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第二章 七不思議の中のマンドラゴラ
045.えへんっ
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「えへんっ」
メイがドヤ顔をしている。
どうやら褒めて欲しいようだ。
確かに剣を持った相手を倒したことは認めよう。
けど、なんだか納得いかない。
「スタンガンじゃん!」
「雷の魔術ですよぅ」
俺の心からの叫びに、メイは何が不満なんだという顔をする。
しかし、不満なのは、こっちだ。
「やっぱりここは、異世界じゃなくて、元いた世界だろう」
メイが雷の魔術と称して繰り出したのは、電撃が迸る魔術じゃなくて、どうみてもスタンガンだ。
科学技術で作られた代物だ。
ちょっぴり期待してしまった気持ちを返して欲しい。
とはいえ、剣を持った危険な相手を倒したことは確かだ。
そこだけは素直に褒めてもいい。
「まあ、手段はともかく、よくやった」
「えへへ」
俺が褒めてやると、メイは照れてはにかむ。
『手段はともかく』と言ったのだが、そこは気にしていないようだ。
「今のうちに逃げたいけど、こいつら放っておいていいのかな?」
拳で戦っていた人影は、剣で戦っていた相手が倒した。
剣で戦っていた人影は、メイが倒した。
ここには二人の不審人物が倒れていることになる。
自分達の身の安全を第一に考えるなら放っておくのが一番だが、どちらかが先に目覚めて、もう片方を殺しでもしたら寝覚めが悪い。
どうしたものかと、メイが倒した相手に目を向ける。
そこで、あることに気付いた。
「・・・なあ、メイ」
「なんですか?」
「メイが倒した相手って・・・」
「あれ?」
俺の言葉にメイもそちらを見る。
そして、俺と同じことに気付いたようだ。
「校庭にあった像ですね」
剣を持っているが、間違いない。
そこに倒れていたのは、校庭に置かれていた像だった。
人間が被り物をしているわけじゃなさそうだ。
「ロボット?」
七不思議には『五、校庭の歩き出す像』という内容があった。
図らずもその正体が判明した形だ。
今までの、しょうもない正体じゃない。
剣を持って襲い掛かってくるような危険な正体だ。
しかし、これはどういった原理で動いているのだろう。
俺の知識からすると、可能性があるのはロボットだ。
だけど、繋ぎ目が見当たらない。
表面を人工的な皮膚で覆っているなら繋ぎ目が見えなくてもおかしくはないが、そういうわけでもなさそうだ。
表面は石のような材質でできている。
先ほどまで、それが人間のように滑らかに動いていた。
「七不思議がまた一つ解決しましたね」
メイが呑気な感想を言っているが、これはそんな呑気な物じゃないと思う。
これがロボットかどうかは判断しきれないが、問題はそこじゃない。
仮にこれがロボットだとして、その製作費が莫大な金額になることは、素人でも予想できる。
そんなものが、こんなボロい学校に置かれていること自体が不自然だ。
七不思議の探検だと軽く考えていたけど、もしかしてヤバいことに首を突っ込んでしまったのだろうか。
「解決と言っていいのか、これは?」
とりあえず、像は動きを止めている。
これがロボットだとしたら、使われているであろう電子部品にスタンガンの電撃は有効だろう。
壊れたかどうかまでは分からないけど、しばらくは動かないと思う。
だとすれば、解決したかどうかはともかく、身の安全は確保できた。
残る問題は、争っていたもう一人の方だ。
「あっちの人はどうなってますかね」
メイも同じことを考えたのだろう。
像と戦っていた人影の方に歩いていく。
こちらも倒れて動きを止めている。
どうやら、像ではないようだ。
人間らしい肌をしている。
近づくにつれ、姿がはっきりと見えてくる。
「しかし、こいつもなんなんだろうな」
動いて襲い掛かってくる像よりは現実的だ。
だけど、現実的だからといって安全とは限らない。
そもそも像に襲われるなんて、普通の日常生活ではあり得ない。
何か理由でもあるのだろうか。
像が無差別に人間を襲う存在という可能性もある。
けど、そうでないなら、何かしらの理由があるはずだ。
それにこいつは、負けたとはいえ、剣を持った像と戦っていた。
それなりの戦闘力を持っているということだ。
そこで、ふと気付く。
倒れてはいるが、こいつをそのままにしておくのは危険じゃないだろうか。
ロープか何かで縛っておいた方がいいような気がする。
ロープは、メイがローブの下に持っていたはずだ。
それで縛ればいいだろう。
「なあ、メイ・・・っ!メイ、下がれ!」
俺がそれを提案しようとした瞬間、倒れていた人影が勢いよく起き上がった。
メイがドヤ顔をしている。
どうやら褒めて欲しいようだ。
確かに剣を持った相手を倒したことは認めよう。
けど、なんだか納得いかない。
「スタンガンじゃん!」
「雷の魔術ですよぅ」
俺の心からの叫びに、メイは何が不満なんだという顔をする。
しかし、不満なのは、こっちだ。
「やっぱりここは、異世界じゃなくて、元いた世界だろう」
メイが雷の魔術と称して繰り出したのは、電撃が迸る魔術じゃなくて、どうみてもスタンガンだ。
科学技術で作られた代物だ。
ちょっぴり期待してしまった気持ちを返して欲しい。
とはいえ、剣を持った危険な相手を倒したことは確かだ。
そこだけは素直に褒めてもいい。
「まあ、手段はともかく、よくやった」
「えへへ」
俺が褒めてやると、メイは照れてはにかむ。
『手段はともかく』と言ったのだが、そこは気にしていないようだ。
「今のうちに逃げたいけど、こいつら放っておいていいのかな?」
拳で戦っていた人影は、剣で戦っていた相手が倒した。
剣で戦っていた人影は、メイが倒した。
ここには二人の不審人物が倒れていることになる。
自分達の身の安全を第一に考えるなら放っておくのが一番だが、どちらかが先に目覚めて、もう片方を殺しでもしたら寝覚めが悪い。
どうしたものかと、メイが倒した相手に目を向ける。
そこで、あることに気付いた。
「・・・なあ、メイ」
「なんですか?」
「メイが倒した相手って・・・」
「あれ?」
俺の言葉にメイもそちらを見る。
そして、俺と同じことに気付いたようだ。
「校庭にあった像ですね」
剣を持っているが、間違いない。
そこに倒れていたのは、校庭に置かれていた像だった。
人間が被り物をしているわけじゃなさそうだ。
「ロボット?」
七不思議には『五、校庭の歩き出す像』という内容があった。
図らずもその正体が判明した形だ。
今までの、しょうもない正体じゃない。
剣を持って襲い掛かってくるような危険な正体だ。
しかし、これはどういった原理で動いているのだろう。
俺の知識からすると、可能性があるのはロボットだ。
だけど、繋ぎ目が見当たらない。
表面を人工的な皮膚で覆っているなら繋ぎ目が見えなくてもおかしくはないが、そういうわけでもなさそうだ。
表面は石のような材質でできている。
先ほどまで、それが人間のように滑らかに動いていた。
「七不思議がまた一つ解決しましたね」
メイが呑気な感想を言っているが、これはそんな呑気な物じゃないと思う。
これがロボットかどうかは判断しきれないが、問題はそこじゃない。
仮にこれがロボットだとして、その製作費が莫大な金額になることは、素人でも予想できる。
そんなものが、こんなボロい学校に置かれていること自体が不自然だ。
七不思議の探検だと軽く考えていたけど、もしかしてヤバいことに首を突っ込んでしまったのだろうか。
「解決と言っていいのか、これは?」
とりあえず、像は動きを止めている。
これがロボットだとしたら、使われているであろう電子部品にスタンガンの電撃は有効だろう。
壊れたかどうかまでは分からないけど、しばらくは動かないと思う。
だとすれば、解決したかどうかはともかく、身の安全は確保できた。
残る問題は、争っていたもう一人の方だ。
「あっちの人はどうなってますかね」
メイも同じことを考えたのだろう。
像と戦っていた人影の方に歩いていく。
こちらも倒れて動きを止めている。
どうやら、像ではないようだ。
人間らしい肌をしている。
近づくにつれ、姿がはっきりと見えてくる。
「しかし、こいつもなんなんだろうな」
動いて襲い掛かってくる像よりは現実的だ。
だけど、現実的だからといって安全とは限らない。
そもそも像に襲われるなんて、普通の日常生活ではあり得ない。
何か理由でもあるのだろうか。
像が無差別に人間を襲う存在という可能性もある。
けど、そうでないなら、何かしらの理由があるはずだ。
それにこいつは、負けたとはいえ、剣を持った像と戦っていた。
それなりの戦闘力を持っているということだ。
そこで、ふと気付く。
倒れてはいるが、こいつをそのままにしておくのは危険じゃないだろうか。
ロープか何かで縛っておいた方がいいような気がする。
ロープは、メイがローブの下に持っていたはずだ。
それで縛ればいいだろう。
「なあ、メイ・・・っ!メイ、下がれ!」
俺がそれを提案しようとした瞬間、倒れていた人影が勢いよく起き上がった。
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