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第二章 七不思議の中のマンドラゴラ
052.ずるじゃないのニャッ
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「狩人の一族は、狩りをする一族なのニャッ」
「まあ、猫は狩りをするイメージがあるな。それで?」
ポチの説明に相槌を打って、先を促す。
「狩りの一族は、猪とか熊とかを狩るのニャッ」
「そういえば、森の奥で出るらしいな」
メイがそんなようなことを言っていた覚えがある。
しかし、この世界の猪や熊がどんなものかは知らないが、ポチのような子供が野生の獣を狩るのは危険な気がする。
集団で狩りをしないのだろうか。
俺が疑問に思っていることに気付いたのか、ポチがその辺りを説明する。
「普通は群れで狩りをするのニャッ。でも、例外もあるのニャッ」
「例外?」
ポチがこくりと頷く。
「一人前の狩人として認めてもらう試験のときだけは、一人で狩りをするのニャッ。あたしは、その試験の最中だったのニャッ」
「それで学校で一人でいたのか」
「そうなのニャッ」
なるほどと納得しかけて、まだ疑問が残っていることに気付く。
「なんで学校なんだ?それに戦っていた相手はなんだ?」
猪や熊を狩るなら森なんじゃないだろうか。
それに戦っていた相手は猪や熊じゃなく中年男性の像だった。
訳が分からない。
問いかけるようにポチを見ると、ふいっと目を逸らされる。
なにか言いたくないことがあるような反応だ。
じーっと見詰めていると、やがて観念したかのように話し始める。
「猪や熊を一人で狩るのは危険なのニャッ」
「まあ、そうだろうな」
「けど、一人前の狩人として認めてもらうためには、一人で獲物を狩る必要があるのニャッ」
「ほう」
それは、なかなか難易度が高いのではないだろうか。
「獲物を狩るまで群れには戻れないのニャッ」
どうやら厳しい一族のようだ。
こんな子供に一人で狩りをさせて、獲物を狩るまで帰ることを許さないなんて、元いた世界ではあり得ない。
「大変だったんですねぇ。よしよし」
「ニャ~~~♪」
横で話を聞いていたメイが、ポチの頭を撫でる。
ポチは甘えるように、自分から頭を擦り付ける。
和む光景だが、話はまだ終わっていない。
というか、さっき質問したことに関して、なんの答えにもなっていない。
「それで、学校にいた理由と、相手の正体は?」
俺は再度質問する。
ポチの一族のことはなんとなくわかったが、重要なのはそっちだ。
ポチは話したくなさそうにしながらも口を開く。
どうやら、ここから先が話したくない内容のようだ。
「試験は一人でしなくちゃいけないけど、狩る獲物はなんでもいいのニャッ。猪や熊より簡単な獲物を狩っても、ずるじゃないのニャッ」
なるほど。
それが話しづらそうにしていた理由か。
ずるをしているように思われるのが嫌だったのだろう。
けど、ポチは子供なのだから、そのくらいのハンデはずるではないと思う。
「村の大人達に教えてもらったのニャッ。あの建物に狩りやすい獲物がいるのニャッ」
その建物というのは、メイが通う学校のことだろう。
しかし、そうなると狩りやすい獲物というのは、
「人間の子供が獲物ってわけか」
「そういうことニャッ」
そういうことになる。
思ったより、やっかいな話になってきたな。
学校、狩り、そして七不思議。
嫌な方向に話が繋がりそうな気がする。
七不思議に出てきた、殺人鬼と異臭。
殺人鬼が狩りをするポチの一族だと仮定すると、異臭が発生するということは、
「狩った子供はどうするんだ?まさか・・・」
獲物を獲物として処理している可能性がある。
あまり想像したくないが、具体的に言うと食べるために肉として処理するということだ。
嫌な推測にぞくりとするが、ポチの答えはそんなおぞましい内容ではなかった。
「キャッチ、アンド、リリースなのニャッ。一人前の狩人は、不要な殺生をしないのニャッ」
「そうか」
その言葉に、ほっとする。
殺人鬼の正体は、ポチの一族じゃないみたいだ。
しかし、そうなると七不思議に出てくる殺人鬼は、もう片方ということになる。
「でも、失敗しちゃったのニャッ。あの建物には鬼がいたのニャッ」
「鬼?」
「人間の姿をしているけど、人間より怖い相手なのニャッ。群れの仲間が殺されることもあるのニャッ」
ポチの話は予想通りだったけど、まったく嬉しくない。
むしろ、外れて欲しかった。
「まあ、猫は狩りをするイメージがあるな。それで?」
ポチの説明に相槌を打って、先を促す。
「狩りの一族は、猪とか熊とかを狩るのニャッ」
「そういえば、森の奥で出るらしいな」
メイがそんなようなことを言っていた覚えがある。
しかし、この世界の猪や熊がどんなものかは知らないが、ポチのような子供が野生の獣を狩るのは危険な気がする。
集団で狩りをしないのだろうか。
俺が疑問に思っていることに気付いたのか、ポチがその辺りを説明する。
「普通は群れで狩りをするのニャッ。でも、例外もあるのニャッ」
「例外?」
ポチがこくりと頷く。
「一人前の狩人として認めてもらう試験のときだけは、一人で狩りをするのニャッ。あたしは、その試験の最中だったのニャッ」
「それで学校で一人でいたのか」
「そうなのニャッ」
なるほどと納得しかけて、まだ疑問が残っていることに気付く。
「なんで学校なんだ?それに戦っていた相手はなんだ?」
猪や熊を狩るなら森なんじゃないだろうか。
それに戦っていた相手は猪や熊じゃなく中年男性の像だった。
訳が分からない。
問いかけるようにポチを見ると、ふいっと目を逸らされる。
なにか言いたくないことがあるような反応だ。
じーっと見詰めていると、やがて観念したかのように話し始める。
「猪や熊を一人で狩るのは危険なのニャッ」
「まあ、そうだろうな」
「けど、一人前の狩人として認めてもらうためには、一人で獲物を狩る必要があるのニャッ」
「ほう」
それは、なかなか難易度が高いのではないだろうか。
「獲物を狩るまで群れには戻れないのニャッ」
どうやら厳しい一族のようだ。
こんな子供に一人で狩りをさせて、獲物を狩るまで帰ることを許さないなんて、元いた世界ではあり得ない。
「大変だったんですねぇ。よしよし」
「ニャ~~~♪」
横で話を聞いていたメイが、ポチの頭を撫でる。
ポチは甘えるように、自分から頭を擦り付ける。
和む光景だが、話はまだ終わっていない。
というか、さっき質問したことに関して、なんの答えにもなっていない。
「それで、学校にいた理由と、相手の正体は?」
俺は再度質問する。
ポチの一族のことはなんとなくわかったが、重要なのはそっちだ。
ポチは話したくなさそうにしながらも口を開く。
どうやら、ここから先が話したくない内容のようだ。
「試験は一人でしなくちゃいけないけど、狩る獲物はなんでもいいのニャッ。猪や熊より簡単な獲物を狩っても、ずるじゃないのニャッ」
なるほど。
それが話しづらそうにしていた理由か。
ずるをしているように思われるのが嫌だったのだろう。
けど、ポチは子供なのだから、そのくらいのハンデはずるではないと思う。
「村の大人達に教えてもらったのニャッ。あの建物に狩りやすい獲物がいるのニャッ」
その建物というのは、メイが通う学校のことだろう。
しかし、そうなると狩りやすい獲物というのは、
「人間の子供が獲物ってわけか」
「そういうことニャッ」
そういうことになる。
思ったより、やっかいな話になってきたな。
学校、狩り、そして七不思議。
嫌な方向に話が繋がりそうな気がする。
七不思議に出てきた、殺人鬼と異臭。
殺人鬼が狩りをするポチの一族だと仮定すると、異臭が発生するということは、
「狩った子供はどうするんだ?まさか・・・」
獲物を獲物として処理している可能性がある。
あまり想像したくないが、具体的に言うと食べるために肉として処理するということだ。
嫌な推測にぞくりとするが、ポチの答えはそんなおぞましい内容ではなかった。
「キャッチ、アンド、リリースなのニャッ。一人前の狩人は、不要な殺生をしないのニャッ」
「そうか」
その言葉に、ほっとする。
殺人鬼の正体は、ポチの一族じゃないみたいだ。
しかし、そうなると七不思議に出てくる殺人鬼は、もう片方ということになる。
「でも、失敗しちゃったのニャッ。あの建物には鬼がいたのニャッ」
「鬼?」
「人間の姿をしているけど、人間より怖い相手なのニャッ。群れの仲間が殺されることもあるのニャッ」
ポチの話は予想通りだったけど、まったく嬉しくない。
むしろ、外れて欲しかった。
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