54 / 75
第二章 七不思議の中のマンドラゴラ
054.にゃ?
しおりを挟む
「いってきます。二人ともお留守番していてくださいね」
「いってらっしゃい」
「わかったのニャッ」
メイの作った朝食を食べて、出かけるメイを見送る。
男の俺と子供のポチは留守番。
これでメイの行き先が仕事だったら、俺は完璧にヒモだな。
もしくは、ペット。
ペットならご主人様の帰りを従順に待つものなのだろうけど、そういうわけにもいかない。
「うにゃ~~~」
ポチはさっそくゴロゴロしている。
狩人の一族とか言っていたが、家猫にしか見えない。
陽当たりのよい場所を確保して、日向ぼっこを始めようとしている。
俺はそれに声をかける。
「ポチ、おまえ学校までの道は覚えているか?」
「うにゃ?」
声をかけられて、ポチがこちらに振り向く。
「もちろん覚えているのニャッ。狩場を調べるのは狩りの基本ニャッ。周囲もしっかり調べたのニャッ」
それは都合がいい。
逃げ道にも詳しそうだ。
俺はポチに提案する。
「なら、メイの学校に行ってみないか?」
「にゃ?」
提案を聞いて、ポチは考える。
「ダメなのニャッ。留守番しているように言われたのニャッ」
ポチは義理堅くメイに言われたことを守ろうとする。
すっかり従順なペットだ。
メイを襲うことは無さそうだからそれはいいのだが、今はちょっと都合が悪い。
だから、説得することにする。
「あのな、ポチ。メイは朝に学校に行って、夕方に学校から帰って来るんだ。俺とポチはメイが帰ってくるまで留守番しなきゃいけない」
「そうニャッ」
俺の言葉にポチが頷く。
それを確認して、俺は話を続ける。
「うん、そうだな。だけどな、このままじゃ、メイが帰ってこれないかも知れないんだ」
「にゃ?」
俺の言葉にポチが首を傾げる。
また、俺が何を言いたいのか分からないのだろう。
「メイが帰ってこれないということは、俺とポチは留守番を終えることができないということだ。それは、ちゃんと留守番をしたということにはならない」
「それは困るのニャッ」
別に嘘は行っていない。
ただ、ちょっとだけ話をすり替えただけだ。
しかし、ポチはそのことに気付かない。
「そうだな、困るな。だからさ、メイが帰ってこれるように学校へ行く必要があるんだ」
「???」
「メイが帰るのを邪魔するやつらを狩ってしまおうってことだよ」
「狩りは得意なのニャッ」
俺が学校に行こうとする理由。
それは、学校でメイの安全が保障されているかを確認するためだ。
隠しカメラ、動き回る像。
それらが、メイを害するものかどうかを確認する必要がある。
ポチの動きが俊敏なのは七不思議を調べたときに見ているので、協力者としてはうってつけだ。
その上、惚れ薬の効果で、今のところメイに敵対する意志は無い。
「そういう理由で、俺は学校に行こうと思うんだが、ポチも一緒に来るか?」
「一緒に行くニャッ」
言いくるめ、もとい、説得は成功だ。
実際には、俺が自力で学校まで行くのは無理なのでポチに運んでもらう必要があるのだが、俺が主導してポチがついてくるという形にすることができた。
これで、俺の言うことを、ある程度聞いてくれるんじゃないだろうか。
「それじゃあ、さっそく出かけるぞ。人目につかないようにする必要があるが、大丈夫か」
「任せるのニャッ」
力強い返事を聞いて、俺はメイによじ登る。
肩まで来たところで、俺はポチの胸元に視線を下ろす。
メイに運んでもらうときはそこに座らせてもらっていたのだが、ポチのそこは座る場所が無さそうだ。
ここからだとシャツの中身が見えるのだが、ブラをつけている様子もない。
必要ないからだろう。
どこかいい場所はないだろうか。
腕を組んで上を向き、俺は見つけた。
「ポチ、頭の上に乗せてもらっていいか?」
「わかったのニャッ」
ポチが俺をつかんで、自分の頭に乗せる。
俺は猫耳の間に収まり、猫耳にしがみつく。
もふもふ具合がいい感じだ。
「くすぐったいのニャッ」
ピクピクと猫耳が動く。
持つ場所を微妙に変えると、ポチはくすぐったそうにするのを止める。
ふむ。
なんだが、巨大ロボットの操縦桿を握っているような気分になってきた。
「よし!それじゃあ、出発!」
「おーっ!」
俺はポチを伴って、メイの通う学校に向かう。
「いってらっしゃい」
「わかったのニャッ」
メイの作った朝食を食べて、出かけるメイを見送る。
男の俺と子供のポチは留守番。
これでメイの行き先が仕事だったら、俺は完璧にヒモだな。
もしくは、ペット。
ペットならご主人様の帰りを従順に待つものなのだろうけど、そういうわけにもいかない。
「うにゃ~~~」
ポチはさっそくゴロゴロしている。
狩人の一族とか言っていたが、家猫にしか見えない。
陽当たりのよい場所を確保して、日向ぼっこを始めようとしている。
俺はそれに声をかける。
「ポチ、おまえ学校までの道は覚えているか?」
「うにゃ?」
声をかけられて、ポチがこちらに振り向く。
「もちろん覚えているのニャッ。狩場を調べるのは狩りの基本ニャッ。周囲もしっかり調べたのニャッ」
それは都合がいい。
逃げ道にも詳しそうだ。
俺はポチに提案する。
「なら、メイの学校に行ってみないか?」
「にゃ?」
提案を聞いて、ポチは考える。
「ダメなのニャッ。留守番しているように言われたのニャッ」
ポチは義理堅くメイに言われたことを守ろうとする。
すっかり従順なペットだ。
メイを襲うことは無さそうだからそれはいいのだが、今はちょっと都合が悪い。
だから、説得することにする。
「あのな、ポチ。メイは朝に学校に行って、夕方に学校から帰って来るんだ。俺とポチはメイが帰ってくるまで留守番しなきゃいけない」
「そうニャッ」
俺の言葉にポチが頷く。
それを確認して、俺は話を続ける。
「うん、そうだな。だけどな、このままじゃ、メイが帰ってこれないかも知れないんだ」
「にゃ?」
俺の言葉にポチが首を傾げる。
また、俺が何を言いたいのか分からないのだろう。
「メイが帰ってこれないということは、俺とポチは留守番を終えることができないということだ。それは、ちゃんと留守番をしたということにはならない」
「それは困るのニャッ」
別に嘘は行っていない。
ただ、ちょっとだけ話をすり替えただけだ。
しかし、ポチはそのことに気付かない。
「そうだな、困るな。だからさ、メイが帰ってこれるように学校へ行く必要があるんだ」
「???」
「メイが帰るのを邪魔するやつらを狩ってしまおうってことだよ」
「狩りは得意なのニャッ」
俺が学校に行こうとする理由。
それは、学校でメイの安全が保障されているかを確認するためだ。
隠しカメラ、動き回る像。
それらが、メイを害するものかどうかを確認する必要がある。
ポチの動きが俊敏なのは七不思議を調べたときに見ているので、協力者としてはうってつけだ。
その上、惚れ薬の効果で、今のところメイに敵対する意志は無い。
「そういう理由で、俺は学校に行こうと思うんだが、ポチも一緒に来るか?」
「一緒に行くニャッ」
言いくるめ、もとい、説得は成功だ。
実際には、俺が自力で学校まで行くのは無理なのでポチに運んでもらう必要があるのだが、俺が主導してポチがついてくるという形にすることができた。
これで、俺の言うことを、ある程度聞いてくれるんじゃないだろうか。
「それじゃあ、さっそく出かけるぞ。人目につかないようにする必要があるが、大丈夫か」
「任せるのニャッ」
力強い返事を聞いて、俺はメイによじ登る。
肩まで来たところで、俺はポチの胸元に視線を下ろす。
メイに運んでもらうときはそこに座らせてもらっていたのだが、ポチのそこは座る場所が無さそうだ。
ここからだとシャツの中身が見えるのだが、ブラをつけている様子もない。
必要ないからだろう。
どこかいい場所はないだろうか。
腕を組んで上を向き、俺は見つけた。
「ポチ、頭の上に乗せてもらっていいか?」
「わかったのニャッ」
ポチが俺をつかんで、自分の頭に乗せる。
俺は猫耳の間に収まり、猫耳にしがみつく。
もふもふ具合がいい感じだ。
「くすぐったいのニャッ」
ピクピクと猫耳が動く。
持つ場所を微妙に変えると、ポチはくすぐったそうにするのを止める。
ふむ。
なんだが、巨大ロボットの操縦桿を握っているような気分になってきた。
「よし!それじゃあ、出発!」
「おーっ!」
俺はポチを伴って、メイの通う学校に向かう。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
知識0から創る異世界辞典(ストラペディア)~チャラ駄神を添えて~
degirock/でじろっく
ファンタジー
「【なろうぜ系】って分かる?」
「分かりません」
「ラノベ読んだ事無い?」
「ありません」
「ラノベって分かる?」
「ライトノベルの略です」
「漫画は?」
「読みません」
「ゲーム」
「しません」
「テレビ」
「見ません」
「ざけんなおらあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
サブカル0知識の私が死んだ先で背負わされたのは、
異世界情報を詰め込んだ【異世界辞典】の編纂作業でした。
========================
利己的な人間に歪まされた自分の居場所を守る為に、私は私の正しさを貫く事で歪みを利己的な人間ごと排斥しようとした。
結果、利己的な人間により私の人生は幕を下ろした。
…違う。本当に利己的であったのは、紛まぎれも無く、私だ。間違えてしまったのだ。私は。その事実だけは間違えてはならない。
「……私は確かに、正しさという物を間違えました」
「そうだよなァ!? 綺麗事はやめようよ、ねェ! キミは正義の味方でも何でもないでしょォ!?」
我が意を得たり、と言わんばかりに醜くく歪んだ笑顔を見せる創造主。
そんな主に作られた、弄れるかわいそうな命。
違う…、違う!! その命達を憐れむ権利など私には無い!
「───だから?」
「……へっ?」
「だから、それがどうかしたんですか。私は今度こそ私の正しさを貫き通します。あなたが生み出したこの星の命へ、そしてあなたへ」
彼等のその手にそれぞれ強制的に渡されたとある本。それは目の前に浮かぶ地球によく似た星そのものであり、これから歩む人生でもある。二人の未熟なカミサマに与えられた使命、それはその本を完成させる事。
誰の思惑なのか、何故選ばれたのか、それすらも分からず。
一人は自らの正しさを証明する為に。
一人は自らの人生を否定し自由に生きる為に。
───これは、意図せず『カミサマ』の役目を負わされてしまった不完全な者達が、自ら傷付きながらも気付き立ち上がり、繰り返しては進んでいく天地創造の軌跡である。
遺伝子操作でファンタジーの住人を創るならエルフよりオークの方がよいと思うのでやってみた。
かみゅG
ファンタジー
ゴブリン。
オーガ。
オーク。
エルフ。
ドワーフ。
ファンタジーの住人達。
もし、彼らを創り出すことができるとしたら、どの種族がよいだろうか。
強さを求める者。
美しさを求める者。
様々だろう。
しかし、世界の役に立つという観点で考えた場合、答えは明確だ。
オークである。
「だから、創ってみた」
「なにしてくれちゃってんの、このアホーーーッ!!!」
教授と助手による、特に異世界に転移も転生もしない冒険が、今!始まる!


ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる