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第二章 七不思議の中のマンドラゴラ
057.料理するニャッ?
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「鬼がいるニャッ!」
「しっ!」
大きな声を出そうとするポチを黙らせる。
「・・・・・」
「・・・・・」
誰かがここに近づいてくる気配はない。
そして、ポチが言う鬼、つまり、動いて襲い掛かってくる像が動く気配もない。
「小声で話してくれ」
「わかったニャッ」
ポチに大声を上げないように言い含める。
それにポチが了解したので次の行動だ。
「じゃあ、慎重にあれに近づいてくれ」
俺の言葉を受けて、ポチが慎重に像が置かれているテーブルに近づく。
起き上がって襲い掛かってくるのではないかという不安があったが、そんなことは起きなかった。
何事もなく、近づくことができた。
間近から像を覗き込む。
「校庭にあるものとは別に、もう一体あったわけか」
校庭の像を詳しく調べても無駄足になったに違いない。
でも、ここにある像を調べることには意味がある可能性が高い。
「降ろしてくれ」
俺はポチの頭からテーブルに降りると、像を観察する。
表面の材質が石のようなのは以前と同じだ。
しかし、近づくと微かに焦げくさいにおいがすることに気付いた。
まるで、電子回路がショートしたようなにおいだ。
それで思い付くことがあった。
「メイが雷の魔術(笑)で倒した奴に間違いなさそうだな」
「死んでいるニャッ?」
「死んでいるっていうか・・・壊れているっていうか・・・」
においの原因が雷の魔術(笑)で電子回路が焼かれたことだとしたら、この像はロボットである可能性が高い。
肉の焼けたにおいはしないから、人間が着こんでいるということは無いだろう。
石を焼いた場合も、こんなにおいはしないと思う。
「なんでこんなところに置かれているんだ?」
「家庭科室だから、料理するニャッ?」
「こんなもん食えないだろ」
土を食べる文化があると聞いたことがあるが、あれはミネラルを摂るためだったはずだ。
いくらなんでも、こんな石の塊をわざわざ食べる意味があるとは思えない。
そんな、いつ聞いたかもわからない前世の知識をもとに考え事をする。
すると、手術台という単語が頭に思い浮かんだ。
そうだ。
この光景は、まな板の上に乗せられた食材というよりは、手術を待つ患者のように見える。
その対象が人間でないから治療という表現はおかしいが、修理という表現ならしっくりくる。
そこまで考えて、改めて今いる場所を認識する。
そういえば、メイは大根おろし器を魔術の道具として利用していた。
メイがへっぽこなせいだと思っていたが、考えてみたら料理道具はそういう道具としても利用できるのではないだろうか。
刃物はあるし、容器はあるし、すりおろす道具や削る道具などもある。
家庭科室は、そういう道具が揃っている場所だ。
さらに、工作室があれば機械を修理する道具もありそうだ。
専門的で巨大な機器や部屋が必要な精密機械は無理だろうけど、簡単な機械なら可能だと思う。
それに、広い場所が必要なら、校庭や地下を利用するという方法もある。
「・・・・・」
「どうしたニャッ?」
なんだか、嫌な予感がしてきた。
このまま調べ続けて大丈夫だろうか。
きっかけは七不思議だった。
七不思議を不思議なままにしておけば、メイは無事に学校を卒業できるだろう。
けど、七不思議の正体を全て暴いたとき、メイは無事に学校を卒業できるだろうか。
残っている七不思議は二つ。
四、校舎の段数が変わる階段
七、家庭科室から漂ってくる異臭
このうち七は、調べたら正体がわかりそうな気がする。
おそらく、魔術関連か科学関連の『なにか』だ。
そして、それを踏まえると、四のついても推測できる。
普段は無い階段が現れる。
それはつまり、隠し階段のことなんじゃないだろうか。
その先に足を踏み入れて大丈夫だろうか。
直感を信じるなら、大丈夫じゃない気がする。
「・・・調べるのはここまでにして帰るぞ」
「鬼をこのままにしておくのかニャッ。あたし、こいつに襲われたニャッ」
「もう壊れて・・・死んでるよ。メイが仇を討ってくれたんだから、それでいいだろ」
「むぅ」
ポチは不満そうに膨れている。
けど、これ以上は調べないと決めたからには、できるだけ調べたという証拠は残さない方がいい。
「メイに迷惑をかけるのは嫌だろ?」
「わかったニャッ・・・えいっ!」
ポチは最後の仕返しとばかりに、像の顔に猫パンチを食らわせる。
言うことを聞いてくれたのだから、そのくらいはいいだろう。
そう思ったところで、俺の身体が真っ二つになって千切れとんだ。
「しっ!」
大きな声を出そうとするポチを黙らせる。
「・・・・・」
「・・・・・」
誰かがここに近づいてくる気配はない。
そして、ポチが言う鬼、つまり、動いて襲い掛かってくる像が動く気配もない。
「小声で話してくれ」
「わかったニャッ」
ポチに大声を上げないように言い含める。
それにポチが了解したので次の行動だ。
「じゃあ、慎重にあれに近づいてくれ」
俺の言葉を受けて、ポチが慎重に像が置かれているテーブルに近づく。
起き上がって襲い掛かってくるのではないかという不安があったが、そんなことは起きなかった。
何事もなく、近づくことができた。
間近から像を覗き込む。
「校庭にあるものとは別に、もう一体あったわけか」
校庭の像を詳しく調べても無駄足になったに違いない。
でも、ここにある像を調べることには意味がある可能性が高い。
「降ろしてくれ」
俺はポチの頭からテーブルに降りると、像を観察する。
表面の材質が石のようなのは以前と同じだ。
しかし、近づくと微かに焦げくさいにおいがすることに気付いた。
まるで、電子回路がショートしたようなにおいだ。
それで思い付くことがあった。
「メイが雷の魔術(笑)で倒した奴に間違いなさそうだな」
「死んでいるニャッ?」
「死んでいるっていうか・・・壊れているっていうか・・・」
においの原因が雷の魔術(笑)で電子回路が焼かれたことだとしたら、この像はロボットである可能性が高い。
肉の焼けたにおいはしないから、人間が着こんでいるということは無いだろう。
石を焼いた場合も、こんなにおいはしないと思う。
「なんでこんなところに置かれているんだ?」
「家庭科室だから、料理するニャッ?」
「こんなもん食えないだろ」
土を食べる文化があると聞いたことがあるが、あれはミネラルを摂るためだったはずだ。
いくらなんでも、こんな石の塊をわざわざ食べる意味があるとは思えない。
そんな、いつ聞いたかもわからない前世の知識をもとに考え事をする。
すると、手術台という単語が頭に思い浮かんだ。
そうだ。
この光景は、まな板の上に乗せられた食材というよりは、手術を待つ患者のように見える。
その対象が人間でないから治療という表現はおかしいが、修理という表現ならしっくりくる。
そこまで考えて、改めて今いる場所を認識する。
そういえば、メイは大根おろし器を魔術の道具として利用していた。
メイがへっぽこなせいだと思っていたが、考えてみたら料理道具はそういう道具としても利用できるのではないだろうか。
刃物はあるし、容器はあるし、すりおろす道具や削る道具などもある。
家庭科室は、そういう道具が揃っている場所だ。
さらに、工作室があれば機械を修理する道具もありそうだ。
専門的で巨大な機器や部屋が必要な精密機械は無理だろうけど、簡単な機械なら可能だと思う。
それに、広い場所が必要なら、校庭や地下を利用するという方法もある。
「・・・・・」
「どうしたニャッ?」
なんだか、嫌な予感がしてきた。
このまま調べ続けて大丈夫だろうか。
きっかけは七不思議だった。
七不思議を不思議なままにしておけば、メイは無事に学校を卒業できるだろう。
けど、七不思議の正体を全て暴いたとき、メイは無事に学校を卒業できるだろうか。
残っている七不思議は二つ。
四、校舎の段数が変わる階段
七、家庭科室から漂ってくる異臭
このうち七は、調べたら正体がわかりそうな気がする。
おそらく、魔術関連か科学関連の『なにか』だ。
そして、それを踏まえると、四のついても推測できる。
普段は無い階段が現れる。
それはつまり、隠し階段のことなんじゃないだろうか。
その先に足を踏み入れて大丈夫だろうか。
直感を信じるなら、大丈夫じゃない気がする。
「・・・調べるのはここまでにして帰るぞ」
「鬼をこのままにしておくのかニャッ。あたし、こいつに襲われたニャッ」
「もう壊れて・・・死んでるよ。メイが仇を討ってくれたんだから、それでいいだろ」
「むぅ」
ポチは不満そうに膨れている。
けど、これ以上は調べないと決めたからには、できるだけ調べたという証拠は残さない方がいい。
「メイに迷惑をかけるのは嫌だろ?」
「わかったニャッ・・・えいっ!」
ポチは最後の仕返しとばかりに、像の顔に猫パンチを食らわせる。
言うことを聞いてくれたのだから、そのくらいはいいだろう。
そう思ったところで、俺の身体が真っ二つになって千切れとんだ。
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