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第二章 七不思議の中のマンドラゴラ
042.怒られちゃいますよぅ
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聴こえてくるピアノの演奏は、素晴らしいものだったと思う。
音楽に詳しいわけではないが、素人の耳にはミスなどは無いように聴こえた。
だから、学生が夜中にこっそり練習しているわけではない。
しかし、こんな時間、こんな場所に、一流のピアニストがいるわけがない。
その不自然さが不安を煽る。
ごくり
唾を飲み込み覚悟を決める。
メイとともに音楽室を覗く。
そこにいたのは、
「・・・・・」
「・・・・・」
予想外の人物ではあった。
しかし、不自然な人物ではなかった。
「(用務員さんじゃん)」
「(そうみたいですね)」
そこにいたのは先ほど理科室から出てきた用務員さんだった。
軽やかな手つきで、ピアノを弾いている。
用務員さんがピアノを弾けるのは予想外だが、用務員さんがここにいるのは不自然じゃない。
何しろ直前に見かけたばかりだ
「(用務員さんは学校の行事でたまにピアノを弾くんですよ)」
そういうことは先に言っておいて欲しい。
知っていれば、確認するまでも無かった。
「(しかし、なんで夜中にピアノなんか弾いているんだ?)」
「(練習しているんじゃないですか?)」
わざわざ夜中の学校で練習する理由は分からない。
けど、ピアノは高価だから個人で持っていない可能性は十分にあり得る。
「(全く紛らわしいことを)」
「(邪魔するのも悪いですから、他に行きましょうか)」
「(そうだな)」
俺とメイは、音楽室に立ち入ることなく、その場を離れる。
立ち入る必要すら無かった。
ピアノを弾いているのは、幽霊ではなくて、ここにいてもおかしくない人間なのだから。
「(七不思議っていうけど、ちっとも不思議じゃないじゃん)」
「(そうですねぇ)」
何はともあれ、音楽室の七不思議は解決だ。
*****
「次は美術室か」
「こっちですよ」
メイが歩いていく。
俺は高級ソファーに座っているだけなので、移動は楽だ。
「そこに目が光る肖像画があるんだっけ?」
「七不思議だとそうなっていますね」
これまで理科室と音楽室の七不思議は解決した。
しかし、どちらも、しょうもない正体だった。
「どうせ目に画鋲が刺してあるとかじゃないのか?」
オチを予想してみる。
子供ならやりそうな悪戯だ。
「そんなことしたら怒られちゃいますよぅ」
俺の言葉にメイが反論する。
心外だとでも言いたげだ。
「別にメイがそういうことをするとは言っていないけどな」
けど、男子とかは、そういう悪戯が好きそうだ。
俺も、目の前に肖像画があり、手の中に画鋲があれば、思わず刺してしまうかも知れない。
肖像画に刺さった画鋲が、月明かりなどを反射して光っているように見えるというのが、俺の予想だ。
「他の子達もそんなことしていないと思いますよ」
しかし、メイは俺の予想を否定する。
ボロい学校のようだし、器物を破損させるような悪戯には厳しいのだろうか。
でも、画鋲は違うとしても、似たような正体である可能性は捨てきれない。
だいたい、冷静に考えると、肖像画の目が光ったくらいでは怖くも何とも無い。
骸骨が追いかけてくるなら怖いが、肖像画の目が光ったとしても、だから何だという感じだ。
でもまあ、しょうもない正体だとしても、推測しながら調べれば、ちょっとは楽しめるだろう。
というより、それくらいしか楽しみが見つけられない。
「行ってみれば分かるか」
「そうですね」
目的地である美術室には、すぐに着いた。
小さい校舎だから、廊下もそれほど長くはない。
「じゃあ、入りますよ」
メイが扉を開けて美術室の中に入る。
絵画や彫刻などがいくつかあるが、これは学生が作ったものだろうか。
上手いものもあるが、下手なものもある。
「肖像画は・・・」
風景を描いた絵画はいくつかあるが、人物を描いた絵画は数が少ない。
だから、目的の絵画はそれほど時間がかからずに見つかった。
音楽に詳しいわけではないが、素人の耳にはミスなどは無いように聴こえた。
だから、学生が夜中にこっそり練習しているわけではない。
しかし、こんな時間、こんな場所に、一流のピアニストがいるわけがない。
その不自然さが不安を煽る。
ごくり
唾を飲み込み覚悟を決める。
メイとともに音楽室を覗く。
そこにいたのは、
「・・・・・」
「・・・・・」
予想外の人物ではあった。
しかし、不自然な人物ではなかった。
「(用務員さんじゃん)」
「(そうみたいですね)」
そこにいたのは先ほど理科室から出てきた用務員さんだった。
軽やかな手つきで、ピアノを弾いている。
用務員さんがピアノを弾けるのは予想外だが、用務員さんがここにいるのは不自然じゃない。
何しろ直前に見かけたばかりだ
「(用務員さんは学校の行事でたまにピアノを弾くんですよ)」
そういうことは先に言っておいて欲しい。
知っていれば、確認するまでも無かった。
「(しかし、なんで夜中にピアノなんか弾いているんだ?)」
「(練習しているんじゃないですか?)」
わざわざ夜中の学校で練習する理由は分からない。
けど、ピアノは高価だから個人で持っていない可能性は十分にあり得る。
「(全く紛らわしいことを)」
「(邪魔するのも悪いですから、他に行きましょうか)」
「(そうだな)」
俺とメイは、音楽室に立ち入ることなく、その場を離れる。
立ち入る必要すら無かった。
ピアノを弾いているのは、幽霊ではなくて、ここにいてもおかしくない人間なのだから。
「(七不思議っていうけど、ちっとも不思議じゃないじゃん)」
「(そうですねぇ)」
何はともあれ、音楽室の七不思議は解決だ。
*****
「次は美術室か」
「こっちですよ」
メイが歩いていく。
俺は高級ソファーに座っているだけなので、移動は楽だ。
「そこに目が光る肖像画があるんだっけ?」
「七不思議だとそうなっていますね」
これまで理科室と音楽室の七不思議は解決した。
しかし、どちらも、しょうもない正体だった。
「どうせ目に画鋲が刺してあるとかじゃないのか?」
オチを予想してみる。
子供ならやりそうな悪戯だ。
「そんなことしたら怒られちゃいますよぅ」
俺の言葉にメイが反論する。
心外だとでも言いたげだ。
「別にメイがそういうことをするとは言っていないけどな」
けど、男子とかは、そういう悪戯が好きそうだ。
俺も、目の前に肖像画があり、手の中に画鋲があれば、思わず刺してしまうかも知れない。
肖像画に刺さった画鋲が、月明かりなどを反射して光っているように見えるというのが、俺の予想だ。
「他の子達もそんなことしていないと思いますよ」
しかし、メイは俺の予想を否定する。
ボロい学校のようだし、器物を破損させるような悪戯には厳しいのだろうか。
でも、画鋲は違うとしても、似たような正体である可能性は捨てきれない。
だいたい、冷静に考えると、肖像画の目が光ったくらいでは怖くも何とも無い。
骸骨が追いかけてくるなら怖いが、肖像画の目が光ったとしても、だから何だという感じだ。
でもまあ、しょうもない正体だとしても、推測しながら調べれば、ちょっとは楽しめるだろう。
というより、それくらいしか楽しみが見つけられない。
「行ってみれば分かるか」
「そうですね」
目的地である美術室には、すぐに着いた。
小さい校舎だから、廊下もそれほど長くはない。
「じゃあ、入りますよ」
メイが扉を開けて美術室の中に入る。
絵画や彫刻などがいくつかあるが、これは学生が作ったものだろうか。
上手いものもあるが、下手なものもある。
「肖像画は・・・」
風景を描いた絵画はいくつかあるが、人物を描いた絵画は数が少ない。
だから、目的の絵画はそれほど時間がかからずに見つかった。
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