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第二章 七不思議の中のマンドラゴラ
050.ニャッ!
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「なんなんですか、この縛り方?」
縛り上げられた獣人少女を見ながら、メイが尋ねてくる。
実際に縛ったのはメイだが、指示を出したのは俺だ。
これがどんな縛り方なのか気になるのだろう。
「これは俺のいた世界の伝統的な縛り方なんだ」
「へー」
伝統的と聞いて、メイが感心した相槌を打つ。
「元々は重くて大きいものを縛るための方法だったんだけど、縛り方が複雑で解いて逃げるのが難しいから、犯罪者を縛るときにも使用されるようになったんだ」
「へー」
実際、獣人少女はもがき続けているけど、解ける様子は無い。
メイが感心したように相槌を打ってくれるものだから、調子に乗って説明を続ける。
「そして単に解けづらいというだけじゃなくて、見た目の美しさから人気が出てな。特に女性を縛ったときに、胸が強調されるところが・・・」
「へー?」
「・・・ところ・・・が・・・」
「へーーー?」
たらりと汗が垂れる。
いかん。
調子に乗って喋り過ぎたかも知れない。
メイの視線の温度が下がってきたような気がする。
いや、別に嘘は言っていない。
解いて逃げるのが難しいというのは事実だ。
だから、嘘は言っていない。
嘘は言っていないのだが、
「へーーーーー?」
温度は確実に下がっている。
相槌(?)を打ちながら、メイが改めて獣人少女に目を向ける。
ぺったんこのせいで胸が強調されているということは無い。
けど、手足はおろか口まで塞いで、年端もいかない少女の全身を束縛しているというのは、なにかこう犯罪の香りがする。
襲ってきたのは少女の方で、やましいことなど何もしていないはずなのに。
「まあ、なんだ。全身が唾液まみれでべとべとするから、風呂に入り直すか」
別に冷たい視線にさらされて冷え切った身体を温めたかったわけじゃない。
全身が唾液まみれなのは本当だ。
メイも同じだったらしく、縛り方については特に追求してくることは無かった。
*****
「ふぅ。すっきりしましたけど、ちょっとのぼせ気味です」
「二回目だからな」
風呂に入っている間、獣人少女は家の柱にくくりつけておいた。
亀甲縛りの効果は抜群で、風呂から上がっても、少女は同じ場所に縛られたままだった。
頑張っても解けないことを理解したのか、無駄な抵抗は止めて大人しくなっている。
「さて、問題はこいつだな」
「どうしましょうねぇ」
俺とメイが獣人少女に目を向けると、彼女の方もこちらに目を向けてくる。
縛られているというのに、その目に敵意はない。
くりんっとした目は、遊んで欲しくてじゃれついてくる子猫のようにも見える。
こんな姿を見ていると、なんだかこっちがいけないことをしているような気分になってくるな。
メイも同じ気分だったのだろう。
獣人少女に話しかける。
「ねぇ、あなた。もう暴れない?暴れないなら、猿ぐつわを外してあげるよ?」
メイの問いかけに、獣人少女はこくこくと首を縦に振る。
メイが『いいですよね?』と言いたげな視線を向けてきたので頷く。
「ぷはっ」
息苦しかったのか、獣人少女は大きく呼吸をする。
事前に確認したとおり、暴れることも大声を出すことも無かった。
これでコミュニケーションが取れそうだ。
「いくつか質問があるんだがいいか?」
「根っこが喋っているニャッ!不思議ニャッ!」
俺が問いかけると、獣人少女が素っ頓狂な声を出す。
さんざん目の前で喋っていたのだが、気付いていなかったのだろうか。
様子がおかしかったから、その可能性はありそうだ。
「まずは・・・」
「不思議だけど、いい匂いがするニャッ!」
・・・・・
「まずは、おまえの名前を・・・」
「もっと嗅ぎたいニャッ!」
コミュニケーションが取れそうと思ったのは間違いだったかも知れない。
獣人少女は人の話を聞かないタイプのようだ。
くんくんっ
「ん?」
気配を感じて振り返ると、メイが近づいてきて俺の匂いを嗅いでいた。
「なんだ?」
「ケイって、そんなにいい匂いがするのかなって思って」
一緒に風呂に入った直後なんだけどな。
縛り上げられた獣人少女を見ながら、メイが尋ねてくる。
実際に縛ったのはメイだが、指示を出したのは俺だ。
これがどんな縛り方なのか気になるのだろう。
「これは俺のいた世界の伝統的な縛り方なんだ」
「へー」
伝統的と聞いて、メイが感心した相槌を打つ。
「元々は重くて大きいものを縛るための方法だったんだけど、縛り方が複雑で解いて逃げるのが難しいから、犯罪者を縛るときにも使用されるようになったんだ」
「へー」
実際、獣人少女はもがき続けているけど、解ける様子は無い。
メイが感心したように相槌を打ってくれるものだから、調子に乗って説明を続ける。
「そして単に解けづらいというだけじゃなくて、見た目の美しさから人気が出てな。特に女性を縛ったときに、胸が強調されるところが・・・」
「へー?」
「・・・ところ・・・が・・・」
「へーーー?」
たらりと汗が垂れる。
いかん。
調子に乗って喋り過ぎたかも知れない。
メイの視線の温度が下がってきたような気がする。
いや、別に嘘は言っていない。
解いて逃げるのが難しいというのは事実だ。
だから、嘘は言っていない。
嘘は言っていないのだが、
「へーーーーー?」
温度は確実に下がっている。
相槌(?)を打ちながら、メイが改めて獣人少女に目を向ける。
ぺったんこのせいで胸が強調されているということは無い。
けど、手足はおろか口まで塞いで、年端もいかない少女の全身を束縛しているというのは、なにかこう犯罪の香りがする。
襲ってきたのは少女の方で、やましいことなど何もしていないはずなのに。
「まあ、なんだ。全身が唾液まみれでべとべとするから、風呂に入り直すか」
別に冷たい視線にさらされて冷え切った身体を温めたかったわけじゃない。
全身が唾液まみれなのは本当だ。
メイも同じだったらしく、縛り方については特に追求してくることは無かった。
*****
「ふぅ。すっきりしましたけど、ちょっとのぼせ気味です」
「二回目だからな」
風呂に入っている間、獣人少女は家の柱にくくりつけておいた。
亀甲縛りの効果は抜群で、風呂から上がっても、少女は同じ場所に縛られたままだった。
頑張っても解けないことを理解したのか、無駄な抵抗は止めて大人しくなっている。
「さて、問題はこいつだな」
「どうしましょうねぇ」
俺とメイが獣人少女に目を向けると、彼女の方もこちらに目を向けてくる。
縛られているというのに、その目に敵意はない。
くりんっとした目は、遊んで欲しくてじゃれついてくる子猫のようにも見える。
こんな姿を見ていると、なんだかこっちがいけないことをしているような気分になってくるな。
メイも同じ気分だったのだろう。
獣人少女に話しかける。
「ねぇ、あなた。もう暴れない?暴れないなら、猿ぐつわを外してあげるよ?」
メイの問いかけに、獣人少女はこくこくと首を縦に振る。
メイが『いいですよね?』と言いたげな視線を向けてきたので頷く。
「ぷはっ」
息苦しかったのか、獣人少女は大きく呼吸をする。
事前に確認したとおり、暴れることも大声を出すことも無かった。
これでコミュニケーションが取れそうだ。
「いくつか質問があるんだがいいか?」
「根っこが喋っているニャッ!不思議ニャッ!」
俺が問いかけると、獣人少女が素っ頓狂な声を出す。
さんざん目の前で喋っていたのだが、気付いていなかったのだろうか。
様子がおかしかったから、その可能性はありそうだ。
「まずは・・・」
「不思議だけど、いい匂いがするニャッ!」
・・・・・
「まずは、おまえの名前を・・・」
「もっと嗅ぎたいニャッ!」
コミュニケーションが取れそうと思ったのは間違いだったかも知れない。
獣人少女は人の話を聞かないタイプのようだ。
くんくんっ
「ん?」
気配を感じて振り返ると、メイが近づいてきて俺の匂いを嗅いでいた。
「なんだ?」
「ケイって、そんなにいい匂いがするのかなって思って」
一緒に風呂に入った直後なんだけどな。
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