森の中のマンドラゴラ~異世界は平和だったので、おっぱいとたわむれることにする~

かみゅG

文字の大きさ
上 下
52 / 75
第二章 七不思議の中のマンドラゴラ

052.ずるじゃないのニャッ

しおりを挟む
「狩人の一族は、狩りをする一族なのニャッ」
「まあ、猫は狩りをするイメージがあるな。それで?」

 ポチの説明に相槌を打って、先を促す。

「狩りの一族は、猪とか熊とかを狩るのニャッ」
「そういえば、森の奥で出るらしいな」

 メイがそんなようなことを言っていた覚えがある。
 しかし、この世界の猪や熊がどんなものかは知らないが、ポチのような子供が野生の獣を狩るのは危険な気がする。
 集団で狩りをしないのだろうか。
 俺が疑問に思っていることに気付いたのか、ポチがその辺りを説明する。

「普通は群れで狩りをするのニャッ。でも、例外もあるのニャッ」
「例外?」

 ポチがこくりと頷く。

「一人前の狩人として認めてもらう試験のときだけは、一人で狩りをするのニャッ。あたしは、その試験の最中だったのニャッ」
「それで学校で一人でいたのか」
「そうなのニャッ」

 なるほどと納得しかけて、まだ疑問が残っていることに気付く。

「なんで学校なんだ?それに戦っていた相手はなんだ?」

 猪や熊を狩るなら森なんじゃないだろうか。
 それに戦っていた相手は猪や熊じゃなく中年男性の像だった。
 訳が分からない。
 問いかけるようにポチを見ると、ふいっと目を逸らされる。
 なにか言いたくないことがあるような反応だ。
 じーっと見詰めていると、やがて観念したかのように話し始める。

「猪や熊を一人で狩るのは危険なのニャッ」
「まあ、そうだろうな」
「けど、一人前の狩人として認めてもらうためには、一人で獲物を狩る必要があるのニャッ」
「ほう」

 それは、なかなか難易度が高いのではないだろうか。

「獲物を狩るまで群れには戻れないのニャッ」

 どうやら厳しい一族のようだ。
 こんな子供に一人で狩りをさせて、獲物を狩るまで帰ることを許さないなんて、元いた世界ではあり得ない。

「大変だったんですねぇ。よしよし」
「ニャ~~~♪」

 横で話を聞いていたメイが、ポチの頭を撫でる。
 ポチは甘えるように、自分から頭を擦り付ける。
 和む光景だが、話はまだ終わっていない。
 というか、さっき質問したことに関して、なんの答えにもなっていない。

「それで、学校にいた理由と、相手の正体は?」

 俺は再度質問する。
 ポチの一族のことはなんとなくわかったが、重要なのはそっちだ。
 ポチは話したくなさそうにしながらも口を開く。
 どうやら、ここから先が話したくない内容のようだ。

「試験は一人でしなくちゃいけないけど、狩る獲物はなんでもいいのニャッ。猪や熊より簡単な獲物を狩っても、ずるじゃないのニャッ」

 なるほど。
 それが話しづらそうにしていた理由か。
 ずるをしているように思われるのが嫌だったのだろう。
 けど、ポチは子供なのだから、そのくらいのハンデはずるではないと思う。

「村の大人達に教えてもらったのニャッ。あの建物に狩りやすい獲物がいるのニャッ」

 その建物というのは、メイが通う学校のことだろう。
 しかし、そうなると狩りやすい獲物というのは、

「人間の子供が獲物ってわけか」
「そういうことニャッ」

 そういうことになる。
 思ったより、やっかいな話になってきたな。
 学校、狩り、そして七不思議。
 嫌な方向に話が繋がりそうな気がする。
 七不思議に出てきた、殺人鬼と異臭。
 殺人鬼が狩りをするポチの一族だと仮定すると、異臭が発生するということは、

「狩った子供はどうするんだ?まさか・・・」

 獲物を獲物として処理している可能性がある。
 あまり想像したくないが、具体的に言うと食べるために肉として処理するということだ。
 嫌な推測にぞくりとするが、ポチの答えはそんなおぞましい内容ではなかった。

「キャッチ、アンド、リリースなのニャッ。一人前の狩人は、不要な殺生をしないのニャッ」
「そうか」

 その言葉に、ほっとする。
 殺人鬼の正体は、ポチの一族じゃないみたいだ。
 しかし、そうなると七不思議に出てくる殺人鬼は、もう片方ということになる。

「でも、失敗しちゃったのニャッ。あの建物には鬼がいたのニャッ」
「鬼?」
「人間の姿をしているけど、人間より怖い相手なのニャッ。群れの仲間が殺されることもあるのニャッ」

 ポチの話は予想通りだったけど、まったく嬉しくない。
 むしろ、外れて欲しかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

知識0から創る異世界辞典(ストラペディア)~チャラ駄神を添えて~

degirock/でじろっく
ファンタジー
「【なろうぜ系】って分かる?」 「分かりません」 「ラノベ読んだ事無い?」 「ありません」 「ラノベって分かる?」 「ライトノベルの略です」 「漫画は?」 「読みません」 「ゲーム」 「しません」 「テレビ」 「見ません」 「ざけんなおらあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」  サブカル0知識の私が死んだ先で背負わされたのは、  異世界情報を詰め込んだ【異世界辞典】の編纂作業でした。 ========================  利己的な人間に歪まされた自分の居場所を守る為に、私は私の正しさを貫く事で歪みを利己的な人間ごと排斥しようとした。  結果、利己的な人間により私の人生は幕を下ろした。  …違う。本当に利己的であったのは、紛まぎれも無く、私だ。間違えてしまったのだ。私は。その事実だけは間違えてはならない。 「……私は確かに、正しさという物を間違えました」 「そうだよなァ!? 綺麗事はやめようよ、ねェ! キミは正義の味方でも何でもないでしょォ!?」  我が意を得たり、と言わんばかりに醜くく歪んだ笑顔を見せる創造主。  そんな主に作られた、弄れるかわいそうな命。  違う…、違う!! その命達を憐れむ権利など私には無い! 「───だから?」 「……へっ?」 「だから、それがどうかしたんですか。私は今度こそ私の正しさを貫き通します。あなたが生み出したこの星の命へ、そしてあなたへ」      彼等のその手にそれぞれ強制的に渡されたとある本。それは目の前に浮かぶ地球によく似た星そのものであり、これから歩む人生でもある。二人の未熟なカミサマに与えられた使命、それはその本を完成させる事。  誰の思惑なのか、何故選ばれたのか、それすらも分からず。  一人は自らの正しさを証明する為に。  一人は自らの人生を否定し自由に生きる為に。  ───これは、意図せず『カミサマ』の役目を負わされてしまった不完全な者達が、自ら傷付きながらも気付き立ち上がり、繰り返しては進んでいく天地創造の軌跡である。

遺伝子操作でファンタジーの住人を創るならエルフよりオークの方がよいと思うのでやってみた。

かみゅG
ファンタジー
 ゴブリン。  オーガ。  オーク。  エルフ。  ドワーフ。  ファンタジーの住人達。  もし、彼らを創り出すことができるとしたら、どの種族がよいだろうか。  強さを求める者。  美しさを求める者。  様々だろう。  しかし、世界の役に立つという観点で考えた場合、答えは明確だ。  オークである。 「だから、創ってみた」 「なにしてくれちゃってんの、このアホーーーッ!!!」  教授と助手による、特に異世界に転移も転生もしない冒険が、今!始まる!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

処理中です...