。
死ぬような状態ではないから、数日で回復するだろう。
だが、メイが熱を出したことがきっかけで、意外な出来事があった。
コンコンッ
メイを訪ねてきたのは、少年と少女だった。
姿も言葉使いも普通の子供のように見える。
しかし、違う。
普通の子供ではない。
その二人からは魔力を感じた。
魔術士だ。
どれほどの年月が経過しようと自我を失うことは無いが、人が訪れる気配が全く無い。
能動的に行動をした方がよいだろうか。
そう考え始めた頃、ようやくそのときが来た。
ずぼっ!
身体を地面から引き抜かれる。
それと同時に眠りが浅くなっていた人格が表に出てきた。
都合がよいので、その人格を利用して、引き抜いた人物を見極めることにする。
「魔法が使えないなら、なんでメイはそんな格好をしているんだ?魔女じゃないんだろ?」
主人格が引き抜いた人物に質問する。
まさに自分が確認したかったことだ。
「魔女ですよ」
引き抜いた人物が主人格に答える。
まさに待ち望んでいた人物だ。
歓喜したくなった。
すぐにでも主人格を押しのけて自分が表に出たいところだ。
しかし、まだ様子を見ることにする。
引き抜いた人物、メイに対して気になることがあるのだ。
「魔女が使うのは魔法じゃなくて魔術です」
これは間違いではない。
その通りだ。
「魔術は、根拠のある手順に従って現象を起こすものです。分野が異なるだけで、学術や技術と同じですね」
これも間違いではない。
その通りだ。
だから、メイが魔術の知識を持っていることは間違いない。
それなのに、メイから全く魔力を感じないのだ。
いったい、どういうことなのだろうか。
*****
ケイと名乗った主人格と、メイと名乗る魔女のやりとりを観察した。
その結果、どうやらメイは魔術の知識はあるが魔術師では無さそうだということが判った。
どうすべきだろうか。
メイに協力させても、役に立つとは思えない。
呪音を使えば、メイを始末することは可能だろう。
メイを始末して元の場所に戻り、再び魔術師に引き抜かれるのを待った方がよいだろうか。
そんな考えが頭をよぎるが、もう少し様子を見ることにする。
それには理由がある。
メイが持っていた魔術書。
あれは本物だ。
メイが本物の魔術書を持っているということは、それを与えた人間がいるということだ。
元の場所であても無く魔術師が来るのを待つより、メイに魔術書を与えた人物と接触する方がよい。
その人物が今もいる保証はないが、それでもあても無く待つよりは可能性が高いはずだ。
それに理由は他にもある。
メイの胸部は、なかなか魅力的だ。
挟まれた感触は極上と言ってよい。
メイを始末して、あの胸部が失われてしまうのは少々惜しい。
長い年月を待ったのだ。
もう少しくらい待つのは、さほど苦痛ではない。
*****
「やれやれ、散らかっているね」
メイの祖母らしい人物を見かける機会があった。
メイに魔術書を与えた人物かと期待したのだが、どうやら違うようだ。
魔力を感じない。
しかし、去り際に気になることを言っていた。
「あの子、まだこんなものを信じているのかね」
身体が土に埋められたことにより主人格が眠りにつきそうになっているが、自分には関係ない。
メイの祖母の言葉は聞き取ることができた。
「こんなものを持っていたって、両親が戻ってくるわけじゃないっていうのに・・・・・」
メイの祖母は確かにそう言った。
魔術書とメイの両親の関係性は分からないが、何かしらの繋がりはあるようだ。
もしかしたら、メイの両親が魔術師の可能性がある。
メイに魔力は無いが、片親が魔術士でないのなら、魔力が遺伝しなくても不思議なことではない。
しかし、メイの祖母は戻ってくるわけではないと言った。
その言葉から考えると、メイの両親に接触できる可能性は低そうだ。
方針を変えた方がよいだろうか。
だが、補足とも繋がりが切れてしまうのは避けたい。
考えた結果、もう少しだけ様子を見ることにした。
*****
メイが熱を出した。
魔術の素材集めで雨に打たれたからだ。
それ自体は大した出来事ではない。
死ぬような状態ではないから、数日で回復するだろう。
だが、メイが熱を出したことがきっかけで、意外な出来事があった。
コンコンッ
メイを訪ねてきたのは、少年と少女だった。
姿も言葉使いも普通の子供のように見える。
しかし、違う。
普通の子供ではない。
その二人からは魔力を感じた。
魔術士だ。
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